キューバの釣り
ハバナ近郊での観光をたっぷりして翌日の早朝4時半頃にホテル玄関前から送迎バスに乗り キューバ中南部のアナ・マリア湾に面したjucaro に向かった。
道路では50年代へタイムスリップしたような錯覚になる。とにかく古い車が多いのだ。
キューバは1940年代から50年代にかけてのアメ車が多い。バティスタ政権時代にアメリカの金持ちやキューバの裕福な人たちが乗っていたらしい。それが革命後、アメリカの経済封鎖に遭い経済危機に何度も立たされた。当然ほとんどの国民は車など買えなくなった。1960年代になると旧ソ連製のLADAが乗用車の主流となった。道路で見かける2割ぐらいがポンコツのアメ車で3割ぐらいがポンコツのLADAという割合である。他に人力タクシー、馬車、ココタクシー(小型三輪車)、トラック、バス、そして新しい車は韓国製が多かった。
共産圏では高級官僚が高級車を乗り回すというイメージがあるが、キューバではカストロこそ数十年前に寄贈されたベンツを使用しているが、彼以外の政府要人はエアコンも効かないポンコツのソ連製(ボルガ、LADA)である。
ただし問題はある。古いアメ車を見てカッコイイとは思うのだが、排ガスがひどくて喉の弱い人は痛くなるらしい(俺は平気だったが)。日本ならキューバで走っている7割以上の車は車検を通らないだろう。
現状のキューバに関してはこのブログを参考にした。最近まで奄美に住んでいた人で現在宮崎にいるようです。誰だかわかりませんが素晴らしいブログです。
http://blog.goo.ne.jp/azianokaze/e/9cb95818173cb51c2cade5b977b5018d
カストロを独裁者と呼んでいるブッシュの方がよほど独裁者だろう。アメリカ国民の多くもブッシュのやり方に反対の立場を取っているのだ。
国連の米国の対キューバ経済封鎖解除決議(アメリカは圧倒的大差で負けている)
http://homepage3.nifty.com/aajc/archive43.html
有名な国際的テロリスト、ポサダ・カリーレス(ブッシュが保護している)
http://homepage3.nifty.com/aajc/archive37.html
2008年5月にチェ・ゲバラの娘であるアデイラ・ゲバラさんが来日した。
これは5月20日のアデイラさんの公演の内容
http://www.jca.apc.org/stopUSwar/latin_america/aleida_in_osaka.htm
キューバに行って真実を見ると考えが大きく変わる。貧しいことはけっして恥ではない。そして小さな国キューバがアメリカという巨大な国にけっして負けてないことを確認できた。
jucaro までの道のりは長かった。しかし車中で不思議なことに全然眠くならなかった。キューバの景色がなんともいえず素晴らしく自分の少年時代の故郷とダブって見えた。またゲバラ関係の本などを読んだり、写真集を見て夢中になっていた。
8時間後の12時半ごろ港町jucaro に到着。
港に停泊している漁船もかなり古い。
ハルディネス・デ・ラ・レイナ諸島に向かう。
宿泊する洋上ホテル(船を改造したもの)までjucaro から3時間以上かかった。
こんな部屋が6部屋くらいあった。エアコン完備である。
トイレもシャワーも最新式だった。
なんと衛星でインターネット(無料)ができるようになっていた。通信速度はかなり遅いが・・・
ディナーはイタリア人やメキシコ人と一緒に
ここを訪れるほとんどの人がフライマンらしく、ルアータックルに関してはレンタルもなく、ルアーの現地販売もない。フライマンはここでグランドスラムを狙うらしい。パーミットとターポンとボーンを1日で釣るとグランドスラムである。2週間前に来たイギリス人は1日に2度グランドスラムを達成したらしい。
フィッシング用のボート
こんなところを抜けていく。
コガジャとび~るだ~さんはフライでグランドスラムを狙ったが・・・
ターポン
ボーンは大きかった。
しかしパーミットだけ釣れなかった。この魚はかなり難しいらしい。
ルアーで釣る魚は見たことも無いような魚が多かった。よく釣れたのはフエダイ系の魚である。
これはMutton snapper
こんなことも
これはYellowtail snapper
これはホシカイワリに近い種類?
外道の代表バラクーダ
ギンガメアジに似ているジャック・クレバルもいっぱい釣れた。
小さいグルーパーはかろうじてキャッチできた。
クベラの幼魚?
