人口減少「無策」の10年「政治の責任だ」 増田元総務相
「警鐘」は結局、生かされなかった――。人口減少で日本の市区町村の約半数が2040年までに「消滅」する可能性があるとした増田寛也元総務相(現日本郵政社長)による「増田リポート」の公表から10年。足元では出生率低下が一層進み、人手不足で社会がきしむ。増田氏は毎日新聞のインタビューで「政府に本気で取り組む覚悟が欠けていた」と厳しく指摘。国の地方創生のあり方を見直すべき時期にきていると強調した。【聞き手・横田愛、原田啓之】
――23年末に国の研究機関が公表した地域別将来推計人口では、今後も東京一極集中がより深刻化する見通しが示されました。政府が「地方創生」を始めて10年。政策の評価は。
◆政策が十分な効果を上げなかったことが、今回の推計結果に厳然と出てきていると思います。
データから見えるのは地域の二極化です。東北北部の3県(青森、秋田、岩手)などで人口減少が一層加速する一方、おそらく外国人増加の影響でしょうが、予想ほど減りが大きくない自治体もある。日本全体で地域の分断、分裂がより進むことが懸念されます。
――何が足りなかったのでしょうか。
◆人口減少の要因は、出生数が死亡数を下回る「自然減」と、ある地域で転出が転入を上回る「社会減」に分けて考える必要があります。このうち社会減に当たる、若年人口の地域からの流出に対する取り組みが不十分で、当事者に対策が届かなかったことが、今の状況を招いています。
政府は地方での仕事づくりに取り組み、就業率は全体として上がりましたが、中身を見ると女性や高齢者は非正規が多く、正規雇用の拡大は十分ではありません。
男性は一度東京に出ても、30代ぐらいで故郷に戻るケースが結構ありますが、女性は一度出るとほとんど戻らない。東京に出た女性へのアンケートから浮かび上がるのは…
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