科学的根拠とはなんぞや?
今日から南米に旅立つので、急いで書き上げた。まだまだ言いたいことは山ほどあるけど、帰国後に第2弾を書く。
25日の参議院農林水産委員会
やたらと科学的根拠を連発していた舞立議員と本川水産庁長官だった。
舞立議員<日刊水産経済新聞より抜粋>
「太平洋クロマグロの資源回復には産卵親魚の規制を強化すべきだという科学的根拠に基づかない議論が展開されている。一部のマスメディアやインターネットを利用し、感覚論や感情論に訴える動きがあり、遺憾に思う。」
※舞立昇治:鳥取県(境港のある県)選出の参議院議員
では、その科学的根拠とは?
水産庁が科学的根拠のある資源管理をやった結果、太平洋クロマグロは絶滅危惧種になり、ピーク時1300万トンあった我が国の水揚げは480万トンまで落ち込み、かつては世界一位の水産大国だったが8位まで後退、ピーク時100万人いた漁業者は17万人まで激減、しかも漁業者の平均年齢は60歳を超え、毎年約1万人ずつ減少、漁業者の年収はどんどん減って200万円を切る直前、サバもニシンもホッケもスーパーに並んでいる魚は外国産だらけになった。
これが水産庁の言う科学的根拠に基づいた資源管理なのです。素晴らしいではありませんか、世界広しと言えどもこんな頓珍漢な話は聞いたことがありません。
長々とした茶番だったが、主なところを拾って、俺なりに答えます。
※ほとんどが俺の知り合いの学者作成ですけど。
舞立議員様
その前に感覚論、感情論、そんな風に言われて心外です。俺は真剣に日本の未来を考えてます。そして現状の資源管理では未来が心配です。俺は現場を見てすべて話してます。無学なので見たことしか言えません。現場論とか現実論とかに言いかえてください。そしてあなたのは机上の空論と言わせていただきます。事実、委員会では机の上ばかり見てました。誰かに作っていただいた作文を読んでいたのですか?
東大卒なら記憶力は優れていると思います。自分の書いた質問書は、いちいち見なくても話せるはずです。
机の上ばかり見てる舞立議員。
今回はWedge5月号の勝川先生の記事がやり玉に挙げられてました。俺が尊敬する先生です。日本の水産業にはなくてはならない存在です。日本全国の零細漁業者が一番頼りにしている学者です。
本川水産庁長官の答弁
(勝川先生のWedgeの記事に対して)
①本川長官:ISCは日本海での産卵場での漁獲が親魚資源の減少に繋がったとは指摘していない。
→ISCは日本海の産卵群の巻き網が資源に悪影響を与えていないとは全く言っていない。
科学的根拠とは関係ないグラフ?
②本川長官:加入量は、親魚資源量とは無関係に変動している。
→ISCは、親魚資源量と加入量に関係はないとの見解を採択していない。
最近の低加入は、環境条件か親魚資源量の低下(加入量を維持できない水準に)から起きうるに留意したのみ。
http://isc.ac.affrc.go.jp/pdf/ISC14pdf/Annex%2016-%20PBFWG%20Report%2010Sep14.pdf (16頁)
→「散布図」1つで因果関係は否定し得ない。
資源状態がよいときは、密度効果が働かないので、資源状態が低位の時の親魚資源量の増減と加入量の増減の関係を解析する必要がある。
加入量の減少は親魚とは関係ないって・・・
加入量と比例して成熟マグロ(親魚)は減少してます。
③本川長官:加入量は、海洋環境により決まる。
→水研の研究者が作成したISCの報告書にて、最も重要な水温がクロマグロの生存にとって良好な状態が続いていると報告している。
④本川長官:日本海の大中巻き網は、2000トンの自主規制措置を導入。
→2000トンもとれたのは2008年に遡る。
北委員会で親魚は2002-04年平均を越えてはならないと決定した。
日本海の巻き網も同期間平均の943トンに自主的に規制しないの?
確かに2002年から2004年の平均は943トン。しかも自主規制2000トンはなんの意味も無し。獲れないのだから。
未成魚は今年から4007トン(2002年から2004年の漁獲の平均)に規制されたが、ここ3年間の漁獲はそれを下回っている。これで効果はあるの?科学的根拠?
