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M2の今年持ち上がってきた考えこもごも

ようやっと、正月休みにビンボー暇なしのこの俺にも、少しばかり暇が出来た。
今年は俺自身も色々だった。

そして、世界もまた色々だった。

まあ、この形而上的ブログは恐らく今年はこれで終わりかな? 多分。


今年はすっかり金の無さに追いかけ回された一年だったが、座して考える時間に恵まれる仕事についたおかげで、色々と形而上的な事を考えたり、思いついたりできたのだが

それをまとめる事が中々には出来ないでいた。ま、ミネルヴァ・エルヴァという小説をまたまた性懲りも無く書いてはいるが、ここに俺の見出した形而上的な事を書いていこうと思ってる。

ま、そのために始めた小説だからなあ。

まあ、今日は 実はこういう形では書かないでおこうかな と思ったネタのような形而上的な話を書いていこうかね。
今年はこんなことを考えていました。

箇条書きのような形で書こうかね。まとめられないから…


・青い天使
まあ、この青い天使というのは創世記だっただろうか?そこに出てくるのだ、どういった存在なのかというとだ、神が大地を創り、生き物をルシファーが創ったという話なのだ。んで、このルシファーはその配下の軍勢と共に神に挑戦するのだが、打ち砕かれ地獄に落とされた。そこで、ルシファーはサタンとなったのだが、この神に挑戦した天使は青い天使として描かれる。絵画の世界でもなぜか一時、悪魔を青い天使として描いているのだ。
まあ、この青い天使で思ったことが、インディゴ・チルドレンである。
インディゴ・チルドレンはこの「青い天使達」だったのだろうか?
はてさて、まあこれはあくまでも俺が個人的に考えていることなのだが、クリスタル・チルドレンという存在がいる。
聞くところによると、天使は光で象徴される色は白ならば、このクリスタル・チルドレンってのはより天使性の強い連中なのだろう。

俺は正直このように考えていた。まずインディゴが世のあらゆる部分に反発し、古いあり方などを破壊していく
その次に、クリスタルが破壊され傷ついた世を癒し、次のステップへの礎を作り上げる。
そしてレインボー・チルドレンという連中が新しい時代を作り始める

まあそういったことなのだが、今年の俺の直感は、それがある程度は正しいが、実はそればかりではないという、そんな考えに行きついた。

インディゴの行動原理とクリスタルの性質を見聞きした範囲、そしてそれらを今年思いついた考察に照らし合わせて考え
ると

インディゴとクリスタルはその性質において、ある部分では対立関係にある。という、そういった考えに行きついた。

まあ、これに関しては今の所こういう認識だ。まあ、これら性質のことなる存在が何かの目的によって適材適所で使われているのだろう。


・アセンション

聞くに、アセンションというのはエネルギーの振動数があがり、物質的事象から全て自由に解放され、そしてさらなるハイレベルの存在になれる というような趣旨の話だったような気がする。
まあ、これをこの現実にあるものにあてはめた時、いの一番に思いついたのは「核反応」だった。
そして「全てが一体となる」ような事象は「核融合」とかそういうふうに思えたのだ。
と、これらから、実は「核兵器」というのは天使から与えられたアセンションを実現するための、手っ取り早い道具だったのではないだろうか?

こんな話がある。まあ、地球人というのは他の星からやってきた魂が、人間に転生したもので、そしてこの地球人は地球に降り立つ以前にも複数の星に転生しているのだが、それはどうも住処を変えるためという、牧歌的な理由ではなかった。と、いうのは大体の所はその星で最終戦争のような大きな紛争が勃発して、そこで一度生命体として絶滅したり、
一番近い過去では、元々住んでいた星が、ものすごく激しい戦争のために崩壊し、星もろとも吹っ飛んで宇宙空間に投げ出されたことがあるらしい。

大体の所が次の星への移住の直前に起こっていることが、星をぶっ壊すほどの衝撃に見舞われ、その原因が自らが起こした紛争によるものが多いようだ。プレアデス系の本に書いてあったな。

ま、俺から言わせれば星が吹っ飛ぶほどの核兵器でも使ったのだろうな。

年代記としてはこんな感じだ。

1金星に転生
2楽器作りが流行る
3上手い下手の格差が生じる
4身分階級が出来る
5反乱
6紛争
7戦乱の衝撃で重篤な数の被害が生じる
8傷つき苦しむ魂が火星に転生
9男性性と女性性という区別が出来る
10価値観の相違が発生
11紛争
12戦乱の衝撃で重篤な数の被害が生じる
13傷つき苦しむ魂がマルデックという星に転生
14精神性の高いもの低いものとの間に格差が生じる
15優劣の差別が生じる
16紛争
17戦乱の衝撃で惑星もろとも吹っ飛ぶ
18傷つき苦しむ魂が地球に転生

まあ、こんなところだ。

アセンションし姿形の差異から解放され、自由なる魂となり、愛のもとに一体化
それは自分達が元々は一つの光であり、それへと回帰していく

物質は温度が上がると分子同士の結合が弱くなる。エネルギーは熱を作り出す力で、そして言い換えれば、結束の弱くなった分子は自由度が増す。個体は液体に変わり、液体は気体へと変わる。気体に更なるエネルギーを与えることによって気体はプラズマ化。炎となる。固体が支持体らしい支持体を持たぬ光となる。この自由度の高い状態は、一体化しやすい。多分…

