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心に残った音楽♪

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書籍『松田優作、語る』 山口猛 編

MatsudaYasaku Kataru かつて雑誌や新聞に掲載された松田優作のインタビューを集めた本です。77年『人間の証明』から88年『華の乱』にかけてのインタビューでした…が、テレビドラマ版『探偵物語』の時期のインタビューはありませんでした。僕、探偵物語の章があったのでこの本を買ったんですが、なんとそれは映画版『探偵物語』の方でした。「良く見て買わないといけない」って、じいちゃんがあれほど言っていたのに。

 まったく外連味がなく、インタビューにこれでもかというほど正直に答えていた事が、実に印象に残りました。ほら、映画やテレビドラマにまつわるインタビューが多いと思うので、その宣伝が入ったり、あるいはどこかで自分を良く見せようとした受け答えをしそうなものじゃないですか。そういうのがまったくないんですよね、驚きました。そして、その映画や芝居に対する誠実な態度に、ちょっと心打たれてしまいました。

 そして、なんだろう…常に考えて悩んで、ストイックで、という人なんだと思いました。昔は、松田優作さんって、熱血漢ではあるだろうけど勢いや情熱だけでやってる部分の強い人だと思っていたんですよね。ところが、まあとにかく色んな事を考える、映画や芝居の勉強は深い、実は脚本やシノプシスも手掛けていたなどなど、驚くほどに勤勉な人でした。デビューした時にはもう、映画に一生を捧げる覚悟の決まっていた人なんだと思いました。口で言うのは簡単ですが、その道にすべてを捧げる覚悟って、そんなに簡単に出来るものじゃないですものね。

 こういう色んな記事を集めた本って権利者がバラバラだろうから、編集や出版社の方の労力って凄いんじゃないかなあ。よくやってくれました!あとは、テレビドラマ版『探偵物語』のインタビュー記事さえ載っていてくれたら…もしかして、そういうものってそもそもないのかなあ。

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書籍『松田優作全集』 編・松田美由紀

MatsudaYusakuZenshuu.jpg 松田優作夫人の松田美由紀さんが編纂した、松田優作の本です。松田優作が出演した映画やテレビドラマの宣材写真、新聞や雑誌の記事、そして松田勇作さん本人の書き込みがある台本に書きこんだ台本などで構成された、写真集のような作りでした。この台本への書込み資料が、奥さんや家族じゃないと用意出来ない史料価値あるものなので、ここが売りになっている本だと思います。

 装丁とデザインが素晴らしい!デザイナーさんだけで5人の人が関わって作った本みたいですが、気合いの入り方が凄かったです。これはいいものだ。
 そして、松田優作さん直筆の原稿や台本への書き込みが感涙ものでした。セリフなんて、台本の見開き2ページにわたって全部消し線入れて書き直しているものまでありました。あと、TVドラマ版「探偵物語」の次週予告、優作さん本人が考えて綿密に作ってたことが分かって驚きました。その時のノリでペラペラしゃべってるんじゃなかったんだな、すごい俳優魂です。
 あと、要所で山口猛さんという方が紹介文を挟んでるんですが、これが素晴らしかったです。デビュー時から、テーマごとに簡潔にまとめているんですが、これがただのファンやライターでは到底書けないような裏側も知り尽くした人の書いたもののようで、読んでいて「ああなるほど」と思わされました。どういう人なのかと思ったら、状況劇場の研究生になったり唐十郎監督作品の助監督やったりもした、映画評論家さんらしいです。優作さんと同じ1949年生まれでしたし、もしかすると優作さんとは売れない頃からの役者仲間だったのかな…。

 が…この本、さっき書いたように写真集的な作り方なので、内容より見栄え重視って感じなんですよね。この本でないと見れないものと言ったら松田優作さん直筆の原稿ですが、これじゃチラ見せされておあずけ食わされてるみたいで、欲求不満です。デザインより内容を重視して欲しかったなあ。。

 というわけで、僕的には、松田優作が俳優としてどういう風に脚本をいじっていったのかが分かる貴重な資料でした。こういう資料があるなら、見栄えに走るよりもっと資料を見せて欲しかったです。松田優作さん直筆の書き込みがある台本をみんな出版するとか、そういうのしてくれる出版社はないかなあ…。