⑤本川長官:ISCでは、近年0-1歳魚の漁獲が増大したことと、未成魚の発生が少ない年が頻発した結果、親魚まで生き残る魚が少なかったことが主な原因と分析している。
→ISCは、近年の資源量の減少の原因について言及していない。
同じ重量を漁獲する場合、成魚よりも幼魚の方が資源への悪影響が
大きいことを確認したのみ。
→ISCは、3-5歳の成魚の漁獲死亡率の激増を確認(平均で50%アップ)
http://isc.ac.affrc.go.jp/pdf/ISC14pdf/Annex%2016-%20PBFWG%20Report%2010Sep14.pdf(29頁)
舞立議員と水産庁長官の質疑応答
・確実に資源が回復するという科学的根拠に基づいて冷静に議論する必要がある
→北委員会がISCに分析を依頼した各シナリオについて、歴史的最低水準を超えて資源が減少する可能性を検討しようとしたが、北委員会から委託を受けていないとしてISCのクロマグロ作業部会では検討を加えなかった。
たぶん水産庁傘下の日本の研究者が反対したのでしょう。
・ISCのシミュレーションに基づく科学的根拠により規制を北委員会で決定。
→シミュレーションをしたのはISCではなく、水研の研究者たち。
・苦渋の決断として、2000トンから1800トンにさらに削減。
→2000トンや1800トンとれたのは2008年より前のこと。どこが苦渋?
・獲れるのに我慢している状態
→いないから我慢しなくても1800トンは獲りえない。自主規制2000トンの2012年に583トンしか水揚げしなかった理由を聞きたい。
・定置など末端まで把握できるのか疑問に思っている。沿岸も正確な把握管理体制を整備すること。
→同じ大中巻き網が長崎に大量に水揚げする幼魚について、長年漁獲ゼロとデータ報告をしているが、ちゃんと大中巻き網の漁獲を把握できているのか不安です。
・日本海側のクロマグロは2004年から減ったわけではない。
→厳密にいうと2004年から減り始め、2010年ころから急激に減少しています。
・クロマグロはほんとに減少しているのか?
→七里が曽根、八里が曽根、五島沖、現場へ行くことをお勧めします。減少してないなら絶滅危惧種にはなりません!
2004年からまき網船団は日本海の産卵期を狙うようになった。それまでは北海道東方沖がまき網の主たる漁場で、生クロマグロの水揚げ日本一は宮城県の塩釜港だった。さらに昔にさかのぼると日本国内で大中まき網船がクロマグロを巻くようになったのは1980年ころからである。それまでは大中まき網船はクロマグロを獲る認可が降りなかった。EEZ(排他的経済水域)が世界中で採用され始め、日本の遠洋漁業は世界中の沿岸200海里から締め出された。経営が苦しくなったまき網会社を救うために(たぶん)、大中まき網船が漁獲してよい魚種に「その他」を加えた。これが1980年前後である(正確な年月は時間がなくて調べてません)。
それから日本のあちこちでクロマグロを巻くようになった。その一部は五島沖でも巻いていた。五島沖なんて、今ではほとんどクロマグロは獲れてない。ところが1980年代初めのころは100キロ級1800本、200キロ級400本、100~300キロ級を700本、こんな大漁が1回の網で獲れたのである(ソースは朝日GLOBE5月3日号)。しかも産卵期の6月、7月である。1800本巻いたときは産卵中だったと当時の漁労長は話している。
その後、まき網船の漁場は北海道東方沖を中心に巻いていた。そして獲れなくなると再び日本海の産卵期を狙うようになった。2004年からである。その年から境港の漁獲が一気に増えているのが何よりの証拠である。
やがて産卵場だった萩沖の八里が瀬はクロマグロがほぼ消えた。すでに5年以上前から産卵行動は確認されてない。そして次に壱岐と対馬の間にある七里が曽根。ここも3年前から産卵が見られなくなった。俺は18年前から日本海のクロマグロを見ているが、資源量は2007年ころから減っていったと実感している。七里が曽根の風物詩だった「巻き落とし漁」は毎年5月から6月の間、七里が曽根に100隻以上の漁船が集結してやっていた漁である。これが2012年からパッタリと見られなくなった。原因はマグロがいないからである。