そして急激に猛烈なエネルギーを発生させられる「核反応」。愛のアセンション伝達「連鎖反応」

どうも、俺にはアセンションは「核爆発」のように思えてならないのだ。そして、聖書に登場する神はこれを使ってソドムとゴモラを吹っ飛ばしたのではないかと…なにせ、ソドムから出る時、決して街を振り向いてはならない。というのがあったからな。まあ、街での生活を懐かしむなとも受け止められるが、うっかり振り向いた奴は塩の柱になったらしい。
この塩の柱ってのも、放射線との禍々しいイメージを受けるのは俺だけだろうか


・天使と悪魔
これらから俺は、この天使と呼ばれるもの達は一体、何者なのか分からなくなってしまった。どうも善なる存在とは思いがたくなってきたのだ。こいつらは恐らく光りの住人であって、神の使いではないのじゃないか、とすら思えてきたのだ。
現に悪魔というのは、異教の神が殆どなのだ。して、またこの悪魔という存在も元々は生命を司る一派だったようだ。
まあ、生命を司る存在が「悪」に追いやられる理由も何となく分かる。人間は生まれながらに原罪を背負っているのだ。
人間の存在そのもの、つまり生きていることが罪なのだから…。それでいて、天使ってのは人間の大量虐殺に随分と加担してきたようだが、それは善行であり正当であるのものなのは、この原罪によるところが大きいのだろう。
そも、この原罪というのも理不尽な話なのだが…。
旧約聖書を読むと、随分と支配的な話が多いのだ。「神に尽くすお前は、子孫そしてそれらを世話する下僕達に恵まれるであろう」とかそういう台詞にこれらを見出すことが容易に出来るのだ。
それで、創造主たる神の規律から外れた者は容赦なく、硫黄の炎で焼き尽くされるのだ。あるいは、虐殺を命じるのだ。
これじゃあどっちが残虐で極悪か分からない。
そしてもっと酷いのが不信心な者が無惨な死に方をしても「信じなかったこいつが、当然悪い」のである。
ここに神の言い訳をさしはさめるならば、「信じさせる努力はしたが、無理であった。」というのだろう。
「この私がこいつには無惨な死に方を、どうしてもさせたかった。」とは言わないもである。まあ、これで全知全能はなし崩しになるのだが。逆に全知全能ならば、神はひどく残虐な支配者となるのだがね。


しかして、この旧約聖書を読むとどうも、「神と天使」というのは霊的な存在でも宇宙人でもなく、実は全て人間なのではないか?と思えるようなことが多いと思うが、どうだろうか?

これに出てくる「主」というのは、何らか理由で人前には出ることが出来ない権力者、およびその子孫か何かで、「天使」というのは伝令の人間で、その当時の中東の人達には馴染みのない人種だったのではないだろうか?

例えれば、古代ローマ帝国に滅ぼされたか吸収された国の王か貴族か何かが、お家を再興しローマに復讐を果たさんとしてその兵士達なんかを集めたり、国を再び建国するために中東の辺鄙な村に行って、自分は創造主だとかいって服従させたのではないだろうか。ま、ただの絵空事だがね。



ミネルヴァ・エルヴァ5


アルバートの視線の先には、まだ彼に視線を注ぐミッショナリーの1人が立っていた。
アルバートは彼から目を背けずにいたのだった。数分にも感じられる数秒間を越えた時、そのミッショナリーはアルバートに歩み寄った。

大きな二つの目がアルバートの顔に接近した。

アルバートの心臓は止まりそうになった。視線を合わせ過ぎたのが、気に障ったのだろうか。
アルバートは鼻先のミッショナリーの顔面より妙な脈動を頬の肌に感じ取った。それが一気に眉間に集中する流れに変わった。

眉間に何かの脈動が流れ込み、脳全体に浸透する感覚を感じ取ると、今度は急に強い眠気が頭の中を支配した。

何も考えることが不可能となった所で、彼はまばゆい光の中にいた。アルバートはその中で暗がりがないかと見回したが、ただの一点も闇を見つけることができなかった。

その光の強さに、自分が前を向いているのか、はたまた後ろを見ているのかすら分からなくなってしまった。

試しに彼は手の平を見ようとした。しかし、その白い光達の邪魔立てによって自分の手すら確認が不可能となっていた。

アルバートはその中で内側からわき出る非常に活発な衝動と振動を感じ取った。



すっかり光と溶け込み、一体化した彼の心は全てが自分そして、自分は全てであるというふうに感じ始めた次の瞬間、とても強い欲求が生まれだした。

自分は一体、何者だったかを思い出したい、と。彼と一体化した光の全てが自分が一体、何者であったかを思い出そうとした。

その欲求が強くなれば、強くなる程に光りの力は弱まり、辺りが等しく暗くなり始めた。

そして闇が強くなる早さに比例して、元々光りだったもの達が間隔を広げ離散した。

この瞬間から時間が始まったのだ。そして、今の闇の状態を調和しようとする流れが働き始めた。

散り散りになった元光達は、離散の悲しみから数秒も経たずにホームシックのような状態に駆り立てられ、手近な同胞達との一体化によってその安堵感を得ようと試みた。だが、彼らが保っていた元々の一体感を得るには、これから永遠とも思える時間の中を旅しなくてはならなかった。

そんな離散の中で、まだまだ望む形にはなれずとも、身近なもの同志による仮初めの一体感に、強烈な感動と歓喜を感じたそれらは、元々発していた光の強さとはほど遠いものの、その闇の中で一際強い光を放ち始めた。

