1958年リリース(57年録音)、
サルサ界の王者ティト・プエンテ楽団最大のヒット・アルバムです!いや~
とにかく陽気なラテン・ダンス・ミュージック、聴いているだけで体が動いてしまいます( ゚∀゚)アハハ!ループする打楽器陣を聴いているだけで体が動いてきて、管楽器隊のトゥッティで踊り始めて、モントゥーノで気持ちがホッコリして…こんなの、嫌でも気分が良くなってしまいますってば。
楽団はラテン・ビッグバンド編成で、リード・ヴォーカル1にコーラス2、ラテン・パーカッション隊4(ティト・プエンテは主にティンバレス)、ピアノ、ベース、そしてトランペット7にサックス4 でした。でかい。
打楽器群やピアノはループに近く、これが踊りたくなる独特のグルーヴを生み出していました。ジャズでいうテーマ部分は管楽器隊のソリやトゥッティで出来ていて、これに対置されているのがコーラス・パート。歌はメイン・ヴォーカルの独唱だったりコーラスだったり、双方のモントゥーノだったり。これらの間にソリストの見せ場を作ってある曲もあって、それはティト・プエンテ本人のヴィブラフォン、ピアノ、トランペットなど。ソリストの見せ場がある場合でもダンス・ミュージックである事を相当に意識しているようで、ジャズみたいにソリストのスタンドプレーを堪能するというより、あくまで主役は踊っているお客さん、みたいに感じました。いやあ、徹してますねぇ。。
そしてとにかくラテン系のダンス・ナンバーのオンパレード!でも
ご陽気なラテンのダンス・チューン満載というだけでなく、リズムひとつをとっても多様。ラテン音楽ってリズムを基準に名前が変わってくるじゃないですか。ルンバもハバネラもマンボも、リズムで名前がついてます。このアルバム、マンボでもチャチャチャでも何でもありで、バラードはムード歌謡的なものが1曲だけ(「Estoy Siempre Junto a Ti」)、短調も2曲ぐらいあっただけで(「Hong Kong Mambo」と「Agua Limpia Todo」ぐらい…でもマイナーのダンスチューンって、独特の雰囲気があっていいですね^^)あとはみんな長調。
テンポはどの曲もbpm120~180ぐらい、スローナンバーなんてありません。かようにして同じものオンパレードと感じてもおかしくないはずなのに、曲によってリズムを変えてくるから、イケイケでグイグイ来るのに飽きないんですよね。う~ん、ご陽気C調だからといって考えてないわけではないんですよね、むしろ考え抜かれてると言ってもいいぐらい。
このアルバムの
作曲は12曲中7曲がティト・プエンテで、編曲も(クレジットを信じるなら)ティト・プエンテでした。ティト・プエンテって、ラテン音楽のうえにティンバレス奏者、マチートの楽団の打楽器奏者のトラに入ったのがプロデビューのきっかけという事もあって、あくまでプレーヤーであって、こと作編曲面では誰かに任せていた…な~んて思っちゃうじゃないですか。ジャズの
アート・ブレイキーやエルヴィン・ジョーンズという打楽器奏者のリーダー・グループがそうであるように。ところが
プエンテおじさんって、ジュリアード音楽院で指揮やオーケストレーションを専攻した人なんですよね。そこまで難しいヴォイシングを使っているわけではないにせよ、それでも管アレンジ出来るだけでも僕は尊敬しちゃいます。移調楽器のアンサンブル・スコアを書くだけでもけっこううんざりですから。。ご陽気ラテン音楽の打楽器奏者だからといって舐めちゃいけない、やってる仕事は見事にプロでした。
ペレス・プラード楽団もそうでしたが、こういう陽気なラテン音楽って、本当に気分がスカッとして最高です!若い頃は「ご陽気」という事自体がすでに許せなかったんですが、いやいや明るくあるってすごく重要だと思います。気分が下がっている時にあげていくって、なかなか大変な事だと思いませんか?合衆国や中米のヒスパニック系の人たちの生活が楽天的なはずがありません。中米なんて世界最大の犯罪地域で死者が絶えないし、合衆国でもマイノリティです。それを明るく物事を考えるのって、ある種の宗教だと思うんですよね。同じように厳しい世界はロシアなんかもそうですが、あっちの方ってけっこうシリアスに考えちゃって、たしか世界最大の自殺大国ってリトアニアとかあのへんでしたよね。明るくいるってそれぐらい重要。
ティト・プエンテ楽団の50年代は、躍動感は60年代以上。特にサンタナのあの曲にこだわりがないようでしたら、最初に聴くティト・プエンテ楽団の音楽なら、間違いなくこれ一択じゃないかと!…あ、サンタナが好きで入った人はちょっと違うか(^^;)>。
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