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心に残った音楽♪

おすすめCDの紹介のほか、本や映画の感想などを (*^ー゜)v

 

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『Roland Kirk / We Free Kings』

Roland Kirk We Free Kings 1961年録音(62年リリース)、マルチインストゥルメンタリストのローランド・カークのアルバムです。カークはこのアルバムからマーキュリーと専属契約、ワンショット契約の流浪生活からようやく脱出です!とはいえ、この後もカークはワンショット契約のレコードを幾つかリリースするのですが、ローランド・カークのレコードをいっぱい出したのってマーキュリーとアトランティックなので、60年代前半の初期はマーキュリー、60年代中ごろから70年代中ごろはアトランティックというザックリした区分けは出来るんじゃないかと。

 編成はワンホーン・カルテットでしたが(でも管の同時演奏が入るので、テーマ部分が複数管…大道芸っす^^)、マーキュリー移籍でレコード会社側のプロデュースが入るのか、ハンク・ジョーンズ(p)、アート・デイヴィス(b)、チャーリー・パーシップ(dr) など、メンバーに有名人がズラリ。でもこれって良し悪しかも知れません。音楽はこれまで同様にハード・バップ調がメインなんですが、これまで以上にハードバップのステレオ・タイプに近づいて感じました。安定した演奏ではあるんだけど、どこかで聴いたような音楽になってしまった感が…。昔の保守的なレーベルが出すジャズ・アルバムって、こういう所あるんですよねえ。。

 そんな中で面白かった曲が、アルバム・タイトルにもなった「We Free Kings」。曲はマイナーですがややドリアン気味なのでモードっぽくも聴こえました。ヘッドは管を何本も加えての同時演奏で、アドリブになったら最初はフルート、次はテナーサックスに持ち替え。ややモード的に聴こえるんですが難解さや理論先行に聴こえず、あくまでソウルフルな所はカークらしくて魅力的でした。

 そして演奏。音楽が典型的なハード・バップにより近づいたからか、この演奏で連想したのは完全にキャノンボール・アダレイ。アルトとテナーの差はありますが、チャーリー・パーカーからの影響少なめで、アドリブが歌いまくるところが似て感じるんですよね。それでもアドリブの中でカークの必殺技が炸裂する瞬間はあって、たとえば「Moon Song」のアドリブで出てくる高速の演奏。音を独特の方法で細かく割るこの演奏ってどうやってるのかと自分の口でやってみたら、なるほどこれってタングロールを大袈裟にやるんですね、きっと。尺八や能管など、日本の管楽器ってあんまりこういう音の切り方をしないのとは対照的だと思いました。
 特殊な演奏という事でいうと、ブルース曲「You Did It, You Did It」での、声とフルートを混ぜた演奏がすごく良かったです。「アーッ」とか声を出しながらフルートに息を入れるんですが、これがなかなかのインパクト。日本に狩俣道夫さんというサックス/フルート奏者がいるんですが、この人が似たような演奏をしていて(しかもちょっと尺八や能管みたいな表現も混じっていてカッコイイ!)、なるほどアンサンブルから外れて個人の表現を拡大していいのなら、管楽器の演奏に自分の声を混ぜるのは有効な方法だと思いました。これはいいっす!

 というわけで、細かく聴けばいろんな魅力がある音楽でしたが、でも大まかにいえばハードバップのステレオタイプ。普通すぎて退屈…そういう部分を減らして、個性や特技をもっと前面に出してくれればと思う自分もいたりして。それが後年のカークというわけですね。


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『Roland Kirk / Introducing Roland Kirk』

Roland Kirk Introducing Roland Kirk 1960年リリース、ローランド・カークのリーダー・アルバムです。「Introducing」とありますが、これがデビュー・アルバムというわけじゃないんですよね。編成はトランペットとの2管クインテット、鍵盤は曲によってオルガンとピアノを弾き分けていました。

 デビューアルバム『Triple Threat』同様、ハード・バップ系のジャズをど真ん中に置いたアルバムでした。2管もヘッドに良いアレンジが施されているわけでもないし、ソロオーダーに従って順番にアドリブして終わり、みたいな。語法も実にノーマルなバップで、アップもミドルもバラードも、基本はここでした。
 でも、1曲目「The Call」はちょっと違って、ルバートのイントロ部分にせよ、オルガンを使ってのファンキーなクラブ・ジャズ風の雰囲気。また、5曲目「Spirit Girl」はゴスペル調の曲で、ターンバックに面白いコード進行を使っていました。こういう所に、カークって黒人教会音楽やジャズ以外のクラブでも演奏してきたのではないかと思わされるものがあって、彼の出自や音楽の独自性がチラチラ見えた気がしました。

 そしてプレイ。ジャズ・ミュージシャンとしての技量は、楽理的にはオーソドックス、でも一芸を持っていてその凄さはさすがと思いました。「The Call」でのアドリブが火の出るようなスピード&パワーなんですよ!ここが人を一発で惹きつける大道芸人的な必殺技。ローランド・カークって目が不自由なので、いい音楽をやる以前に音楽でメシが食えなくてはいけないんですよね。そこがこういう技の習得に繋がっていると思うのですが、その技たるやさすが。すごいっす。

 僕、若い頃は、このアルバムの演奏には感銘を受けたものの、音楽があまりに普通すぎると感じてイマイチ受け付けなかったんです。それは今もそうで、だから音楽ではなくアドリブの妙技を楽しむという、聴き方としても実にハードバップな聴き方をしてしまっています。でも、「今日はジャズ・クラブに入ったつもりで、気楽にハードバップでも楽しみたいな」みたいな時には、これが絶妙にマッチして良かったりして。


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『Roland Kirk / Triple Threat』