そして本命だったターポンはサイズが小さいせいか、ルアーを投げると逃げてしまうことが多かった。数回バイトがあったのは25グラムのカーペンターのBC-γ25やウンデッドベイト20など小さなペンシルばかりだった。いずれもフッキングできずキャッチはなし。バラクーダの猛攻で2日目までで極小ルアーは全滅してしまった。
やむをえず第2の本命Cubera snapper(クベラ)に変更した。クベラは大型になるフエダイ系の魚で瞬発力が凄く中米では大人気のゲームフィッシュである。この魚の世界記録は55.11キロで1982年にアメリカのルイジアナ州で釣れている。ガイドのコギの話ではここでも45キロくらいまでは釣れているらしい。
似ている魚としてパプアニューギニアなどで釣れるパプアンバス(ウラウチフエダイ)と沖縄など南方の島で釣れるマングローブジャック(ゴマフエダイ)、バラフエダイ(レッドバス)がいる。
日本名と英名、学名は以下のようになる。ウラウチフエダイは絶滅危惧IA類に指定されている。かつて西表島の浦内川には40キロクラスがいたらしい。
ウラウチフエダイ:Lutjanus goldiei(パプアンバス、パプアンブラックスナッパー)
ゴマフエダイ:Lutjanus argentimaculatus(カースビー、マングローブジャック、マングローブスナッパー、マングローブレッドスナッパー、レッドパーチ、レッドブリム)
クベラ:Lutjanus cyanopterus(キュベラスナッパー、Cubera snapper)
バラフエダイ:Lutjanus bohar(アカナー、レッドバス、Red bass、Two-spot red snapper)
俺は20年前にコスタリカの太平洋側でクベラを釣ったことがある。これは正式にはパシフィック・クベラ(Pacific cubera snapper) Lutjanus novemfasciatusとなる。
60グラム以上のスイミングペンシル系のルアーに果敢に反応した。中でも良かったのはBC-γ60と90、メロン屋のTW170F、猛闘犬丸のミノぺん丸16Fだった。大きいルアーほど反応が良かったので今回は持ってこなかったが100グラム以上のルアーなら更に凄かっただろう。
ただし大問題が起きた。今回はターポン用とボーン用のルアータックルしか用意してなかった。ターポンはよく走ってジャンプも派手に繰り返すが、根に走らない。過去に80キロクラスもPE2号でキャッチしている。なので今回はPE1.5号から3号を主力に持ってきた。3号だと大型のクベラに歯が立たないのである。
ポイントは水深2~5メートルでサンゴだらけのところが多く、ヒットしたら一気に根に突っ込んで行く。2号、3号ではどうにも止まらない。魚体の色が赤っぽいので出てくるとすぐにわかる。ルアーのアクションはゆっくりでたまに止めたほうがいい。スルスルと近づいてきて直前でUターンしたり、ミスバイトすると1回で消えてしまう。なかなか警戒心の強い魚である。そして運よくフッキングしても凄いパワーで一気に根に走る。そしてたまに80キロくらいのグルーパーがヒットするからたまらない。
3日目と4日目はクベラ狙い一本で行ったが、根ずれなどで有効なルアーはほとんど無くなってしまった。生き残ったとしてもガンマなどはバラクーダとクベラの歯でボロボロになり、水が浸みてフローティングからシンキングになってしまった。
ルアーのワイヤーが抜けてしまうことも。
5日目、最終日が来た。ここまで毎日ほとんど休まず投げているので肩と背中と右腕がボロボロになっていた。投げるたびに激痛が走った。しかしこのままでは悔しくて帰国できない。何が何でも釣るぞという気持ちだった。いつも船上で寝てばかりの俺はどこかへ消えてしまったようだ。こんなに真面目に投げたのは何年ぶりかな?
そしてそのときがやってきた。
TW170Fの横からクベラが飛び出てきた。ガツッと襲い掛かった。フッキングも難しい魚なので3回くらい強烈に合わせを入れた。一気に根に突っ込む。ドラグはあらかじめ8キロくらいにしてあったが、さらに指ドラグで止めにかかる。一気に止めるとブレイクするので徐々に圧力を加えていった。15メートルくらいで一度止まった。スプールを掴みながらロッドを大きくあおってポンピングを開始する。素早く、素早く、相手に主導権を奪われないように!
そのあと何度か抵抗を見せるが2~3メートルで止まった。そしてどんどん相手との距離を詰めた。船は操船してないが、小さな船なので勝手に船が動いていく。1分くらいで船はクベラのほぼ真上まで来た。海底を覗くと底すれすれでクベラが抵抗しているのが見えた。ロッドを立ててプレッシャーを掛け続け、徐々に相手を浮かしにかかる。2分後、クベラは船の真横に観念する様に横たわった。
「やったー!!!」
ガイドの推定は25キロ!
無いと思いますが(^^;
俺は船の上で何度も吠えた。
ガイドのコギと
ボロボロになったTW170F(ロッドはカーペンターBC66MHR)
キューバに感謝!