2004年からまき網は日本海を狙い始めた。
俺はいま無性に日本海のまき網船に乗りたい。どこで、どのようにマグロを探して巻いているのか、この目で見たい。そしてVMS装置(船舶位置管理システム)がちゃんと常時作動しているかも確認したい。そして境港での水揚げ現場も見たい。カナダでは釣り船にさえオブザーバー(監視員)が乗り込んでくる。ちゃんとレギュレーションを守って釣りをしているかチェックするのだ。
ちなみに大西洋クロマグロは実漁獲量を8割も削減したことにより、資源は急激に回復している。
産卵場の規制は以下の通り
1982 産卵場であるメキシコ湾でのクロマグロ漁を禁止(現在も継続)
2006 地中海:産卵期における巻き網漁業の禁止(7月1日~ 12月31日)
2008 地中海:産卵期における巻き網漁業の禁止(6月15日~翌年5月17日)
2009 地中海:産卵期における巻き網漁業の禁止(6月15日~翌年5月17日)
2012 地中海:産卵期における巻き網漁業の禁止(6月15日~翌年5月25日)
大西洋クロマグロは厳しく規制した結果、資源は急激に回復。
言うまでもなく、アメリカ東海岸、カナダ東海岸は大型のマグロがたくさん釣れます。カナダ・プリンスエドワード州のクロマグロはアベレージが350キロ以上。こんなモンスターが毎日釣れます。
カナダはこんなのが毎日釣れますよ。
なんで大西洋はできて、太平洋はできないんだろ。その科学的根拠を知りたい。
まき網漁は兵器で言うと「大量殺人兵器」です。使い方を間違えると滅びます。他の漁法以上に厳しい規制が必要です。
ここで
インドネシアのお話を。これは水産庁とよく似ている科学的根拠です。
インドネシアのジャワ島東部にシドアルジョという埋もれた村がある。
この泥の下に8つの村が埋まっている。
なぜ埋もれたかと言うと
2006年5月に天然ガスを試掘中に泥とガスが大量に吹き出し、2008年6月までに8つの村が埋まってしまった。
この天然ガスを試掘していた会社のオーナーは有力な次期大統領候補である。
8つの村の住民3000人は家も土地も失った。
そして次期大統領候補の会社を告訴した。
告訴された次期大統領候補はこう言い放った。
「これは人災ではなく、天災である」
水産庁のいう科学的根拠とまったくよく似た話である。
「マグロが減ったのは親魚の獲り過ぎではなく環境要因です」
ではペルーに旅立ちます!
25日の参議院農林水産委員会
やたらと科学的根拠を連発していた舞立議員と本川水産庁長官だった。
舞立議員<日刊水産経済新聞より抜粋>
「太平洋クロマグロの資源回復には産卵親魚の規制を強化すべきだという科学的根拠に基づかない議論が展開されている。一部のマスメディアやインターネットを利用し、感覚論や感情論に訴える動きがあり、遺憾に思う。」
※舞立昇治:鳥取県(境港のある県)選出の参議院議員
では、その科学的根拠とは?
水産庁が科学的根拠のある資源管理をやった結果、太平洋クロマグロは絶滅危惧種になり、ピーク時1300万トンあった我が国の水揚げは480万トンまで落ち込み、かつては世界一位の水産大国だったが8位まで後退、ピーク時100万人いた漁業者は17万人まで激減、しかも漁業者の平均年齢は60歳を超え、毎年約1万人ずつ減少、漁業者の年収はどんどん減って200万円を切る直前、サバもニシンもホッケもスーパーに並んでいる魚は外国産だらけになった。
これが水産庁の言う科学的根拠に基づいた資源管理なのです。素晴らしいではありませんか、世界広しと言えどもこんな頓珍漢な話は聞いたことがありません。
長々とした茶番だったが、主なところを拾って、俺なりに答えます。
※ほとんどが俺の知り合いの学者作成ですけど。
舞立議員様
その前に感覚論、感情論、そんな風に言われて心外です。俺は真剣に日本の未来を考えてます。そして現状の資源管理では未来が心配です。俺は現場を見てすべて話してます。無学なので見たことしか言えません。現場論とか現実論とかに言いかえてください。そしてあなたのは机上の空論と言わせていただきます。事実、委員会では机の上ばかり見てました。誰かに作っていただいた作文を読んでいたのですか?
