俺の答え
この数日間、ほとんど寝ないで過ごした。それはどうしても産卵期のクロマグロ漁を止めたいからだ。
「子が卵を産む」「まき網が産卵期にこだわる理由」「利権の構造」
今回は上記の3つについて述べる。
【子が卵を産む】
今年も日本海の産卵期にまき網は大暴れしていた。北は東北から南は九州まで、いたるところにまき網船は出没していた。その行動範囲は年々広くなっている。
そして
子が卵を産むという異常事態になっている。
水産庁は日本海側のクロマグロの成熟年齢(産卵開始年齢)は3歳で20パーセントと言い続けてきた。
ところが近年の報告では3歳で80パーセントが成熟しているそうだ。その成熟年齢は年々早くなっていると現地(境港)からの聞き取りもある。
種の資源が減少すると成熟年齢(産卵年齢)が低下することは多くの魚種で報告されている。3歳(約30キロ)というと人間に例えれば小学生くらいと考えてもよいだろう。同じクロマグロでも太平洋側は6歳以上(約80キロ)、そして西部大西洋クロマグロは8歳(約120キロ)で成熟すると報告されている。寿命は25歳前後である。
それについて参考になる報告書はこれだ。
※マサバはマグロに遺伝子的にもっとも近い。
マサバ太平洋系群の繁殖特性の変化とその個体群動態への影響
渡邊千夏子
http://jsfo.jp/contents/pdf/74-sp-46.pdf
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かつては3歳で産卵していたのが、資源の減少に伴い2歳で産卵を開始しているそうだ。
最後は大型、高齢魚を増やすことだと締めくくっている。
クロマグロに戻る。
ところが現状は3歳から4歳の若いマグロが成魚の漁獲の9割以上を占めているのである。完全な大人になる前に獲られてしまうのである。
【まき網が産卵期にこだわる理由】
我々は水産庁&一部議員に「科学的根拠がない」「感情論」「遺憾だ」と言われている。
その水産庁の科学的根拠に従った結果、クロマグロは絶滅危惧種になった。これは事実である。
資源が減った理由を水産庁に問うと決まって以下の返答となる。
「資源の減少は水温などの環境要因である」
「日本海の産卵親魚を獲っても資源への影響はない」
ISCの報告では近年の環境はいたって良いらしい。
水産庁は親はいなくても子は生まれるとでもいいたいのか?
子は親から生まれるのである。そんなことは子供でも知っている。
それについても参考になる報告書を見つけた。
寄稿 鳥取県境港におけるまき網により漁獲された大型クロマグロについて
川口哲夫
http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010263131.pdf
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まき網船が日本海でクロマグロを獲り始めたのは1981年だそうだ。
1982年の漁場である。こんな狭い範囲で7月のたった19日間だけで1637トンも獲った。しかも平均サイズは121キロである。
今は日本海中で漁をしても19日間では500トンも獲れない。しかも近年のアベレージは30キロ台である。
活動中の魚群をとらえるのは不可能と書かれている。網を入れる条件は魚群が停止した状態と書かれている。停止しているときは産卵行動だったとも書かれている。
ここには「6才から10才を中心とした成魚によって構成されていた。まき網船の大量漁獲はクロマグロの産卵行動と密接な関係がある」と書かれている。
1980年代にまき網が日本海側で大型のクロマグロを漁獲した報告は他にもある。
今年5月の朝日新聞。
1982年に100キロ級を1回で1800本漁獲している。巻いたときは産卵行動中だった。
小西藤司の物語
http://globe.asahi.com/feature/side/2015050100028.html
この表を見ると1981年と1982年は大型のクロマグロ(成魚)の漁獲が突出している。メジ(未成魚)の10倍くらい漁獲していた。
※1956年以前はマグロとメジを分けてない。
ところが成魚(30キロ以上)と未成魚(30キロ未満)の漁獲の差がどんどん縮まっていった。
1995年についに逆転。それ以降は未成魚(30キロ未満)の漁獲が上回っている。
境港の水揚げを見ても成魚の減少は一目瞭然。
ここまで大型のマグロが減っても産卵期に獲りつづけるまき網業界。
もう大型魚はほとんどいないのである。だから子が卵を産む。
今年の4月、ある離島で水産庁職員から地元漁業者に以下のお願いがあった。
職員「まき網は産卵期にしか獲れないので協力してほしい」
この職員は正直者である(^O^)
さらに
境港のまき網関係者はこう発言した。
「6月から8月は他の魚が獲れない夏枯れの時期なのでクロマグロを獲っている」
俺の答えはこうだ。
環境要因だとか、親を獲っても子は減らないだとか、それは巻き網に産卵期に獲らせるための御託なのだ。
それにしてもこんなくだらない御託に付き合う学者が多いのも呆れたもんである。
役人の給料も御用学者の給料も国民の税金である。
しっかりと国民のために仕事をしてくれ。
この50年で食用とされる大型魚の資源は10分の1以下に減ったと報告されている。
その一番の犯人が誰なのかは、この表を見れば誰でもわかるだろう。
急激に漁獲が増えているのはまき網である。
【利権の構造】
最後に
天下り団体の一部を紹介する。水産業界は天下り先がやたらと多い。
一般社団法人 全国まき網漁業協会
http://business3.plala.or.jp/zenmaki/aboutus.html
人件費、退職金、交通費が支出のほとんど。
俺には何をやってる団体なのかよくわからん。
会長、副会長はすべて元官僚(ほとんど水産庁)。
大日本水産会も会長は元水産庁。
http://www.suisankai.or.jp/
他に国立研究開発法人水産総合研究センターなど。天下り先は多すぎて調べきれません。
大手水産会社、天下り団体、一部政治家、それらが利権で結託し、長年水産庁を動かしている。
俺の答えである。