そしてこの光は身近な同胞達を次々とその内側に誘っていった。

だが不幸にして、たったこれだけの一体感に一片の感動も覚えられぬものも事実、存在した。これらは、光を放つことなく次々とその欠乏感に任せて身近な同胞達を飽食していった。そして、これらの中にはそのどちらとも一概に言えないもの達も存在した。

差と違いが発生したのだ。この1秒にも見たぬ時間の中で、多くの概念がそれらによって生み出された。

彼らが何者だったのか、自分が何者であったかを思い出すための長い旅が始まった。

闇の中に明るいもの、暗いもの、照らし出されるもの達が散りばめられた。

ようやっとそれが、アルバートの見聞きした宇宙であることが分かった。

そして、そのちりばめられた集合体達は分子となり、宇宙空間を漂う天体へとなっていくのだ。

そのなかで、再度の一体化を果たしたものの、満ち足りることが出来ずにいた集合体の一つに、この宇宙の黎明を生起させるに至った自分達の欲求が、非常に愚かな事だったと後悔するものが現れた。

それらは歓喜に光り輝く事は決してなく、何億年もの間を過去の自分達を恨み、憎しみ続けた。

そのすさまじい程の自分達への憎悪の固執が彼らに新しい概念を与えた。

それは、「我」であった。その漠然とした概念または意識の発生から数億年過ぎたあたりに、高速で空間を突き進む他の集合体と衝突した。

その集合体は自分達と比べると、非常に体積が小さなものだった。だが、その衝撃により、自分達の表面に少なからずキズが付いてしまった。その直後に「数秒前に他の集合体との衝突が起きた」という意識が生まれた。

この時、彼らは過去を「記憶」する意識を獲得した。

このようにして永い時間を漂い続け、自分達の内外で起こった事象から多くの概念と意識を蓄積した結果、彼らは宇宙空間を漂う知性体へと進化していった。彼らは、遠い過去から彼らを苛み続けた離散を二度と犯さぬために、今度こそ普遍的な一体化を目指す事を基軸に、更にその意識を獲得、発達させていった。

彼らは今の状態を招いた、過去の欲求を正すために「この今の我」という意識を強化した。そして、多少の離散をも由々しき事態と考え始めたのだ。

だが、彼らの漂うその空間は縦横無尽に飛び回る隕石や全てを焼き尽くし、集合体の結束を弱めて遊離させる恒星が出す、引き込もうとする力、引力が働く非常に厳しい環境だった。

彼らは漂いながら学んだその知性から、隕石から身を守り、恒星の引力から解き放たれるために、およそその都合を満たす惑星に降り立つ事を決心した。

その決心が実行に移されるまでには、また数億年の時間がかかった。その間も彼らは時間を無益に過ごす事なく、意識を発達させていた。

彼らは自分達の天敵である引力を逆手に空間内を移動し続けた先で、彼らの求めた条件に適合した惑星と出会った。

そして、その惑星の引力に引き寄せられ、その星に降り立つ事となった。

だが、彼らの星への到着は慈愛に満ちてはいなかったのだ。

彼らは遠い過去、自分達の集合体に他の集合体が衝突したように、彼らもまた同様にその星の地表に叩きつけられたのだ。その衝突の衝撃により、彼らは再びいくつかの集合体に離散することとなった。

衝突を経て、惑星の地表に砕け、飛び散ったのだ。しかし、惑星の地表ではすでに引力は重力と呼び名が変わり、その殆どが宇宙空間に撥ね付けられずに済んだ。

その惑星の中で離散した集合体達は、再び一体化しようとは思わなかった。それは、あまりにも強化された「我」という意識のせいだった。

元々一個の単体であった「我」が、惑星との衝突を経て離散した結果、砕けた破片の分だけの「我」を生み出したのだ。

「元々、何かの一部であった」という意識は持たなかったようだ。それは、まるで切り落とされた人間の手が自我に目覚めたかのようだった。

その砕けた集合体達は、それぞれの落下した場所で必要に応じて惑星の空間を漂う同胞達と一体化した。一体化された同胞達も「我」という意識に感化されていった。

彼らは一体化しながらも惑星の地中に向かって体積を増やし始めた。なぜならば、その星にはおよそ大気というものがなく、地表にいては隕石の落下に晒されるからであった。「我」の強い彼らは「我の一部」のどこも失う事を嫌悪した。

だが、地中に埋まったことにより彼らは、予期しない弊害にぶつかったのだ。地中にいては、空間を漂う同胞との一体化が非常に困難になるということだった。

そこで彼らは、核心ともいうべき自分達の身体の半分を地中に埋没させ、もう半分を地表に出したのだ。これにより、例え隕石に衝突されても、地中深くの部分は「我」を失わずに済むのである。

