追記しました(CG合成について公式発言ありました)
こちらの記事に追記しました。
木村拓哉「日清カップヌードル」CM どの部分がCG合成か図解 (2009/02/22)
■違和感のないCG合成と、美しい海が見所の名CM、
日清カップヌードル「DREAM! オーストラリア」篇(DREAM!シリーズ第3弾)
について書いた記事です。
木村拓哉はスタジオ撮影・背景はCG合成なのですが、
まるで本当に木村拓哉が海辺に居るかのように見える見事な合成です!
これまで、日清カップヌードルの公式情報では、
背景と木村拓哉が合成であることについて伏せられていました。
(上記記事で該当文章を引用しています)
■ところが!先日11月29日、「笑っていいとも!増刊号」にて、
このCMがCG合成であることを木村拓哉本人が語る場面が放送されました。
その放送内容について追記しました。
合成カットの撮影の話が面白いです!聞けて嬉しいです!
CM放送から9ヶ月も経ってから、撮影時の話が聞けるとは思いませんでした。
■現在撮影中の、「宇宙戦艦ヤマト」の実写映画『SPACE BATTLESHIP ヤマト』
(監督:山崎貴)についても上の記事の追記で書いています。
合成カットの撮影裏話と、VFXが上手い山崎貴監督の撮影方法について
木村拓哉が語った話が面白かったです。
拍手を押してくださった方、どうもありがとうございました。
- [2009/12/01]
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明治製菓CM 修正前版とCG修正後版の比較
■現在放送中の明治製菓のCMは、映像の一部をCG加工したバージョンに
差し替えられています。
CG加工前とCG加工後の映像を比較してみました。
明治製菓・企業CM
Sweet Life「はんぶんこ」篇
放送開始:2008年~放送中(2009年10月現在)
監督:長澤雅彦
撮影:小林基己(コバヤシモトキ)
照明技師:古野達也
出演:アンジ(子役)、さいとうさくら(お母さん役)
■CM動画はこちらで
明治製菓:CMギャラリー > 企業CM SweetLife「はんぶんこ」篇
(30秒バージョン、60秒バージョン)
明治製菓CM「はんぶんこ」篇 30秒 - YouTube
■CM内容
なぜか、なんでも「はんぶんこ」にする幼稚園児の男の子。
自分のクレヨンを折ったり、
砂場で作った砂山を真ん中で分けたり、
おもちゃを2つのおもちゃ箱に分けて仕舞ったり。
今日のおやつは明治ミルクチョコレート。
男の子はチョコを半分に割って差し出すと、
「ママ、はい。仲良くはんぶんこ」
と、ママの大きなお腹を見つめながら言うのでした。
■子役の男の子
アンジのプロフィール/写真 - goo ニュース
CM撮影の頃?
アンジ コマーシャルの出演情報 - J-beans
現在?
■CM放送枠
毎週月曜日フジテレビ22:54(『SMAP×SMAP』の直後)に放送される
『スイーツ Sweets』という1分間ほどの番組の中で流れます。
明治製菓のブランドマーク(ロゴ)のデザインが変更されました。
旧ロゴマーク
↓
新ロゴマーク
(ロゴ画像は明治製菓公式サイト明治製菓と明治乳業の新しいブランドマーク
より引用しました)
■それに伴い今年9月、「明治ミルクチョコレート」のパッケージデザインも
38年ぶりにリニューアルされました。
従来品:
内容量65g、参考小売価格120円
リニューアル後:
内容量58g、参考小売価格105円
■明治製菓の企業CM「はんぶんこ篇」に登場するチョコレートは
旧デザインのパッケージなので、恐らく新パッケージのチョコ発売と同時に
同CMは放送終了になるのでしょう。
温かみのあるあのCMが見られなくなるのはちょっと寂しい…と思っていました。
ところが!
