強固なるものでも・・・ -河内貯水池堰堤-
さて大方の施設を見て回ったのでそろそろ引き上げようと思い
山道を登って帰路につき始めたその時です。何か聞こえたような気がしました。
「・・・・・に・・るよ・・・。」
思わず声がした(気がする)方向に振り返ると
薄暗い藪の先に思わぬ光景が飛び込んできました。
おそらく貯水池関連施設のひとつでしょう。
今は使われてない遺構が廃墟となり
人の目の届きにくい藪に隠れてひっそりと存在していたのです。
「此処にいるよ」
きっとそう語りかけていたのでしょう。
Nikon D700 + Tamron 17-35mm F2.8-4 Di
って、んなこたーナイけどねw
しかし帰り始めた山中で藪に埋もれていたのを発見したのは本当です。
実は私がこの河内貯水池に来るのは二回目なんですが、
前回は気付かなかったなぁ・・・
思わず目がキラーン!wやっぱりこれがなきゃあ♪
・・・と一度しまったカメラを取り出して、ちゃっかりおさえますw
Nikon D700 + Nikkor AF50mm F1.4D
Nikon D700 + Nikkor AF50mm F1.4D
うーん、なかなかの廃テイスト。
いいよーいいよー♪♪♪
Nikon D700 + Nikkor AF50mm F1.4D
なんの施設だったのかさっぱり分かりません
しかしあれだけ強固に思った石造りもやはり廃墟となると
崩壊してしまうのですね
Nikon D700 + Tamron 17-35mm F2.8-4 Di
ゴチソウサマでした♪
最後にとっておきのデザートがありました。んー満足。
私にとっては“俺のエクレア”よりご馳走だぜw!
という事で、以上河内貯水池堰堤でした。
後世に残る -河内貯水池堰堤-
Nikon D700 + Tamron 17-35mm F2.8-4 Di
堰堤の周辺には他にも魅力的な建物が点在しています。
Nikon D700 + Nikkor AF-S VR 70-300mm F4.5-5.6G
おそらく管理塔など関連施設なのでしょうが
いずれも同じように石造りで造られており、
全体的な統一感が素晴らしいですね
そこに妥協という言葉は見当たりませんでした。
Nikon D700 + Nikkor AF50mm F1.4D
Nikon D700 + Nikkor AF50mm F1.4D
Nikon D700 + Nikkor AF-S VR 70-300mm F4.5-5.6G
Nikon D700 + Nikkor AF50mm F1.4D
古来、日本は木の文化が中心だったと思うのですが
この石切職人の仕事には頭が下がります。
しかし思えば日本のお城にある城壁とかもスゴイですもんね
見てのとおり、この堰堤はライン河にほとりにある
中世の古城をイメージしているらしいですが
石工の伝承の技がなければ造り得なかったんだろうと思います。
まさに後世に残る造形美ではないでしょうか。
自然との調和 -河内貯水池堰堤-
Nikon D700 + Tamron 17-35mm F2.8-4 Di
Nikon D700 + Nikkor AF-S VR 70-300mm F4.5-5.6G
美しい景観を生み出している石積みですが
なにも景観やデザイン性ばかりを優先してこうなったのではなく、
この建造法となったのにもワケがあります
Nikon D700 + Nikkor AF-S VR 70-300mm F4.5-5.6G
このダムの建造当時、コンクリートは既に導入されていましたが
まだ非常に高価であった為、コンクリートと石造りの融合を図り
コストを削減しつつ建造されています。
どういう事かというと、全てが石造りではなく堰堤の土台は
コンクリートで出来ており、両面の表面を石張りにする手法がとられています。
つまり仮に表面の石を外したら中にはコンクリートがあるという事ですね。
現代だと間違いなくこの石造りの方がコストも時間もかかるでしょう。
昔は当たり前だった日本家屋が現代では非常に高価な建築となってるのと同じ。
Nikon D700 + Nikkor AF-S VR 70-300mm F4.5-5.6G
コンクリート製の巨大建造物に「萌える」方々がいます。
その中には「ダム萌え」というジャンルも。
私はその道は専門ではないものの魅力はそれとなく分かります。
機会があれば見に行きたいとも思います。
しかしこのダムはそれらとはちょっと一線を画す魅力を持ってるかなと。
自然界の中にある“石”で造られたダム
それであるが故に人工建造物ではあるものの、時間の経過とともに
見事に自然と調和しているようにも見えるのです。
Nikon D700 + Nikkor AF-S VR 70-300mm F4.5-5.6G
おびただしい数の切石を積み上げた堰堤は壮大であり、見る者を圧倒させます。
