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心に残った音楽♪

おすすめCDの紹介のほか、本や映画の感想などを (*^ー゜)v

 

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『山口百恵 / ゴールデン☆ベスト コンプリート・シングル・コレクション』

YamaguchiMomoe_GoldenBest_CompleteSingleCollection.jpg 1970年代の女性アイドル歌手の筆頭、山口百恵さんのシングルを網羅した2枚組ベスト盤です。1973年に百恵さんがデビューした時、僕は一応生まれてはいましたが、有名なシリーズものTVドラマ(赤いシリーズ)も、三浦友和さんと共演し続けたアイドル映画も、まったく見てません…2~3歳ですからね(^^;)。リアルタイムで意識し始めたのは、76年のシングル曲「横須賀ストーリー」から。曲がキャッチーだし、なによりドリフのコントでよく使われてましたし(^^)。以降は引退するまで、ずっとリアルタイムを経験していました。西城秀樹さんと山口百恵さんは、歌番組とあらば必ず出ているぐらいのスーパー・アイドルでした。

 シングル曲が順に並んでるこのベスト盤を聴いて真っ先に気づいたことがあります。14歳のデビューから数年は、「あなたに私の一番大切なものをあげるわ」とか「あなたとなら怖くない」とか、とにかく処女を捧げたくて仕方がない詞のオンパレードなのです(^^)。同時に、「あなたの思うようにします」的な男尊女卑の封建的な世界観も目立って感じました。そういう路線という事でしょうが、曲も無個性だし、下世話だし、なによりよくこんな詞を歌う事を親が許したもんだな、と(^^;)。

 面白くなってきたのは76年「横須賀ストーリー」からで、それがはっきりした個性として感じられたのは77年「イミテーション・ゴールド」。このへんからの作詞作曲はほぼ阿木燿子&宇崎竜童コンビで、僕にとっての百恵さんのイメージって、完全にこのふたりの曲です。このあたりになると、キャラが処女を棄てたい女の子ではなく、イケてるクール・ビューティーなキャラになってました。百恵さんって、実の父親が別の家庭を持っている人だったらしいので、実際にも影あるキャラだったのかも知れませんね。
 南沙織さんや天地真理さんあたりから始まる日本の女性アイドルの歴史は、清純派で明るいキャラが王道。その中で、こういう影あるクール・ビューティー路線のアイドルは百恵さんが最初だったのかも。直系で中森明菜さん…そうそう、歌だけ聴いていると「あれ?中森明菜そっくりだな」と思ったりする曲もありました。ちなみに、僕のクール・ビューティー人生初体験は、『魔女っ娘メグちゃん』のノンです。
 そんな阿木燿子&宇崎竜童の最高傑作と感じたのが、79年「美・サイレント」。アレンジャーの萩田光雄さんや、プレーヤーも素晴らしく、歌唱力もデビュー時とは比較にならないほど表現力で、普通に聴いていて楽しかったです。

 百恵さんを聴くには10年は若すぎた世代の僕ですが、それでも印象に強く残っています。70年代女性アイドルで強い印象が残っているのは、、他にはキャンディーズとピンク・レディー。80年に三浦友和さんと結婚する時にスパッと芸能界を引退したその潔さといい、カッコいいお姉さんでした。


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『森昌子 / ゴールデン☆ベスト』

MoriMasako_Golden Best 70年代にデビューした「花の中3トリオ」の中で、子供のころは良さが分からなかったけれど、大人になってから飛びぬけて好きになったのが森昌子さんでした。若いころは、あのモンチッチみたいなヘアースタイルがね(^^;)。これはそんな森さんのベスト盤2枚組です!

 森さんって、13歳のときにオーディション番組『スター誕生!』で抜群の得票を得て、レコード会社や芸能プロダクションから引く手あまたの状態となったそうです。なぜあんなモンチッチに日本の歌謡界全体が飛びついたのか…その理由は、このCDを聴いてすぐ分かりました。歌うめえええ!!「どんぐりっ子」なんて、詞も曲もなんとも思わないのに、声の美しさと歌唱力だけで耳を奪われてしまいました。森さんって美空ひばりに気に入られて、直々に美空さんの家でレッスンを受けさせて貰えたと言いますが、美空ひばりよりうまいじゃん…。歌唱力だけで言えば、中3トリオどころか、当時の演歌歌手を含めてここまで歌えた人は少なかったんじゃないかと。『スター誕生!』からデビューした女性シンガーでは、森昌子さんと岩崎宏美さんは別格と思います。

 森さんの音楽は演歌前と演歌後に分かれると思うんですが、デビューしてしばらくのシングル曲にはひとつの共通項がありました。短調である事、敬語である事、そして何度も初恋をする事(^^)。なるほど、これが中3でデビューした歌のうまい女の子のタレント・イメージだったんでしょうね。敬語である事は、なるほど森さんの曲を聴かせる対象が年長者だったんでしょう。「せんせい」は教師への恋で「白樺日記」はお兄さんへの恋ですし、当時はまだまだ男性優位で年功序列の社会構造、しかも歌謡曲を聴くのが今みたいに若い人だけじゃなくて幅広かったから、女の子が歌うなら敬語の方が良かったのかも。同世代に聴かせるなら、また違ったんででょう。

MoriMasako_Ettoutsubame.jpeg そして、声が大人になったタイミングで、曲想がポップ演歌から演歌へと変わりました。演歌に移行したばかりの頃は、自分の声や言葉、歌い回しに迷っているかのように聴こえました。器用そうだから色んな歌い方がありえたんだろうけど、その中でどうするかを決めきれないというか、どういう歌い方をしても森昌子じゃなくて誰かの真似に聴こえるというか。演歌をやるには藤圭子八代亜紀みたいな個性や感動やパンチがない、みたいな。
 そんな中で、森さんの演歌へのアプローチがはっきりしたように思えたのが、81年「哀しみ本線日本海」。ここからが歌手としては全盛期で、82年「立待岬」、83年「越冬つばめ」、84年「ほお紅」、86年「ありがとう〜雛ものがたり〜」など、多少詞や曲がつまらなくても歌唱力で持っていってしまうものが多数。よくテレビで見かけた70年代より、あまり見なくなった80年代の方が素晴らしかったです。
 ただ、80年で残念なのは、歌と伴奏が無関係のチャート演歌のいいかげんな制作の悲しさ…フロントが強いんだから、ピアノ伴奏やスモールコンボのような演奏表現を表に出しやすい編成にして、しっかりと演奏を創り上げたほうが素晴らしい音楽になったんじゃないかなあ。うまいのにカラオケなんですよね…まあこれは森さん限らずで、演歌全般に感じる事です。
 森進一さんと結婚した87年以降はシングルが出なくなり、復帰した2006年以降のシングルは、いい曲はあるものの、もうあの歌唱力は失われて…ミュージシャンって、途中でやめたらアウトなんですよね、3日さぼったらアウトな世界ですから。

 歌唱力は抜群。でも歌い方が素直で人柄も良さそうなだけに個性が弱く、演歌を歌うにはインパクトが足りなかったのかも知れません。ほら、演歌って詞も曲も似ているから、歌手に「この人なら本当に痴情のもつれで人を殺すかもしれない」ぐらい思わせるものがないと、単なるのど自慢になりがちじゃないですか。70~80年代という世相にこの歌唱力を生かすなら、岩崎宏美さんみたいにポップス方面に振っていたらどうだったのかな、と思ったりもしました。間違いなく世代を代表する歌唱力を持っていた人だと思います。


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『The Drifters / The Drifters Golden Hits』

Drifters Golden Hits 1968年発表、ドリフターズのヒット曲を収めたアルバムです。このベスト盤を聴くと、ドリフターズのリードヴォーカルがコロコロと交代していくのがよく分かりました。そして代わるたびに少しずつチャート音楽に、そして白人音楽に近づいていくという (^^)。色んなところにそれを感じるんですが、とくにそう感じたのは管弦のアレンジ。弦アレンジって、白人がマジョリティのアメリカでは白人の仕事で、黒人だとある時代まではクインシー・ジョーンズぐらいしかやらせてもらえなかったといいますしね。これだけメンバーが変わるという事は、ドリフターズって、ネーミングライセンスを持っている人がメンバー以外にいたグループなのかも知れません。

 でも、よりポップになったり、白人音楽に近づいたから悪いかというと、それはそれでまた良い音楽だと思うのがこのグループの面白いところでした。ほら、僕は、ライトニン・ホプキンスがエレキギター持ったり、ハービー・ハンコックがファンクやったりすると「売りに走ったな」「軟弱になったな」と感じてしまうタイプなんですが、ドリフターズはそうは感じなかったんですよね。AからBに変わったけどAもBもいい、みたいな。

 それって何なんだろうかと思ったら、もしかしたらゴスペルのポップス化みたいなことをやっていた初期だって、根っこにあったのはユートピア思想や楽園音楽志向のような傾向のもので、音楽自体の形を変えてもイデア自体は動いていないと感じるのかも知れません。その象徴がこのアルバムにも入っていた「This Magic Moment」。この曲って、公民権が確立していなかったアフリカンアメリカンにとってつらい時代に作られた曲なのに、生活の中にあるわずかな幸福な所だけを見て讃美しているように感じるんですよね。それだけ、「音楽を聴いている間だけでも幸せでいて欲しい」と思っているように聴こえました。だってこの後の黒人音楽は、ジミヘンもスライも楽観主義では収まらず、綺麗ごとじゃないところに突き進んでいきましたから。