Roland Kirk Triple Threat 1956年録音、ジャズのマルチ・インストゥルメンタリストのローランド・カークのデビュー・アルバムです。カークのマルチ・インストの凄さは、色んな楽器を演奏する事ではなく、色んな管楽器を同時に演奏する事。このアルバムのジャケット通り、本当にいくつもの管楽器を同時に咥えて吹いちゃうんですよね、しかも和音になっているという。つまり、これならテーマ部分だけ管楽器が全員出てくる典型的なジャズなら、ひとりで出来ちゃうという。僕のローランド・カーク初体験は『Super Session』というビデオで見たライブ映像でしたが、そこでは口どころか鼻でまで吹いていて唖然としました。ローランド・カーク以降で管楽器同時演奏を見たのは早坂紗知さんだけかも知れません。このアルバムも、テナー・サックスやフルートの同時演奏が入っていました。最初は2管クインテットかと思っていたら、ワンホーン・カルテットだったという。でも、明らかにオーバーダビングしている所もありました。違うアドリブふたつの同時演奏は出来ないと思うのでね(^^;)。

 音楽は、クラシック・ジャズの匂いも感じるハード・バップ調で、聴いていて時に楽しく時にくつろげ、最高でした。あ~仕事帰りにこういうジャズを楽しめた50年代のアメリカの都市部の生活って最高だったんだろうなあ。
 でもって演奏ですが、同時演奏どうこうの前に、演奏がメッチャうまかったです。1曲目「Roland's Theme」のアーティキュレーションなんてキャノンボール・アダレイ並みに艶っぽくてびっくり。アドリブもキレッキレ。いやいや、これは色物なんかじゃなくて実力者ですね。

 このレコード、オリジナルはキングというレーベルから出ていたようですが(ジョン・リー・フッカーの真珠アルバムを出した所かな?)、生産数が少なくて、オリジナルは激レア。それでも幻のレコードとなる事はなく、ベツレヘムやアフィニティといったレーベルから再発され続けました。それは良いんですが、リイシューのたびにタイトルが変わったので要注意です(『Third Dimension』『Early Roots』など)。後年のような強烈な個性を発揮しているわけではありませんが、アーリータイムの匂いも残した素晴らしいハードバップでした。う~ん、いいなあ。


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YouTube チャンネル【ウルトラセブン6: 特技撮影/光学撮影編】 アップしました

UltraSeven6_ThumbNail.jpg ウルトラセブンの第6回です!今回は、ウルトラセブン特撮のかなめ、特技撮影と光学撮影をした人たちに触れていきたいと思います。

 「特技撮影」とは、ウルトラセブンの特撮班(昔の円谷プロでは、特撮と言ったら英二監督が作った物だけだったそうで、特技班と呼ばれていたそうです)でカメラマンを務めていた人の事。
 そして「光学撮影」とは、簡単に言えば映像の合成と光学エフェクトをした人の事です。ある程度大人になってからも、オープニングのクレジットに出てくるこのふたつの役職って何なのか、私にはまったく分かりませんでした。光学撮影なんてグーグルで調べたって出てこないので、ドラマを観ているだけだと分かるはずないですよねぇ。。今回はそのあたりの事もまとめて探っていければと思います。

 もし楽しんでいただけましたら、いいねやチャンネルを登録していただけると有り難いです♪コメントもお待ちしていますね!

(YouTube チャンネル) https://www.youtube.com/@BachBach246
(ウルトラセブン6 特技撮影/光学撮影編) https://youtu.be/3cTasQxw3SE


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『内田裕也とフラワーズ / チャレンジ!』

UchidaYuya to Flowers_Challenge 69年に内田裕也が結成したザ・フラワーズ唯一のアルバムです。「内田裕也と」なんて名前がついている割に、ヴォーカルの中心は和声ジャニス・ジョプリンと異名をつけられた麻生レミ。内田さんの出番が少ないわけではなく、半々でヴォーカルを受け持ったけど麻生さんの方が全然歌がうまいので内田さんの印象が消えちゃうんだな(^^;)。ちなみに、麻生さんも尾藤イサオさんと同じようにブルーコメッツでヴォーカルを務めた人で、すでに評価されていたヴォーカリストです。ところで、「和製○○」って、日本は下だと言ってるような感じでイヤなふたつ名ですよね。。

 曲は、ジャニス・ジョプリンがらみの曲が2曲、他はジェファーソン・エアプレインジミヘンクリーム…フラワー・ロックやサイケのオンパレードでした。アレンジすらほとんどいじってなくて本当にカバーしてるだけなので、いま聴くとちょっと残念な気も。同時代で言うとゴールデン・カップスモップスが同時代の洋ロックをカバーしていたので、当時は洋ロック自体がすさまじく進化している最中で、そこについていく事やそれを演奏する事自体がヒップだったのかも。

 フラワーズは貴重な存在の麻生レミを逃がしてしまってフラワー・トラベリン・バンドへと変化しましたが、フラワー・トラベリン・バンドではついに裕也さんはヴォーカルを取らずにディレクターになってしまいました。尾藤イサオさんや麻生レミさんという、日本の初期ロック有数のヴォーカリストと常にツイン・ヴォーカルを汲まされて自分に自信がなくなっちゃったのかも。たしかに、ビートルズやストーンズならがんばればたいがい出来るけど、クリームやジミヘンとなると頑張ったからと言ってできるとは限らないレベルなんですよね。正直言って裕也さんにそのレベルの音楽の素養があったとは思えないし、またそれ以外の部分では大変な才覚があった人だったと思うので、現役リタイアは本人にとってつらい事だったかもしれないけど正しい判断だったのかも。


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『内田裕也・尾藤イサオ / ロック・サーフィン・ホット・ロッド』

UchidaYuya BitoIsao_RockSurfin Hotlod 1964年リリース、内田裕也と尾藤イサオのツイン・ヴォーカルによる日本のロック黎明期の貴重なアルバムです。演奏はジャッキー吉川擁するブルーコメッツと、寺内タケシ擁するブルージーンズ。あーなるほど、これが66年のビートルズ来日公演の前座に繋がるんですね。

 ブルーコメッツとブルージーンズの演奏がカッコイイ!64年というとビートルズのデビュー直後で、日本にはまだあまり入ってきてない頃なので、プレスリーやベンチャーズやサーフィンを手本にしたプレイだったのかと。時代が時代だけにエレキ楽器の音がショボいですが、ここは時代的に致し方なし。この音を頭の中で今っぽいサウンドに置き換えると…おお~カッコいい!GSのアイドルバンドより数段上ですわ。。
 尾藤イサオさんのハスキーで野太いヴォーカルもすげえ!尾藤さんといえば僕的には『あしたのジョー』の主題歌なわけですが、元々はブルーコメッツの専属歌手だし、60年代初頭には単身アメリカにわたってヴォーカルの勉強もしたらしいですよね。バンドのフロントに立てるいいシンガーだと思いました。

