つう‐しょう【通称】
通称
通称(仮名、字、号、百官名、東百官、受領名)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/01 01:25 UTC 版)
「人名」の記事における「通称(仮名、字、号、百官名、東百官、受領名)」の解説
詳細は「通称」、「仮名 (通称)」、「字」、および「号 (称号)」を参照 中国、朝鮮、日本、ベトナムなど漢字文化圏では、人物の本名、実名である「諱(いみな)」はその人物の霊的な人格と強く結びつき、その名を口にするとその霊的人格を支配することができると考えられた。そのため「諱」で呼びかけることは親や主君などのみに許され、それ以外の者が目上に当たる者の「諱」を呼ぶことは極めて無礼とされた(実名敬避俗)。これを貴人に対して実践したものが「避諱(ひき)」である。特に皇帝とその祖先の「諱」については、時代によって厳しさは異なるが、あらゆる臣下がその「諱」あるいはそれに似た音の言葉を書いたり話したりすることを慎重に避けた。中国などでは「避諱」によって、使用する漢字を避けて別の漢字を充てる「偏諱」が行われた。 日本においては「通称」や「仮名(けみょう)」が発達した。一方で、律令期に遣唐使の菅原清公の進言によるとする「諱」への漢風の使用が進められ、これに貴人から臣下への恩恵の付与、血統を同じくする同族の証として「通字」も進んだ。後述の「諱」を参照。 男性の場合、こうした「通称」には、太郎、二郎、三郎などの誕生順(輩行)や、武蔵守、上総介、兵衛、将監などの「官職」の名がよく用いられた。後者は自らが官職に就いているときだけではなく、父祖の官職にちなんで名付けることが行われた。北条時頼の息子時輔は、父が相模守であることにちなんで「相模三郎」と称し、さらに「式部丞」の官職について「相模式部丞」となり、さらに式部丞を辞して叙爵されて「相模式部大夫」と称した。このような慣行に加えて、時代が下ると正式な任命を受けずに官職を僭称することが武士の間に一般化し、江戸時代には、武士の官職名は実際の官職とは分離された単なる名前となった。島津斉彬は正式には「松平薩摩守」を名乗ったが、当時は「薩摩守」はあくまで「通称」と捉えられ、斉彬の「官職」といえば「左近衛権中将」を指した。この趨勢は、ついには一見すると官職の名に似ているが明らかに異なる百官名(ひゃっかんな)や東百官(あずまひゃっかん)に発展した。 女性の名前は、庶民が氏を名乗っていた中世前期までは、清原氏を名乗る凡下身分の女性ならば名前は「清原氏女」(きよはらのうじのにょ)などと記された。氏は中国と同様に父系の血統を表現する記号であったから、婚姻後も氏が変更されることは本来はありえなかった。官職を得て出仕するような地位を得たとしても「式部」(紫式部)や「少納言」(清少納言)のように「通称」で呼ばれた。これらは「女房名」と呼ばれる。「清少納言」という呼び名は、父清原元輔が少納言であったことにちなむ女房名「少納言」に、ほかの「少納言」と区別するために清原氏出身であることを示す「清」を添えたものである。 宮、御屋形様、大殿、大御所、政所、御台所や、上皇や女院の院という呼び名も、直接名を口にするのを避けて居所で呼んだことに由来する通称である(詳しくは仮名 (通称)の頁を参照)。 女性の場合は諱が記録に残ることが少なく、後世でも「通称」でしか知られず「諱」が不明のままとなっている例が多い。多くの研究者が解明に取り組んできたにもかかわらず、紫式部の「諱」がいまだに判明していないのは有名である。しかし、庶民が「名字」を名乗った中世後期には、庶民の女性も、童名のままながら、「ねね」「やや」「とら」など、より独立した存在として記録に残されるようになった。その一方、女性は婚姻後は出自の家ではなく婚家の家組織に従属するという習慣も明瞭となってきた。江戸時代には、関白の母を大政所、正妻を北政所、征夷大将軍の正妻を御台所と区別して呼ぶことが定着し、女性は婚家の夫・子供の視座から呼称されるようになった。 明確に「避諱」を目的とするのではなく、隠居時や人生の転機などに、名を号と呼ばれる音読みや僧侶風・文化人風のものに改める風習もあった(例:島津義久の「龍伯」、穴山信君の「梅雪」、細川藤孝の「幽斎」など)。この風習は芸能関係者にも広まり、画家・書家や文人の雅号も広く行われた。狩野永徳、円山応挙等の画号、松尾芭蕉、与謝蕪村のような俳号、上田秋成、大田南畝のような筆名も広く行われた。中には、曲亭馬琴や十返舎一九のように諱と全く異なるものも現れた。これが、現在の芸能人の芸名や俳名、源氏名などの習慣につながっている。
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通称
「通称」の例文・使い方・用例・文例
- 「ビッグ・アップル」はニューヨーク市の通称だ
- ジョッパーは通称「ブルーシティー」と呼ばれている。
- 職安は通称ハローワークと呼ばれている。
- 合唱付交響曲 《Beethoven の第 9 交響曲の通称》.
- 通称.
- ジャックの名で通る, 通称ジャック.
- この通りは通称「すずらん通り」と呼ばれている.
- その寺は通称「苔寺」と呼ばれている.
- 彼は通称儀助で通っている
- 通称儀助と称す
- 通称
- メチレンジオキシメタンフェタミンの通称
- ヘロインの通称
- コカインの通称
- ケタミンのための通称
- マリファナの通称
- ガンマヒドロキシ酪酸塩のための通称
- さまざまなクロチャワンタケ科の通称
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