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『 生命保険の原価 』 にまつわる ” うそ ” とは?
- 2012-10-19(18:21) /
- 生命保険
皆様、『生命保険の原価』 という話は聞かれたことがあるでしょうか?
それまで生命保険業界では、ブラックボックスとされた純保険料と付加保険料の内訳を
某ネット専業生命保険会社が、数年前に「付加保険料の全面開示」と公表して以来、
特に広まった話です。
内容としては、
純保険料=生命保険の原価である
という話です。
ざっとお話すると、私たちが支払う生命保険の保険料(営業保険料)は、
営業保険料=純保険料+付加保険料・・・① です。
純保険料は、予定利率や予定死亡率等から導き出される保険料で
各社それほど差がないと言われております。
付加保険料は、予定事業費率等から導き出される保険料で各社で開きがあります。
予定事業費率のなかに人件費等の会社を維持していくための経費等がはいっているため、
あたかも①の計算式の構成から、純保険料=生命保険の原価であるような話が広まって
いるのです。
また、同じような話を有名な経済ジャーナリストや保険コンサルタントもされてみえるようです。
ですが、私には少し違和感があったので調べたり考えたりしてみました。
結論から申しますと、
〇 純保険料=生命保険の原価 という話はまったくのうそ。
〇 付加保険料=もうけ という話も基本的にはうそ。
と考えます。
もともと「原価」というのは会計の用語で、
商売で売上を上げて、その売り上げを上げるためにかかった費用を差引いて利益を上げると
いうものです。この商売の仕組を分析するため、費用の全体を「売上げたものやサービスを
作るのにかかった費用」と「販売のための費用」「商売の全体を可能にするための全体的な
管理費」とに分解し、「売上」からその「売上げた物やサービスを作るのにかかった費用」を
差引いた「売上総利益」、その売上総利益から「販売のための費用」と「管理費」を差引いた
「営業利益」のそれぞれを計算するものです。
一般的に、売上総利益を出すときにつかう
「売上げたものやサービスを作るのにかかった費用」のことを原価と表現することが多い
のではないでしょうか。
生命保険に置き換えて考えますと、
売上=営業保険料等の合計(これにも異論があると思えますがここでは割愛します)
売上のもとである商品は、死亡保険金・満期金・給付金・解約返戻金・配当等の支払いを
受ける権利です。
売上総利益的に考えますと、
原価は実際に支払った死亡保険金・満期金・給付金・解約返戻金・配当等の合計額と
いうことになるのではないでしょうか。
そうすると、実際に支払った上記合計額と純保険料の合計額はイコールにはなりません。
保険料設定のしくみと原価計算のしくみがごちゃごちゃになっているというのが
現状の話ではないかと考えます。
生命保険の商品開発までおこなうプロフェッショナルが、こんなことを知らないはずは
ないと思うのですが、何か意図があるのでしょうか?(販売戦略?)
また、それを報道するマスコミにも問題があります。
(アクチュアリーと会計のプロに確認すればいいだけの話です)
皆様も誤った情報に振り回されないよう、特に金融商品に関しては、調べたり考えたりする
ことは重要です。注意してください!!
それまで生命保険業界では、ブラックボックスとされた純保険料と付加保険料の内訳を
某ネット専業生命保険会社が、数年前に「付加保険料の全面開示」と公表して以来、
特に広まった話です。
内容としては、
純保険料=生命保険の原価である
という話です。
ざっとお話すると、私たちが支払う生命保険の保険料(営業保険料)は、
営業保険料=純保険料+付加保険料・・・① です。
純保険料は、予定利率や予定死亡率等から導き出される保険料で
各社それほど差がないと言われております。
付加保険料は、予定事業費率等から導き出される保険料で各社で開きがあります。
予定事業費率のなかに人件費等の会社を維持していくための経費等がはいっているため、
あたかも①の計算式の構成から、純保険料=生命保険の原価であるような話が広まって
いるのです。
また、同じような話を有名な経済ジャーナリストや保険コンサルタントもされてみえるようです。
ですが、私には少し違和感があったので調べたり考えたりしてみました。
結論から申しますと、
〇 純保険料=生命保険の原価 という話はまったくのうそ。
〇 付加保険料=もうけ という話も基本的にはうそ。
と考えます。
もともと「原価」というのは会計の用語で、
商売で売上を上げて、その売り上げを上げるためにかかった費用を差引いて利益を上げると
いうものです。この商売の仕組を分析するため、費用の全体を「売上げたものやサービスを
作るのにかかった費用」と「販売のための費用」「商売の全体を可能にするための全体的な
管理費」とに分解し、「売上」からその「売上げた物やサービスを作るのにかかった費用」を
差引いた「売上総利益」、その売上総利益から「販売のための費用」と「管理費」を差引いた
「営業利益」のそれぞれを計算するものです。
一般的に、売上総利益を出すときにつかう
「売上げたものやサービスを作るのにかかった費用」のことを原価と表現することが多い
のではないでしょうか。
生命保険に置き換えて考えますと、
売上=営業保険料等の合計(これにも異論があると思えますがここでは割愛します)
売上のもとである商品は、死亡保険金・満期金・給付金・解約返戻金・配当等の支払いを
受ける権利です。
売上総利益的に考えますと、
原価は実際に支払った死亡保険金・満期金・給付金・解約返戻金・配当等の合計額と
いうことになるのではないでしょうか。
そうすると、実際に支払った上記合計額と純保険料の合計額はイコールにはなりません。
保険料設定のしくみと原価計算のしくみがごちゃごちゃになっているというのが
現状の話ではないかと考えます。
生命保険の商品開発までおこなうプロフェッショナルが、こんなことを知らないはずは
ないと思うのですが、何か意図があるのでしょうか?(販売戦略?)
また、それを報道するマスコミにも問題があります。
(アクチュアリーと会計のプロに確認すればいいだけの話です)
皆様も誤った情報に振り回されないよう、特に金融商品に関しては、調べたり考えたりする
ことは重要です。注意してください!!
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