 で、問題の「日本のロックの首領」内田裕也さんですが…声がかん高い(^^;)。しかも、尾藤イサオさんが迫力ある低音で「ヴォォォォ!!」って歌ったあとに、素っ頓狂なかん高い声で「シェケナベイベ~~」とかいうもんだから、笑わせようとしてるとしか思えませんでした(^^;)。尾藤さんと内田さんが好対照で面白すぎる…そういえば尾藤さんは巨人ファンで内田さんは阪神ファンなんですよね。。

 でもこれが発売され、しかも続編まで作られたんだから、当時はおかしいという認識はなかったんでしょう。それぐらい、まだロックが日本に伝わっていなかったという事なのかも。日劇ウエスタン・カーニバルでのロカビリーブームは50年代末からで、GSブームのピークはこの67~68年あたりでこの数年後。つまり、日本でのふたつのロック・ブームの中間に生まれた謎作、こういう先人たちの失敗や挫折を乗り越え、日本のロックはゴールデンカップスやモップスという素晴らしいバンドを生み出すことになったんだなあ。


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『Barbara / La Fleur D'Amour』

Barbara La Fleur DAmour 1972年にフランスの歌手バルバラが発表したアルバムです。しかしこのジャケット写真、カッコいいですね。モデル並みのルックスにスタイルにファッションセンスだからこそ作れるジャケット。フォトジェニックだなあ。
まずは音で少し安心。70年発表の『MADAME』と『l’aigle noir』の2枚のアルバムがペラッペラな音だったんですが、このアルバムはずいぶん良くて(それでも音が細い…)、少なくとも「音楽はいいのに録音が残念で聴く気になれない」という事がありませんでした(^^)。

 そして、音楽です。大まかに分ければフレンチ・ポップに入るアルバムだと思いましたが、1曲目がモントゥーノのきいたラテン調、2曲目がジャズ的なテンションを混ぜ、3曲目でシャンソン調…と、バラエティ豊かでした。
 そして、バルバラの歌がいい!こういう表現に富んだ歌を支えるには8ビートやエレキベースでは無理ですね(^^;)。歌がニュアンスを変えていくのに、ビートにしても音色にしてもベタっとひとつしか出せないと、歌を支えるどころか歌にまるで届かない、みたいな。このアルバムは前半が売れ選狙いフレンチ・ポップス、後半がモダン化シャンソンみたいな作りでしたが、歌の表現を支えられている6曲目以降がすごく良かったです。

 フィリップスと契約以降のバルバラは、3作目あたりから文芸シャンソンよりフレンチ・ポップの色を強めていった感があります。これはバルバラだけでなく、フランスのポピュラー音楽業界の変化もあったのかも。僕のバルバラ推しは65年までのアルバム群ですが、70年代の中ではこのアルバムが一番好きです。よく考えたら、バルバラが日本でどのへんの位置に来るかというと、松任谷由実とかそのへんなのかな…だとしたら、フランスは音楽的にも文化的にもレベル高いです。戦争でも文化が完全にリセットされなかったのが大きいんだろうなあ。


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『Barbara / l'aigle noir』

barbara laigle noir バルバラでいちばん有名な曲というと、このアルバムタイトルにもなっている「l’aigle noir」(黒いワシ)かも知れません。バルバラの自伝のサブタイトルにもなっている曲ですからね。『MADAME』と同じ70年発表のアルバムです!
 ピアノ伴奏(弾き語り?)をベースに、弦やアコーディオンといった何らかの生楽器が曲ごとにかぶさって、曲の半分はクラシックと大衆歌が折り重なった古き良きシャンソンを感じる内容でした。2曲目の弦だけを残す中間部のアレンジはすばらしかった。あとは、ミュゼットっぽい曲(「Hop La」)とか、フレンチポップっぽい曲とか。

 バルバラのレチタティーヴォ気味なシャンソンな歌唱が素晴らしい!1曲目「A Peine」も2曲目「Quand Ceux Qui Vont」も、ルバート気味の短調曲で、ものすごい表現力で語るように歌っていました、やっぱりバルバラはすごいわ。
 これだけエスプレッシーヴォな歌唱となると、セリフがムチャクチャ重要と思うんですが、僕はフランス語が分からない。。有名な「黒い鷲」の詞の内容だけは、未成年の頃に自分をレイプした父親が両手を広げて自分に覆いかぶさってきた形を「黒いワシ」と表現した、とバルバラの自伝に書いてあったので知ってました。いやあ、それを歌にして歌っちゃうところがすごいよな…。まあ、どう見ても世界有数のエスプリな都市で、むちゃくちゃハイセンスな女性ですから、お父さんがクラクラ来た理由も分からなくはないですけどね。

 しかし、アルバム『MADAME』に引き続いてミックスがひどかったです。例えばピアノですが、高い音ばっかり入っていて低音がまるでないので、まるで安いシンセのプリセットピアノかステージピアノを聴いているみたいです。こんなの楽器の音じゃないだろ…。
同じことが弦にも言えて、せっかくいい音楽っぽいのにまるで打ち込みで作ったみたいに安っぽい音でした。代表曲「黒い鷲」のドラムに至っては、シンバルにフランジャーかけてあるし、本当にmidi音源なんじゃないかというほどのチープさ。そういえば、80年代のフランス映画の劇伴も、こういう「なんだこりゃ」みたいに安っぽいのに出会う事がけっこうあったな。。

 僕的には、最初の2曲と、最後に爽やかに終わるワルツ「Le Zinzin」がすべてのアルバムでした。アルバム『MADAME』もそうでしたが、曲もアレンジもパフォーマンスもいい感じなのに、ポストプロに問題がある気が…。


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『Barbara / MADAME』

Barbara MADAME 1970年にフランスのシャンソンを代表する歌手のひとりであるバルバラが発表したアルバムで、同年にパリで上演された戯曲「マダム」の音楽集です。戯曲「マダム」はフランス領であったアフリカにあったある娼館のマダムが主人公。8つの歌曲と、4つのインストで出来ている組曲が入っていました。

