2016/03/04

暴かれる陰謀

Behind "THE COVE"

2010年に日本で公開された「ザ・コーヴ」。それは舞台となった太地町だけでなく日本人を野蛮で残酷な生き物として世界へ紹介した。そしてアメリカの数々の映画賞(アカデミー賞ドキュメンタリー部門など)を受賞した。多くの日本人が悔しい思いをしただろう。
※当時の日本でもこの映画を評価する人はいた。またこの映画を否定するイギリスやフランスのメディアもあったことは事実。

アメリカが抜き出てこの映画を評価しているのは「パールハーバー」(真珠湾攻撃)が教育の素材として使われていることが大きいのかもしれない。

その5年後、勇敢な女性がたった一人でザ・コーヴこそ卑劣だという映画「Behind the Cove」を製作した。そしてシーシェパードに密着。コーヴの出演者などにも突撃取材。コーヴが事実を捻じ曲げて映画を作ったいくつもの事実を映像と声として捕らえた。

ここまでは完ぺきに近い映画だった。ザ・コーヴもシーシエパードもこの映画の中では残忍な悪者にしかうつらない。

ここで止めておけばよかった。

俺もシーシエパードは大嫌いである。コーヴは見てないが、見た仲間からは最低と聞いていた。見る価値がないとも。

ところがいろいろな疑惑が飛び込んできた。

反捕鯨はアメリカがベトナム戦争から目を背けさせるための陰謀説。

そして捕鯨を肯定するような八木監督の発言が目立った。

この映画の狙いが何だったのか疑問がわいてきた。

反捕鯨、反反捕鯨・・・

ちなみに俺は反捕鯨ではない。資源が豊富であり、需要があるなら堂々と商業捕鯨を再開すべきと何度も言っている。

問題は鯨肉の人気がほとんどないことだ。商業捕鯨は1988年に日本は中止したが、その10年前に国内ではほとんど食べられなくなり、肉全体(魚介類を除く)の中の1~2パーセントを占めているだけだった。ピークは戦後の食糧難の時代であり、1948年は肉消費の46パーセントが鯨肉だった。※肉消費率の出所は農林水産省農林統計協会。
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さらに我が国は毎年1900万トン前後の食品廃棄量があった。これは国民一人当たり約150キロであり、世界一という報告もある。こんなに捨てている時代にクジラを取る必要があるのか。
まして調査捕鯨を国際司法裁判所は違法と判決している。これは調査ではなく、商業捕鯨であると断じているのだ。

この裁判に関しては、この本が事実に基づき詳細に報告している。なぜ敗訴したのかも、この本を読めば理解できる。そしてこの本は日本は商業捕鯨を再開できる道はあると断じている。けっして反捕鯨の本ではない。
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ところがビハインド・ザ・コーヴの八木監督はこの本(多分この本のことだと思う)をデタラメ本と決めつけ、あちらこちらで発言(コメント含む)しているのである。


八木監督の気になる発言集(赤字)

また、この件でどさくさでデタラメ本を売ろうとしている反捕鯨活動家の大学研究員の方は、私の映画を先日ご覧になりヤラセや捏造が一切ないのを承知の上で、なんとか否定する材料を探しています。

否あるよ。卑怯者だから面と向かって言わんのが特徴。笑


こんなのもあったけど本人が削除してしまったので・・・

影でケチつけるしかない哀れな集団

そしてアメリカ陰謀説に対しては

その方は複数ある公文書の中のTabAとTabBのドキュメントを持っていると公言していたのにも関わらず、公表できず逃げ回っているようですよ。都合悪い情報なのか見せられないかもしれませんね。


う~ん、なんか違うな。言ってることに表と裏がありすぎる。事実確認をして言ってるのだろうか?

八木監督は自分に都合の悪い人はすべて反捕鯨家と決めつけているらしい。それのほうが相手をたたきやすいと踏んだのだろう。俺が調べた限りでは反捕鯨家とは呼べない人がほとんどだった。


調べてみた。その陰謀説は、八木監督が「ニクソン大統領図書館に問い合わせたが、問い合わせた内容のものはないと返された。この文書を隠しているのではないか」と映画で説明されている。

ところが、ある研究者がその公文書を問い合わせたところ、すぐにあるよという返事。それはすでにネット上で公開されてます。
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公文書からはベトナム戦争陰謀説はまったく確認できない。また商業捕鯨国であるアイスランドやノルウエーの学者にもこの陰謀説はまったく相手にされてない。そりゃ証拠がまったくないのだから当然である。


八木監督は本気で探そうとしたのだろうか?