CMはリニューアルされませんでした。
商品カットだけ撮影し直された訳でもありません。
ではどうなったのかと言うと、こうなっていました。
各画像
上:旧バージョン
下:新バージョン
そうなんです!CGでロゴのデザインが描き直されていました。
(各画像、下がCGです/ロゴのみ)
CGで書き換えられたロゴが、実写部分と馴染んでおり
違和感がほとんどありません。
男の子が手に持ったチョコレートが映るカットでは、パッケージが常に動き、
ロゴの描かれた面の角度がカメラに対して立体的に変化しています。
そこに違和感なくCGのロゴを合成しなくてはなりません。
このCMは、CGのロゴが実写部分から浮いてしまうことなく、
しっかりと「パッケージに印刷されたロゴ」に見えます。
もし初めて見たのが新バージョンだったら、パッケージがCGだということに
気が付かないかも知れません。
画像下のパッケージはのっぺりとして見え、実写ではなく「絵」という感じがします。
画像上のパッケージは紙製で、紙の表面全体にツヤ加工がされている
ということが見て取れます。
一方、画像下のCG加工されたパッケージは、紙の質感や、
紙が湾曲した際の立体感がありません。
CGでロゴを貼り付ける際に、それら質感の情報が消えてしまったのでしょう。
そのため、画像下のパッケージが何の素材で出来ていて、どんな厚みや硬さで、
さわるとどのように変形するのか、といったことが画像を見てもわかりません。
これがCG加工後のパッケージが「絵」のように見える原因です。
テーブルの上に置かれたチョコレートに男の子の顔が反射して、
パッケージの金色のロゴがぼんやり明るくなる、というシーンがあります。
ここがすごいです。
旧バージョン(実写)
新バージョン(ロゴのみCG)
旧バージョンの自然な光の反射が、新バージョンでは
CGで再現されています。
画像だとわかりづらいですが、光の動きがとても自然です。
どうやって作られているのか知りたいです!
■ここはCGのロゴがやや浮いていますが、ロゴを目立たせるため
わざとそうしているのかも知れません。
実写ロゴバージョンはこちら
比較
(※2010年2月23日追記)
すみません、記事冒頭でCM監督を小林基己さんと表記しておりましたが、誤りでした。
正しくは、監督…長澤雅彦さん、撮影…小林基己さんです。
申し訳ありませんでした!誤記を訂正しました。
小林基己様、申し訳ありませんでした。ありがとうございました!
■「はんぶんこ」篇撮影:小林基己さんのブログ
--------- 感動のメカニズム ---------
Mechanism of change in mind
小林基己さんの参加作品や、撮影カメラのことが詳しく書かれていて
とても面白いです!
拍手を押してくださった方、どうもありがとうございました。
- [2009/10/29]
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生前のアンネ・フランクの映像【アンネの日記】
■20秒という短い中に起承転結がある、優れた映像です。
撮影は68年前。興味深いこの映像について考察したいと思います。
■生前のアンネが登場=ユーチューブに動画-記念館 - 時事通信
10月1日8時5分配信
【ブリュッセル時事】オランダ・アムステルダムの「アンネ・フランクの家(記念館)」は30日、動画共有サイト「ユーチューブ」への動画提供を始めた。生前のアンネを撮った唯一の動画や、父親オットー・フランク氏(故人)のインタビューなどが見られる。
アンネの動画は、1941年のある日、隣人の結婚式の際、建物の窓から身を乗り出す姿を数秒間とらえた貴重な映像。また、アパルトヘイト(人種隔離)撤廃運動を獄中で指導した南アフリカ共和国のマンデラ元大統領も登場。「アンネの日記」を読んで勇気付けられたと振り返っている。
このほか、記念館が来年4月28日にインターネット上に公開する予定のバーチャル記念館の予告映像も見られる。
■アンネ・フランク生前の動画、ネットで公開 再生2百万回超 - CNN.co.jp
2009.10.16
動画は1941年7月22日に撮影されたもの。当時12歳だったアンネさんが、近所の新婚カップルがアパートから出る場面を、バルコニーから見下ろしている場面。この動画は新婚夫妻が戦後、アンネさんの父オットーさんに渡したという。
■YouTube アンネ・フランク公式チャンネル
http://www.youtube.com/annefrank
■動画
Anne Frank: the only existing film images
アンネ・フランクを撮影した唯一の動画 - YouTube (20秒)
■撮影日時:1941年7月22日
■撮影時のアンネの年齢:12歳
■撮影場所:当時のアンネの家の前(オランダ・アムステルダム・メルヴェデプレイン)
動画の0分9秒~0分14秒で映るのがアンネ・フランクですね。
全20秒の尺に対し、アンネを映したカットが5秒もあります。
新郎新婦が映るカットも同じく5秒間です。
映像を彩る重要なアクセントとして、アンネの姿が
撮影されていることがうかがえるように思います。
公式動画の説明欄に載っていた英文をエキサイト英語翻訳で訳し、少し手直ししました。
1941年7月22日、アムステルダム。
アンネ・フランクの隣家の女性の結婚式です。
アンネは新郎新婦の姿がよく見えるよう、家の窓から身を乗り出しています。
花嫁はメルヴェデプレイン39番地の2階に、
フランク家は37番地の2階に住んでいました。
アンネ・フランクを撮影した唯一のフィルムです。
新郎新婦の協力のおかげでこの映像をあなたに提供できます。
アンネ・フランク - Wikipedia
によると、アンネは
1929年6月12日にドイツで生まれる
↓
1934年にオランダのアムステルダムへ移り住む
↓
1942年7月から隠れ家での生活を始める(当時13歳)。
この動画は、隠れ家生活に入るちょうど1年前に撮影されたと思われます。
■すごい映像ですね!!