 アレンジが見事。ピアノをベースにチェロやアコーディオンやマリンバといった楽器を使い、テンポを自在に変化させていく実に音楽的な室内楽調のアレンジは、クラシックとパリのアングラ・シャンソン文化の両方を吸収しているよう。アレンジの傾向もポップスの中にちょっとだけアヴァンギャルドな要素が入っていて、無菌室で育ったいい子ちゃんな音楽に終わらせていませんでした。これはバルバラも見事なら、彼女の音楽や詩の傾向を捉えたアレンジャーも見事ではないかと。また、コンセプトアルバムのように音楽が次々に繋がっていって、そこも面白かったです。

 ただ、いい所ばかりではなく、戯曲の作品だけにそれぞれの曲があるストーリーのワンシーンといった感じで、1曲1曲のインパクトが弱く、そこが残念。チャイコフスキーの「白鳥の湖」なんかもそうですが、舞台ありきの音楽の場合、音楽があるシーンの印象を作ることに集中し過ぎて、音楽自体の構造や主体性が弱くなるときがあるんですよね。
 それ以上に残念だったのが、録音でした。スタジオ録音の音はものすごくぶっきらぼうで、演奏に立体感が全然ありませんでした。ただ楽器を横に並べてリヴァーブかけただけ、みたいな。

 曲中でテンポが変わり、無伴奏レチタティーヴォになる所があり…と、ポストプロダクション次第ではかなり良い作品になった気がしますが、ミックスのせいで産業ポップスっぽく聴こえてしまったのはちょっと残念…でも、もしミックスが良かったとしても、やっぱりデビュー当時のあの凄さは感じなかったかも。このアルバム、物語を追って聴ければ、何倍もいいものに感じるんでしょうね。僕はフランス語が分からないくせにフランス盤で聴いてしまったもんで、フランス語が分かる人か、何らかの形で役を読める状態で聴いた方が良いかも知れません。


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『Barbara / le soleil noir』

barbara le soleil noir シャンソンのバルバラ、1968年の作品です。このアルバムも有名な曲がそれなりに入っていて、「Le Soleil Noir」(黒い太陽)、「Mes Hommes」(私の恋人たち)、「Mon Enfance」(私の幼い頃)、「Du Bout Des Levres」(くちびるの端に)、「Joyeux Noel」(楽しいクリスマス)あたりは、シャンソンに疎い僕でも知ってるぐらいに有名な曲でした。

 前作の67年盤の方の『Barbara』で、「あら?エンターテイメントか職業音楽家になっちゃったか?」と思ってしまったバルバラでしたが、このアルバムはけっこう実験的なものも入ってました。一方で、これでもかというぐらいに粗製乱造な歌謡曲になっちゃったように聴こえたものもありました。なんでこう両極端なんだろうか…要するに、クラシックの歌曲の伝統を活かしていた初期のアルバムの頃から、徐々にジャズやロックの要素を取り込んだ結果がこういう事なのかも。セルジュ・ゲンスブールなんかもそういう所があるので、バルバラに限らずフランスのポピュラー音楽全体の傾向だったのかも。

 実験的で新しい音楽になった代表例が「Le Soleil Noir」(黒い太陽)じゃないかと。途中でリズムフィギュア自体が変わったりするのは古き良きシャンソン的でもあるけど、これがオルガンやジャズベースと組み合わされると、なんとも実験的に感じて面白かったです。このアルバムでいいと思ったのは、僕はこの曲でした。でも、まだ完成までは行ってない感じかな?それはブリジット・フォンテーヌの登場待ちですね(^^)。

 一方で、ロックや英米ポップスを取り入れた事でつまらなくなったと感じたものもありました。クラシックから英米ロックへの変更って、言いかえるとリズムやデュナーミクが固定されてしまうという事で、こうなると「あれ?演歌かな?」みたいに感じちゃうという新たな発見が(゚∀゚*)。なるほど、シャンソンや演歌みたいな湿っぽい音楽からオケの表現を奪うとこうなっちゃうんだな。

 時代的に仕方がないんでしょうが、フランスの大衆音楽がまだロックや英米ポップスを取り入れたばかりの時期みたいで、まだ成熟してなかったという事なのかも。「くちびるの端に」あたりは、初期の編成で演奏したらすごくいい曲に聴こえる気がするんですが、インテンポで演奏すると味気なくなっちゃうんだな、みたいな。そうそう、電子オルガンの使用も目立つんですが、これって同時代の日本の音楽もこうだったので、やっぱり日本の歌謡音楽ってフランスからの影響も少なくなかったんじゃないかと…今では見る影もないですが、60年代は日本でもシャンソンが聴かれていたそうですしね。


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YouTube チャンネル【Jimi Hendrix -5 ジミ・ヘンドリックス “Electric Ladyland”】 アップしました

Jimi Hendrix 5_Thumbnail お待たせしました、ジミヘン動画の第5回、エレクトリック・レディランド篇です!

 ジミヘンの代表作のひとつに数えられている【エレクトリック・レディランド】ですが、若い頃に聴いた時は難しく感じました。「ヴードゥーチャイル」の長い方など、好きな曲はとんでもなく好きだったんですが、苦手なものはとにかく苦手で、玉石混合な気がして…。ただ、サイドCの、まるで入水自殺のような詞とその音表現には感じる所がありました。

 そしてある日、この心中する人の心境を描いたような詞を中心にアルバム全体を聴いた時に、突然このアルバムが分かった気がしたんですよね。ジミヘンが苦手という人も、このアルバムに入っている「Voodoo Chile」(2曲入っている長い方です)の演奏と、「1983」の詩、このふたつだけはぜひ聴いて欲しいです。

 というわけで、ジミヘンが生前に残した最後のスタジオ・アルバム【エレクトリック・レディランド】篇、気楽に楽しんでいただければ幸いです。そしてもし楽しんでいただけましたら、チャンネル登録やいいねボタンを押していただけると、とても有り難いです♪コメントもお待ちしています。