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『The Drifters / Save The Last Dance For Me』

Drifters_Save the last dance for me 1962年発表、「スタンド・バイ・ミー」のヒットで知られるベン・E・キングがリードヴォーカルとして在籍していた時期のドリフターズのアルバムです。「ラストダンスは私に」「I Count the Tears」といった有名曲がこのアルバムに収録されている事もあり、深入りする前の僕がイメージしていたドリフターズはまさにこの時期でした。

 このへんに来ると、チャート・ミュージックとなった黒人コーラスグループのフォーマットが完成しているように感じました。たしかに3コースぐらいのコーラスがいるんですが、ゴスペル色は薄れて(でも女性コーラスの入った曲やアップライトピアノの使い方にちょっとだけ名残を感じました)、以降現在まで続く黒人ポピュラーのコーラズのベースが完成している、みたいな。モータウン系のコーラスグループも、ドリフターズやプラターズの作ったものをベースにしたようにも聴こえますしね。

 プラターズとの差は、ストリングスをあまり使わないので(まったく使わないわけではないです)、ドリフターズの方が作り物感が薄いというか、泥臭く感じる事。プラターズってすごくいいけど、白人の作編曲に聴こえちゃうときがあって、僕はそこにポップス/オールディーズ色を感じます。でも泥臭さの残るドリフターズは、オールディーズ以上に黒人音楽という面を強く感じました

 このアルバムを聴くまでは、ドリフターズって「曲をあてがわれて歌うだけの、白人が作った黒人音楽マーケット向けの音楽」と思っていました。ところがいざクライド・マクファター期とベン・E・キング期の音楽を聴いてみるに、黒人音楽である事を強く意識して作っていたのかも知れなません。シングル曲でないものほどそうなので、アルバムを聴かなかったらこうは感じなかったんじゃないかなあ。アメリカのルーツ・ミュージックが産業化する瞬間の音楽、すごくよかったです。


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『Clyde McPhatter & The Drifters』

Clyde McPhatter and The Drifters ポップスのヒットチャートに出てくるオールディーズの黒人コーラスグループといえば、プラターズのほかにドリフターズが思い浮かびます。
 ドリフターズといえば、「スタンド・バイ・ミー」を歌ったベン・E・キングがリードヴォーカルで、「ディス・マジック・モーメント」とか「ラストダンスは私に」をヒットさせたグループと認識していたもんで、プラターズと似たりよったりのポップなコーラスグループと思ってたんですよ。ところがこのグループ、そんな一筋縄でいくグループではありませんでした。僕にブラック・ミュージックを色々と教えてくれた同僚Kが、「ドリフターズと言ったら普通はクライド・マクファター期でしょう」とかいうんですよ!そもそもクライド・マクファターって誰だよ…僕は「え?何それおいしいの?」ぐらいのチンプンカンプン状態だったわけですが、するとKが貸してくれたのがこのアルバムでした。

 オリジナルのリリースは1956年ですが、クライド・マクファターがドリフターズに在籍したのは1955年までだったので、それまでに発表されたシングルなどを集めたアルバムなのかも。ドリフターズはもともとはクライド・マクファターのリード・ヴォーカルを支えるグループとして結成されたそうで、だからこのレコードは「クライド・マクファター&ザ・ドリフターズ」という名称なんですね。なるほど、同僚Kの言葉「ドリフターズと言えばマクファター期」の意味が分かった気がしました。新日と言えば猪木、巨人と言えば長嶋、みたいなもんですね。

 ちょっと驚いたのは音楽。まず、録音がセルジオ・メンデスやルイ・アームストロングみたいに、まるでSP盤みたいなレトロな音。僕が貸してもらったレコードのカッティングがそうだっただけかも知れませんが、このレトロな音もあって、フィフティーズのチャートを賑わすことになる黒人コーラスグループの音楽というより、そのルーツを聴いた思いがしました。「あ、なるほど、フィフティーズの黒人コーラス・グループの音楽って、ゴスペルやスピリチャルのチャートミュージック化したのがスタートだったんだな」みたいな。実際にどうだったのかは知りませんが、コーラスがファルセットでヴィブラートを入れるとか、随所にゴスペルっぽさが残ってるんですよ。

 クライド・マクファター期のドリフターズと言えば、このアルバムにも入っている「Money Honey」や「Honey Love」あたりが比較的知られた曲ですが、そういう曲を単発で聴くだけだと「ああ、古き良きポップなフィフティーズだな」ぐらいにしか感じませんでした。ところがアルバムを通して聴いていると、ゴスペルという生活に密着した音楽と、ラジオなんかでも聴いて楽しめる音楽に発展させようとした過程を目の当たりにしているようで、すごく良かったです。ベン・E・キング期のヒット曲がドリフターズだと思っていた僕には、ルーツ・ミュージックの良さも感じられた素晴らしい体験でした。う~ん、これはいい。。


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『The Platters / Sincerely』

The Platters Sincerely というわけで、オリジナルの「オンリー・ユー」や「煙が目にしみる」を聴くためだけに追加買いしたプラターズのCDが、マーキュリー原盤のこのベスト盤でした。

 おおー、「オンリー・ユー」も「煙が目にしみる」も「夕陽に赤い帆」も、あの有名なバージョンでした!レコード会社をまたいで長く活動しているグループのベスト盤って、自社原盤でない曲は再録する事があるので、オリジナルを聴きたいときは注意が必要なんですよね。オリジナル発表時期と同じレコード会社がリリースしたベスト盤ならだいたい大丈夫ですが。僕は同じ失敗をチャック・ベリーペレス・プラード、果ては中森明菜でもしていたというのに、同じ手に何度も引っかかってるなあ。というわけで、ギターのストロークで始まるあの「オンリー・ユー」を聴きたい方は、このCDを買えば間違いないです!

 ところが…あら、オリジナルがこんなに音質が悪いとは思いませんでした。音質だけでなくアレンジもちょっと素人っぽくて、弦アレンジも再録したものの方がカウンターをきちんと取れていて完成度が高いな、な~んて思ったり。ついでに、このベスト盤には「グレート・プリテンダー」も「ハーバー・ライト」も「マイ・プレイヤー」も入ってないです。う~む。。
 というわけで、「オンリー・ユー」以下、知っているあのアレンジで聴きたいので、このCDを手放す事はないんですが、録音やアレンジのいい他のベスト盤も手放せない状態。エルヴィス・プレスリーやエディ・コクランあたりもそうですが、シングルでの発表が主流だったフィフティーズの音源のコレクションって、なかなか一筋縄でいかないもんですね(^^;)>。


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『The Platters / The Greatest Hits 20』

The Platters The Greatest Hits 20 名曲「オンリーユー」は子どもの頃から知っていたのですが、歌っているのがプラターズというコーラス・グループだと知ったのは、中学生の頃にテレビで観た物まねが最初…ビジーフォー、最高に面白かったなあ(^^)。以降、「煙が目にしみる」「マイ・プレイヤー」「ハーバーライツ」という名曲を知るたびに「これもプラターズなのか」と驚かされ、とうとう買ったのがこのベスト盤でした。

 おお~やっぱりいいなあ。すごくいい。あれ?でもなんか違うぞ?「オンリー・ユー」のイントロにギターがいないし、弦アレンジもこんなだったっけ?…これ、どうやら何曲かは再録されたもので、有名な原盤とは違うアレンジでした(^^;)。明らかに違うと感じたのは、「オンリー・ユー」「煙が目にしみる」「夕陽に赤い帆」…50年代にヒットした曲は違う録音なのかも知れません。でも、知っているバージョンよりアレンジが良いものもあって(「オンリー・ユー」の弦アレンジなんて、こっちのほうが絶対いい)捨てがたかったんですけど、でもオリジナルを聴きたかったなあ。

 他にこのベスト盤で面白かったのは、60年代に入ってからのプラターズの曲がいっぱい入っていた事でした。僕は50年代のヒット曲しか知らなかったもんで、「オンリー・ユー」や「煙が目にしみる」みたいに弦中心のオケでムーディーなコーラス・グループというイメージだったんですよね。ところが60年代に入ると弦はなくなり、R&Bとソウルの間ぐらいの音楽。プラターズがこんな音楽をやるなんてビックリでしたが、、これはこれでけっこうカッコよかったです。

 というわけで、面白い所もいっぱいあったベスト盤でしたが、やっぱりオリジナルの「オンリー・ユー」や「夕陽に赤い帆」を聴きたいぞ…というわけで、僕はプラターズの別のベスト盤にも手を指すことになりまして…その話はまた次回!