アンネ・フランクの映像が存在していたことを初めて知りました。
バルコニーに立つアンネが元気良く後ろを振り返る
(画面には映っていませんが、傍らにアンネの家族が居るのでしょうか?)
というシーンもあり、アンネの生き生きとした様子が伝わってきます。
顔かたちだけにとどまらず、動作が映像で残っているというのはすごいことですね。
1941年当時の、一般の方の様子を映したドキュメンタリー映像は
とても貴重です。しかもカット数が多く、5カットもあります。
そのため、たった20秒間の映像にも関わらず、見事に新郎新婦と
周囲の様子が伝わる作品に仕上がっています。
撮影・編集がとても上手いので、誰が撮影編集したのか気になります。
以下では映像について考察していきたいと思います。
映像が手ブレこそしていますが、
・引きのカメラで周囲の状況を伝える的確な撮影
・被写体を画面いっぱいに映さない
・空間と奥行きを意識した構図
・無駄のない編集
がプロっぽいです。
客観的視点を持って撮られており、ニュース用の記録映像に近いような作風です。
(テレビが一般的でなかった時代に、映画館で流れていたニュース映像的)
何と言っても主役である新郎新婦が5秒しか映らない。
主に状況説明に時間が割かれているのです。
これは第三者が「作品を作るために」編集しているか、
他人が鑑賞することを前提に撮影編集されたからではないかと思えます。
もし花嫁や花婿のお父さんが撮影・編集していたのだとしたら、
めちゃくちゃ上手いお父さんだと思います。
20秒間の映像が5カットに割られており、カットごとに
カメラアングルが変わっています。
■1カット目
これから新郎新婦がおりてくるであろう階段と、道行く人々(状況説明)<起>
■2カット目
窓から身を乗り出し、新郎新婦が出てくるのを待つ見物人<承>
■3カット目
建物から出てきた新郎新婦<承>
■4カット目
それを窓から見下ろすアンネ。
アンネや他の見物人が、なぜか一斉に左方向を見る。<転>
■5カット目
見物人の視線の先にあったのは、新郎新婦を乗せた車。車は走り去る<結>
というように、20秒間の中にストーリーがあり、ひとつの作品になっています。
これは撮ってみたらその中にストーリーがあったのではなく、
・映画のように先に撮るイメージを決め、
・それを再現するために部品となる映像を撮り、
・それを組み立てた
という作りの映像かも知れません。
動画の0分13~14秒で、アンネと、そのお隣の窓から覗いている大人2人が
何かを目で追うように左方向を見ますね。
画像:左に顔を向けるアンネ他見物人
次のカットに切り替わると、車が走り去る映像が映ります。
窓から覗いていた3人が目で追っていたのは、新郎新婦を乗せた車だったことが
ここでわかります。
このような映像を撮るためには、カメラが2台必要です。
【車を見送るアンネ達】と、【走り去る車】を
同時に撮影しなくてはならないからです。
でも、この時代に個人の記録映像を、高価なカメラを複数台使って
同時撮影するとは、ちょっと考えづらいような気がします。
もし1台のカメラでこの映像を撮影したのだとしたら、
1.「見物人が車を目で追う」カットを撮影する。
2.今度はカメラを道路に向けて設置しなおし、車を走らせ、撮影する。
