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2024年7月16日 (火)

かくれ給へるもあまた聞ゆ

真のオリンピックの終焉

 オリンピックは、本来、理念あってのイベントで、スポーツの各種目の世界一を決めるだけならば、世界選手権で十分です。パリ五輪も、ウクライナやガザでの戦闘さえ止められないなら、意味がないと思います。2021年の東京大会の無観客開催で、結局、IOCの収益のために大会を開催する裏事情があからさまになりました。はっきり言えば、もうオワコンでしょう。オリンピック金メダリストを特別視するのも、いい加減やめにしたらどうでしょうか?マイナー競技のアスリートがオリンピックを目標にするのは自由です。でも、世界一を決めるのは、オリンピックではないでしょう。男子のサッカーくらいになると、自分のキャリアアップを優先して、オリンピックを捨てる選手もいます。選手はオリンピック至上主義からは離れつつあります。残る問題は観客の方です。根っからのオリンピック好きがいても構いません。心を動かされた思い出があるのでしょう。ただ、個々の選手が優劣を競う本来の姿に戻すべきで、国別のメダル数などどうでもよいのではないでしょうか?すっかり商業主義に侵されたオリンピックをブランド化して、あくまでも儲けようとするIOCに振り回されるのは愚だと思います。クーベルタンも嘉納治五郎も、あの世で苦い思いをしていることでしょう。歪曲されてしまったオリンピックをもう卒業しませんか?

 

トランプ銃撃事件

 20歳の容疑者の動機は不明ですが、最有力の大統領候補が銃撃されたという事実は、アメリカの民主主義の現在を映す鏡だと感じます。暗殺は未遂に終わり、トランプ候補には同情も集まるので、また一歩、当選に近づいたと思います。130m先の倉庫の屋根からの銃撃ということで、警備の在り方についても、再考を求める事件でした。日本の安倍首相や岸田首相(未遂)のケースに比べれば、凶器の質が違います。こんな武器が普通に買えるアメリカならではの事件です。世界的に、政治的な思想の実現のために暴力の行使が正当化されるという感覚が広がっているようです。アメリカ社会が政治的に分断されている中で、暗殺の危険が現実になっていることを改めて認識しました。トランプさんの運の良さで事件が未遂に終わったことだけが、不幸中の幸いでした。事件に巻き込まれて死亡した支援者の方々には哀悼の意をささげます。どんなにトランプさんの思想に反感を持とうが、彼を殺そうとするのは正しくないことが分からない人が日本にもいるでしょう。真に危うい時代になっています。

 

若者流出

 公立学校の教員のうち、高ストレスと認められた者が、2023年度の小中高の平均で、11.7%と過去最高になっているとの報道がありました。朝日新聞「わたしが日本を出た理由」取材班「ルポ若者流出」には、教員経験者の方の海外流出の例も紹介されています。印象に残ったのは、問題行動のある児童に手を焼いて助けてほしいと願ったところ、担任なのだから自分でどうにかしろと切り捨てられたというエピソードです。普通の組織ならありえない話でしょう。学校現場の荒廃ぶりが伺われます。ブラック職場は、教員という集団が作っていると感じます。教員をやめた後、この方は、カナダへ渡って、保育士の資格を取得して、自己肯定感を取り戻せたとしています。働きづらい国からの脱出は、教員ばかりではありません。教育目的の移住(選択肢の多いマレーシアが人気)も増えています。LGBTQの方もジェンダー後進国を出国しています。もちろん、良いことばかりではありませんが、日本人がこの国に息苦しさを感じて海外に移住して居場所を求めるということが、珍しくなくなっているのです。特に、人間が働く場として、大きな課題を抱えていると思います。外国人を含めて、多様な人材を包摂しているカナダのような国に学ぶ必要があるでしょう。コロナ禍後には、海外に転出する人が増えています。2023年には、15万9000人が転出していますが、女性が男性のほぼ倍に上っています。若者流出は、決して特殊な現象とは言えなくなっています。

 

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