この映画に関わっている人の中に、このお二人がいた。

米澤邦男氏
水産庁審議官~次長としてIWC(国際捕鯨委員会)等の水産系国際会議の交渉役を務めた。その後大手捕鯨/水産企業日本水産へ天下り常務~副社長に。さらに、捕鯨を守る会等各種の水産系外郭団体のトップも兼任し、国の漁業政策に大きな影響力を行使した。今年卒寿を迎えたことが水産紙で大きく報じられた。

梅崎義人氏
現水産ジャーナリストの会会長。時事通信記者を経てフリー。捕鯨協会のPRコンサルタントとして、マスコミを抱き込み捕鯨擁護論を広く浸透させた最大の功労者。その成果を「捕鯨問題に関する国内世論の喚起」にまとめた。著書:『クジラと陰謀』『動物保護運動の虚像』

どうも、このお二人が陰謀説を広めたらしいのだ。梅崎氏の著書「クジラと陰謀」は昨夜アマゾンに発注しました。目を通せるのは21日以降になりますが(俺が明日から20日までアメリカなので)。

水産庁OBは過去にもおかしなことを広めています。
これはその一つ。

スポーツフィッシングは誤解されている。
http://uminchumogi.blog111.fc2.com/blog-entry-441.html


そして八木監督に影でコソコソしている哀れな人と言われたくないので、直接ビハインド・ザ・コーヴのFacebookページに質問をぶつけてみた。

茂木陽一:八木さん、このコメントにあるデタラメ本を教えてください。読んでみたいです。できましたら、何ページがデタラメなのかも教えていただけると助かります。
八木さんのコメント「また、この件でどさくさでデタラメ本を売ろうとしている反捕鯨活動家の大学研究員は」
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ところが、この俺のコメントはすぐに削除されてしまった。

逃亡?

その他のコメントもすべて削除。

俺のコメントは削除対象なの?
ちゃんと「さん」づけで、事実を基に質問してます。

俺の最初のコメントです。
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そのあとは削除の嵐。俺のコメントは1時間以内にすべて消えてしまった。


その消えたコメントたち(笑)
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八木監督は最初にご自身のコメントから削除を開始した。
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俺が書き込んだ直後に八木監督のコメントは消えてます。
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原文
茂木陽一:スルメイカの資源量とクジラの資源量は相関関係がありません。商業捕鯨停止直前の1986年が資源量が一番少なかった。停止後にクジラも増えますが、イカも増えます。イカを獲る技術が格段に進歩した2000年代に入り、資源量が緩やかに減っていきます。その原因は乱獲、そして温暖化が考えられます。ケープコッド沖には今でもとんでもない数のクジラがいますが、イカナゴ、サバ、マグロなどもとんでもなくいっぱいいます。もしクジラが原因なら、真っ先にクジラがたくさんいる海から魚は減っていくはずです。
今から100年前はもっとクジラがたくさんいました。でも魚も今の数倍いました。魚が減った原因は人類と考えたほうが説明しやすいです。1960年ごろから効率の良い漁法(まき網など)が普及していくと世界の水産資源は急降下で減少しました。現在は世界の多くの海域で資源管理されるようになり、日本近海(北西太平洋)を除いたほとんどの海域で資源は回復傾向にあります。日本近海の資源を真っ先に減らしたのは日本ですが、近年は中国、韓国、台湾も漁獲を伸ばし、減少へ拍車をかけてます。
北大西洋で成功した資源管理を太平洋ができるか?
それは関係各国が資源管理面で協力する以外にないと思います。クジラに責任を擦り付けていたら未来永劫資源は回復しないと思います。


八木 景子:原因は人口増加(また、魚を食べる国も増加)&生態系バランス(鯨を獲らないなど)、家畜過多による汚染水、などの一連の流れが考えられ、一つだけでないと思います。