東大卒なら記憶力は優れていると思います。自分の書いた質問書は、いちいち見なくても話せるはずです。
机の上ばかり見てる舞立議員。
今回はWedge5月号の勝川先生の記事がやり玉に挙げられてました。俺が尊敬する先生です。日本の水産業にはなくてはならない存在です。日本全国の零細漁業者が一番頼りにしている学者です。
本川水産庁長官の答弁
(勝川先生のWedgeの記事に対して)
①本川長官:ISCは日本海での産卵場での漁獲が親魚資源の減少に繋がったとは指摘していない。
→ISCは日本海の産卵群の巻き網が資源に悪影響を与えていないとは全く言っていない。
科学的根拠とは関係ないグラフ?
②本川長官:加入量は、親魚資源量とは無関係に変動している。
→ISCは、親魚資源量と加入量に関係はないとの見解を採択していない。
最近の低加入は、環境条件か親魚資源量の低下(加入量を維持できない水準に)から起きうるに留意したのみ。
http://isc.ac.affrc.go.jp/pdf/ISC14pdf/Annex%2016-%20PBFWG%20Report%2010Sep14.pdf (16頁)
→「散布図」1つで因果関係は否定し得ない。
資源状態がよいときは、密度効果が働かないので、資源状態が低位の時の親魚資源量の増減と加入量の増減の関係を解析する必要がある。
加入量の減少は親魚とは関係ないって・・・
加入量と比例して成熟マグロ(親魚)は減少してます。
③本川長官:加入量は、海洋環境により決まる。
→水研の研究者が作成したISCの報告書にて、最も重要な水温がクロマグロの生存にとって良好な状態が続いていると報告している。
④本川長官:日本海の大中巻き網は、2000トンの自主規制措置を導入。
→2000トンもとれたのは2008年に遡る。
北委員会で親魚は2002-04年平均を越えてはならないと決定した。
日本海の巻き網も同期間平均の943トンに自主的に規制しないの?
確かに2002年から2004年の平均は943トン。しかも自主規制2000トンはなんの意味も無し。獲れないのだから。
未成魚は今年から4007トン(2002年から2004年の漁獲の平均)に規制されたが、ここ3年間の漁獲はそれを下回っている。これで効果はあるの?科学的根拠?
⑤本川長官:ISCでは、近年0-1歳魚の漁獲が増大したことと、未成魚の発生が少ない年が頻発した結果、親魚まで生き残る魚が少なかったことが主な原因と分析している。
→ISCは、近年の資源量の減少の原因について言及していない。
同じ重量を漁獲する場合、成魚よりも幼魚の方が資源への悪影響が
大きいことを確認したのみ。
→ISCは、3-5歳の成魚の漁獲死亡率の激増を確認(平均で50%アップ)
http://isc.ac.affrc.go.jp/pdf/ISC14pdf/Annex%2016-%20PBFWG%20Report%2010Sep14.pdf(29頁)
舞立議員と水産庁長官の質疑応答
・確実に資源が回復するという科学的根拠に基づいて冷静に議論する必要がある
→北委員会がISCに分析を依頼した各シナリオについて、歴史的最低水準を超えて資源が減少する可能性を検討しようとしたが、北委員会から委託を受けていないとしてISCのクロマグロ作業部会では検討を加えなかった。
たぶん水産庁傘下の日本の研究者が反対したのでしょう。
・ISCのシミュレーションに基づく科学的根拠により規制を北委員会で決定。
→シミュレーションをしたのはISCではなく、水研の研究者たち。
・苦渋の決断として、2000トンから1800トンにさらに削減。
→2000トンや1800トンとれたのは2008年より前のこと。どこが苦渋?
・獲れるのに我慢している状態
→いないから我慢しなくても1800トンは獲りえない。自主規制2000トンの2012年に583トンしか水揚げしなかった理由を聞きたい。
・定置など末端まで把握できるのか疑問に思っている。沿岸も正確な把握管理体制を整備すること。
→同じ大中巻き網が長崎に大量に水揚げする幼魚について、長年漁獲ゼロとデータ報告をしているが、ちゃんと大中巻き網の漁獲を把握できているのか不安です。
・日本海側のクロマグロは2004年から減ったわけではない。
→厳密にいうと2004年から減り始め、2010年ころから急激に減少しています。
・クロマグロはほんとに減少しているのか?
→七里が曽根、八里が曽根、五島沖、現場へ行くことをお勧めします。減少してないなら絶滅危惧種にはなりません!