3.編集で繋ぎ、完成。
という風になります。
つまりホームビデオのように一連の流れをありのままに撮影しているのではなく、
「用意スタート!」で演技を始め、「カット!」でカメラを止め、
その繰り返しでいくつかのカットを撮影し、編集で繋ぐという
映画のような撮影方法がとられている。
または2台のカメラで同時撮影している。のどちらかということになると思います。
どういう状況で、誰が撮影した映像なのでしょうか。
考えられる可能性としては、
■個人撮影の場合
・新郎新婦の家族が撮影
・プロが撮影(家族が、業者に撮影を依頼)
■公開前提(?)で撮影の場合
・記録映画用の撮影
・ニュース映画用の撮影
ネットで検索しても、撮影時の状況や撮影者についてはわかりませんでした。
「新婚夫妻が戦後、アンネさんの父オットーさんに渡した動画」
であるとしかわかりません。
1941年当時、動画撮影のできるカメラやフィルムは
とても貴重なものだったと思います。
NHKで数年前、戦前(1930年代後半)・戦中・戦後の日本を撮影した
カラー映像を集めた番組が放送された際、
「(今回放送するのは)海外からの旅行者によって撮影された映像が多い」
と言っていました。
アンネの映像が撮影された1941年当時、動画撮影できるカメラを
個人的に所有していた人は存在したのですね。
どれくらい裕福な人なら、動画撮影できるカメラを
手に入れられたのかはわかりません。
この映像が撮影された1941年には、既に8ミリフィルムが発売されていたそうです。
恐らく8ミリフィルムでの撮影でしょうか?
8ミリ映画 - Wikipedia
より以下引用です。
8mm幅のフィルムを利用した映画。映写にあたって免許資格が不要であり、取り扱いが簡便なことから、主に家庭用に1932年から発売され、さらには教育用や産業用などでも広く使われた。(引用終わり)
アメリカ映画『市民ケーン』が公開されたのが1941年です。
元々20秒間の映像なのか、本来はもっと長い映像だったものを
世界に公開するにあたって20秒に編集したのかがわかりません。
(今回YouTubeで公開される何年も前から、この20秒間の映像は
ビデオに収録されたりNHKなどで放送されていたそうです。)
「アンネの生前の映像」と題されて公開されれば、主役はアンネになるので、
アンネが映ったカットを中心に、アンネが新郎新婦を見ているという
状況がわかるカットを抜き出して公開されたとも考えられます。
その場合、編集が上手いのは「公開の際に映像を編集した人」
ということになるかも知れません。
「アンネの日記」を映像化した作品はいくつかあります。
映画
・『アンネの日記』(1959年 アメリカ/白黒映画)
映画 アンネの日記 - allcinema
アニメ映画
・『アンネの日記』(1995年 日本)
アンネの日記 (アニメ) - Wikipedia
テレビドラマ
・『アンネの日記』(2007年 イギリス)
アンネの日記 (テレビドラマ) - Wikipedia
アメリカ映画版と日本のアニメ映画版は観ました。
イギリスのドラマは、今年の8月にNHKで放送されましたが未見です(>_<)
アメリカ映画版よかったです!