(YouTube チャンネル) https://www.youtube.com/@BachBach246
(Jimi Hendrix -5 エレクトリック・レディランド) https://youtu.be/NqP2UlFyuqc


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書籍『集中力 人生を決める最強の力』 セロン・Q・デュモン著、ハーバー保子訳

Shuuchuuryoku_Jinseiwo kimeru saikyou no CHikara 少し前にタワーレコードのクラシック売り場に行ったら、書籍コーナーにこんな本がありました。クラシックとは関係のなさそうな本なので一瞬「ん?」と思ったんですが、もしかすると音大生向けに置いてあったのかな?たしかに興味をひくテーマ、僕も最近集中力がないなと悩んでいたので読んでみました。内容はタイトル通りで、集中力を身につける方法についてです。この本、ちょっと疑わしいところもありましたが、為になる事もいっぱい書いてありました。

 しかしとにかく疑問だったのは、脳科学とか心理学といった科学的な根拠から書かれた本じゃなくて、いわゆるスピリチャル系の視点から書かれていた事。僕はそういうものを全否定しているわけではないんですが、ものを説明するのにそういうものを使うのはちょっと…。たとえば、「優柔不断や悩みに苦しむのは、あなたの心の崇高なパワーから協力を得ていないときです」(P.70) なんて説明の仕方は駄目でしょう(゚ω゚*)。

 でも、それでこの本がダメかというと、僕的にはためになる事も書いてありました。説明の仕方がアレだったり、完全に正しくはないかもしれないけど、言いたい事を読んでる側が咀嚼して、それで実際に集中力の向上につながるのであれば目的は果たせるのでいいんではないかと。本って音楽と同じで、伝える側だけではなくて受け取る側の才能も問われると思うんですよね。というわけで、僕にとって為になったところを、備忘録としてまとめておこうと思います。

(なぜ集中するのか)
・何かを成し遂げる可能性がもっとも高いのは、広い視野の持ち主
・成功する人は完成を予感して、成功を確信している

(集中力とは)
・自制心
・興奮してるとダメ。リラックス時に集中力は高まる(解釈:禅みたいなもの?)
・やると決めたらやり抜く
毎日10分でいいから集中する事を習慣にする
・自分が望むものを明確に思い描く事(意訳:きちんとゴールを明確にする事)

(悪習慣から抜け出す方法)
・古い習慣から抜けだす時は、断固たる決意で最初の一歩を踏み出す
・挫折は、自分の能力に疑いを持つから

 上記は、この本のまとめではなくて、この本に書かれているものの中で、僕が取り入れたいと思ったものです。当たり前と言ったらそれまでですが、「そんなの当たり前だ」と舐めた時点でダメだという事を僕は知ってつもりなので、馬鹿にせずに胆に銘じておきたいな、と(^^)。これまでに培った集中する自分なりの集中方法の中に、この本でいいと思ったものを取り入れてよりよく生きるぞ~


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書籍『集中力』 ハーバード・ビジネス・レビュー編集部

Shuuchuuryoku_Huburd.jpg やる気もなければ集中力もないダメ人間になってしまった私です(*´□`*。)。やる気については何となくわかりました。では集中力のなさをどうしよう…というわけで、こんな本を読んでみました!ハーバード・ビジネス・スクールが出版した本の日本語訳です!10人(日本語版前書きも入れれば11人)の何らかの専門家がそれぞれ集中力について書いたオムニバス形式の本でした。

 言われてみれば当たり前のことですが、「そんなの知ってるよ」と言えないほど集中力のないのが今の僕の悩み。というわけで、馬鹿にせずにいまの自分に照らし合わせてこの本を読むと、思いっきり自分のためになった記述がいくつもありました!

 オムニバス形式のひとつひとつを要約しても、要約して終わりになってしまいそうなので、自分に当てはめてこれらの知識をどうやって実践すればいいのかをまとめてみました。以下のとおりです。

(1)スマホやPCに意識が行ってもそっちに行かない!
 日常生活で集中を阻害する要因の際たるものは同僚とスマホ。人間は深い集中状態に入るために23分かかるそうですが、オフィスでは11分に1回同僚に話しかけられてしまうのだそうです。これを僕に置き換えると、スマホまたはPCということがはっきりしました。何かをやってる最中に、すぐにPCやスマホを見てしまうんですよね。まずはこれをやめる!
 それから、いつ何を何時間やるかをはっきり決めると、集中力は増すそうなので、それもやる!

(2)集中がそれていると気づいた瞬間に、集中をもとの対象に戻す!
 そして、「何分かけて何をやるか」を決定すると集中力があがるので、これをやる!
 集中しはじめても、周期的に注意がそれてそれに気づく。人はそういうシステムなので、そこでまた最初のものに集中する(ここ大事)

(3)どうしても集中できない時は、以下の3つのどれかで対応!
 ①失敗を恐れて先延ばしにしてる場合:「予防焦点」をもつ。成功や達成を目指している場合はそこに集中して向かえばいい(促進焦点)が、失敗を恐れている場合は促進焦点はうまくいかない。そういう時は、向上や成功ではなく予防に焦点を置く。たとえば、自分の評価を下げないとか、そんな感じ。
気分が乗らないときは、そんな気分は邪魔なので無視!
きつい、つまらないというときは、「条件づけによる計画」を行う。ようするに、いつどこでやるかを決めてやってしまう!

(4)集中と集中解除をうまく使う
集中しすぎると疲れてしまう。だから集中と集中解除(DMN)はどちらも大事。で、なかなか効果的な集中解除の使えそうな方法はふたつ。
肯定的瞑想(PCD)を行う。読書や音楽でもいい。それをきっかけに自分の心の中をさまよう
昼寝する

 上記は僕が勝手にまとめたことで、この本の書いてあることの1/3ぐらい。でも僕の集中に使えそうな方法をまとめるとしたらこんな感じでした。いやあ、すぐにスマホやPCを見てしまうことに気づけただけでも読んだ価値がありました。また、それに気づいた瞬間に「ダメ!」と流されない自制心も重要。数時間もあれば読めてしまう軽い内容の本でしたが、それだけに実用的。読んで良かったです!!