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久々に『武満徹 Toru Takemitsu: Works for Flute and Guitar』を聴きました

Toru Takemitsu_Works for Flute and Guitar 久々に、武満徹さんのフルートとギターの作品集を収録した、思い出のCDを聴きました。演奏家はどちらもおそらくフィンランドの人で、僕はこの人たちのことをこのCDでしか聴いたことがありません。

 なにせ昔に感動しまくって聴きまくったCD、やっぱり感じるところがいっぱいありました。同時に、昔とはまた違う案じ方をした点も。僕の中で武満さんへの信仰が少しずつ薄れて、冷静になっている部分があるのかも。で、一生懸命感想を書いたんですが、なんとこのCDの感想、過去にも書いてたんですね(^^;)>。いつかやるとは思ってましたが、とうとうやってしまいました。

http://cdcollector.blog.fc2.com/blog-entry-37.html

 でもせっかく書いたし、昔書いた事とは変わってきた部分について、昔の記事に追記してみました。でもかつて愛した音楽ですから、別れた恋人に会ったような気分。お互いくたびれてきて、粗が見えてきたにしても、好きだった気持ちはいつまでも忘れないものですね(^^)。何かの参考にでもなりましたら。


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『武満徹:作品集 小澤征爾指揮、サイトウ・キネン・オーケストラ』

TakemituToru_Sakuhinshu_OzawaSeiji_SaitoKinenOrch.png 小澤征爾&サイトウキネンによる武満徹作品集、CD2枚組です。1989~96年に録音されたものが収録されていて、もしかすると既存CDの再編集盤かも。僕がこのCDに手を出したのはあまり録音されてこなかった曲がたくさん入っていたからでした。でも、セールスのことも考えてか、「ノーヴェンバー・ステップス」や「弦楽のためのレクイエム」といった代表作もちゃっかり入れてあったりして。ユニヴァーサルめ、商売人だな…収録曲は以下の通り。

・セレモニアル(オーケストラと笙のための)
・系図―若い人たちのための音楽詩(英語版)
・マイ・ウェイ・オブ・ライフ
・エア
・ノーヴェンバー・ステップス
・ア・ストリング・アラウンド・オータム
・弦楽のためのレクイエム

 すでにほかの録音で聴いた曲は飛ばして、このCDではじめて聴いた曲だけ備忘録を残しておこう、そうしよう。

 「セレモニアル」は笙とオーケストラのための作品。1992年作で、もうこのへんに来ると普通に調整の海でノーマルな音楽をやっている感じ。晩年の武満さんの音楽はつまらないものが多い気が…

 「系図」は谷川俊太郎の詩に音楽をつけたもの。なんだか普通の劇伴といった感じで、武満徹ともあろうものがこんな事しちゃいけない…な~んて、武満さんはもともと映画音楽の作曲を大量にしていた劇伴作曲家だったんですよね(^^;)。でも若い事に作った映画音楽の方が挑戦がいっぱいあって良かったなあ。そうそう、詩の朗読がマイクを使っていたのもちょっと嫌でした。

 「マイ・ウェイ・オブ・ライフ」は90年作。これも詞がついた音楽でしたが、これは朗読ではなくちゃんと歌っていました。サウンドはラヴェル『ダフニスとクロエ』のよう。詩は田村隆一作で、「気は空に向かって歩いているのだ」と自然賛歌的。きっと死を前にして、命について考えながら書いた曲じゃないかと思いました。そしてその想念は非常に肯定的で、だからこういう美しく明るい色彩にしたんじゃないかと。

 「ア・ストリング・アラウンド・オータム」は89年作。やっぱりラヴェルやドビュッシーのような印象派的なサウンド。武満さんって響きのカラーリングが音楽の命と思っていた人だと思いますが、初期と晩年の違いは、初期はけっこう厳しいサウンドで、晩年は美しいというか柔らかいというか、そういう変化を感じます。肯定感や美しさへの傾斜自体はそうあっていい事と思いますが、この曲なんかもちょっと印象派のエピゴーネン的というか、しかもそのエピゴーネンが劇音楽のための職業作曲的に聴こえてしまいました。。

 そして録音です。いやあ、小澤征爾&サイトウキネンではバルトーク『青髭公の城』で恐ろしいほどの美しい音と録音にぶったまげた事がありましたが、このCDも見事でした!音が命の武満さんの音楽にとって、これは最高。武満さんの音楽を聴くならまずは70年代までの名作を片っ端から聴くべきだと思うので、これはファーストチョイスにはふさわしくないかも知れませんが、80年代以降の普通な調整へ回帰して以降の武満さんの管弦楽曲を聴きたいなら、これは決して多くない選択肢のひとつ。ファンなら聴かないわけにいかないのでしょうね。なんてったって僕がそうでしたし(^^;)>。


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『武満徹:管弦楽曲集 パーヴォ・ヤルヴィ指揮N響、諏訪内晶子』

TakemitsuToru_Kangengakkyokushuu_Paavo Jarvi 武満徹さんの管弦楽曲集です。昔、若杉弘/東京都交響楽団の「弦楽のためのレクイエム」が入ったCDを持ってたんですけど、手放しちゃったんですよね(^^;)>。最近「弦楽のためのレクイエム」をアナリーゼする必要が生まれまして、どうせ買い直すなら自分の手元にない曲が少しでも多く入ってるCDがいいと思い、このCDを選びました。武満さんの管弦楽曲では岩城宏之&N響のあのライブに大変な感銘を受けたことがあるし、その経験があるN響の武満さんなら間違いないとも思いまして(^^)。収録曲は以下の通りでした。

 ・弦楽のためのレクイエム
 ・ノスタルジア-アンドレイ・タルコフスキーの追憶に-
 ・ハウ・スロー・ザ・ウィンド
 ・遠い呼び声の彼方へ!
 ・ア・ウェイ・ア・ローンⅡ
 
 「弦楽のためのレクイエム」は57年作で、武満さん初の大編成による曲。ストラヴィンスキーが絶賛したことで芸術音楽作曲家としての武満さんの出世作となりました。いやー久々に聴きましたが響きがすさまじいです、響きこそ武満さんですね(^^)。でも不思議なことに、自分で簡単にアナリーゼしてみると、これだけ深みのある色彩をしているのに使われている音は少ないんですよね。主題なんて、ファ、ミ♭、ファ♯、シ、レ♯、みたいな感じでしたし。隣接音が複雑なサウンドを出すのと、インターバルの不明瞭なところが墨絵のような深いけど貧しくもあるという不思議な色彩感を生んでるのかも。

 残りの作品はすべて80年代以降の作品で、作風がややシンプルになっていました。半音階的な初期に対して、80年代以降はモード的、みたいな。でも楽式は初期の方がしっかりしているというか、後期は茫洋と感じてしまいました(^^;)。響きも初期の方が良かったし、構造もゆるいので、自分が作曲する時の和声イメージのサンプル集、みたいに思ってしまった(^^;)。「ノスタルジア」も「遠い呼び声の彼方へ!」も若い頃にはじめて聴いた時には感動したのに、人間変わるもんだなあ。

 それにしても、このCDは音がめっちゃくちゃ良かったです!なんでもDSDレコーディングだそうです。他の録音でDSDを聴いた時には「なんだ、やたら簡素な響きで好きじゃないなあ」な~んて思ったんですが、もしかするとホールで中域が膨らんだような豊かな響きを録音すると素晴らしい事になるのかも。でもDSDって編集やイコライジングをする事すら簡単ではないそうなので、ノーミスなんて当たり前、みたいなプレイヤーじゃないと難しいのかも。


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『武満徹:In an Autumn Garden 宮内庁式部職楽部、鶴田錦史(琵琶)、横山勝也(尺八)』

TakemitsuToru_In Autumn Garden_TsurutaKinsi 武満徹さん作曲の邦楽器を使った作品集です。

 ・雅楽《秋庭歌》
 ・三面の琵琶のための《旅》
 ・《秋》抄
 ・《ノヴェンバー・ステップス》から十段
 ・蝕(エクリプス)

 「秋庭歌」は雅楽という事でしたが、中間部のミニマルというかヘテロフォニーというか、いくつかの笛がそれぞれの短いフラグメンツを重ねていく所が独創的と言えば独創的でした。ただ、スケールも全体としては雅楽のおごそかなリズムとムードを尊重しているようで、「ノーヴェンバー・ステップス」みたいな過激さは感じませんでした。

 「」。三面の琵琶とはいっても演奏は三面とも鶴田錦史で、先にふたつの琵琶を録音、それに合わせて琵琶を演奏するというものでした。解説には「新しい試みが色々」みたいに書かれていましたが、琵琶楽にうとい僕にはすごくトラディショナルな音楽に聴こえました(^^;)>。途中で声が出てきたところは「おっ」と思いましたが、曲は派手に展開するところもなく、演奏も渋くマッタリ。

 「」「エクリプス」「ノヴェンバー・ステップス十段」。これは尺八(琴古流?)と薩摩琵琶のデュオでした。錦心流の琵琶奏者の人にきいたことがあるのですが、なんでも横山勝也さんと鶴田錦史さんはデュオで武満さんの曲をコンサートで演奏する時に、アドリブで演奏しまくって、武満さんから嫌な顔をされたんだそうで(^^;)。これらの曲の楽譜がどうなってるのか分かりませんが、ノヴェンバー・ステップスはかなりカデンツァらしいです。この3曲も特にモダンな事をしているようには聴こえなかったので、もしかするとコンポジションというよりコンセプト作曲で、あとはプレイヤーにお任せなのかも知れません。

 戦後、70年代ごろまでの日本の現代音楽と純邦楽界は、現音は日本人が作曲する事についてを考え、純邦楽は時代についていくために新作を欲しがったので、相思相愛。黛敏郎さんをはじめ、名作や意欲作が色々と生まれました。でも、モダン化を目指すのではなく、こういうほとんど純邦楽のテリトリーな作曲もいっぱいあったんでしょうね。僕にはちょっと渋すぎた内容でした(^^;)。武満さんの邦楽器を使った作曲だと、映画音楽の方が生き生きとしていて面白かったなあ。


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コミック『1000年女王』 松本零士

1000nenJoou_4.jpg 松本零士の代表作といったら銀河鉄道999宇宙戦艦ヤマトでしょうが、SF作品としての質は「1000年女王」のほうが高いと感じます。というわけで、999に胸を熱くした経験がある人は、このコミックは絶対に読むべし!アニメは…テレビシリーズも映画も見てないので分かりません(^^;)。銀河鉄道999があれだけ当たったのに次回作がヒットしないんだから、興業の世界って難しいですね。。

 町工場が事故で大破、その家のひとり息子だった雨森少年は、とある美女に助けられる。ラーメン屋に育てられたこの美女の正体は、太古から1000年おきに地球に派遣される1000年女王のひとり。遊星ラーメタルは1000年おきに地球に接近し、カンブリア紀の大爆発や氷河期など、地球に大きな影響を与え続ける。そして、次の接近が迫った地球は…

 銀河鉄道999の爆発的ヒットもあって、同じ松本零地士作品の1000年女王は、TVアニメ化も映画化もされました。でも、僕は飛びつかなかったんですよね。理由は、999人気の便乗作品にも思えたし、なにより1000年女王のヒロインが999の悪役だったもんで、感情移入しにくいと思っていたのです。ところが大人になってから読んでビックリ、999のような一話完結ではなく、コミック全巻でひとつの話だったのです。しかも、999のようにあとからつじつまを合わせたような穴だらけの物語でなく、構想が見事…まあ、細かく言えば色々あるんでしょうが、そんな事はまったく気にならないほどによく出来た話で、大傑作と言って過言ではないSFスペクタクル作品だったのです!