日本のアニメ映画版は、SMAPの草剛さん(ペーター役)や
黒柳徹子さんが声優で出演しています。
拍手を押してくださった方、どうもありがとうございました。
- [2009/10/19]
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金城武「ジャワティ」CM 巨大な恐竜はCGではなく実物大ロボ
■巨大な恐竜はCGではなく、なんと体長12メートルの
着ぐるみロボットを使って撮影されています。
実写とCGを併用して作られた、非常に面白いCMです。
大塚ベバレジ「JAVATEA(ジャワティ)」
『シンビーノ ジャワティストレート グリーン』CM
『GREEN』篇
出演:金城武
制作:株式会社ロボット(ROBOT)
CG監修:株式会社アイデンティファイ(EYEdentify)
放送開始日:2009年4月17日
■ジャワティ公式サイトでCM動画が見られます。
JAVATEA|大塚ベバレジ
(15秒バージョン、30秒バージョン)
■YouTubeではこちらで
[CM] 大塚ベバレジ JAVATEA『GREEN』篇 - YouTube (15秒)
(動画内容はジャワティ公式サイトと同じです)
■CM内容
外資系オフィスで働くビジネスマン(金城武)は、
同僚の外国人女性から「あなた、本気で闘ったことないんじゃない?」と言われる。
場面変わって金城武の空想の世界へ。
街に巨大な恐竜(ティラノサウルスの親子)が出現し、逃げ惑う人々。
恐竜と同じサイズに巨大化した、ビジネススーツ姿の金城武が
恐竜に果敢に立ち向かう。
手に持った竹刀で恐竜の頭をポコっと叩いて逃げる金城武。
場面はオフィスに戻る。
金城武「そんなことないっす」
同僚の女性「強がっちゃって」
というCMです。
参考:ジャワティストレート グリーン:大塚ベバレジ ニュースリリース
■内容、映像表現ともに、とても面白いCMです。
画期的な点がたくさんあります。
・金城武が背景の車(実写。金城武とは別撮り)に触れ、車が動いている。
(「金城武/スタジオ撮影」と「背後の風景/ロケ」はCG合成)
・恐竜はCGではなく実写。実際に巨大な恐竜の
アニマトロニクスを使って撮影されている。
・背景の街並み…実写
・金城武…実写。CGで拡大合成
・恐竜…実写+脚のみCG
なんと、CGで作られているのは恐竜の脚だけです。あとはすべて実写です。
■こちらの写真からもわかる通り、金城武はスタジオ撮影で背景は別撮りです。
金城武:恐竜と竹刀でバトル「ジャワティ」CM - 毎日新聞
写真<3> - 毎日新聞
写真<4> - 毎日新聞
一番注目したい点は、
・巨大化した金城武が足元の車につまづく
・その衝撃で車が飛び上がるように大きく揺れ、ボンネットが開く
というところです。
重量感のある動きを見る限り、車はミニチュアやCGではなく
実物を撮影していると思います。
つまり、何らかの方法で車を飛び上がらせ、それを撮影し、
その映像の中に別撮りした金城武をCG合成しています。
金城武が本当に車につまづいたかのように見えるほど、
車と金城武との動きのタイミングがぴったり合っています。
互いの動きのタイミングを合わせるのが大変難しい撮影だと思います。
テレビCMでは、一見何でもない場面でも、人物(実写)と背景(実写)が
CGで合成されていることがとても多いです。
(人物は撮影スタジオで、背景は屋外で撮影して合成するなど)
【過去記事】背景が合成のCM:
読売新聞CM「卓球編」 撮影方法を図解 (2008/08/23)
「25年後の磯野家」瑛太・小栗旬のグリコCM 背景のCG合成 (2008/11/20)
草剛「アリエール」CM 背景のCG合成 (2008/12/11)
明石家さんま「ジョージア」CM カット割りの面白さ (2009/01/29)
木村拓哉「日清カップヌードル」CM どの部分がCG合成か図解 (2009/02/22)
大塚寧々「アットローン」CM 背景のCG合成と透明感 (2009/03/11)
本仮屋ユイカ「南アルプスの天然水」CM ロケは代役?本人? (2009/05/12)
浅野忠信、宮沢りえ「オトナグリコ」CM 背景のCG合成 (2009/05/17)
そのように撮影されるのは、人物が背景に干渉しない場合です。
人物が直接触ることによって背景が動く場合は、
スタジオのセットで背景ごと撮影したり、
背景がCGで作られたりすると思います。
別撮りの物体に触れ、動かしているように見せるのは難しいからです。
ところがこのCMは、同時撮影かと見紛うほど
金城武と車の動きが連動しています。
足と車との位置関係もぴったりで、CGで合成した感がまったくありません。
飛び上がる車の撮影方法を考えてみます。
「縦に飛び上がるように揺れ、その衝撃でボンネットが跳ね上がる」。