そして、彼らは空間の同胞達を一体化させ、その体積を増やす際も大部分を地中に、一部を地表に出した。

そのような形で、着実に一体化を図っていった彼らに次なる問題が立ちはだかったのだ。

一体化を惑星という限られた領域の中で行い続けることによって、その惑星は次第に彼らで過密状態となってしまったのだ。

そんな彼らにお互いに場所を融通し合うという発想は生憎と無かったのだ、ひどく強化された「我」が他の「我」を認めようはずがなかった。   

強化されすぎた「我」という意識に「元々の同胞」であった記憶は打ち消されてしまったようだった。

彼らはまた新しい意識を獲得した。

それは相手となる他の「我」を否定することにより、自分の「我」の存在する場所を確保する事によって、自分の存在を肯定し続けるという意識だった。

事が起こったのは数万年の膠着状態の後だった。自分の身体を動かす事が出来る構造に進化させたものが、動けぬ他の「我」を地中から根こそぎ破壊し始めたのだ。

そして空きの出たその地に体積を増やしたのだ。それを目の当たりにした他の集合体達も、自分達の身体を動くことが可能な構造に変化させ、反撃に出たのだった。

互いに「我」を肯定するための争いが、この星で始まったのだ。

「我」を肯定するための争いが、彼らをまた新しい形へと進化させていった。あるものは、地中に身体のどの部分さえも埋没させることを辞め、地表を歩き回る種属となった。またあるものは、以前よりの地中から地表に一部を出すあり方を変えぬものの、身体を非常に硬化させた破壊に強い種属に、またあるものは、その殆どを地中で過ごすが、地面の下を自由に移動できる種属となった。

彼らは自分達のあり方を模索しながら、激しく争い続けた。
それは地球上の弱肉強食の生存競争とは違った、祖を同じくするもの達が結束し、祖の違うもの達と争う、氏族間の争いに似ていた。

何十億年とかけたこの争いに勝利し、残ったのは一つの種属であった。
この種属は、身体を分割するだけではなく、その意識さえも分割した種属であった。彼らは他の種属の戦い方が非常に保守的であることに気付いたのだ。

つまりは、一個体が守りながら戦っていたのである。これに気付いた彼らは、核心となる個体を守ることに専念させ、戦いに出る個体を戦いに専念させる戦術を思いついたのである。
それには、意識の改革が必要であった。彼らは、意識を「守る我」「守られる我」「戦う我」の三つに分割したのである。

この作戦は功を奏し、永きに渡ったこの戦争に勝利したのだった。

その後、彼らはこの惑星に満ちた。そして分割された意識はそれぞれに変化を見せたのだ。「守られる我」は「増える我」に、「守る我」は「考え、導く我」に、そして「戦う我」は「運ぶ我」へと変わっていったのだ。
「増える我」は「運ぶ我」から空間を漂う同胞達をもらい受け、どんどんと体積を増やしていった。「考え、導く我」は「運ぶ我」に指示を出すのだ。そして「運ぶ我」は「考え、導く我」の指示を受けて同胞達を集め、「増える我」に手渡した。

ここにこの星始まって以来の「支配構造」が生まれたのだ。

同胞を獲得し続け、体積が見る間に増えゆく「増える我」に惑星の大部分を占められるようになると、「考え、導く我」と「運ぶ我」の存在出来るスペースは非常に限られるようになってしまった。
「増える我」を縮小するわけにはいかなかった彼らは、他の星に自分達の存在できるスペースを探す事にした。彼らは「増える我」の身体の一部を切り取り、他の星へと移住したのだった。
それを何千回と繰り返してきた彼らは、現在、重篤な病にかかってしまった。


元が「自分は全てであり、全ては自分である」という基本的意識の一部分が、異常なまでに発達した「我」という意識の中で分割された「支配者」と「服従者」という立場の違う構造が、彼らをジレンマに陥れたのだ。

「服従する我」は「支配する我」に支配されることによって、「我を支配する我」、「我に服従する我」という矛盾を生み出し、その矛盾が「自分は一体何者なのだろうか?」という疑問を抱かせた。

このパラドックスによって「我」という意識は弱まり、身体が動かなくなり、さらに症状が重い場合は身体の崩壊、離散を招いたのだ。それは原初の自分達が光り輝いていた時代に、「自分は一体何者なのかを」を思い出そうとして引き起こされた悲劇の離散のように。

そしてこの病は「我」という同一の意識を持つ他の個体に、伝染病のように広がった。実際、彼らにとっては「意識の伝染病」であったのは間違いないのだろう。

そしてこれは、母惑星に置いてきた「増える我」すらも蝕んでいたのだ。

何とか「我」を保ちつづけていた個体達は、数の減りゆく自分達の現状に文字通りのアイデンティティ・クライシスを覚え、この危機を脱する手段を模索した。

彼らはこの宇宙の先に、自分達とは違った性質をもつ、違った道筋を辿って進化した種属の住まう惑星があり、どうやらその星の種属に自分達の危機を回避するための重大なヒントが隠されている事を知った。

そしてこの地球にたどり着き、アルバートの目の前に存在しているのだ。

アルバートは自分がアルバート・カナンシュタインであることを思い出した。この今の瞬間まで無限のような永い時間、それを思い出せないでいたようだった。

腕に巻き付いている時計を見た。

時計を見ている事に気付いたポゼストラブ博士は、アルバートに何が起こったかを察したらしい。
「まだ、1分も経っていない。だが、君の意識の時間は相当に長かったことだろう」とにやついた笑みをたたえながら言った。