明治時代の土木建築職人の心意気を感じさせ
ダムという産業施設でありながらも冷たさを拭い去り
人工物でありながらもどこかぬくもりを感じさせる。
そして、その曲線美から造形的な美しさをも併せ持つ大正浪漫満載の構築物ですね
今日は少ししっとり(?)ダラダラと語ってみました。
風雨龍吟 -河内貯水池堰堤-
Nikon D700 + Nikkor AF-S VR 70-300mm F4.5-5.6G
堰堤(えんてい)を歩いてみると
実にしっかりとした石造りの踏み応えが
足の裏を通じて伝わってきます
Nikon D700 + Tamron 17-35mm F2.8-4 Di
堰堤の中央にくるとシンボル的な取水塔へ辿り着きます。
ここから水路と鉄管を繋いで八幡製鐵所へ水を送っていたらしい。
Nikon D700 + Nikkor AF-S VR 70-300mm F4.5-5.6G
取水塔には「風雨龍吟」と彫られています。
「龍吟ずれば風雨来る」という意味でつまりは水の恵みを願ったものですが
実にロマンがあり、ダムの記念碑にふさわしい言葉です。
しかも語呂がカッコイイ。
ボーソー族のニーサンが特攻服の背中に書いてても違和感ゼロだね。(意味はともかくw)
Nikon D700 + Tamron 17-35mm F2.8-4 Di
Nikon D700 + Nikkor AF50mm F1.4D
それにしても、いたるところで目を奪われるのは
このビッシリと細やかに施された石造りの壁・・・。
もう本当に見事。鼻血出そう。
そっと手でこの無数の石を組み上げた壁を触ってみると
当時の石工職人の息遣いが今も伝わってくるようです。
Nikon D700 + Nikkor AF-S VR 70-300mm F4.5-5.6G
設計・指揮は八幡製鉄所の土木部長であった沼田尚徳氏。
当時、国策であった製鐵に関わる土木事業の為、
潤沢な予算を使い完璧な仕事を行っています。
完成までに動員した作業員は実に90万人。
特筆すべきは完成までの8年間に一人も殉職者を出していない事であり
当時の人力に頼る事が多かった土木建築としては正に偉業と言えるのではないでしょうか。
そしてさらに完成後80年以上を経た現在まで一度も漏水をおこしていないという
真にパーフェクトな土木工事。
当時の土木建築技術の水準の高さには驚愕せずにはいられません。
続きます
古城の佇まい -河内貯水池堰堤-
久しぶりに正統(?)な近代化産業遺産ネタです
Nikon D700 + Tamron 17-35mm F2.8-4 Di
中世の古城のような風貌を漂わせる石造りの建築物。
実に素晴らしい景観を生み出しています―。
Nikon D700 + Nikkor AF-S VR 70-300mm F4.5-5.6G
とうとうコヤツは欧州廃墟ツアーにでも行ってきたか!?
と思われてもおかしくないこの物件、
私の家から車で2時間程の距離に存在します。
別に私がヨーロッパに住んでるって言ってるワケじゃないよ
Nikon D700 + Tamron 17-35mm F2.8-4 Di
Nikon D700 + Nikkor AF-S VR 70-300mm F4.5-5.6G
ここは北九州市八幡地区の山中にある「河内貯水池堰堤(えんてい)」
1900年初頭より稼動開始し、拡張・本格化していた国内初の近代製鐵所
である八幡製鐵所で使用する水源を確保供給する為に
1919年(大正8年)に工事を着工、当時の最先端技術を駆使し
8年という年月を費やして昭和2年に完成しました。
以来、現在も製鐵の工業用水として使用されています。
今もバリバリの現役なのです。
続きます。
ソロバンドック(4) -小菅修船場跡-
よく見たらタイトル「ドッグ」になってたぁ!!(今頃) (/ω\)ハズカシーィ
まぁ気を取り直して・・・・
そもそも何故ソロバンドックなのか?
船を引き揚げる滑り台がソロバン状に見えたため、
こんな通称がついたみたいようです
Nikon D70 + Sigma EX 15-30mm F3.5-4.5 DG
ソロバンに見える?
俺にゃ見えねぇw
Nikon D70 + Tokina AT-X 28-70mm F2.8
西南戦争があった明治9年度にはここで船舶の修理をしており
西南戦争時の修理船は11隻にも上るそう。歴史を踏んでるなぁ
Nikon D70 + Tokina AT-X 28-70mm F2.8
Nikon D70 + Tokina AT-X 28-70mm F2.8
幕末から明治へ移り変わっていく時代。
そんな時代の長崎は、すでに近代化の第一歩を踏み出していた
近代化への歴史の1ページを少し垣間見た気がしました
・・・・けど、被写体としてはイマイチだったかなw (;´∀`)
以上にてソロバンドック、オワリンコ!