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書籍『モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか』 ダニエル・ピンク

Motivation3.jpg こんな僕でも若い頃はがんばり屋だったんですが、年齢的な問題なのか、最近はがんばろうと思ってもやる気が出ません。これはさすがにヤバい、どうにかしないと…というわけで、やる気を出す本を読んでみました。著者のダニエル・ピンクさんはエール大卒で、大企業やテレビで自己啓発セミナーなんかをやっていた人みたいです。

 この本の要旨は、従来の成功報酬型のモチベーションはうまくいかない、新しいモチベーションが必要で、それは「課題に取り組むこと自体が内発的報酬にあたる」(p.9)というものでした。あ~なるほど。
 モチベーションは人間社会の進化とともにシフトしてきて、まずは食欲や性欲などの生物学的なモチベーション1.0,次が外部から与えられる評価や報酬や罰という2.0。でも外部から与えられるモチベーション(たとえば成功報酬)ではむしろ成果が下がることが分かって来て(意識が作業そのものから報酬に向くから?)、今は内部から湧き上がるモチベーション3.0を重要視すべし、みたいな。

 モチベーション3.0には3つの要因があって、それは自律性、熟達、目的。つまり「課題に取り組む」「マスターになろうとする」「目的をはっきりさせる」ということ。

そして、モチベーションをあげるためのヒントがいくつか書いてありました。僕的に役立ちそうと思ったものは以下の通り。
自分をひと言で表す文章を常に考える(そこに集中して頑張る)
1日の終わりに、「昨日より今日は進歩したか」と問いかける
・7年働いたら1年休み、その間に見つめ直して計画する
・自分自身の勤務評定を行う
とにかく反復する、続ける

 要約すればシンプルな内容でしたが、これは役に立つかも。よ~し、目的をはっきりさせて、自分から課題に取り組んで、やる以上はプロになろうと心がけてがんばるぞ~!!というわけで、いい本でした!


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『The Delfonics』

Delfonics.jpg デルフォニックスもフィリー・ソウルの代表グループとしてよく名前があがるグループです。若いころの僕は「ララは愛の言葉」と「Didn't I Blow Your Mind This Time」しか知らないんですが、このアルバムには「Didn't I Blow Your Mind This Time」が入っているので、もしかするとまあまあ有名なアルバムかも。1970年発表のサード・アルバムです。

 スタイリスティックススピナーズに近く感じました。男声ソウル・コーラス・グループで、ストリングスが入っていて、ガシガシ攻めるというよりゆったりとしたいい曲が多い、みたいな。古き良きモータウンの音に近い…と思ったんですが、そもそもジャクソン5がデルフォニックスの曲をカバーしてたので、むしろモータウンとフィリーソウルは影響を与え合っていたのかも。O'Jays が少し違うだけで、それ以外のフィリー・ソウルはこういうムーディーなソウルがメインなのかも。

 コーラスの見事さより、曲がしっかり作ってあるところが特徴とも感じました。デルフォニックスの曲が頻繁にカバーされるのも、曲がしっかりしている証拠なんでしょうね。コーラスはそこまで美しくないし、バンドも垢抜けなくてバタバタしてるし、音が例によってボワーンとしたミックスなんですが、逆にいうとこれがフィリー・ソウルや初期モータウンのあの独特の匂いを作ってるのかも。あれ?曲がいいけど音が古いから、みんなアレンジしたくなってカバーするのかな?


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『O'Jays / Back Stabbers』

OJays Back Stabbers フィラデルフィア・ソウルの大ヒット曲「裏切者のテーマ」収録の、オージェイズ1972年のアルバムです。な~んて言ってますが、僕はフィリーソウルの事をあんまり知らないんですよね(゚∀゚*)エヘヘ。フィリー・ソウルで有名なミュージシャンというと、オージェイズ、スタイリスティックスハロルド・メルヴィン&ブルーノーツスピナーズあたりでしょうか…知らないのに適当な事を書くと恥をかきそうなので、あんまり喋らない事にしよう。

 「Back Stabbers(裏切り者のテーマ)」は、スタジオ付きのバンドの演奏にヴィブラフォンやストリングスが被せてあって、オージェイズの熱いソウルフルなヴォーカルと、要所で聴かせる3人のハーモニーが絡んだ曲。他にも、下世話でポップなファンクっぽい曲とか、ソウルもファンクもゴスペルも混じって、当時のブラック・ミュージックを色々混ぜて作ったチャート音楽っぽかったです。60年代にアトランティックから出ていたオーティス・レディングやアレサ・フランクリンに比べると、曲もコーラスもホーンセやストリングスのアレンジも手が入っていて、カッコよくなってる感じかな?かといって、ダニー・ハサウェイやカーティス・メイフィールドのニューソウルほど洗練されてませんでした。というわけで、60年代ソウルとニューソウルの間ぐらいにいる黒人チャート音楽という感じかな?音から判断するに、制作システムとしては、ジャクソン5や『For once in My Life』の頃のスティーヴィー・ワンダーあたりのモータウンに近かったんじゃないかなあ。モータウンとの音の違いは時代差や地域性より、スタジオにいたミュージシャンの個性差の気がします。

 70年代のフィラデルフィアと言って僕が思い浮かべるのは、映画『ロッキー』に映っていたあの景色です。うらぶれた肉体労働者があふれていて、寒々しい空で、田舎じゃないけど大都会でもない、疲れた地方都市っぽい感じ。ああいうアメリカのレンガ造りのアパートの一室で、アフリカン・アメリカンの人たちがラジオでこういう音楽を聴いてたのかなあ…な~んて想像するだけでジ~ンと来るというか、ワクワクするんです。そしてまたロッキーのフィルムに映っていたあの景色に似合う音楽なんですよ、泥臭さと洗練されたものが混じってる感じで。

 

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映画『新 仁義なき戦い 組長最後の日』

SinJinginakiTatakai_KumichouSaigonoHI.jpg 仁義なき戦い新シリーズの最終作です。新シリーズは1作目も2作目も外したと思ってたけん、これは仁義でみちょった感じじゃのお。ヤクザ役が「うわ、すげえ迫力だ」と思わなくなってしまっては、やくざ映画は成立しないって事なんでしょうね。。藤岡琢也さんに尾藤イサオさん、地井武男さんなんかが出てますが、いずれいい役者さんとは思うけどヤクザ役やるには貫禄が足りない感じ。藤岡さんなんて、かなりきわどい交渉の時に笑顔で話してますが、生きるか死ぬかの鉄火場でそんな風になるわけないんだし、やくざ映画として成立してない、と感じてしまいました。

