ボタの上から

Nikon D700 + Nikkor AF-S VR 70-300mm F4.5-5.6G
毎年、クリスマスシーズンにライトアップしている
しめたんこと志免炭坑立坑櫓。
今年はちょっと頑張ってボタ山に登って頂上から撮影してみました。
ちなみにボタ山とは炭鉱が採掘時に出る捨石(ボタ)で出来た山の事。
炭鉱が現役時代にはどこの炭鉱にもこのボタ山が少なからず存在していました。
基本的に自然のものではなく廃棄物の集まりなので、閉山後は土地の造成などで姿を消すボタ山が多い中、
この志免炭坑跡は立坑櫓と併せてこのボタ山も産業遺産のひとつとして保存されています。
この志免炭坑のボタ山、見ての通りけっこう高いんですよ。
登るのもなにげにひと苦労。

そんな苦労する姿を見ていた、サンタさんからのプレゼントなのか
山から下りて来て立坑櫓を眺めている我々の前に、なんとトナカイが現れたのです!
・・・まぁこんなんやってこの日一緒に遊んでくれたのは
サバイバル隊長ことサバ長さんでした。


ランドマーク -志免炭坑立坑櫓-

Nikon D700 + Tokina AT-X 16-28mm F2.8 PRO FX
志免炭坑立坑櫓を表す言葉として最近よく目にするのが
「志免町のランドマーク」

Nikon F5 + Nikkor AF-S VR 70-300mm F4.5-5.6G
Kodak 400TX
ランドマークとは”その地域の目印となり得る特徴物”
その名の通り、50m近く高さがある立坑櫓は遠くからもよく見えます
土地柄あまり高層建築物もない地区なので埋もれる事なく余計に。

Nikon F5 + Nikkor AF50mm F1.4D
Kodak 400TX
初めて目にする人は、その異様なる外観と周りの街並との
ミスマッチに違和感を覚えるかもしれません
しかし多くの地元の方にとっては「あって当たり前」の存在のようです
建築以来、70年ここに存在し続けたシメタンは
ここ志免町で生まれ育ったご年配の方でさえも子供の頃から
ずっと“そこに在った”存在なのですから

Nikon D700 + Nikkor AF-S VR 70-300mm F4.5-5.6G
2009年、国の重要文化財に指定されるまで紆余曲折あったシメタン
解体をめぐって町議会で議論が繰り返された時期もありました。
しかし保存を求め続けた有志の活動もあって今の姿があります。
国重となった以上、これから先もずっとこの志免町に立ち続けるでしょう
そしてこれから志免町に生まれる子供達も
きっとこのシメタンの姿を見て育っていくのだろうと思います。
志免立坑櫓を活かす住民の会のホームページにもあるキャッチフレーズ
「立坑があるけん志免やろうもん!」(立坑があるから志免なんだよ)
これからもなお、そうなっていくのでしょうね
シメタン探索編は今回で終わりです
けっこうオナカ一杯上げちゃったんでこのブログでシメタンが
登場する事はもう当面ないかもしれませんw


開放 -志免炭坑立坑櫓-

Nikon D700 + Tokina AT-X 16-28mm F2.8 PRO FX
最後の階段を登りつめると
待っていたのはこの光景
シメタン屋上です

Fuji S3Pro + Nikkor AF-S VR 70-300mm F4.5-5.6G
コンクリートの質感からは
中学時代に入り込んでた学校の屋上を思い出します
ワルになった気分です(ナニソレ

Nikon D700 + Tokina AT-X 16-28mm F2.8 PRO FX
!!!!!あれは!
なにげに前から気になっていた物体。アンテナです
遠目で見ていても存在感を醸し出しているシメタンのアンテナを
とうとう目前で見る事ができました。これまた感無量。

Fuji S3Pro + Nikkor AF-S VR 70-300mm F4.5-5.6G

Nikon D700 + Tokina AT-X 16-28mm F2.8 PRO FX
いくら比較的丈夫なシメタンとはいえ
コンクリが経年劣化しているのは事実。
危険も伴うため足を踏み入れる事ができる場所は当然限られていましたが
屋上からの眺めは格別なものがありました。