 壮大なスケールの話ですが、色々な所にユーモアを挟んであり、重すぎる話にしていません。シリアスにしても面白かったんでしょうが、それを避けたのは作者の本格SF小説へのリスペクトもあったのかも。「これを本格作品として発表するのは、本物のSF作品に申し訳ない」という作者の照れに思えました。こうして重い話にしなかった所が、僕的にはナイスでした。壮大なんだけど、あくまで楽しめる作品…みたいな。文庫だと全3巻で、面白すぎて一気に読んでしまいました!

 その昔、SF小説が一世を風靡し、次にSF映画が大流行。これらの影響を受けて日本でSFアニメや漫画が数多く生まれましたが、初期の日本のSF漫画って、漫画ではなくSF小説や映画を元にしているからか、壮大で完成度の高いものが多いと感じます。これも間違いなくそのひとつ。松本零士の最高傑作と思います!


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コミック『ミステリー・イヴ』 松本零士


Mystery Eve 「銀河鉄道999」で一世を風靡した松本零士さんの漫画です。舞台は70年代の日本(?)、安アパートに住んでいる飄々とした男が主人公。そんな彼の元に美人の宇宙人が舞い込んできて、彼女は別の宇宙人たちと争っている、みたいな意味不明の設定でした(^^)。

 僕が子供のころ、近所に「どさんこ」というラーメン屋さんがありまして、カウンターの下の荷物置きのところに週刊漫画雑誌がいっぱい置いてありました。で、ラーメンが来るまでの間に適当な漫画を取って読み始め、食べ終わったら読むのをやめてさよなら、みたいな。床屋もそんな感じでしたね。つまり僕の中で、漫画というのは「最初から最後まできちんと読むもの」ではなく、「暇つぶしに読み捨てるもの」と思ってるところがあります。
 この漫画はまさに「読み捨てるための週刊漫画」という感じで、要するにメーテルみたいなルックスの金髪美女が貧乏青年の家に転がり込んできて、ちょっとエッチな寸劇を展開してればいいんだと思いました。それだけで十分、特に深いものは何もない、みたいな。普段色々と大変な仕事やら何やらをしてると、漫画まで手が混んでいると気の休まる暇がないので、こういう読み捨てるだけの漫画っていうのもいいものだ、と思ったりして (^^)。

 松本零士さんは、「宇宙戦艦ヤマト」と「銀河鉄道999」がなかったら、この漫画の主人公みたいに、狭いアパートでうらぶれて暮らしている人になっていたかも知れません。実際そうしていた期間も長くあったのでしょうしね。でもそういう貧乏を気に病むでもなく飄々と楽しんでいる感じがこの漫画にはありました。それが70年代の日本の大学生や新社会人の文化っぽくて、懐かしくもありほほえましくもあり、よかったです(^^)。


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コミック『闇夜の鴉の物語』 松本零士

Yamiyo no karasu no monogatari 宇宙戦艦ヤマト銀河鉄道999で有名な松本零士さんの短編集です。僕は、コミックでも小説でも、けっこう短編ものが好きです。漫画週刊誌に長期連載の作品だと、人気が出ると不必要に引き延ばしたり、逆に人気がないといい所で突然打ち切りになったりするので、作家が思ったベストの状態の作品にならない事が多い気がするんです。でも短編ならそういう事はないので、作家の実力のままの作品が読めている気になれるんですよね。。

 999やヤマトで松本零士さんの作品を知った身からすると、霊が登場する話だったり、日常のちょっとした事件を描いた話だったりとバラエティに富んでいて、少年向けSF一辺倒ではなくて驚きました。僕はブコウスキーやアーヴィングなどなど、海外の短編小説を集中的に読んだ時期があるのですが、そういう文学的な香りのする作品すらありました。アダルト描写も相当なもので、「4つの瞳」という作品なんて、どう見てもメーテルなキャラが、どう見ても鉄郎なキャラにフ〇ラチオしてますし(^^)。文学性とアダルトさの同居した所は、手塚治虫さんの短編に通じるところもあるかも。

 僕が読んだのは文庫版コミックなのですが、その本には各作品の初出年が書いてなくて、それぞれいつ書かれたのか分かりませんが、もしかすると若いうちはある程度アダルトものも書いて食いつないでいたのかもしれません。60~70年代の日本の映画監督も、売れるまではアングラでポルノ映画を撮っていたという人が少なくないですしね。僕も、仕事でSMクラブでキーボードを演奏した事がありますが、サブカルチャーの道で生きる若手にとって、ポルノ産業って生き残るために通らなくてはいけない道なのかも。性産業ってギャラがいいので、喰えない若い時期には生活費を稼ぐのに手っ取り早いんですよね。作家主義作品とエロ漫画が混在した短編集で、当時の日本の作家の青春を覗き見たような気にもなりました。そうしてセクシーな女性を描く腕が磨かれて、それが銀河鉄道999のヒットにもつながったのかも。メーテルを魅力的に描く事が出来なければ、999のヒットはなかったでしょうし。

 「1000年女王」のように何度も読み返したくなる大作とは違って、あくまでさっと読んで終わりの作品群だと感じましたが、これはなかなか。読者にすり寄り過ぎず、作家自身の考えがストレートに伝わってくる短編群と感じました!


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コミック『銀河鉄道999』 松本零士

Gingatetudou999_Comic1.jpg 松本零士の代表作でしょう!「銀河鉄道999」のコミックは友達のお兄さんが揃えていて(まだ数巻しか出てない頃でした)、それを読ませてもらったのが初体験。その後、劇場版アニメを観て感動し、コミックも全巻読みふけった、という流れでした。連載誌は少年キング…実に不人気な漫画雑誌でしたが、999の最終回が出ている号だけは駅の売店で買ったのを覚えてます。本屋ではみんな売り切れだったんです。

 銀河鉄道999は未来の話。母親を機械化人に殺された少年が、謎の美女メーテルと一緒に銀河を走る列車に乗り、アンドロメダまで旅をします。目的は、永遠に生きられるという機械の体を手に入れる事。出発点が地球なので、次の停車駅は火星、次が木星…と、徐々に地球から遠ざかります。その過程で、機械になるとはどういう事なのか、永遠の命とはどういう事なのか…と考えさせられるエピソードが語られていきます。このへんが物語の軸じゃないかと。

 でも、この物語を貫く軸がきちんと描かれているのは太陽系の惑星を旅している序盤と、アンドロメダ終着駅が近づく終盤のみ。あとは単行本1冊のうちで面白いと思える話がひとつふたつあれば御の字のゆるさ(^^)。まあこれは、人気が出たら引っ張るだけ引っ張る週刊連載漫画の宿命なのかも。この漫画、映画で先に落ちをばらしちゃった後も連載が続いたもんで、序盤は面白かったのに終盤は作者が燃え尽き症候群になったと心配になるほどグダグダになってました。。でも映画の感動があまりにも大きかったもんだから、最後まで読んじゃったんですけどね。。

 というわけで、コミックの銀河鉄道999は、1巻と最終巻さえ読めばまずは充分、それで面白いと思えるなら他の巻もどうぞ、みたいな感じと僕は思います。あ、文庫版だと18巻までありますが、12巻が最終巻です。13巻からは続編…なのかな?13巻以降は読んでないのです…。


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わが青春の銀河鉄道が…漫画家の松本零士さん、逝去

MatsumotoReiji.jpg 先週(2023年2月13日)、「宇宙戦艦ヤマト」や「銀河鉄道999」で知られる漫画家の松本零士さんがお亡くなりになられたそうです。享年85歳。70年代生まれの僕は、松本零士ブームをまともに受けた世代で、ヤマトも銀鉄もほぼリアルタイムで直撃でした。