 そんなわけで、僕にとってのこの映画のみどころは、菅原文太さんと松原智恵子の道ならぬ関係。兄妹なんですが、妹の方が兄にただならぬ思いを寄せていて、この背徳感がいいです。松原智恵子さんが頭の足りない尻軽ビッチだったらなんとも思わないんでしょうが、陰があってキリっとした頭脳明晰な大人の女性に見える事で、背徳感が増長。松原智恵子さん、品があっていい女優さんだなあ。

 吉永小百合さんや松原智恵子さんみたいな、立ってるだけで品格を感じる女優さんって少なくなりましたね。役者の誰かが「金持ちが貧乏の役を演じる事は出来るけど、その逆は無理、だって想像すら出来ないから。同じように、貫録ある人が情けない役は出来てもその逆は無理。お嬢さまがビッチの役は出来てもその逆は無理。」みたいな事を言ってましたが、そういうのってあるんでしょうね。


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映画『新 仁義なき戦い 組長の首』

SinJinginakiTatakai Kumichou no kubi ロックバンドのレコードもそうですが、素晴らしいレコードに一度出会うと、以降は何回外しても新作が出るたびについ聴きたくなってしまう性癖が僕にはあります。キング・クリムゾンなんて、再結成するたびに聴いては外すのに、それでも再結成するたびに何度でも同じ手にひっかかったし。仁義なき戦いも新シリーズの1本目を見て外したと思ったのに、それでも過去のいい頃を思い出して、つい2作目も見てしまったんです。これがその新シリーズ第2弾。ここに来て、ついに実録ものですらなくなって、フィクションになってしまいました。でも観た。そして外した(^^;)。。

 「映画の中だけの虚構すぎるわ」と感じちゃって、ダメでした。あまりに現実離れして感じると、感情移入が出来ないんです。たとえば、ヤクザがぜんぜん「これは本物だわ」と感じなくなってきちゃって、学芸会を見てる気分になったのです。どうしてこういうキャスティングになったのか知りませんが、さすがに小林稔侍さんや三上寛さんがヤクザを演じるのは無理があるんじゃないかと。小林稔侍さんはいい俳優だとは思いますが、いいお父さん役とかなら似合いそうだけどヤクザは無理。演技どうこうじゃなくて、人柄の良さや押しの弱さが、色んな所から滲みでちゃうんですよね。。

 そんなわけで、僕にとってのこの映画唯一の見どころは、ウルトラセブンアンヌ隊員が脱いで体あたりの演技をしてる事。まったく事前情報無しだったもんで、「うわ、アンヌじゃん!」と驚いてしまいました。まだ「37階の男」も「プレイガール」も見てなかったもんで、ウルトラセブン以降の映画やテレビで、チョイ役でないひし美ゆり子さんを観たのは初めてだったんです。よもやこういう汚れ役もやる女優になっていたとは…女優という人生もなかなか波乱万丈です。そうそう、ひし美さんの女優人生については書籍『万華鏡の女 女優ひし美ゆり子』という本が出てまして、以前レビューしたことがあります。女優のリアルな人生の方が、この映画より全然ドラマチックでしたね(^^;)。



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映画『新 仁義なき戦い』

Sin Jinginaki tatakai 仁義なき戦い5部作に大ハマりした僕は、その続編の「新・仁義なき戦い」3部作も見たのでした。悪い映画とは思わなかったですが、なにせ最初の5部作と比較してしまうと…。

 これは「新」シリーズの第1作ですが、題材が仁義なき戦いの第1作と同じ。同じストーリーなので、どうしても比較して観ちゃうんですよね。こっちの方が落ちて見えるのは、1作目の迫力がなくなって、なんだかマッタリしてたんです。ヤクザがヤクザっぽく見えなかったり、セリフが歌舞伎の大見得を切ってるみたいにゆったり話したりして、芝居用の芝居に感じちゃったのでした。
 
 若山富三郎さんなんて大好きな俳優だし、『ブラック・レイン』でも『悪魔の手毬唄』でも素晴らしい演技をしてたのに、この映画に関してはちょっとくさいと感じてしまった(^^;)。。

 というわけで、つまらなくはなかったけど初期の5部作に比べると、新シリーズはイマイチに感じました。まあそれは『座頭市』なんかもそうで、昔の邦画のシリーズものって、尻つぼみになっていく宿命なのかも。


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『仁義なき戦い テーマ・フルコレクション』

JinginakiTatakai_Theme Full Collectiom 映画「仁義なき戦い」は大ヒットしたので、熱狂的なファンの方は片っ端から見てると思うのですが(僕もそう^^)、やくざ映画なので、見る人を選ぶ映画でもあるかも。それでも、映画を観てない人でも「チャララ~、チャララ~」というテーマソングは知っているはず。これは、映画シリーズ「仁義なき戦い」のサントラ盤で、「新」以降のシリーズの音楽は入っていなくて、初期5作品(1作目、広島死闘篇、代理戦争、頂上作戦、完結篇)からのチョイスです。それにしてもジャケットがメッチャかっこいいい!生きた心地がしません(゚ω゚*)。

 僕はこのシリーズを何度も観たので、セリフも音楽もけっこう覚えてます。そんなもんだから、聴いてるだけで「あ、これはあのシーンの音楽だな」と分かって燃える!どれもこれも聴いていて生きた心地がしないような緊迫感のある音楽ばかりなので、もし「仁義なき戦い」を知らない人がこの音楽を聴いたら、怪獣映画か古い恐怖映画の音楽だと思うんじゃないでしょうか…やくざ映画はある意味で恐怖映画か(^^;)。