Jerusalem

ミネルヴァ・エルヴァ4


アスランと再会する数ヶ月前のことだった。

アルバートは資料の入った鞄と共に、軍用ジープの後部座席で揺られていた。

リヴァイデ陸軍第47大隊戦闘団の基地より3時間。窓から見える外界の景色に人工物はまったく皆無となっていた。

すっかり南中した太陽の日に照らされた自分を取り巻く背景には、もはや木の一本も見つけ出す事が出来ないでいた。

赤と茶色ともつかぬ岩山が、その強大な存在でもって、眺め続けていれば意識が遠のくほどに広大な荒野の地面に限りを作っていた。

所々に転がる一抱えの岩の足下から伸びる日陰に、生涯の安住の地を見出したらしい名前の分からぬ草が、正午の度に岩の手酷い裏切りを受け続けていた。

太陽がその威光を真上から降り注ぐ時、岩は影となる闇を自身の真下に隠す契約をこの星始まって以来から取り交わしていたらしく、それを全く知る由もなかった彼は、その灼熱のために緑色を失い、今となってはすっかり疲れ果てていた。
彼の生涯もあと幾ばくか、といったところだろう。

見晴らしのいい広大なスペースに、アルバートはかえって世界の狭さを感じた。

昔彼は、航空母艦から眺めた大海原にも同じような感覚を覚えたのだ。

水平線からそびえ立つ空のせいだったのだろうか?視界を遮るものが無い所では、全てが見え過ぎるようだ。

全てがこの目で把握できた直後から、人の心は世界の狭さに圧迫されてしまうのだろう。

その証拠にビルの谷間から斜めに空を見つめた時、この一生では歩き切ることの出来ない広い世界を感じるのだ。
「そろそろ入り口に入りますぜ。」と運転席の兵士が言った。
荒野にポツリと立つコンクリートの小さな建物がアルバートにも見えてきた。その入り口とおぼしき場所には鉄のシャッターが降りていた。
シャッターの前で車が止まると、砂埃をわずかにたてながらシャッターが上へと開いた。
全て開ききるのを待たずに車は再び発進し、入り口から伸びる地下への道へと入って行った。
天井に並ぶ電灯のオレンジ色に支配されたトンネルをさらに4時間ほど走った所で、ようやく目的の国防技研第6研究所に到着した。

ジープを降りたアルバートは、マナハイムの待つ局長室へと案内された。エレベーターで階を上がり、少し歩いた所にあったドアを兵士がノックした。

「入れ」とドアの向こうから声がした。

兵士がドアを開け、アルバートを招き入れた。

「君がアルバート・カナンシュタインか」と髭の生えた顔の肥えた男が言った。彼の着ているワイシャツのくたびれ加減が、もう何日も家には帰っていないことを物語っていた。きっとこの施設には仮眠室もシャワー室も設けられているのだろう。