 はじめて松本零士作品に触れたのは、宇宙戦艦ヤマトの最初のテレビシリーズ。何度もやっていた夕方に再放送を見ていました。今あの作品が何だったのかを語るなら、戦地に赴く軍人の自己犠牲とその悲哀といった所でしょうか。正義のヒーローもロボットも出てこないTVアニメは、まだ幼なかった僕には大人びたアニメに感じられました。おもちゃ屋でヤマトやデスラー艦隊のプラモデルも売ってたなあ。少し後に出たガンプラは300円だったけど、ヤマトのプラモは100円だった記憶がありますが、なにせあやふやな記憶で…。
 小学生時代の僕の親友Hが大のヤマトファンで、『宇宙戦艦ヤマト 完結編』という映画を、一緒に観に行きました。映画館がいっぱいで、通路に座って観たのはいい思い出です。帰りに、Hがわざと電車に乗り遅れてはぐれかけたというエピソードも。彼、別々の電車に乗って途中で合流するという事をやりたかったらしいんですよね。
 そんな宇宙戦艦ヤマトですが、僕が一番感動したのは、実は音楽だったりして…。

 少し時を戻して、幼少時に連載が始まったのが『銀河鉄道999』。友人のお兄さんが単行本を持っていたので、読ませてもらいました。宇宙を冒険する大スペクタクルであると同時に、美人のチャンネーと旅をする少年の物語なので弱冠エロくも感じたりして。当時はまだそんなに巻数が出ていなくて、先が知りたくてうずうずしていました。ああいう気持ちって、リアルタイムじゃないと味わえないんでしょうね。。

Gingatetsudo999_movie.jpg そんな前評判が絶大に高かった銀河鉄道999が大ブレイクしたのは、アニメ映画化された時でした。この映画については前にも感想を書いたことがありますが、とにかく感動しました。もしかすると僕が初めて映画で感動した作品かもしれません。ラストのキスシーンの素晴らしさは、ボギーとバーグマンの『カサブランカ』や、松田優作と薬師丸ひろ子の『探偵物語』より上かも。そして、このへんからアニメ映画の名作が連発で作られるようになったんですよね。

 ヤマトと銀鉄を経験した後で、松本零士さんの漫画は新作旧作問わず、けっこう読みました。おもに古本屋で立ち読み…昔は立ち読みという文化があって、本屋でも古本屋でも、漫画コーナーに子供が群がって、ずっと漫画を読んでたんですよ(^^;)。当時は漫画にビニールもかけられていなかったんですよね。ところが、立ち読みする松本作品はちょっとバツが悪いところがありまして…ヤマトと銀鉄以外の松本零士さんの漫画は、エロ要素の入ったアダルトな作品が多かったんですよ。メー〇ルがエッチしているようにしか見えない漫画まであって…。なるほど、売れない時期にそういうものを描いていたから、女性をうまく描けるようになっていたのかも。
 そんな中、出色だった漫画は『1000年女王』で、これがコミック作品では松本零士最高傑作だと僕は思っています。アニメ込みだと、やっぱり劇場版『銀河鉄道999』ですね。

 ドラえもんやウルトラマンを観ているのが普通の年齢で、宇宙戦艦ヤマトや銀河鉄道999のようなヤングアダルトな作品を体験させてくれたのだから、松本零士さんには成長させてもらったと思っています。特に劇場版『銀河鉄道999』は、自分の中では永久保存版。笑われてしまうかも知れませんが、もし僕が死んだら、妻と一緒に銀河鉄道に乗って、永遠に宇宙を旅して過ごせたらどれだけ幸せだろうか…なんて事を想像してしまうんですよね。本当に、死んだ後の夢なんです。松本零士さん、ご冥福をお祈りいたします、ありがとう。。


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『パーティーメイト ボーリング』 アナログゲーム

Partymate Bowling  子供のころはよくケンカしたけど、姉は優しいひとでした。母が「私が忙しくて面倒見れなかったもんだから、お前を育てたのはお姉ちゃんみたいなもんだったよ」と言っているぐらいです。そういえば、幼稚園ごろまではずっと姉にくっついていた気がします。そんな姉が小学3年生(だったかな?)の僕の誕生日に買ってくれたのがこのアナログなゲームでした。子供でお金もないだろうに、優しい人だったんですよね。

 ボーリングのゲームですが、面白いのはボーリングの球に足がついていて、ぜんまい仕掛けでピョンピョンと飛び跳ねて前に進む事(^^)。このガジェットが秀逸でした。ついでに、ボーリングのピンも板状になっていて、レバーひとつで全部バシッとセットできるんです。あ~楽ちん。ゲーム自体より、これらのギミックが素晴らしかったです。
 ただ、ゲームとして面白かったかというと、そのままではちょっと微妙でした。ボーリングの球がしっかり作られすぎていて、普通に遊ぶとぜんぶストライクになっちゃうのです。だから最初はあっという間に飽きてしまったんですが、なにせせっかく姉がかってくれたものなので、「つまらない」とも言えません。でも姉と一緒に遊んだら、姉だってつまらないのは分かってしまうわけで…。
 そこで段ボールを使ってコースに上り坂を作ったり新しいコースを作ったり、姉と色々と模索しました。投げない人が障害物を置くルールも、なかなかのゲームバランスになりました。ゲームって創意工夫ですよね(^^)。

 今となってはゲーム性どうこうより、姉との思い出ばかりを覚えている玩具です。なかなか会う機会は少ないけど、今でも姉とは仲良くやってます。姉ちゃんありがとう、子供のころはお世話になりましたm(_ _)m。

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『サッカーゲームDX』 アナログゲーム

Soccer game DX 70年代という時代もあったのでしょうが、僕が小学校低学年の頃、まわりはみんな野球が好きで、サッカーは観るのもやるのもほぼあり得ない状況でした。70年代生まれの僕の実感では、子どもたちの中でサッカーに人気が出た最初のきっかけとなったのが78年にアルゼンチンで行われたワールドカップ・サッカー。これでイケてるやつはサッカーを見たりやったりしはじめたのでした。このあとに漫画『キャプテン翼』が流行し、これが決定打。友人間でのサッカー人口が爆発的に増えました。僕はまったく観なかったけど、学校に『キャプテン翼』に登場するゴールキーパーとまったく同じジャージを着てくる奴とかいましたしね(^^;)。
 というわけで、流行は屋内のアナログ・ゲームにも影響しました。サッカー盤です!これ、野球盤と違って人形はよく出来てるし、ゲーム性も完成度もすごく高いゲームでした。世代ごとにバージョンアップしていったようですが、僕の世代で遊んだのは「サッカーゲームDX」というものでした。

 キーパーを含めた選手6人を棒で動かしてサッカーの試合を行うものです。このギミックが本当によく出来ていて、どこにボールがあっても誰かの足は絶対に届くんですよね。で、敵も味方も足が届くところにボールがあると奪い合いになるんですが、この挙動が本当のサッカーっぽかったりして。
 で、試合はフォワードまでパスをつないでシュートを決める、みたいな。うまくなってくると、ウイング(今はそういう用語は無いのかな?)が直接シュートを打ったり、キックオフ直後にシュートを決めるという、知らないと防ぐのが難しい技があったり(^^)。ゲームとしての完成度は間違いなく野球盤より上で、いま遊んでも間違いなく楽しいと思います。ちなみに、僕の甥っ子がこれの現代版を持っていたので対戦したことがあるんですが、ぼろ負けしてしまいました(^^;)。遊んでばかりのガキには勝てないっす。。

 ただ、このゲームには難点がありました。野球盤と違って実力差がもろに出るんですよね。6人の選手を動かすためには6本のレバーを操る事になり、操作が煩雑なんです。僕はこのゲームを持っていなくて、友だちの家で遊んでいたのですが、「あれ?」なんてレバーに目をやってボールから目を切っていたら、遊びなれた友人にはまず勝てないのです。野球盤は勝敗にかなりの偶然性が絡むのでみんなで楽しく遊べたのですが、このゲームは将棋みたいに実力がそのまま勝敗に直結してしまい、完成度は高いのに持ち主が常に勝つゲームだったんですよね。
 このゲーム、野球全盛期の世代だった僕たちの世代では持っている友人が限られていて、僕の友達ではふたりしか持っていませんでした。だからせっかく完成度の高いゲームだったのに、もうひとつ盛り上がらなかったです。もしみんなが持っていて、全員ある程度熟練していたら、メチャクチャ面白かっただろうなあ。
 野球盤は小学1~2年生でよく遊びましたが、サッカー盤はその後の小学3~4年に遊んだアナログゲーム。自分が幼児から少年になるにつれ、遊びのレベルも上がったんですね(^^)。サッカー熱から考えると、僕より少し後の世代の人の方が夢中になった人が多いゲームかも知れません。


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『LSIベースボール』 LSIゲーム バンダイ

LSI baseball アナログだった野球盤は、僕が小学3年あたりになるとデジタル化していきました。ゲームウォッチ登場前の1970年代後半だとまだ液晶ではなく、LEDを使ったLSI ゲームでした。この家庭用LSIゲームの中で、僕らのまわりでもっとも流行していたのはやっぱり野球ゲームでした。野球人気が凄かったんですね(^^)。
 LSI の野球ゲームは、バンダイやエポック社など各社が似たようなものを発売してました。僕は黄色いエポック社の野球ゲームにあこがれていたんですが、仲間うちでいちばん普及していたのは緑色をしたバンダイのもの。ほぼ同じゲームに見えるんですが、エポック社のものはイニングも得点もカウントしてくれるようで(実際にプレイした事はないです)高性能な気がしたんですが、きっとバンダイの方が発売日が先だったんでしょうね。LEDで表示されるピッチャーの投げた球の軌道に合わせて打つゲームで、ストライクやボールやアウトのカウント、そしてランナーやそのイニングの得点が自動で表示してくれるのが画期的。野球盤はセッティングなどけっこう大変だったんですが、これは外でも学校でも遊べるお手軽さでした。