茂木 陽一:世界の水産資源管理を少し学んだほうが良いと思います。人口が増え続ける国でも水産資源を厳しく管理(TAC、IQ方式など)して資源回復に成功した国はたくさんあります。日本は現在人口も減り続けてますが、水産資源も多くの魚種で減り続けています。世界銀行の未来予測では2030年は日本だけがマイナス成長と報告されてます。


何度、読み返してもも削除されるような内容ではない。


あれだけ大口叩いていた人が逃げるなんて、これっぽっちも考えてなかった。

八木監督の大口の一部です。

八木 景子 こちらのサイトは、勝手に纏めをつくり、この意見と反対派をブロックしているらしいです。


よほど、俺のコメントは八木監督にとって都合が悪かったのだろう。


完全に冷静さを失い、ぶち切れである。


たぶん、デタラメ本は読んでなかったんだろうな。誰かの入れ知恵だったのだろう。それで答えられず慌てて削除した。映画に関わったお二人のことも答えられない。俺はこの二人が影でいろいろ吹き込んだと考えている。この映画は結局、調査捕鯨推進派に利用されたのだろう。

捕鯨3団体
日本鯨類研究所(藤瀬良弘理事長)
共同船舶(伊藤誠社長)
日本捕鯨協会(山村和夫会長)

すべて天下り先である。


新年度の調査捕鯨補助金は22億8000万円と大幅に増額となってます。


そして調査捕鯨は伝統的沿岸捕鯨を衰退させている。
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調査捕鯨こそが伝統的捕鯨の敵?
http://ameblo.jp/yukiyagi7/entry-11581611262.html




最後に調査捕鯨に関わった水産庁OBの発言

毎日新聞に掲載された粕谷先生のご意見

殺さずとも解明可能 「科学目的」に疑問??帝京科学大教授・粕谷俊雄氏

国際捕鯨取締条約は確かに、加盟国に調査捕鯨を認めている。しかし、調査捕鯨の続行には問題が多い。理由は大きく分けて3点ある。

1点目は、実験動物の扱いとして適切なのか、という問題だ。多くの学会では、実験動物に必要以上の苦痛を与えないよう自主規制している。同条約はクジラを水産資源と見ている。しかし、クジラは人類共有の財産であり、加盟国の私有物ではない。1946年の条約調印から60年たち、世界の常識的な動物観に合わなくなってきている。それでも科学のために捕鯨を続けると言うのであれば、研究者のエゴイズムでしかない。

2点目は、調査捕鯨は同条約が認める「科学目的」なのかという問題だ。調査捕鯨の年間経費は約60億円。このうち国の補助金などを除いた約50億円をクジラ肉の売上金でまかなっている。売上金がなければ捕鯨関連団体は維持できず、船舶会社も捕鯨船の建造費などを回収できなくなる。この枠組みは「経済行為」そのものであり、そこには研究者の主体性が反映される余地などない。決して、同条約が認める「科学目的」ではないのだ。

3点目は、調査捕鯨の手法は科学的に妥当なのかという点だ。日本鯨類研究所は「致死的調査でなければデータが取れない」と主張する。しかし、生体組織の一部を取り出すだけでも、脂肪の含有量や妊娠率は分かる。餌の内容は糞(ふん)を採取すればよい。

第2期調査の最大の目的は「生態系モデルの構築」だ。現在、海洋におけるクジラ類の役割を解析するための生態系モデルがないことから、モデルづくりの必要性は理解できる。耳あかから得られる年齢情報だけは殺さなければ手に入らないが、まずは商業捕鯨と第1期調査で蓄積した膨大なデータを使ってモデルをつくり、足りないデータがあった場合に限って、調査捕鯨で補うべきだ。

私は80年代に水産庁に在籍し、調査捕鯨計画の立案にかかわった。その際、我々に与えられた条件は「経費をまかなえる頭数を捕鯨でき、しかも短期では終わらない調査内容の策定」だった。今では、法の網をくぐるような調査捕鯨の発足に手を貸したのは、うかつだったと悔やんでいる。
(毎日新聞 2005年10月3日)