どうすれば車をそのように動かせるでしょうか。
映画『トランスフォーマー』(2007年 アメリカ)の劇中、
主人公が黒い車のボンネットに飛び乗り、
その車を敵のロボットが手で掴んでガタガタと揺らすシーンがあります。
そのシーンは、主人公・車・背景などすべて実写で、
敵のロボットだけがCGでした。
主人公を乗せた車を本当にガタガタと揺らして撮影しているはずですが、
重たい車をどうやって揺らしているのか?が気になります。
『トランスフォーマー』のDVDでこのシーンのメイキング映像が見られました。
1.主人公の乗っている車を重機でガタン、ガタン!と揺らして撮影
2.CGで重機を消す
3.敵のロボット(3DCG)を合成
恐らく「ジャワティ」のCMも、同じような撮影方法が
とられているのではないかと思います。
車を重機で持ち上げるか、クレーンで少し吊り上げてから落とし、
CGで重機を消しているのではないでしょうか。
『Walking with Dinosaurs The live experience』という、
巨大な着ぐるみ+遠隔操作ロボットによる、イギリスの恐竜ライブショーがあります。
CMで使われているのは、このショーの恐竜です。
動画はこちらで
Walking With Dinosaurs(ウォーキング・ウィズ・ダイナソー) - YouTube (1分)
■CMで使われているのは、こちらの動画のティラノサウルス(T-Rex)です。
T-Rex Walking with the Dinosaurs(ティラノサウルス) - YouTube (49秒)
動画を見るとわかりますが、『Walking With Dinosaurs』の
恐竜ロボットはものすごく巨大です。
(画像手前に人が居ます)
なめらかで繊細な動きからは想像もできない巨体です。
『Walking With Dinosaurs』オフィシャルサイト(音が出ます)によると、
「TYRANNOSAURUS REX(T-REX)Size:12メートル」と書かれています。
■どうやって恐竜を動かしている?
恐竜の足の間にある細長い車に人が乗り込み、
運転して恐竜を移動させています。
■「ジャワティ」の大塚ベバレジやCM制作会社は、CMに登場する恐竜の
撮影方法について詳細を一切公表していません。
CGではないことも、『Walking With Dinosaurs』のショー用の恐竜を
使用していることも、私の推測です。以下で検証していきます。
左:ジャワティCM『GREEN』篇より
右:『Walking With Dinosaurs』の記者発表会に登場したティラノサウルス
上:ジャワティCM『GREEN』篇より
下:『Walking With Dinosaurs』動画より
・特徴的な、首周りの柔軟な動き
・精巧に作られた皮膚の質感
・背中側のまだらな緑、お腹の赤みがかった色味
・口が開閉する際の口角のギミック
・上あごの側(目の下の方向)にある出っ張り
・頭部から体にかけてのライン、口元のライン
他、細かな造形の一致を見る限り、同じものだと思います。
■参考:日本の恐竜ロボット
動画:
Giant Robot Dinosaurs from Japan - YouTube (1分56秒)
こちらは無人のラジコンロボットです。すごいです。
全体的に動きが硬い印象ですが、しっかり二足歩行で歩いています。
このラジコンロボットのサイズはこちらの動画がわかりやすいです。
T-Rex Robot(ティラノサウルスロボット/日本) - YouTube (1分33秒)
口の開閉、上体を起こす動きが可能ですが、首周りは動きません。
ティラノサウルスの子供
上:ジャワティCM『GREEN』篇より
下:『Walking With Dinosaurs』より
どうやって撮影されたのか、『Walking With Dinosaurs』の動画を見るまで
まったくわからなかったのが、子供の恐竜でした。
質感、立体感、そこに居る存在感や動きの自然さ、
照明の当たり方から見て、大人の恐竜同様、CGではありません。
しかし着ぐるみやロボットに、このような素早く身軽な動きが可能なのでしょうか。
しかも、金城武を見て後ずさるシーンは、後ろ向きで小走りしています。
■『Walking With Dinosaurs』はそれを可能にしていた
Walking with Dinosaurs, The live experience '07 - YouTube (6分3秒)
2007年に行われた『Walking With Dinosaurs』のショーです。
動画の0分41秒~1分2秒では、ティラノサウルスの子供の
・なめらかで素早い動き
・小回りのきいた走り
・頭から尻尾の先までぷるぷる揺らしながら軽やかに後ずさる動作
が見られます。