まぁ気を取り直して・・・・
そもそも何故ソロバンドックなのか?
船を引き揚げる滑り台がソロバン状に見えたため、
こんな通称がついたみたいようです
Nikon D70 + Sigma EX 15-30mm F3.5-4.5 DG
ソロバンに見える?
俺にゃ見えねぇw
Nikon D70 + Tokina AT-X 28-70mm F2.8
西南戦争があった明治9年度にはここで船舶の修理をしており
西南戦争時の修理船は11隻にも上るそう。歴史を踏んでるなぁ
Nikon D70 + Tokina AT-X 28-70mm F2.8
Nikon D70 + Tokina AT-X 28-70mm F2.8
幕末から明治へ移り変わっていく時代。
そんな時代の長崎は、すでに近代化の第一歩を踏み出していた
近代化への歴史の1ページを少し垣間見た気がしました
・・・・けど、被写体としてはイマイチだったかなw (;´∀`)
以上にてソロバンドック、オワリンコ!
ソロバンドック(3) -小菅修船場跡-
引き続き、小菅修船場跡です
Nikon D70 + Sigma EX 15-30mm F3.5-4.5 DG
こうしてその成り立ち、建物の貴重性を考えると
思ったよりけっこうな価値ある遺構です
Nikon D70 + Sigma EX 15-30mm F3.5-4.5 DG
Nikon D70 + Tokina AT-X 28-70mm F2.8
だけど極度に手厚く保護されているカンジでもなく
(まぁもちろんそれなりにキレイに保存されてますが)
大浦天主堂やグラバー園などの観光地から少し離れているため、
さほど有名でもなく訪れる人も少ないようです
今回訪問した時もえ?ここ?って感じで
なんだかサラリと存在しているという印象でした。
ソロバンドック(2) -小菅修船場跡-
この小菅修船場はあの有名(?)な英商トーマス・グラバーの計画によって
明治元年(1868)12月完成。翌年、明治政府が買収し、長崎製鉄所の付属施設となります。
1884年(明治17年)、三菱所有となり、現在の三菱重工長崎造船所の礎となりました
つまりココが三菱造船(長崎)の出発点なわけやね(何気にスゲェ)
Nikon D70 + Sigma EX 15-30mm F3.5-4.5 DG
Nikon D70 + Tokina AT-X 28-70mm F2.8
Nikon D70 + Sigma EX 15-30mm F3.5-4.5 DG
上記の写真は蒸気式の25馬力巻き揚げ機関の一部。
イギリス製で創立当時のものが残っています(本体は後述の小屋の中にある)
これでロープを巻き上げ、船を引き揚げていました
Nikon D70 + Sigma EX 15-30mm F3.5-4.5 DG
巻き揚げ機小屋には「こんにゃく煉瓦」が使われており、
我が国に現存する最古の煉瓦造り建築と見られています。
―情景豆知識―
【こんにゃく煉瓦】
日本初のこの赤煉瓦は、厚さが4センチ余りしかなく(普通のものは6センチ)、
形はこんにゃくに似ていたから俗に「こんにゃく煉瓦」と呼ばれた。
こんにゃく煉瓦は、明治元年(1868)小管にできた「そろばんドック」の
ウインチ小屋に外壁として使われている。
この建物は日本に現存する最古の煉瓦建築と考えられている。
Nikon D70 + Sigma EX 15-30mm F3.5-4.5 DG
この外壁に使われてるのが
まるでコピペしているかのような、Σ(´Д` )シテナイノ!?
いつになくウザい説明口調のこのブログは明日もまだ続きます
ソロバンドック -小菅修船場跡-
久しぶりに近代化産業遺産ネタです
長崎市小菅町にある小菅修船場跡。通称「ソロバンドック」
日本最初の洋式近代的ドックとして国指定史跡になっています
Nikon D70 + Sigma EX 15-30mm F3.5-4.5 DG
Nikon D70 + Tokina AT-X 28-70mm F2.8
長崎はかつて港町として日本の窓口的役割を果たしていたため
「日本最初の~」というのがけっこうあります。(長崎に限らず古い港町はそうですが)
そうそう写真技術の伝承も長崎なんですよね。
日本最初の職業写真家、上野彦馬も長崎人です
Nikon D70 + Tokina AT-X 28-70mm F2.8
上の図は分かりやすいように私が書いてみました
うそです
設置してた看板を撮りました
でもね、イラストの勉強もしてたんですよ私は!いやまじで。
・・・・まぁいいや。(昔のことだし)
んでまぁ、ともかくこのように船を引き上げてここで修理していたワケですよ
明日はもう少し詳しく説明してみます。(といいつつ引っぱる)