2004年からまき網船団は日本海の産卵期を狙うようになった。それまでは北海道東方沖がまき網の主たる漁場で、生クロマグロの水揚げ日本一は宮城県の塩釜港だった。さらに昔にさかのぼると日本国内で大中まき網船がクロマグロを巻くようになったのは1980年ころからである。それまでは大中まき網船はクロマグロを獲る認可が降りなかった。EEZ(排他的経済水域)が世界中で採用され始め、日本の遠洋漁業は世界中の沿岸200海里から締め出された。経営が苦しくなったまき網会社を救うために(たぶん)、大中まき網船が漁獲してよい魚種に「その他」を加えた。これが1980年前後である(正確な年月は時間がなくて調べてません)。
それから日本のあちこちでクロマグロを巻くようになった。その一部は五島沖でも巻いていた。五島沖なんて、今ではほとんどクロマグロは獲れてない。ところが1980年代初めのころは100キロ級1800本、200キロ級400本、100~300キロ級を700本、こんな大漁が1回の網で獲れたのである(ソースは朝日GLOBE5月3日号)。しかも産卵期の6月、7月である。1800本巻いたときは産卵中だったと当時の漁労長は話している。
その後、まき網船の漁場は北海道東方沖を中心に巻いていた。そして獲れなくなると再び日本海の産卵期を狙うようになった。2004年からである。その年から境港の漁獲が一気に増えているのが何よりの証拠である。
やがて産卵場だった萩沖の八里が瀬はクロマグロがほぼ消えた。すでに5年以上前から産卵行動は確認されてない。そして次に壱岐と対馬の間にある七里が曽根。ここも3年前から産卵が見られなくなった。俺は18年前から日本海のクロマグロを見ているが、資源量は2007年ころから減っていったと実感している。七里が曽根の風物詩だった「巻き落とし漁」は毎年5月から6月の間、七里が曽根に100隻以上の漁船が集結してやっていた漁である。これが2012年からパッタリと見られなくなった。原因はマグロがいないからである。
2004年からまき網は日本海を狙い始めた。
俺はいま無性に日本海のまき網船に乗りたい。どこで、どのようにマグロを探して巻いているのか、この目で見たい。そしてVMS装置(船舶位置管理システム)がちゃんと常時作動しているかも確認したい。そして境港での水揚げ現場も見たい。カナダでは釣り船にさえオブザーバー(監視員)が乗り込んでくる。ちゃんとレギュレーションを守って釣りをしているかチェックするのだ。
ちなみに大西洋クロマグロは実漁獲量を8割も削減したことにより、資源は急激に回復している。
産卵場の規制は以下の通り
1982 産卵場であるメキシコ湾でのクロマグロ漁を禁止(現在も継続)
2006 地中海:産卵期における巻き網漁業の禁止(7月1日~ 12月31日)
2008 地中海:産卵期における巻き網漁業の禁止(6月15日~翌年5月17日)
2009 地中海:産卵期における巻き網漁業の禁止(6月15日~翌年5月17日)
2012 地中海:産卵期における巻き網漁業の禁止(6月15日~翌年5月25日)
大西洋クロマグロは厳しく規制した結果、資源は急激に回復。
言うまでもなく、アメリカ東海岸、カナダ東海岸は大型のマグロがたくさん釣れます。カナダ・プリンスエドワード州のクロマグロはアベレージが350キロ以上。こんなモンスターが毎日釣れます。
カナダはこんなのが毎日釣れますよ。
なんで大西洋はできて、太平洋はできないんだろ。その科学的根拠を知りたい。
まき網漁は兵器で言うと「大量殺人兵器」です。使い方を間違えると滅びます。他の漁法以上に厳しい規制が必要です。
ここで
インドネシアのお話を。これは水産庁とよく似ている科学的根拠です。
インドネシアのジャワ島東部にシドアルジョという埋もれた村がある。
この泥の下に8つの村が埋まっている。
なぜ埋もれたかと言うと
2006年5月に天然ガスを試掘中に泥とガスが大量に吹き出し、2008年6月までに8つの村が埋まってしまった。
この天然ガスを試掘していた会社のオーナーは有力な次期大統領候補である。
8つの村の住民3000人は家も土地も失った。
そして次期大統領候補の会社を告訴した。
告訴された次期大統領候補はこう言い放った。
「これは人災ではなく、天災である」
水産庁のいう科学的根拠とまったくよく似た話である。
「マグロが減ったのは親魚の獲り過ぎではなく環境要因です」
ではペルーに旅立ちます!