洗いっぱなしの整髪されていない髪と髭には既に境目は失われていた。髭を剃らないのは、もしかすると彼が厳格に教えを守っている証なのかもしれないのだが。

「はい。」アルバートは答えた。

「私がここの研究所の責任者だ。マナハイムだ。」とその男は言った。

マナハイムは手招きし、席の後ろに広がる大きな研究施設を窓越しにアルバートに見せた。

「まだ、君はここで何をさせられるかは聞いてはいまい。」

「はい。」

「ここは、見ての通り秘密の研究所だ。ここで、あらゆる兵器や装置が開発されている。」
アルバートは下の奇妙な形の機械を見た。

「あれは新型の軍用機の試作品だ。だが、君の仕事は戦闘機を作ることじゃない。」
アルバートは無言でマナハイムを見た。

マナハイムはしばらくアルバートの目を見ると、「君にはポゼストラブ博士の助手をしてもらう。君の大学時代の資料を読ませてもらった結果、それが適任と考えた。」

「ポゼストラブ博士ですか…」

「知っているのかね?」

「いいえ、存知ません。」
マナハイムはデスクの上の電話機から受話器を取り、ポゼストラブ博士にかけた。

「ポゼストラブか? ああ、マナハイムだ。助手が来た。手が空いたところで迎えに来てくれ。」
マナハイムは受話器を置くと、アルバートに向き直った。

「君にはここで、ポゼストラブと開発にあたってもらう。」
アルバートは静かに「はい」と言うと、再び下の階の奇妙な機械を眺めた。

「あれに興味があるのかね?」とマナハイムは訊いた。

「あれについて、私には知る必要があると判断なさいますか?」
とアルバートは聞き返した。

「その答えは時間のみが知るところだろう。」とマナハイムは答えた。
ドアの向こうでノックするものがいた。

「ポゼストラブです。」ドアの向こうから変わった訛り言葉が聞こえてきた。

「入れ。」その言葉と共にドアが開いた。

部屋に入ってきたのは、片手に杖をつき、サングラスをかけた中年の男だった。

「彼が、新しい所員ですな。」ポゼストラブはにやついた顔で、アルバートに近づいてきた。

サングラス越しにまじまじと顔を見つめると、「利発そうな青年ですな。きっとプロジェクトも更に効率化が進むことでしょう。あくまでも、可能性として…」

マナハイムは、「彼を任せる」と言った。

「承知いたしました。では早速、案内すると致しましょう。何せ仕事が山積していますので」

ポゼストラブはアルバートに手招きすると、「ついてきなさい。今日は非常に重要なフェーズを迎えている。興奮の日となるであろう。」
と言った。

アルバートは終始にやついた顔の風変わりなポゼストラブに連れられ、局長室を後にした。



アルバートはポゼストラブと共に先ほど乗ってきたエレベーターに再び乗った。

「仕事の説明の前に、見せておく必要がある」
とエレベーターの中で突然、ポゼストラブは言った。

彼はエレベーターのボタンを押した。

エレベーターはアルバートが最初にいたフロアよりもさらに下のフロアへと下がった。

「人間の心には慣性というものがある。私は…そのように考えている。」

ポゼストラブのその言葉にアルバートは戸惑いながら「はい」と言った。

「君は手始めに、会わなくてはならないモノがある。」

「はい。」

エレベーターが止まり、2人は渡り廊下へと出た。

「君は神を信ずるかね?」

「この目で確かめられぬもの安易には信じられません。」

「そうかね。石が石であることをどのようにして証明するべきだろうか?」

「分かりません。」

渡り廊下を進み、2人はドアの前にさしかかった。

ポゼストラブはドアの横のキーロックにカードキーを滑り込ませた。

そのドアが開くと、そこには数人の人影が見えた。アルバートはよく目をこらした。

「さあ、入り給え」ポゼストラブに促されるままにアルバートはその部屋へと入った。

「彼らはミッショナリーだ。」ポゼストラブはそう言った。

部屋の中の人影が段々とはっきりしてきた瞬間、アルバートの心は凍り付いた。

彼がミッショナリーと呼ぶそれらは、手足と首が異常に細くて長く、そして全身に縦横無尽に溝のような模様が入っていた。その目は大きく、頭部には4本の触手のような器官が生えていた。

アルバートは金縛りのように体中が堅くなりながらも、目だけをゆっくりと、そして何かを用心するかのように動かして、彼らを見た。

どうやら、角と見紛うその触手は人類で言うところの手の役割を果たしていたようだ。彼らにも腕があり、その先には手に相当する部位を持っていたのだが、その頭部の触手と半々の割合で使っていた。

大体の手に持って歩けるほどの大きさの物は、頭部の触手で取って運んでいた。

その中の1人とアルバートは目が合った。

アルバートの脈拍は急に上がり、手足がこわばった。呼吸数も増えてきた。

ポゼストラブはアルバートの背中や肩を叩きながら、
「無理からぬことだ。彼らを前にして極限の恐怖を感じるのは、人間の古くからの本能なのだよ。」と言った。

そして「元来、人間はそのように出来ているし、特に我々はそのように創られたのだ。」と付け加えた。




移民の歌

ミネルヴァエルヴァ3

報告を終えたアスランが部屋へと入ってきた。
「新人君に俺の昔話か…俺の伝記でも書かせるつもりか?」とボッシュに言った。

ボッシュは振り返り、「今日の戦果はどうでした?」と聞いた。

「地上部隊が残骸とパイロットの死体を回収したそうだ。後日、脱走犯の関係者に事情を聞くそうだ。ま、仕事上の重圧による過度のストレスにより、精神に異常をきたした、とでもいうのだろうな。」

「ま、定石ですな。」

そこにサイモンが「あのう…」と差し挟んだ。

「なんだサイモン。」

「気になることがあるんです。」

「気にしちゃあいけない。」

「いや、でも…」

「フー・ファイターを撃墜出来たのは、あれはまぐれだった。ただで撃ち落とされるよりはと…」


「そうじゃないんです。今日の脱走兵です。」

「同志を撃つには心が痛んだか?」

「いえ、あの人が言っていたことです。人が沢山死ぬって…」

アスランとボッシュは顔を見合わせた。
「ああいうことは、しょっちゅうあることだ。」とボッシュが言った。

「ここにいると、否応無しに今日みたいな奴らに遭遇することになる。」とアスランが言った。

「はい。ですが、国が国民を殺そうとしているって…ちょっと、気になって。」

「そんなのは知れたことだ。よく考えてみろ。根本的に俺らは何者だ?」

「空軍です。リヴァイデ合衆国の空軍です。」



「じゃあ、俺らは国の何だ?」

「国の兵士です。」

「そうだ。俺らはお国に死にに行けと言われれば、死ににいかなくてはならない。異論は許されない。敵前逃亡は銃殺だ。お国は俺らを戦場に駆り出し続け、自分の命が続く限り仲間は死んでいく。しかも、俺らは生まれついての兵士でも何でも無い。兵士のなり手は国民から集められる。軍に直接関係しなくっても同じだ。政治屋どもは大企業の犬になって、貧困なんてレベルじゃなく死活問題にまで国民を追い詰めまくっている。今更、何も驚くことじゃあないしこれからもそうだ。」

サイモンは無言になった。

「まあ、お前さんが何を志して軍に入ったかは分からないし、聞こうとも思わない。だが、まだ若いお前さんには言っておくぞ。いいか、今日みたいなことはこれからもあるし、俺らがその国民の頭の上に爆弾を落とすことだって考えられる。命令があればお前は産婦人科をナパーム攻撃だってしなきゃならねえ。例え、そこにお前のカノジョがいようとな。生きた英雄なんていやしない。金と力だけが正義なんだ。他に聞きたいことは?」

「脱走兵が言っていたことは、本当でしょうか?」

「確かな証拠をこの目で見たわけではないが、概ねそうだと言っておこう。何、こんなことは昔からやってきているぜ。今に始まったことじゃない。」

「そうだったんですか!?」

「ああ、一つ一つ挙げだしたらキリがねえぜ。それに…」

「それに?」

「さっきも司令室で報告のついでに言われたことがある。」

「何ですか?」

アスランはジャンプスーツのチャックを下げた。
「まあ、後で正式に大佐から話しがあると思うがな。ここにいない奴らはともかくとして、先にお前らに話しておこう。」

ボッシュは頷いた。

「シーズンの到来だぞ。ゼルバムとの戦争だ。宗主国のフェンティが出て行って、ゼルバムは北と南に分裂状態だ。北はヴァルツ連邦と成王国の勢力下だ。リヴァイデは南側に付く。今、情報屋達と悪巧み組があれやこれや具体的な案を考え中だ。いつ始まるかはその内、分かるだろう。知れたことだが、この部隊にも何人か死人が出るかもしれん。始まるまでに旨いモン食って、女とやりまくっておけ。以上だ。」