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小説『探偵物語』 小鷹信光

TanteiMonogatari_KodakaNobumitsu.jpg 松田優作が主演し、1979年から80年にかけて放送されたTVドラマ「探偵物語」と兄弟のような小説です。原作ではないのは、テレビドラマが企画された時に、海外ハードボイルド小説の翻訳を多くしていた小鷹信光さんが色々とアイデアを出した原案者というだけで、この小説が元になったわけではないから。結局、その企画会議的なものから、テレビドラマ版とこの小説版のふたつの探偵物語が生まれたわけですね。僕が読んだのは79年に徳間書店が発行した新書サイズの本でした。

 テレビドラマ版の探偵物語がコメディとハードボイルドを折衷したものだったのに比べて、小説版は徹底してハードボイルドでした。読む前は、テレビドラマのようにいくつものエピソードが入ってるオムニバスかと思ってましたが、なんとひとつの事件で一冊という本格派、しかも文体が本当にチャンドラーやハメットみたいな硬質さ。「朝一番の電話に愛想よく応えられるほど、俺は商売熱心じゃない」みたいな感じで、これは栗〇薫や赤〇次郎の書いた雰囲気探偵ものとはレベルが違うと思いました。さすがハードボイルド小説の翻訳を手掛けてきた人は違いますね、実際に本物を日本語で表現してきた人なんだから…。

 事件は女子高生の誘拐をきっかけに二転三転するもので、最初は狂言誘拐だったはずが…と来ると、テレビ版の第1話「聖女が街にやって来た」や12話「誘拐」を思い出します。1話はこの小説のアイデア出しから来た可能性が高そうですが、でも途中からぜんぜん違いました。親にレイプされるとか、その親が実の親ではなかったとか、とにかくハードなんですよ!本当の犯人が誰なのか、犯行に絡んだ人たちの動機が何だったのか、さんざん張り巡らせたこういう伏線が見事に解き明かされていく終盤は、「推理小説を書ける人って、どういう頭の構造してるんだろうな」と思ってしまいました。先に事件の概要を組み立てて、逆算して伏せていくのかな…あ、そうやれば書けるか。

 テレビドラマ版のひな型になっただけあって、設定に共通するものがあったのは、テレビ版のファンとしては嬉しかったです。ナンシーとかおりも出てくるし、このふたりが探偵さんに色目を使ったり、探偵事務所に勝手に出入りするのも同じ。テレビ版では純レギュラーだった倍賞美津子演じる相木政子も登場、しかも小説版では工藤ちゃんと肉体関係にありました(^^;)。服部さんや松本刑事も出てきましたが、松本さんだけは名前が松木さんになってました。
 そして探偵さん、かつてはサンフランシスコの特捜警察官で、この時に犯人に向かって銃を撃てなかった事が尾を引いて、日本で探偵をする事になったという設定でした。この設定、テレビ版では一度も語られませんでしたが、松田優作がそれを芝居の中で醸し出すシーンがいくつかあったんですよね。つまり企画段階から深く関わっていたという事かな…

 というわけで、なかなか良く出来たハードボイルドな推理小説でした。僕は「得るものが少ないな」と思って、ある時期から小説というものを読まなくなっちゃったんですが、たまに読むと面白いですね。視覚情報のある映画じゃなく、文字だけでイメージを作る事も、文字ならではの表現を出来る所もいいなあ。

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小説『幻魔大戦』 『真幻魔大戦』 平井和正

Shin GenmaTaisen_1 80年代初頭に起きた空前のアニメ映画ブームの中で、ひときわ異彩を放っていたのが、角川映画『幻魔大戦』でした。ガンダム宇宙戦艦ヤマトより、かなり大人びた作品に感じたんですよね。それで何となく興味を持ったところで小説がある事に気づき、読んだのがこのふたつの小説でした。

 『幻魔大戦』と『真幻魔大戦』はどちらも20巻ほどの長編小説で、ふたつはパラレルワールド的な関係にある…のかな?『幻魔大戦』が未完に終わったため、つじつま合わせのためにそうなったんじゃないかと。同じなのは長さだけでなく、最後が未完で終わるのも同じでした( ;∀;)。

