1979年発表、日本の男女混声のポピュラー・コーラス・グループ「
サーカス」のサード・アルバムです。
(*2020.9.3修正:これはサード・アルバムではなく、セカンドアルバムの後に出たベスト盤でした。ごめんなさい。)「Mr.サマータイム」「アメリカン・フィーリング」「ホームタウン急行」など、僕が知っているこのグループのヒット曲は全部このアルバムに入ってます(^^)。
さて、70年代で男2女2のポピュラーコーラスとなると、どうしても
ABBAを思い浮かべてしまいますが、音楽の方向性は全然違ってクロスオーバー的。つまり、ABBAというよりマンハッタン・トランスファーに近い感じでした。そういえば、このレコードはアルファ・レコードから発売されてるんですが、アルファと言えば
松任谷由実に
YMOにサーカス(そういえば、少し前に取り上げた
シーナ&ザ・ロケッツもアルファだった気が)という感じで、ニューミュージックのイメージを作ったレコード会社と言えるのかもしれません。
アレンジや作曲面での工夫が素晴らしい!!これ、かなり頑張って色んなチャレンジをしたんじゃないかなあ。シャンソン調の曲あり、ブラジルサンバ調の曲あり、オールドジャズ調の曲、さわやかフュージョン風のサウンド…と、バラエティに富んでいて、アレンジもやっつけ仕事ではなく、すごく頑張ってます。聴いていてすごく楽しい!!特に、3曲目の「デイ・ドリーミング」なんて、ボッサとジャズフュージョンをAORに仕上げた感じの、まさにニューミュージックが追った方向性が全部いい方向に出たような素晴らしい曲!!これは本当にスバラシイと思いました。
ハードでダークなものが大好きだった若い頃は全然感じなかったんですが…詩とか曲想とか、すごく爽やかで幸福感に向かってる感じ。これが聴いていて、すごく心地よかった。詩の世界も、今のポピュラーみたいな子供向けの歌詞オンパレードではなくって、すごく大人。20代以上の大人が楽しめる感じ、40以上の人でも「ああ、こういう時期が自分にもあったなあ」と、懐かしく聴ける気がします。50代ならリアルタイム世代だからもっと楽しめるかも。例えば、特捜最前線のエンディング曲になった「ホームタウン急行」の歌詞は、都会に出た女性が田舎に帰って結婚するみたいな筋なんですが…
都会で覚えた悲しみたちを忘れて 私、生まれ変わるの…
すごく明るく、でもちょっとだけずれていく感じのクリシェ(和音の中のある音だけを少しずつずらしていく方法)の切ない感じの音に合わせてこんな言葉が歌われます。いやあ、子供の頃はぜんぜん分からなかったけど、むかし東京に出て苦労した経験のある僕にはグッと来てしまった。。
単に爽やかなだけでなく、色んな経験をしていっている最中の20~30代の女性が、いい事も悪い事も経験しながら、それらを全部ひっくるめて前向きに進んでいく感じの世界観。いや~、鬱屈した日本の70年代が、きらびやかな80年代に突入していく時の雰囲気にすごく合っていたのではないでしょうか。整理して売っちゃうつもりで、最後に一回だけ聴こうと思っただけだったのに、こんなに素晴らしいとは思わなかった。。もう、4回もリピートして聴いてます。
ニューミュージックの大名盤、子供が聞いたら「さわやかなだけじゃん」と理解できないかも知れませんが、大人ならこの世界が理解できるはず。20代以上の人に超おススメ!!