Dejikomu9.jpg このゲーム、ひとりでコンピュータと対戦することも出来たと思うんですが、僕は自分で持っておらず、友だちが持っていたものを一緒にやっていたので、遊ぶときは必ず対人の対戦でした。2人なら友人との対戦だったし、それ以上なら2チームに分かれての対抗戦。ストレート、カーブ、シュート、チェンジアップなどが投げられましたが、このゲームだとカーブとシュートの差別化は意味なかったですね。。
 残念だったのは、攻撃したイニングの点数表示しか出ない事。だから、スコアは紙に書かないといけなかったんですよね(^^;)。そこも自動だったら文句なかったんですが、今となっては紙にスコアを書いていたのが懐かしい思い出になってるので、むしろ良かったのかも。

 当時は野球のルールすらあやふやにしか知らず、プロ野球の選手の名前や背番号を少しづつ覚えていたころ。友だちのお兄さんに「西武に行った野村ってのは3冠王になった事もあるすごいキャッチャーなんだ」とか、「近鉄の西本監督というのは…」みたいに、色々とうんちくを聞かされ、お兄さんたちは詳しくてすごいな、なんて本気で尊敬してました。少年野球をやっている友達と集まってやったこの野球ゲームは、ゲーム以外にも「中日の牛島は…」とか「インフィールドフライというルールがあって」みたいな野球談議の場にもなっていて、無性に懐かしいです。

 皆で集まって騒ぎながらこんなゲームをやって遊んでいた頃が懐かしい、友だちの名前も顔もみんな覚えてます。それまでウルトラマンやテレビアニメやドリフターズみたいな幼児的な文化から、野球とか将棋みたいな、ちょっと大人な遊びに目覚めていった頃。でも原始的なゲームなので、今やったらきっと面白くもなんともないんだろうな(゚∀゚*)エヘヘ。


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『エポック社の野球盤 AM型』 アナログゲーム

Yakyuuban_AMgata.jpg 70年代生まれの僕が子供のころは電子ゲームはまだ一般的ではなく、アナログが主流でした。アナログのゲームだと、モノポリーやオセロのような純粋に記号だけを操作するゲームもありましたが、アナログならではのガジェットやギミックがあるものもありました。子どもなもんで面白そうなガジェットに飛びつくんですよね(^^)。そういうガジェットがあるアナログ・ゲームのいちばん人気が野球盤でした。僕が子供のころはテレビで毎日のようにプロ野球を中継していて、それぐらい野球というコンテンツは人気がありました。

 僕の友達はみんな野球盤を持っていました。主力はエポック社のもので、僕の家にあったのはエポック社の野球盤「AM型」というものでした(調べてみたら1974年製)。僕の世代の野球盤のスタンダードで、これに連続投球装置がついていたり、グラウンドが人工芝になっているなどのバリエーションがありました。
 これらエポック社の70年代製野球盤の特徴は、変化球はもちろん消える魔球が使える事!「消える魔球」って…きっと70年代は『巨人の星』が絶大な影響力を持っていたんでしょうね。あ、でも僕たちはあれをフォークボールと呼んでいたなあ。

 野球盤がゲームとして面白かったかというと、それは微妙(^^;)。ギミックを使ったアナログゲームだと、のちにサッカーも出来ましたが、ゲームの完成度としてはサッカーの方がだんぜん上でした。野球盤を楽しむには遊び方に工夫をして、ゲームバランスを調整する必要がありました。フォークは使われるとほぼ打てないので、打者ひとりにつき1回まで。打球がグラウンド内に止まったら、インフィールドはアウトで外野はヒット。あと、投げる時に弾くだけじゃなくてレバーをガツンと押すと超スピードボールが投げられるんですが、これは1試合に1回だけ、みたいな。

 野球盤は70年代製エポック社のものだけではありませんでした。どこのものだか覚えてないけど、友だちの家には、野手が木製の人形で動かせるようになっていて、野手の足元に磁石が仕込んであるものがありました。その野球盤はグラウンドに仕掛けられた穴に落ちる事でヒットやアウトの判定をするのではなく、野手がボールを捕るんですよ!ただ、打球が鋭いもんで野手にとられる事は少なかったし、守備位置を変えられるというアイデアは素晴らしかったけど、それで何か戦略性が増すかというと、そんな事はなかったのが残念でした。でもガジェットとして魅力あったなあ。

 野球盤で思い出すのは、自分が小学校低学年だった事です。僕は小学3年生から少年になった自覚があって、1~2年生は幼児から少年になる中間ぐらいだったと感じています。その時期には独特の感触があって、ウルトラマンや仮面ライダーをまだ卒業していなくて、『8時だヨ!全員集合』が大好きで、遊びも野球やサッカーではなく挟みっこや缶蹴りやケイドロ、みたいな。僕の場合、野球盤はこういう時期の思い出と一緒に存在している玩具なのです。これがサッカー盤となると少年期の記憶と一緒になってるところが面白いです。
 ところで今の野球盤って、球が宙に浮くそうです…すごいっす。でもそれもゲームとしての面白さではなく、あくまでガジェットで魅せる面が強いんでしょうね、知らんけど。


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『The Thelonious Monk Quartet / Monk's Dream』

Thelonious Monk Quartet Monks Dream 世評はイマイチながら、僕的にはモンク・カルテット最強布陣と思っているチャーリー・ラウズ&フランキー・ダンロップを含んだカルテットです!このレコードは、マイルスやコルトレーンがまい進して、ビバップの時代から活躍していたモンクが古い人になりつつあった1962年のもの。メンバーは、モンク(p)、チャーリー・ラウズ(ts)、ジョン・オー(b)、フランキー・ダンロップ(ds)。

 何か新しいことに挑戦したアルバムではなく、アドリブもかなりコンパクト。チャーリー・ラウズのアドリブはアンサンブル重視というだけでなくコーラスもあまり貰えず、ドラムやベースに至ってはほとんどソロを渡さない…ということで、ポピュラー志向のアルバムだと思いました。アドリブたっぷりの『Monk in France』とは方針が逆ですね。
 そんななか、モンクのアドリブプレイが面白かったです。「ブライト・ミシシッピ」や「ボリバー・ブルース」では、このアルバムにしては珍しく3~4コーラスぐらいの長いソロを取ってますが、調子っぱずれなモンク節満載、楽しい。こういう「なにがあっても絶対にノーマルになんてしない!」というセンス、人間として見習いたいものです(^^)。

 軽めで、時としてラグタイムのような古き良きアメリカ音楽を感じさせて、そしてコンパクト。BGM で流しておくのがちょうどいいぐらいのアルバムだと思いました。でも…これってあまりモダン・ジャズを知らない人が仕切ったんじゃないかとも思えるディレクションで、モダン・ジャズが好きな人にはちょいと物足りないかも (^^;)。


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『Thelonious Monk / In Italy』

Thelonious_Monk_in_Italy.jpg フランス公演の3日後となる1961年4月21日、モンク・カルテットはイタリアで公演。これはそのライブ盤です。メンバーはフランス公演と同じカルテットで、モンク(p)、チャーリー・ラウズ(t.sax)、ジョン・オーレ(b)、フランキー・ダンロップ(dr)。僕がモンクのスモール・コンボで一番好きなチャーリー・ラウズ(t.sax) 参加のコンボで、ジャケットもかっこいい…というわけで買っちまった若い頃でした。

 お、『5 by Monk by 5』ではじめて聴いた「Jackie-ing」がトップ・ナンバーでした。ライブだからか、こっちの方が疾走感が強くてラフ。以降は「Epistrophy」「Body and Soul」「Straight, No Chaser」といった有名曲が並んだライブでした。なるほど、アメリカから来た大物ジャズ・ミュージシャンの紹介という側面が強いライヴだったのかも。

 ジョン・コルトレーンジョニー・グリフィンがフロントになった頃のモンクのユニットは、彼らフロントのソロを聴いているようで、それはそれでいいんですが、やっぱり僕はアンサンブルを活かし曲の良さを堪能できるラウズ参加期のコンボがより好きです。「Bemsha Swing」や「San Francisco Holiday」でのラウズのソロ・アドリブあたりを聴くと分かりやすいですが、めっちゃタイトで、コード・プログレッションを大事に演奏していて、アドリブしても曲の特徴になっているプログレッションやフォルムを無くさないんですよね。アドリブになった途端にどの曲でも同じになってしまうタイプのジャズ・ミュージシャンとはそこが大きな違い。どちらも良さはありますが、僕はモンクの音楽は曲自体が面白いと思っているので、チャーリー・ラウズ期は特別に感じます。

 というわけで、カルテットという事もあれば、メンバーの個性という意味もあって、バンドがタイト。悪くいえば小じんまりとした印象もありますが、よく言えばコンボとしてのまとまりが良く、まるでクラシックの室内楽を聴いているかのよう。かなりカッコいい事をやってますがむずかしくなり過ぎず、むしろ爽快感さえ覚える気持ちの良い音楽でした!


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『Thelonious Monk / Monk in France』

Thelonious Monk Monk in France 1961年、モンクはチャーリー・ラウズ(t.sax)、ジョン・オーレ(b)、フランキー・ダンロップ(dr) というメンバーのカルテットでヨーロッパをツアーしました。そして、そのいくつかの公演がレコードになっていて、これは61年4月18日のフランス公演のライブ録音です!