Fuji S3Pro + Nikkor AF-S VR 70-300mm F4.5-5.6G
何ものにも代え難い達成感が胸にこみ上げてきます。
植村直樹さんの心境が少し分かった気がしました。(それは気のせい)
(今回ある取材のもとで特別に許可を得て撮影しています。)


灰色の迷宮 -志免炭坑立坑櫓-
クリスマスも終わりましたね
しつこくもシメタン内部探索続けます。

Nikon D700 + Tokina AT-X 16-28mm F2.8 PRO FX

Nikon D700 + Tokina AT-X 16-28mm F2.8 PRO FX
超好みの無骨なエレベーターがありました
おそらく主に鉱員達の昇降に使われたのでしょう
殆ど何も残されていない遺構の中、
僅かに残された当時の痕跡を見つけると感慨深くなります。

Fuji S3Pro + Tamron 28-75mm F2.8 XR Di
途中下車は許されない

Nikon D700 + Tokina AT-X 16-28mm F2.8 PRO FX

Fuji S3Pro + Tamron 28-75mm F2.8 XR Di
昼夜問わず動き続ける炭鉱には
強力なサーチライトも必要だったのでしょう。

Nikon D700 + Tokina AT-X 16-28mm F2.8 PRO FX
いちばんメインのフロアはここでしたが
実はまだ上階が存在します

Nikon D700 + Tokina AT-X 16-28mm F2.8 PRO FX
静かに佇む上段へ続く階段が
お前の探索はまだ終わってないぞと
まるで無言で誘ってくるように感じました。←都合のいい解釈


Concrete jungle -志免炭坑立坑櫓-

Nikon D700 + Tokina AT-X 16-28mm F2.8 PRO FX
上階で待ち受けていたのは巨大なる虚無空間
これまで目にしてきた廃墟のいずれとも異なる光景。
しかし縦横無尽と規則正しく並んだ四角い窓が
今まで眺めてきたシメタンの外観とオーバーラップします。

Nikon D700 + Tokina AT-X 16-28mm F2.8 PRO FX
「ああ、今俺はシメタンの中にいる」
テンションMAX。
この時の私はどんなに有名な観光地にいるよりも
間違いなく幸せだった。

Nikon D700 + Tokina AT-X 16-28mm F2.8 PRO FX
私の勤務先の先輩にここ志免出身の方がいます。
その人の話によると子供の頃、よくこのシメタンに登って遊んでいたとの事。
当然なんの建物かもよく分からずに。
しかしなんて羨ましい少年時代!
私もここに秘密基地を作りたかった!
いや、今からでもいい!作らせてください秘密基地!

Nikon D700 + Tokina AT-X 16-28mm F2.8 PRO FX

Fuji S3Pro + Tamron 28-75mm F2.8 XR Di
殺風景と言ってしまえば殺風景かもしれない
しかし私の目には豪華絢爛な歴史的建造物と遜色ないほど
魅力的に映ります。
(今回ある取材のもとで特別に許可を得て撮影しています。)


四角い異空間 -志免炭坑立坑櫓-

Nikon D700 + Tokina AT-X 16-28mm F2.8 PRO FX
中は多層階に分かれていました。
四角い空間に四角い窓。
視覚的にも不思議で幾何学的な印象を覚えます

Nikon D700 + Tokina AT-X 16-28mm F2.8 PRO FX

Fuji S3Pro + Tamron 28-75mm F2.8 XR Di
複雑に絡み合ったコンクリート
建築学によってすべて計算されたものでしょうか。
この光景を見ると、今わたしがシメタンの中にいる事を実感します。
願わくば少しでも長くこの場に身を置きたい。

Fuji S3Pro + Tamron 28-75mm F2.8 XR Di
内部にあった機械はすべて撤去されています
残っているのは設置していたときの土台に残る鉄筋痕のみ。

Fuji S3Pro + Tamron 28-75mm F2.8 XR Di
水溜りに写る窓もやはり四角。

Fuji S3Pro + Tamron 28-75mm F2.8 XR Di

Nikon D700 + Tokina AT-X 16-28mm F2.8 PRO FX
いよいよ立抗櫓最大となる空間が近づいてきました
胸の高鳴りが一層強くなります。


