草は、菖蒲
インフレと年金
公的年金は、約40兆円の保険料と約13兆円の国庫負担により維持されています。2025年度予算案では、13.7兆円が計上されていますが、年金の改定率は、物価や賃金の上昇に比べて低く抑えられます。将来世代の需給水準を保つための措置です。具体的には、1.9%プラスですが、賃金の伸びに比べて0.4%ほど抑制されている計算です。あらゆるモノやサービスの価格が上昇している中で、年金収入に頼って生きている高齢者にとっては、非常に厳しい生活が続くことになります。物価上昇を上回る賃上げを実現して、経済の好循環を作るという掛け声をよく聞きますが、年金生活者にとっては、インフレが続くと、年々貧しくなるという現実が重くのしかかります。インフレは、国民全員にとって、逃れられない税金のようなものです。特に、年金生活者には響きます。その不満は、必ず内閣不支持に繋がると思います。年金生活者が苦労している姿を見れば、若い人たちは、自分たちはもっと酷い状態になると希望を失うでしょう。経済の好循環は、インフレが続く限り、夢幻に終わりそうです。
少子化対策の成果なし
2025年度予算案では、少子化対策(子ども家庭庁)に7兆3270億円が計上されています。この支出が、本当に、少子化を止める効果がある事業のための予算なのでしょうか?少子化という結果が出るのかどうか、厳格な費用対効果の測定・検証が必要だと感じます。そもそも、育児に要する経費を、家計に代わって公費で負担することが、本当に、子どもの出生に繋がるのでしょうか?もう生まれてきている子どもを持つ親に対して、家計からの負担を減らしてあげることで、更なる出産に繋がるものでしょうか?そうした仮説がデータで裏書できるのなら、ぜひ示してほしいと思います。私は、出産する人は2人目もするし、1人で十分だと考えている人は、公費による支援で考え直すことはないと思います。少子化予算が、子どもの出産を増やさないとしたら、無駄です。現実的には、子どもの数は、家計への公費支援では増えないのではないでしょうか?保育所を増やすことで、夫婦が共に働く環境が整うことは結構なことですが、本当に、2人目の子どもに繋がらないならば、少子化対策にはなりません。少子化対策で最も効果があると考えられるのは、不妊治療への支援です。あるいは、中絶手術で水子になってしまっている子どもたちが、この世に誕生してくるような措置を取ることです。アメリカでは宗教上の理由で、中絶を禁止するか否かの大論争がありますが、日本においては、少子化対策で、中絶禁止の原則を議論すべきではないでしょうか?もちろん、出産しても自力では育てられないというケースが増えるでしょうから、公的な育児支援の強化が必須です。そういう予算であれば、疑いなく少子化対策だと言えるでしょう。
私大の経営改善計画
文科省は、収支状況が悪化した私大法人には、改善計画を提出させて、その成果次第では、私学助成を減額する検討をするようです。手緩いし、遅すぎるという印象です。現時点で定員充足していない大学が、今後、V字回復するとは思えません。むしろ、経営改善計画ではなく、大学の廃止を想定した計画を求めるべきではないでしょうか?私学事業団が受け取れば、改善を目指していいと勘違いされる可能性があります。文科省は、まだ、私大の規模縮小には、及び腰だと思います。他方で、新規の開学を認可し続けているので、結局のところ、法人が経営破綻して、学生が路頭に迷うことになるのではないでしょうか?早めに募集停止させるしかないはずです。学生が他大学に移れるような保護策と言っても、学生や保護者には満足のいくものにはならないでしょう。そんな事態にならぬように、厳しい予防措置を取ることが最善です。
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