恐竜の造形も動きも、CMとまったく同じです。
上の動画と同一の着ぐるみによる動画です。
Winnipeg Walking with Dinosaurs animatronics - YouTube (1分6秒)
恐竜の脚の間から、中の人の脚が見えています。
CMでは中の人の脚をCGで消していたのですね。
観客に手招きされてこちらへやって来るしぐさが
なんともかわいらしいです。
■てっきりジャワティのCMは、
・恐竜は人間と同じ背丈の着ぐるみ
・金城武と恐竜を同時にスタジオ撮影
・CGで拡大した金城武と恐竜を、別撮りした風景に合成
だと思っていました。
ところが実際は、
・風景、逃げ惑う人々、巨大な恐竜を同時に撮影
・別撮りした金城武だけをCGで拡大して合成
だったのですね。
リアルにあの大きさの恐竜を使用して撮影していたという、
予想もできない展開に驚きました。
CMでは広角気味に撮影し、恐竜をより大きく見せています。
恐竜の後ろ足はCGで作られています。
上記カットの、親恐竜の後ろ脚
胴体が実写で、腹部の輪郭線から下の脚全体がCGです。
実写の胴体は輪郭がくっきりとしていて、
素材の質感や重さも伝わってきます。
一方、CGで作られた脚は輪郭がぼやけ、脚と背景との境い目がはっきりしません。
まるでカメラのピントが合っていないかのように
全体にぼんやりとぼかしが掛けられています。
立体感や重量感もありません。
しかし、よく見なければわからないくらい違和感がありません。
■脚だけCGで作られている理由
この着ぐるみ恐竜ロボットは、構造上すり足で歩くため、
CMのように足を地面から高く上げることができません。
そのため、本来の脚をCGで消し、新たにCGで作った脚が合成されています。
そこには「なんだ、着ぐるみか」と思わせないための
ディテールへのこだわりが見えます。
恐竜が歩いていない(足を持ち上げる必要のない)カットでは、
脚がCGではありません。
このカットの脚は実写
人物の合成技術もすごいです。
背景に人物をCGで合成する際は、接地面(人物と地面が接する部分。靴底など)
が背景から浮いて見え、不自然になってしまうため、極力接地面を映さないと
以前書きました。
ところがこのCMは、金城武と地面との接地面が映っているカットがあります。
地面に対して金城武の足元の角度・質感ともにまったく違和感がありません。
金城武の足元がはっきり映るカットでは、上手く足が隠されています。
金城武の足元が、「走る女性」「手前の植木」で巧みに隠されています。
このカットで金城武の靴が映るのは、靴底が地面に届く前のわずか一瞬だけです。
靴底を隠すため、群衆の走る位置やタイミング、金城武の足を置く位置や歩幅が
綿密に計算されて撮影されています。
■金城武と恐竜が本当に同じ画面の中に居るように見えるリアリティ、
恐竜の頭をポコっと叩いた時の面白さは、もし恐竜が
全身フルCGで作られていたら出なかったのではないかと思います。
■2009年03月20日 迫力満点!実物大の模型が動く恐竜ショー - 国際ニュース:AFPBB News
より以下引用です。
英ロンドン(London)のO2アリーナ(O2 Arena)で18日、舞台『Walking with Dinosaurs』の記者発表会が行われた。この舞台は、英国放送協会(BBC)の番組をもとに制作された96分間のショー。15匹の動く実物大の恐竜模型たちが登場し、誕生から絶滅までを描く。
(引用終わり)
■★究極映像研究所★
2007.02.18 着ぐるみ巨大恐竜ライブショー
Walking With Dinosaurs - The Live Experience
『Walking With Dinosaurs』の概要、
ショーのクリエーティブスタッフが手掛けた他作品、
巨大着ぐるみの内部構造の考察などが読めます。
■モーション研究所
2008年02月08日 CGアニメーションよりリアルな動き【恐竜】
3DCGのモーションを作るお仕事をされている方のブログです。
モーション作りのプロの方の目から見た『Walking With Dinosaurs』の感想は
非常に説得力があり、面白いです。
ライブショー『Walking With Dinosaurs』の動画についての記述を
一部引用させていただきました。ぜひリンク先で全文をご覧ください。
ハリウッド映画で使っても全く問題ないクオリティに
びっくりしました。
ラジコン操作と気ぐるみでここまでリアルに動かすには
細かい間接と素晴らしいプログラミングがあってこそ
例えば3Dアニメーションで表現したらもっと面白いのかと考えたが
この動き見ると勝てそうもない気がする。
クイックな表現や地形に合った立ち方
又は水中に居た場合や格闘シーン、流血などCGしか出来ない表現しか勝てないのでは?