未知なる階段 -志免炭坑立坑櫓-

Nikon D700 + Tokina AT-X 16-28mm F2.8 PRO FX
真下で上階を見上げると巨大さとともにその高さにもあらためて驚く
今からあそこへ登るのだ。
はやる気持ちを抑えるのに必死になる
私がもし犬だったら表情は平静を装っていても
多分尻尾はブンブン振り回している状況でしょう。

Nikon D700 + Tokina AT-X 16-28mm F2.8 PRO FX
風化して一部崩れつつある階段を
一歩一歩、ゆっくりと上がっていきます
これから先は未知の世界―。

Fuji S3Pro + Tamron 28-75mm F2.8 XR Di
風化して廃墟チックなコンクリートですが
さすが唯一の国営炭鉱だけあってコンクリ自体は
当時としては非常に質のいいものを使っていたようです。
コンクリートだけでなく、鉄筋も英国製鋼鉄を潤沢に使用しています。
建築から70年以上経った今も倒壊の心配は当面ないという
専門家の意見があるほど、強固なものとなっています。
建築費用は当時の金額で約200万円。
現代の貨幣価値で40億円ほどになるそうです。スゴイね

Nikon D700 + Tokina AT-X 16-28mm F2.8 PRO FX

Nikon D700 + Tokina AT-X 16-28mm F2.8 PRO FX

Nikon D700 + Tokina AT-X 16-28mm F2.8 PRO FX

Nikon D700 + Tokina AT-X 16-28mm F2.8 PRO FX
次々と目の前に現れる灰色のコンクリート。
おそらく残留物はなにもないでしょう
しかしこのコンクリートの世界を見るだけでオナカ一杯になりそう。
一見無表情。しかしよく見てみると様々な表情をしている
コンクリートの世界が広がります。


近くて遠い場所 -志免炭坑立坑櫓-

Nikon D700 + Tokina AT-X 16-28mm F2.8 PRO FX
目の前にすると、その巨大さ故に一層その迫力が増してくる。

Fuji S3Pro + Tamron 28-75mm F2.8 XR Di
同時に胸の高まりも増してくる。
今からあの場所に行けるのだと。

Fuji S3Pro + Tamron 28-75mm F2.8 XR Di

Nikon D700 + Tokina AT-X 16-28mm F2.8 PRO FX
とうとう内部へ足を踏み入れた。
まだ登ってもいないのに、この場所に身を置くだけでテンションが上がる。
感無量。

Fuji S3Pro + Tamron 28-75mm F2.8 XR Di

Fuji S3Pro + Tamron 28-75mm F2.8 XR Di
お膝元の廃墟でありながら近くて遠い場所。
いよいよ未知の上階へ足を踏み入れる時がきました。
いざ行かん。
(今回ある取材のもとで特別に許可を得て撮影しています。)


開かれた扉 -志免炭坑立坑櫓-

Nikon D700 + Tokina AT-X 16-28mm F2.8 PRO FX
福岡市内からほど近い場所に存在する
巨大なコンクリートの塊

Nikon D700 + Tokina AT-X 16-28mm F2.8 PRO FX
70年以上もの風雨に絶え、今もなお圧倒的な存在感をもって
この場所に在り続ける存在。

Nikon D700 + Tokina AT-X 16-28mm F2.8 PRO FX

Fuji S3Pro + Nikkor AF35mm F2.0D
志免炭坑立坑櫓
戦前戦中、旧日本海軍が運営していた唯一の国営炭坑、志免炭坑の櫓跡。
世界的にも見ても数が少ないワインディングタワータイプ(塔櫓捲式)の炭坑櫓です。
この櫓によって採掘した石炭を地下より昇降させていました。
福岡住みの私にとってもっとも身近な存在の遺構。
長らく遠巻きに見てきたこの遺構でしたが
今年、とうとうこの内部に入るチャンスがやってきました。

Fuji S3Pro + Tamron 28-75mm F2.8 XR Di
固く閉ざされた扉が今、目の前で開かれたのです。
(今回ある取材のもとで特別に許可を得て撮影しています。)