 悪い事から言うと、ピアノの音が小さいです、曲によってはアンサンブル中でほとんど聞こえないものも…例によって弾くのをやめている時もありますが(^^;)、これ、奇行じゃなくて、ピアノレスにしたほうが良いと思ってやっているように聴こえました。

 それでも管とピアノのアドリブは最高、チャーリー・ラウズもモンクも快調です!というか、モンクのバンドに参加した時のチャーリー・ラウズで悪い演奏を聴いた事がないですが、それにしてもこれはいい(^^)。大ベテランですが、けっこうファースト・フィンガーなんですよね。それでいて荒っぽくなくてリズムがタイトなところがいいなあ。
 あと、ドラムのフランキー・ダンロップがドカドカと叩いてしまわずに、ブラシとハイハットだけで軽く支えるのが、この時期のモンク・ユニットの室内楽的な色を出していると感じます。ドラムがいてもあくまでアンサンブル重視の音楽でいきましょう、みたいな。

 音楽道からすれば邪道かもしれませんが、リバーサイドからリリースされたこの時期のモンクのアルバムって、ジャケットがカッコイイのが多いじゃないですか。その中でこのアルバムはジャケットが地味、メンバーも曲もけっこう重複してる…と来れば、このアルバムは後回しにされそう。実際、僕がこのアルバムを手にしたのは、『5 by Monk by 5』や『Live in Italy』の後でした。でもこれはチャーリー・ラウズとモンクが絶好調、それがピアノの音が小さいという弱点を補って余りある素晴らしさでした。帯に短したすきに長しですが、チャーリー・ラウズ時代のラウズとモンクの最上のアドリブを聴けるのは、このライヴではないかと!


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『Thelonious Monk / 5 by Monk by 5』

Thelonious Monk 5 by Monk by 5 1959年録音、3つのセッションから成るセロニアス・モンク・クインテットのスタジオ録音です。メンバーは、セロニアス・モンク(p)、サド・ジョーンズ(cornet)、チャーリー・ラウズ(t.sax)、サム・ジョーンズ(b)、アート・テイラー(ds) でした。モンクのコンボにサド・ジョーンズが参加したのは、もしかしたら聴いた事がないかも。

 50年代のモンクってアルバムをいっぱい出しているので、聴いているとだんだん入れ替わったメンバーの演奏の違いを楽しむようにもなってきます。曲はいつも似たようなものを演奏しているので、余計にそうなっちゃうんですよね。このアルバムも、「ストレート・ノー・チェイサー」や「アイ・ミーン・ユー」など、いつも良くやるナンバーがありましたが、僕的には聴き馴染みのない曲の比率が高いアルバムではありました。そのなじみ薄い曲たちが素晴らしくて、モンクにしてはさわやかで軽快な1曲目「Jackie-Ing」も(モンクのピアノはグロテスクですけど^^)、「え?これってトニックは何なの?」と着地先を見失いそうな浮遊感ある和音とコード進行をする「Played Twice」も、すごく良かったです。

 セッションはアグレッシヴではなく落ち着いた雰囲気で、無理に飛ばさずテンポ自体をやや落とし気味にしてリズムもタイトにして、堅実な演奏で聴かせす感じでした…モンク以外は(^^)。その中でも二人の管楽器奏者のアドリブはさすがで、サド・ジョーンズがこんなに良いプレーヤーだとは正直言って思わなかったです。

 モンクの音楽って、曲中でも面白い仕掛けがあったり、演奏も例によって奇抜きわまりないのに、聴き終わってみるとむしろあたたかくて爽快感が残るのは何故なんでしょう。けっこう面白い事にも挑戦してるけど求道者的な音楽ではなく、避暑地で冷たいものでも飲みながらヨットで遊ぶ人たちを眺めてるような。50年代なかごろからのモンクのアルバムは似たものが多いので、「これがイチ押し!」となかなか言えないんですが、「これもいい」と言いたいアルバムのひとつです。あ~気持ちよかった(^^)。


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『スガシカオ / Sugarless』

SugaShikao_Sugarless.png 2001年発表、シンガーソングライターのスガシカオのアルバムです。アルバム未発表曲と、他の人への提供曲のセルフカバーを集めたものです。

 僕のスガシカオ初体験は仕事の絡みより前のことで、子供のころの親友の車での事。彼がスガシカオ好きでBGM に流していて、それを聴いてメッチャかっこいいサウンド・ディレクションの音楽なんだろうかと思ったんですよね。90年代後半の、サンプラーもエレクトロニカもドラムンベースもみんな通過した後のポスト・モダンなポップロック、みたいな。その後はじめて音楽として聴いた98年のアルバム『FAMILY』も、感動したのは詞や曲以上にサウンドでした。
 ところがこのアルバムは、フォークロックのミックスが少しだけ今風になった程度のものに聴こえてしまいました。つまり命綱のサウンドにあまり気を遣ってないんです。これって、人に提供した曲のセルフ・カバーである事が影響してるんですかね。実際オケのほとんどがプログラミングで、そのプログラミング部分はアコースティック・ギターのストロークの弾き語りの添え物程度というものでした。

 まあ、中島みゆき尾崎亜美がそうだったように、昔からセルフカバー・アルバムってつまらないものですしね(^^;)。僕がこれまで聴いてきたスガさんのアルバムは今回まとめて聴いた4枚ですべてですが、『Family』がダントツの素晴らしさ。でも他も決して悪い内容ではなかったし、きっと他にもいいアルバムがあるんでしょうね。スガシカオばんざい!


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『スガシカオ / Sweet』 『4Flusher』

SugaShikao_Sweet.jpg 1999~2000年発表、シンガーソングライターのスガシカオの3rd~4thアルバムです。シンガーソングライターと書きましたが、僕にとってのスガシカオさんは作詞家でも作曲家でもプレーヤーでもなく、サウンドディレクターです。でもアルバムのクレジットを見ると、スガシカオさんだけでなく中村文俊さん(ごめんなさい、この人の事、僕はぜんぜん知りません)や森俊之さんが「Co-sound produce」なんてクレジットされているので、どこまでがスガさんのサウンド・プロデュースなのか分からないんですけどね(^^;)。

 そのサウンド・ディレクションですが、セカンド・アルバム『FAMILY』に比べると、かなり大人っぽくプロっぽくなっていました。これが、よく言えばものすごい上質のポップス、悪く言えばありがちなものになってしまったと感じました。匂いとしては山崎まさよしさんとか、あんな感じ。僕が「おお、これは!」と思ったスガシカオさんはこれじゃないんですよね。なんというんだろ、いい意味でアマチュア的な思い切りの良さがあって、それで攻められてたのに、どこか万人受けにしてしまったというか、守りに入ってしまったというか。

SugaShikao_4Flusher.jpg その中でもちょっと面白かったのは、アルバム『Sweet』の方に入っていた「310」という曲。昔でいうレア・グルーヴ気味のアレンジの曲ですが、曲の中間部での転調と、そこまで好きあってもいないのについついしてしまう女との日々をたんたんと描いている詞が面白かったです(^^)。友人には平然と話せるけど、公には話せないような事ってありますよね。それを等身大で屈託なく話せるのも、ロックの良さのひとつだと思うんです。グランド・ファンクなんて、追っかけのやりマンお姉ちゃんのことバラしちゃってるし。それが全米で大ヒットしちゃったし。
 歌にせよドラマにせよ小説にせよ、こういうありのままの言葉を聴けるのって、僕はすごく好きです。こんな所で間で飾ったりとりつくろったりしてどうする、みたいな。

 森俊之さんがそうなのかも知れませんが、使っている音は90年代後半のものだけど、音楽自体は『Talking Book』あたりのスティーヴィー・ワンダーと似たような事をやっていて、詞の方は4畳半フォークの現代版みたいなものなのかも知れません。なぜそうなったんでしょうか…メジャーと契約すると締め切りもあるしセールスも求められてしまうだろうから、売れる売れないを意識せずに自分の美感を貫くって、想像以上に難しい事なのかも知れませんね、知らんけど。


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『スガシカオ / FAMILY』

SugaShikao_Family.jpg 森俊之さんがらみで知ったもうひとりのシンガーソングライターさんが、スガシカオさんでした。これは98年リリースのセカンド・アルバム。Bonnie Pink さんあたりもそうですが、90年代後半って日本のメジャー・レコード会社が契約したミュージシャンもかなり進んだサウンドプロデューサー的なセンスを持っていて、カッコいい音楽を創りあげていました。こういうのってアングラの専売特許みたいな所ありましたが、時代が変わってきたんでしょうね。スガシカオさんのこのアルバムも、そんな風に感じた1枚でした。

 一番の印象はファンク・ロックで、これがクソカッコよかったです!低音をブーストしてブンブンうねるベースと、細かいテクニックが冴えるドラムのコンビネーションが光る「日曜日の午後」「ストーリー」の冒頭2連発のカッコよさは異常。これだけでもこのアルバムは聴く価値があると思います(^^)。
 こうしたサウンドのキーマンは、やっぱりアレンジやキーボードで参加している森俊之さんだったんじゃないかと。森さんって当時はパーマで頭がぐしゃぐしゃでいつもニコニコ、とても優しい方で惹かれるものがありました。その時もけっこうファンクっぽい音楽をやっていて、誰の曲だったか忘れましたが「Back to back」という曲で、スティーヴィー・ワンダーみたいなことをしていたのが強く印象に残っています。スガさんがイメージしていた音をいい形でリアライズしたのは、森俊之さんの力が大きかったんじゃないかなあ。