 作曲をした津島利章さんは、東映専属の作曲家みたいで、東映映画の曲を大量に手掛けてます。時代劇と任侠映画の作曲ばかりなので、もしかしたら京都撮影所づきの人だったのかも。僕がいちばん好きな津島利章さんの曲は、「三匹の侍」のメインテーマで、あれはとんでもなくハイクオリティな邦楽調管弦楽でシビれました。変わったところでは、「アイゼンボーグ」なんていう恐竜特撮の音楽も書いていて、これも幼少時に燃えた(^^)。でもやっぱり、広く知られている代表作は間違いなくこの「仁義なき戦い」でしょう!弱気になってる時に聴くと、「おんどれらも、吐いた唾飲まんとけよ」という気分になって、攻めの姿勢になれること請け合いです!いや~久々に聴いたけど、やっぱり燃えました(^^)。


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『阿部薫 / スタジオ・セッション1976.3.12』

AbeKaoru_StudioSession 1976312 即興演奏の阿部薫さんは、若くして他界した割に、いっぱい録音が残っています。ジャズのライブハウスのママやファンの方がカセットテープに録音したものが残ってるんですね。でもこのアルバムはライブのオーディエンス録音ではなく、スタジオ録音盤です。『彗星パルティータ』同様、ゴーストも聴こえますが、パルティータほど目立ちません…音楽じゃなくてそんなところに感動するのもどうかとは思うんですが(^^;)。レーベルも転写を気にしなければいけないなんて、デジタル時代の今ではあり得ない苦労ですよね。。

 このCD、最初に短めの即興が5つ、そして最後に45分近いアルトサックスの即興演奏が収録されていました。いずれも独奏で、ピアノ(1曲)、ハーモニカ(2曲)、アルトサックス(3曲)。
 最初に入っていたピアノとハーモニカの演奏は、出鱈目にやってるだけにしか聴こえなかった(^^;)。阿部さんはどんな楽器でも歌わせるのがうまいですが、このセッションの演奏は…ピアノなら『ソロ・ライブ・アット・騒 vol.2』、ハーモニカなら『ラスト・デイト』あたりが素晴らしいので、そっちを先に聴いた方がいいかも。
 同じことが、アルト・サックスの演奏にも言えました。さすがにメイン楽器のアルト・サックスは指さばきが見事でこなれた演奏でしたが、なんというか…「ノラズ」というやつですね (^^;)。でも、45分近いメインイベントは、途中から素晴らしい演奏になってきました、さすが!でも、33分あたりでマシントラブルでブチブチと激しいノイズが入ってますけど(^^)。

 ジャズ・ミュージシャンに顕著ですが、ライブだと素晴らしい演奏をするのに、録音スタジオに入るとからきしという人がいます。日野元彦さんなんて、ライブだと暴発しまくりのすごい演奏をするのに、スタジオに入るとやたらタイトになりますしね。僕の先輩にもそういう人がいたんですが、「ヘッドフォンして演奏させられると、色んな音が聴こえてきちゃって、あれこれ気になって演奏が慎重になっちゃうんだよな」なんて言ってました。このアルバムって、もしかするとそういう事だったのかも。でもちょっと分かるなあ、ライブだと「誰に向かって音を出すのか」というのがはっきりしてるし、うまく演奏するより気風の良さを伝えようと考えたりできるけど、録音スタジオで演奏すると、どこに向かって音を出していいのかはっきりしないですもんね。ましてフリー系の音楽ともなれば、その場の雰囲気で自由に音楽を作っていくんだろうに、ひとりでスタジオに入って、いったいどうしろと…みたいな所だったのかも知れません。


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『阿部薫 / なしくずしの死』

AbeKaoru_Nasikuzusi no si アルトサックス奏者の阿部薫が生前に発表した数少ないアルバムのひとつです。セッション参加作をのぞいた、生前に発表された阿部薫名義のアルバムって、高柳昌行さんとの『解体的交感』とこれだけかも。1975年録音の2枚組で、青山タワーホールで行われた「なしくずしの死」コンサートから2トラック、残りは入間市民会館での録音でした。これがマジで素晴らしかった!

 アルバム冒頭から、いきなり素晴らしいです。ミシェル・シモン(スイス出身の俳優。「霧の波止場」「悪魔の美しさ」など、主演作品で名作多数)によるセリーヌ「なしくずしの死」の朗読のテープから始まって、それがフェードアウトしてものすごい勢いのサックス独奏が始まって…もう、冒頭の5分だけでも感動。。
 「花嫁人形」のメロディをフェイクしていくえんかのようなパフォーマンスもありましたが、全体的には全力で吹きまくってるトラックが多いです。残された阿部さんの録音は死ぬ歳となる78年の録音が多いんですが、その頃になると吹きまくりはしないんですよね。それが悪いわけではないんですが、やっぱり吹きまくりの阿部薫は一度は聞いておきたい渾身のパフォーマンスで、問答無用にすごいと感じると思います。

 このレコードが普通に聴けるようになったのはCD化の際で、それ以前は見る事さえできない状態、見つけても5万円とか、そういう超プレミア価格でした。そんな状態だったので、阿部さんの数少ないオリジナル・アルバムだというのに、僕はこのレコードを聴くより先に、阿部さんのサックス・ソロのレコードをいくつも聴いていました。だから、「サックス・ソロはもういいや」と思っていたんですが、ところが聴いたらメッチャすごかった!阿部薫さんのレコード、今では大量にリリースされていますが玉石混合です。熱狂してレコードを20枚以上買わされた僕ですら、面白いと思うものはほんの一握りなんですが、これは間違いなく名作。またの日の夢物語』『ラスト・デイト』と並んで、大推薦です!


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Bach Bach

Author:Bach Bach
狭いながらも居心地のいい宿で、奥さんとペット数匹と仲良く暮らしている音楽好きです。若いころに音楽を学びましたが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたレコード/CDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。趣味で書いている程度のものですが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば嬉しく思います(ノ^-^)ノ

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ロシアとウクライナがほぼ戦争状態に入りましたが、僕はソ連解体後のウクライナについて本当に無知…。これは2016年にオリバー・ストーン監督が作ったウクライナのドキュメンタリー映画。日本語字幕版が出たらぜひ観たい このブログをYoutube にアップしようか迷い中。するなら作業効率としては早いほど良いんですよね。。その時にはVOICEROIDに話してもらおうかと思ってるけど、誰の声がいいのか考え中
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