<中略>
動きに引けを取らない質感
3DCGではテクスチャー1枚で終わってしまうが
部分的に違う反射率やウロコ感など実に面白い!
骨構造、筋肉の動きなど、爬虫類の特性を
熟知して無いとリアルな表現は出来ない
3DCGアニメーションには真似できない温度が伝わってきます
もし手付けモーションを作るならこういった生態系や医学知識も時には必要となる
(引用終わり)
■株式会社ロボット
今作ジャワティCM『GREEN』篇を制作した株式会社ロボット(ROBOT)は、
映画『ALWAYS 三丁目の夕日』(2005年)など、
CGを非常に上手く使った作品を数多く制作している日本の会社です。
(「ロボット」は社名で、今回の「恐竜のロボット」とは無関係です)
ROBOT Communications Inc. - 株式会社ロボット公式サイト
ロボット (企業) - Wikipedia
『つみきのいえ』でアカデミー賞短編アニメーション賞を受賞された
加藤久仁生さんも、株式会社ロボットの方です。
■株式会社アイデンティファイ
EYEdentify(アイデンティファイ) - 株式会社EYEdentify公式サイト
News|EYEdentify
より以下引用です。
JAVA TEA “グリーン”
クライアント:大塚ベバレジ株式会社
代理店:株式会社電通
制作会社:株式会社ロボット
制作協力:Cutting Edge Post Pty Ltd.
大塚ベバレジ株式会社JAVA TEAのCM「レッド」篇と「グリーン」篇で、代表の松木靖明がVFXスーパーバイジングを行いました。
(引用終わり)
アイデンティファイは、広告制作業・映像ソフト制作の会社だそうです。
公式サイトを見たら、すごい!どうやって作っているんだろう!と
思ったテレビCMがことごとくこちらの会社の制作でした。
■CM制作スタッフ
ジャワティ公式サイトより、CM制作スタッフ名を引用します。
クリエイティブ・ディレクター 古川裕也
プランナー/コピーライター 高木基
プロデューサー 石川夏生/兼清 剛/井上邦彦/中村悟
プロダクションマネジャー 涌井剛/石毛大己/佐藤綾香/寺田衛/菅原直哉
演出 田中秀幸
VFX SUPERVISER 松木靖明
スタイリスト 北村勝彦
ヘアメイク 古久保英人
タレント 金城武
音楽 トライヤード
キャスティング ホイッスル
広告会社 (株)電通
制作会社 (株)ロボット
恐竜が着ぐるみなのかCGなのかといった公式情報は、
あえて伏せられているように思います。
わからないほうが、視聴者の興味を引くからかも知れません。
ジャワティ公式サイトのCMメイキングには、
恐竜の撮影方法についての記述はありません。
雑誌『CM NOW』(玄光社)の2009年7-8月号に
このCMのメイキングが載っていて買いましたが、
こちらも恐竜については一切触れられていませんでした。
CM映像を見てわかったことは、
「恐竜は着ぐるみで、脚だけCG」
「金城武はスタジオ撮影」ということだけで、
・恐竜はどんなサイズのものなのか
・子供の恐竜はどうやって動かしているのか
が何度見てもわかりませんでした。
前々回の記事で「SF恐竜ドラマ プライミーバル」について
書いたことがきっかけで、恐竜のアニマトロニクス(ロボット)には
どんなものがあるのだろうと興味を持ち、
偶然『Walking With Dinosaurs』の動画を見つけました。
そこで、この恐竜…あのCMの!と気が付きました。
CMを見てから5ヶ月も掛かってしまいましたが、謎が解けて嬉しいです!
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- [2009/09/16]
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- [2009/09/05]
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