 もちろん森さんだけでなく、スガさんも素晴らしいと思いました。たぶんスガシカオさんの音楽の裾野はファンクだけではなく、90年代のクラブ・ミュージックやフォーク、DTM からアヴァンギャルドまで、おいしい所を色々と齧ってきた人じゃないかと。ローファイなドラム、ループ、サイケデリックなアプローチのうわもの、バラエティに富む曲の間から聴こえてくるものにその幅を感じますし、またそのチョイスが90年代後半のポップ/ロック系のミュージシャンとしては最善と思えるほどにカッコよかったです。
 歌だけはあまりうまくなかったんですが、実はこれも大事な要素だったんじゃないかと。もしこの音楽でヴォーカルがR&B系のうまさだったら、たぶん洋楽の真似事に聴こえていた気がするんですよね。でも完全に自己流の棒歌いだったことで、これが日本の90年代のシンガーソングライターの作る音楽に聴こえるという効果があったんじゃないかと。良い時って痘痕も靨で、弱点まで良さになっちゃったりしますよね。ローリング・ストーンズの音楽なんかも「下手さが実にカッコいい」みたいになっちゃったりしますし(^^)。

 90年代後半は、日本のポップ/ロック系の音楽が最高のクオリティに達した時代だったと思います。ある面アマチュアかも知れないけど、そういう人でないと作れない最高センスの音楽!聴いていて20代の頃の自分を思い出しました。すごく良かったです!


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『山崎まさよし / BLUE PERIOD -the BEST-』

YamazakiMasayoshi_BLUE PERIOD 90年代にジャ〇ーズがらみの仕事で知る事になった人第2弾!彼らに楽曲を提供していた山崎まさよしさんです。実際にはキーボーディスト/アレンジャーの森俊之さんを調べていたのですが、森俊之さんの手がけた仕事ということで山崎まさよしさんを聴いたら、「すっごくいいシンガーソングライターさんだな」と思いました。まっとうな青春を送って悩みながら正しく進んだ若者の言葉、みたいな。

 基本的に弾き語りのシンガー・ソングライターという事で良いと思うんですが、サウンド・メイクが見事。60~70年代のフォーク・ギターをジャカジャカ弾くでも、80年代みたいにアレンジャーとバックバンドに丸投げでもなく、ハイをカットしたノン・リヴァーヴのヴォーカルとか、メロトロンの使い方とか、アコースティック主体の少ない音数のオーケストレーションやサウンド・メイクにセンスを感じました。これは山崎さんだけでなく、ディレクターさんやアレンジャーさんやエンジニアさんら全員の仕事だと思いますが、このサウンド・ディレクションが僕にとっては大きかったです。

 詞も良かったです。頭で作った言葉ではなく、自分の感じた事をきちんと言葉にしているように感じました。実際にどうかなんてどこまで行っても分からないですけど、そう感じたんですよね(^^)。で、詞の行間から感じる人物像は、学校の屋上の人目につかない所で、友人とああでもこうでもないとけっこうマジメに色々考えている悩める青年、みたいな。誠実さとちょっとの不良さが同居していたり、キレのある考えをするけど冷淡ではなくピュアだったりと、そういう「青年はいい子ちゃんでは駄目だけどひねくれてしまうのものちのち本人が辛い、こういう風にマジメに悩んで自分なりの正解を選んでほしいよなぁ」という理想的な青年像。これは良かったです。

DonGiotsune2-min.gif 極論すれば、僕は山崎さんの曲はほとんど聴いていなくて、サウンド・メイクを含めた編曲と詞だけを聴いている気がします。SMAP に楽曲提供した「セロリ」もそうだし、日清どん兵衛のCM(どんギツネ可愛かったな^^)で使われた「One more time, one more chance」もそう。あと、このCDを聴くまで知らなかった「Passage」や「僕と不良と校庭で」も、アレンジと詞にしびれていました。もし僕があと10年遅く生まれていたら、こういう人に憧れたかも。Jポップを作り手側の視点から聴くようになってしまっていたから、どうしても詞や曲を純粋に楽しむ聴き方は出来なかったですが、もし世代さえ合っていたら間違いなく愛聴しただろう素晴らしいフォークシンガーさんだと思っています。


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『林田健司 / Oil Men+』

HayasidaKenji_OilMen.jpg シンガーソングライター林田健一さんのベスト・アルバム、98年にリリースです。全曲かどうかは分かりませんが、単なるベストではなくリミックスしているんだそうです。

 僕は林田さんが大量にリリースしてきたアルバムのうち『Marron』しか聴いた事がないもんで、どれぐらい元曲と違うのかは分かりません。ただ、ほとんどの曲がクラブ・ミックスだとは思いました。本当にクラブのDJがミックスしているという意味じゃなくて、プロのミキシング・エンジニアが作ったようなきれいな音だけど、でも音楽の作り方がクラブ・ミュージック風。スクラッチっぽくなったりループが使われたり、とにかくカッコいいんですよね。
 僕はこの音を今でもカッコいいと感じるんですが、今の若い人が聴いたらどう感じるのかなあ。数年前、ある若いミュージシャンがDAW を駆使して作ったアルバムを聴かせてもらいましたが、最近のDAW のクオリティの高さに驚く半面、音楽の稚拙さにゲンナリした事があるんですよね。なんだろ…若いくせにこじんまりしてるな、若いんだからもっとムチャクチャにやってみろよ、みたいな。

 でもそういうムチャクチャさがありなつつ破綻なく聴けるのって、音の派手さやイケてる感の影に隠れてはいるけど、実はソングライティングがしっかりしているし歌もうまいからなんだろうな、とも思いました。ジャ〇ーズ絡みでいうと、SMAP に提供した「青いイナズマ」もやってましたが、あれとはパフォーマンスのレベルが違い過ぎてもうね。。林田さん、最高にカッコよかったです!


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『林田健司 / Marron』

HayashidaKenji_Marron.jpg 僕は86年から日本の好きなチャート音楽がガクッと減ります。理由は曲がつまらなくなったわけではなく、忙しくなってその手の音楽を聴かなくなったから。ところが90年代に入ってしばらく経つと、また聴くようになりました。理由は音楽の仕事をするようになったからですが、仕事的な聴き方なんですよね。一緒に仕事をする事になったアレンジャーさんやマニピュレーターさんを調べるとか、関わる事になった作曲家さんについて予習するとか、そんな感じ。
 そんなある時、ジャ〇ーズがらみの仕事が増えた事がありまして、そこで知ることになったのがシンガーソングライターの林田健司さんでした。僕は林田さんを新進気鋭のJポップ作曲家だと思っていたんですが、なんと自分でもデビューしていたんですね(^^)。これは林田さんが96年に発表したアルバムです。

 うわ、なんだこれ、こういうのってジャズファンクっていうのがブラコンっていうのか分からないけど、アレンジカッコよすぎ、プレーヤーもキレッキレでビビりました。クレジット見たらバーナード・パーディー、デヴィッド・T・ウォーカー、ランディ・ブレッカー…そりゃうまいわな。。でもフュージョン色の強いクロスオーバーかというと少し違っていて、もうちょっとクラブ風だったりファンクっぽかったりと、90年代のイケてるサウンド全開。こういうサウンドって、いま聴いてもカッコよく感じます。若い人が聴いたらどう感じるのかな…。

 サウンド・ディレクションもカッコいいですが、最初に感激したのは「ドラキュラがゆく」という曲の管アレンジでした。イントロで使ったブラスのトゥッティが、曲の終盤で2拍ずれて演奏されるんですが、これがカッコよかったです。実は僕、ある仕事のこの曲の歌詞違い(たしかドラキュラじゃなくてヴァンパイアになっていた^^;)を演奏した事があるんですが、恥ずかしながらこのセクションのトリックにまんまと小節を見失って落ちてしまったのでした…しかも2度。今となっては笑い話だけど当時は顔面蒼白、3回目からはセクションを聴かず、大袈裟に拍を数えながらに演奏したのでした…恥ずかしかったけど失敗するよりましです(^^;)。

 というわけで、ちょっと特殊な聴き方で日本のチャート音楽を聴くようになった僕にとって、90年代なかばから後半あたりのJポップは素晴らしい作編曲家が百花繚乱の時代。林田さんはそのスター選手のひとりと思っています。でも実際のチャートは安室奈美恵にPUFFY にダウンタウンが作った音楽ユニットに…僕が思っているシーンとはちょっと違うんですよね。つまり、本当に良いものを創っている人が表舞台に立てず裏方にまわったり日陰に生きたり。駒はそろってたんだから、ザ・芸能界側の人たちにもう少し音楽に理解があったら、以降のJポップの惨状は避けられたんじゃないかと思わなくもありません。


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Bach Bach

Author:Bach Bach
狭いながらも居心地のいい宿で、奥さんとペット数匹と仲良く暮らしている音楽好きです。若いころに音楽を学びましたが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたレコード/CDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。趣味で書いている程度のものですが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば嬉しく思います(ノ^-^)ノ

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ロシアとウクライナがほぼ戦争状態に入りましたが、僕はソ連解体後のウクライナについて本当に無知…。これは2016年にオリバー・ストーン監督が作ったウクライナのドキュメンタリー映画。日本語字幕版が出たらぜひ観たい このブログをYoutube にアップしようか迷い中。するなら作業効率としては早いほど良いんですよね。。その時にはVOICEROIDに話してもらおうかと思ってるけど、誰の声がいいのか考え中
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