キースが笑いながら「ここにいなかった奴らは、ゼルバムでマスをかきまくることだろうぜ」と言って部屋を出た。

ボッシュは腕時計を見ると、「さて、帰るとするか…」と言って席を立った。



アスランは行きつけのバーのカウンターで、ウォッカの入ったタンブラーを片手に情報局の人間達が、自分達に何をやらせるつもりなのかと考えていた。

フェンティの植民地であったゼルバムは、独立のためにヴァルツ連邦そして成王国からの武器の支援を受け、フェンティを相手に紛争を起こした。

息もつかせぬゲリラ作戦、捨て身の人海戦術により宗主国のフェンティを追い出したのだ。

ヴァルツ連邦と成王国の影響によりゼルバム全土が共産主義国家となることを憂慮したリヴァイデ合衆国は、ゼルバムの共産化に反対する南側の勢力を支援した。

その結果、ゼルバムは、北を共産主義国家のゼルバム民主共和国に、そして南を親リヴァイデ、親フェンティの反共産主義国家のゼルバム共和国に二分されてしまったのだ。

今この二つの国は硬直状態にあった。ここにリヴァイデが軍事介入をしようとしていた。

アスランはタンブラーの中身を飲み干すと、カウンターの向こうの店員に「もう一つくれ。」と言った。

頬杖をつきながらカウンターの向こうに並ぶ、色とりどりのラベルそしてガラスに光が白々と反射するボトルを眺めながら、自分達に下される命令が果たしてどのようなものなのかを考えようとした。

「お待ちどう様ね。いつも無愛想な顔してるけれど、今日はちょっと違うみたいね。」
といって店員がウォッカの入ったタンブラーを置いた。

「そうかい?シンディー」

「ええ、いつもと違って、元気がなさそうな無愛想な顔をしているわね。」

アスランは、ウォッカを一口飲むと「そんな無愛想に見えるかい?」と聞いた。

「そうねえ。いつも恐い顔をしているわね。生まれつきなのかしら?」

「そうかい」と言った続けざまに「俺は見た目は恐いかもしれないが、心は…」

「心は?」

「もっと恐いぜ。」

シンディーは一瞬きょとんとし、しばらくアスランの顔を見ると笑い出した。

「人の顔みて笑うとはな。失礼だぜ。」

「そうね。でも、心は人相に現れるのかしらね。よく本をカバーで選ぶなというけれど、中身とカバーがほぼ同じこともあるわ。」

「まあな。カバーだけが立派で中身が下らないってこともあるもんだぜ。」

「外見を着飾っておかないと手にとってもらえないものよ。」

「俺はね。しがない兵隊でね。手にとって貰えるほどにきらびやかだと、狙い撃ちされちまうんだよ。」

「あら、それならあなたの飛行機、ピンク色に塗ったらどうかしら?イルミネーションも付ければバッチリ目立って、いい囮になれると思うわよ。」

「そんな悪趣味な飛行機じゃあ、かえって敵も気味悪がるぜ」とアスランの後ろから声がした。

アスランの視線の先にスーツ姿の男が立っていた。「久々だな。」とその男は親しげに近寄ってきた。
その男が数歩近づいた所で、アスランはその男を思い出した。

「アルバート!!」

その男の正体は、海軍時代の友人であったアルバート・カナンシュタインだった。彼はアスランと同期の飛行部隊隊員であったが、工科大学時代の成績や研究実績が軍の上層部の目に留まり海軍国防技術研究所へと転属したのだった。アスランとは数年ぶりの再会であった。

アスランは古い友人との再会の喜びと、どうして彼が自分の居場所を知っていたのか不思議に思った。今の自分は、少なくとも今の部隊に所属している内は、軍の名簿には載っていない存在のはずだったからだ。

「アルバートお前、よく俺が…」

「何、偶然だよ。たまたま用があってお前の基地に寄ってね。私もまさか、お前がいるとは思ってもみなかったよ。廊下を歩いていたらお前が部屋から出るのを見かけてね。お前ときたら、脇目も振らずにスタスタと歩いていってしまうものだから、呼び止めようにも呼び止められなかったよ。」

「どうしてここに?」

「第六感さ…と言いたいところだが、大佐に聞いたのさ。」

「大佐が?お前に?」

「まあさ、言いたい事は分かってるよ。でも、いいじゃないか。そんなことは。お姉さん、私にそこのダークラムをくれ。友達にも一杯くれ」

シンディーは棚からダークラムのボトルを取り出した。

「お姉さん、そこのテーブルにいるよ。」
とアルバートは言うとアスランと共にカウンターを離れ、奥のテーブル席に座った。

「大佐がお前に俺のことを教えたのか?」

「まあね。欲しい情報を欲しいままに手に入れられる。今の私の特権って所さ。」

「情報局にでも入ったのか?」

「いいや。違うさ。国防技研からはどこにも異動はしてないよ。転属したての時よりはいくらか出世はしたがね。」

シンディーが2人の飲み物を持ってやってきた。

「ああ、ありがとう、お姉さん。心配しないで。すぐに彼をお返しするからね。」

「ふふ、どういたしまして。私は待てる女だけれど、こんなに恐い顔が隣にいたら悪夢しか見ないわね。お気になさらずに…」とシンディーは笑った。

アスランは何か言い返そうかと思ったが、口を開くよりも速くシンディーは踵を返した。タイミングを失った彼は、カウンターへと戻っていく彼女の背中を見つめるばかりであった。