 どちらも最初の5巻ぐらいは面白かったです。『幻魔大戦』で言うと、不気味な事件が起きて、主人公の少年が自分の超能力に目覚めて、宇宙を滅ぼしていく巨大な力の存在を知って…みたいな所までは本当に面白かったです。『真幻魔大戦』も、ヨーロッパの小国の女王が航空事故に遭って、なんだか『幻魔大戦』での出来事を経験している主人公が生きるパラレルワールドみたいな展開になって、みたいな序盤は引きこまれるものがありました。ところが途中から変な信仰宗教みたいな話になって、主人公は物語に出て来なくなっちゃって、次々に時代が飛んで、あげくの果てに未完…やめてくれ。

 途中からはクソつまらないのに、結末が知りたくて頑張って読んだのに、最後まで書かずに執筆を放り出された読者のこの気持ちはどこにぶつけたらいいんでしょうか。小説なんて交響曲の作曲なんかと同じで、風呂敷を広げて期待させるだけなら、素人だっていくらでも出来そうじゃないですか。それをどうまとめ上げるかというところにプロの技があると思うんですよね。それを何度も未完を繰り返すのは、技術としても責任感としてもプロじゃないと思います。

 ちなみに、幻魔大戦って、元々は平井和正さんと石森章太郎さんの共作漫画で、ふたつの小説版はそのリライトと続編のふたつを兼ねたようなものだったらしいです。僕は大元のコミックを読んでませんが、なんとそれも未完なんだとか。幻魔大戦から、大人だからと言って信用できるとは限らない事を学ばされたのでした。

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映画『THE 有頂天ホテル』

UchoutenHotel.jpg 2006年公開の邦画です。『鎌田行進曲』のように、舞台作品を映像化したような映画でした。コメディ映画で最後に感動する作りで、大みそかの夜、あるホテルに居合わせた人々の人生が交錯する…みたいな。

 三谷幸喜さんが台本を書いた作品なので、高級料理ではなく大衆料理である事は大前提。その範囲でなかなか面白かったです。これはお世辞や忖度ぬきにそう感じました。ただ、ドラえもん映画を観るようなもので、自分の意識を一段下げないと楽しめないとも感じました。ドラえもんだって楽しいじゃないですか。でも「これは子供向けだから」って、ある程度許す覚悟で観ないと…そんな感じ。

 例えば、ひょんなことから顔を白塗りしたホテルのオーナーがカメラに映り込むとか、ホテルの仕事をやめて田舎に帰ろうとしたベルボーイが思いとどまるとか、笑うより先に「ここで笑わせたいんだな」「ここで感動させたいんだな」と思ってしまうんですよね。でも白塗りした顔で笑いを取りに行くセンスなんて古臭いにもほどがあると感じてしまったし、田舎に帰ろうとしていた青年が思いとどまる下りだって、その筋自体がかなりダサいわけで、それをダサく感じさせないようにするのが演出なんじゃないの、みたいな。ひとりの観客としての僕としては自然に「そうだよな」と思いたいんだけど、「ああ、ここで感動させたいのか」とか思ってしまってる時点で映画の中に没頭はしてなくて、一歩も二歩も引いて観てしまってるという事ですもんね。セリフだけで作ったドラマというか、掘り下げが浅いというか、こういうところが一流料理じゃなくてコンビニ弁当的に感じてしまう理由と思いました。

 でも、最上さえ求めなければ、ドラえもんだってすごく面白いし、コンビニ弁当だっておいしいじゃないですか。個人的に好きなのは、ほんの1~2秒のシーンだけど最後のYOUさんが歌うシーンで踊っている戸田恵子さんの楽しそうな所、役所広司の元妻役の原田美枝子さんの品のある感じ、役所広司さんの叫び声の素っ頓狂さなど、すごく良かった所も色々ありました。最初からコンビニ弁当だと思って観れば、なかなか楽しいコメディ映画じゃないかと。

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プロフィール

Bach Bach

Author:Bach Bach
狭いながらも居心地のいい宿で、奥さんとペット数匹と仲良く暮らしている音楽好きです。若いころに音楽を学びましたが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたレコード/CDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。趣味で書いている程度のものですが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば嬉しく思います(ノ^-^)ノ

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ロシアとウクライナがほぼ戦争状態に入りましたが、僕はソ連解体後のウクライナについて本当に無知…。これは2016年にオリバー・ストーン監督が作ったウクライナのドキュメンタリー映画。日本語字幕版が出たらぜひ観たい このブログをYoutube にアップしようか迷い中。するなら作業効率としては早いほど良いんですよね。。その時にはVOICEROIDに話してもらおうかと思ってるけど、誰の声がいいのか考え中
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