世界中の戦闘機が集まり、盛岡の上空で空中戦を繰り広げる 今年の東北ロックオン祭
ではない。
六魂祭なのだ。
とりあえず、今日はMOZ84のお仕事も おやしみ なので、ヨタヨタと歩いて祭りを見に行った。
まあ、MOZ84のバヤイは、祭りの出し物よりも人だかりだとかそういうものを見に行くの。
お小遣いがないから、屋台の横に立って、焼きソバの匂いをかいだり まあ、そんな感じだ。
写真をとるのには金はかからない。だから、写真をとってきた。これはチャグチャグ馬っこ だ。
これは馬に装飾を施して道を歩かせる祭りだ。決して、馬のミラノ・コレクションやパリコレではない。
MOZ84が幼い時は馬の数も随分と多かったものだが、年々馬の数は減っているようだ。残念ならが、昔のような盛大さは失いつつあるのが否めない。
このチャグチャグ馬っこには、MOZ84は苦い過去がある。小学生の時だった。まあ、この馬のパレードを沿道にいて見ていたの。そしたら、馬の上に同じ位の歳の女の子が乗っていて、俺に手を振ってくれた。
さあ、情熱に火のついた幼き日のMOZ84はその子の名前を聞こうと、その子が乗る馬の横をテクテクと追いかけていた。女の子もまた気がついて、今度は俺に微笑みかける。すっかり、鼻の下を伸ばしたMOZ84はデレデレしながらその女の子ばかりを見ながら歩いた結果、道に飛び出ていた「キャンデーさん」という飲み屋の看板に頭を打ったのだ。
目からウロコ じゃなくて 火花を散らせた俺は、結局 その女の子とはぐれ、腫れ上がった頭を手で押さえるばかりであった。
これは 岩手県の城跡。まあ、岩手公園である。昔、南部城が建っていたらしい。現代となっては南部城といえば、この界隈では如何わしいサービスを提供する店のことをいう。注意されたし。
まあ、この人だかりである。さんさ祭りだってこんなに人は集まらないであろう。出店や的屋もあったが、なかなかの長い行列を作っている。これでは、ジュースもなかなか買えんぞって、そうだった…MOZ84の財布はアラビアの砂漠となりなん であった。
懐にアラビアの灼熱の砂漠を抱える男、MOZ84は岩手公園を出ると繁華街の中央部へ
なにかの串焼きなんかを出している屋台の横で、お金がないから匂いを嗅いでいた。
若いカップル達が楽しそうに歩いていく。MOZ84は若いアベックを眺めるのが大好きである。何か、こう燦然と光り輝いて見えるようなそんな気がするのだ。
警備なんかしていてもそうだ。よく、MOZ84の前を下校の高校生カップルが歩いていくのをよく見かける。それだけでも、今日はいいものを見たなあという気分になる。MOZ84は死んだら、若いカップルがよく行き交う道の地蔵にでもなりたいね。
それと、お客の呼び込みをしている若い売り子の声なんかも聞いていた。祭りの出し物よりも、MOZ84はこっちのほうがよっぽど好きだ。はつらつとしたエネルギーすら感じる。
「冷たいビールは、いかがですかああああ!!!!!」うんうん
「焼きたての焼き鳥はいかがですかああああ!!!!」ほうほう
「冷たいビールは、いかがですかああああ!!!! 聖書の言葉を~ お伝えします~」うん!?
なんと、若い男二人組みの某宗教の勧誘員が、出店の並ぶ 道のど真ん中で何やらおっぱじめた。パフォーマンスのつもりか?
一人は「罪を正しく裁く」というプラカードを持ち、もう一人は背中にスピーカーを背負って、
「聖書の~ 言葉を~ お伝えしますううう」というアレを流していた。
う~む。別に信心熱心なのはいいが、これってどうよ? しかも、道のど真ん中で。
なんだか警官とその二人のお若いのが、もめている様子だった。うん、空気読めなかったかあ。
でも、警察としてはどのように注意するんだろうなあ。だって、うるさくしているのは何も彼らだけではないし、
内容的にダメってのは「言論の自由」の侵害って言われかねない。車は通行止めにしているから、そこまでの交通の妨げにもなっていない。
他にも「黙示録は近づいた」とかのプラカードを持っている連中もいた。まあ、これは不謹慎だと思ったよ。
なにせ、これは「震災」あっての「六魂祭」だよ。死んだ人たちや被災者が「黙示録」ばりの悲惨な目にあったが故のことなんだぜ。
別にそれ以外の時と場所なら、そういうプラカード引っさげていいだろう。まあ、MOZ84自身も「黙示録は近づいた」って言葉は好きなんだが、俺だって時と場合はわきまえるぜ。
神の名の元に、何でも許されるわけではあるまい?
まあ、警察ともめてた聖書スピーカー小僧達も、熱心な信者だろからなあ。きっと自分たちはキリストの弟子、まあ信者であり、福音を慎み深く守ってるのだから、世代を超えた弟子には変わりないのだが、それと警察はその信仰を妨げるローマ軍といったところかね。
まあ、別にいいか。俺自身は、実害を被ったワケでもないし、彼らににだって自由はある。
だが、そんな彼らに相応しい、キリストの言葉がある。「彼らは何をしているのか分からないのです。」ってなトコだな。
まあ、熱くなったし 金もねえから小一時間ばかりして帰ることにした。メイン・イベントが始まったら、雑踏こそ混雑する。
さて、帰り道、流れってのは逆らいようもない場合ってのがあるもんで、前と後ろ そして左右横の歩行者のペースの通り歩くはめになった。強引にそこから抜ける手もあったのだが、こういう場合は流れに身を任せたほうがいい
と、思った俺が甘かったのだ… 急に前の人間が足を止めた。まあ、しばらくすればまた歩き出すだろう。なんて、考えていたら、なんとMOZ84は流れに身を委ねたばっかりに、知らないうちに「お好み焼き」の屋台の行列に並んでしまっていたのだ。自分の知らぬところでこんな事になろうとは…
抜けたい… 金が無い… 断る苦労をする前に抜けたい… 金が無い… 「金が無いので、出直します。」なんて恥をかきたくない… どうする…
緊張のあまり、喉が乾く。ジュースがほしい。でも、金が無い… これ以上、恥の上塗りなんて… 金が無い…
暑さとはまた違った、汗が吹き出す。
ふと、わきを見ると抜けられそうな道が、俺は人と人の間隔をぬって、抜け出ることに成功した。
あとは、また帰り道を若いカップル達をサングラス越しに眺めながら、歩いて帰宅した、ときたもんだ。