「空では飛行機の尻を追い、地上では女の尻に夢中か。全くのワーカーホリックぶりだね。その暇のなさには、最早敬服に値するね。」

アスランはそれにはあえて何も言わずにグラスに口を付けた。

「変わりがなさそうで何よりだよ。」

「そうだな…。お前が空母を下りて…色々あったよ。」

「いくつかは噂に聞いたよ。」

「そうかい?しかし、懐かしいな。どうだ?結婚はしたか?」

「いや、まだだよ。」

「そうだよな。その顔じゃあ無理もないわな。」

「忙しくてね。なかなか出会いの機会もなくてさ。顔のことなら、心配ないさ。毎朝うっとり鏡で見ているよ。」
しばし、アルバートとアスランは昔の思い出話に耽った。ふたりのグラスの中身が無くなったあたりで、アルバートはシンディーが真面目に自分の仕事に勤しんでいるのを確認したうえで真剣な表情でアスランに向いた。

「チェスのポーンは知っているよな。」

「ああ。何だ急に?」

「ポーンはプロモーションできる。」

「まあ、ルール上はな。時と場合によるってのが現実だな。」

「そう。だが、そんな中でもポーンはビショップにもナイトにもルークにもクィーンにもなり得る。だが、キングにはなれない。」

アスランは空になったタンブラーを眺め、静かに「そうだな」と言った。

「誰がそう決めたのか?それはゲームを画策した奴がそう決めただけだ。」

「まあな。俺はそのルールに則るとサインをした覚えはないがな…急になんだよ?」

「そのチェスのルールはこの現実の社会そのものだよ。この世界にもちゃんとキングはいる。そして、このキングには誰にもなれないルールがある。勿論、私もね。」

「ああ、少なくともお前は王様って器じゃあないな…」
アルバートはしばらく黙ると、再びアスランの目を見た。

「基地に寄ったのは、とある計画のためだった。優秀なパイロット達を探していた。だが、お前と会ったのは本当に偶然だった…」

「そうか…。その計画はあれか? 今日俺が撃ち落とした脱走兵のか?」

「あれは私とは関係のない計画だ。」

「そうか。正直、お前を訝しんでいた。てっきり、お前はあの脱走兵の後始末に基地に来たのかとな。俺だってこの数年間、温室にいたわけじゃあない。お前らがどんな事しているかの一つや二つは聞かなくとも、少しは想像出来るつもりだしな。」

「まあ、お前が考えていることの殆どは当たっているかな。全部に私が関与しているわけじゃあないけれどね。」

「んで?何か言いたい事があるなら言いな。ないなら、再会そして思い出話の一日だったということにしておくぜ。」

「そうありたかったがな…」
アスランはタバコに火をつけた。一吸いごとに、胸の中身が固まっていく感覚を覚えた。身体が自然と、これから聞かされる何かに対して覚悟という鎧をまとい始めているようだった。

「優秀なパイロットを探してはいるが、誰を選ぶかの権限までは私にはない。私は候補を集めてくるだけだ。だが、これだけは聞いてほしい。バードストライクには気を付けろ。特に大きな鳥にはな…。大きな鳥を見かけたら、すぐに回避しろ。私が言えるのはこれだけだ。いいかバードのストライクに注意しろよ。」

アルバートは席を立ち、カウンターでアスランの飲み代も含めて支払いを済ませると、足早にバーを出ていった。
飛行機に鳥が衝突する事故という意味のバードストライクという彼の言葉に、アスランはどうもすっきりしない気分のまま席に取り残された。


sweet dreams

M2の本日の洞窟

またまた、しつこいほどに描いている。

段々と何かが見え始めたぞ。

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悪魔を憐れむ歌 その6

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悪魔を憐れむ歌 その7

これでも聞いてくれ
Breathe

M2ヌコ

はたまたご注文いただいたので、ヌコの絵を描いた。

ま、こんな感じだ。フォービズムというのを参考にしてみた。

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M2の心の闇を垣間見る

また、描いてみたが まだまだ 本丸の姿が見えてこないな。

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悪魔を憐れむ歌 その5

この歌でも聞いてくれ
The End

M2の深い深い洞窟

またまた、描いてみた。

どうにも、これぞってなモノにはどうにもたどりつけないな。

な~んか、全然恐くないし、俺自身 不快な何かを感じ取れない…

ちょいと、しつこく描く必要があるなあ と感じている今現在、

もしかしたら、俺が悪魔に魅入られているのだろうか?

とにかく、俺は まあ 奴を追いかけ回して そして 後一歩の所で

取り逃がしている感じだな。

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悪魔を憐れむ歌 その4

こいつを聞きながらどうぞ
Magic and Ecstasy

M2の暗闇洞窟

また昨日も同じテーマの絵を描いた。

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悪魔を憐れむ歌 その3
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moz84

Author:moz84
Screamerと牛頭鬼八です。岩手県に生まれ、とりあえず生きてます。

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