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心に残った音楽♪

おすすめCDの紹介のほか、本や映画の感想などを (*^ー゜)v

 

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『ストラヴィンスキー、ロックバーグ:ヴァイオリン協奏曲 アイザック・スターン(vln)』

Stern_StravinskyVlnConcerto.jpg アメリカのヴァイオリニストであるアイザック・スターンをはじめて知ったのは、ベルクの室内協奏曲を聴いた時でした。その鋭いヴァイオリンの響きに一発でノックアウト。で、先日、中古盤屋を何となく眺めていると…おおお、こんなCDがあるのか!!スターンによる、ストラヴィンスキーのヴァイオリン協奏曲です!!こんなの、買わないわけにはいかないじゃありませんか!!ついでに、ジョージ・ロックバーグのヴァイオリン協奏曲も入ってますが、ロックバーグという人を僕は良く知りません(^^;)

 まず、ストラヴィンスキーのヴァイオリン協奏曲。録音は1961年ハリウッドという事ですが、音の分離が異常に良く、同時に全然ホールの響きがありません。恐ろしく響きません。こ、これは…レコーディングスタジオかラジオ局で収録したのかな?ソニーめ、スターンのストラヴィンスキーというだけで内容問わずにリリースしたな(- -*)。えっと、曲について紹介すると、「火の鳥」や「春の祭典」で有名なストラヴィンスキーは、原始主義期、新古典期、セリー期と、人生で3回作曲技法を取り換えています。ヴァイオリン協奏曲は新古典期のもので、ストラヴィンスキーとしては一番普通の音楽をやっていた頃の作品と言えるかと思います。これ、もっと良い音のするホールでの録音だったら、どういう風に聴こえたんだろうか。

 次に、ロックバーグのヴァイオリン協奏曲。作曲者を知らない時に、解説つきの国内盤は助かります(^^)。ロックバーグはユダヤ系アメリカ人で、作曲家としてのほかに音楽教師としても活躍したそうです。作風は、音列技法を通過しつつもロマン主義的な音楽に戻ってきて、中にはほかの作曲家の音楽の断片をコラージュした作品もあるらしいです。なるほど、前衛の世代直前の作曲家の傾向がもろに出た感じなのかな?色々と折衷的なのかも知れませんね。このヴァイオリン協奏曲に関していうと、ロマン派音楽という感じでした。このCDでの録音は77年、ストラヴィンスキーの録音の16年後という事ですね。前の曲ほどではありませんが、やはり響かない。。なんか、ヴァイオリンの演奏はスゴイ事やっているような気がするのですが…

 というわけで、音楽的には20世紀新古典~ロマン派が好きな人なら演目的にビンゴなんでしょうが、僕みたいにもうちょっと刺激がほしい人にとっては若干保守かな?でもそれ以上に、録音って大事なんだな~と思わされた一枚でした。



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『サーカス / サーカス・ブティック』

circus_boutique.jpg 1979年発表、日本の男女混声のポピュラー・コーラス・グループ「サーカス」のサード・アルバムです。(*2020.9.3修正:これはサード・アルバムではなく、セカンドアルバムの後に出たベスト盤でした。ごめんなさい。)「Mr.サマータイム」「アメリカン・フィーリング」「ホームタウン急行」など、僕が知っているこのグループのヒット曲は全部このアルバムに入ってます(^^)。

 さて、70年代で男2女2のポピュラーコーラスとなると、どうしてもABBAを思い浮かべてしまいますが、音楽の方向性は全然違ってクロスオーバー的。つまり、ABBAというよりマンハッタン・トランスファーに近い感じでした。そういえば、このレコードはアルファ・レコードから発売されてるんですが、アルファと言えば松任谷由実YMOにサーカス(そういえば、少し前に取り上げたシーナ&ザ・ロケッツもアルファだった気が)という感じで、ニューミュージックのイメージを作ったレコード会社と言えるのかもしれません。

 アレンジや作曲面での工夫が素晴らしい!!これ、かなり頑張って色んなチャレンジをしたんじゃないかなあ。シャンソン調の曲あり、ブラジルサンバ調の曲あり、オールドジャズ調の曲、さわやかフュージョン風のサウンド…と、バラエティに富んでいて、アレンジもやっつけ仕事ではなく、すごく頑張ってます。聴いていてすごく楽しい!!特に、3曲目の「デイ・ドリーミング」なんて、ボッサとジャズフュージョンをAORに仕上げた感じの、まさにニューミュージックが追った方向性が全部いい方向に出たような素晴らしい曲!!これは本当にスバラシイと思いました。

 ハードでダークなものが大好きだった若い頃は全然感じなかったんですが…詩とか曲想とか、すごく爽やかで幸福感に向かってる感じ。これが聴いていて、すごく心地よかった。詩の世界も、今のポピュラーみたいな子供向けの歌詞オンパレードではなくって、すごく大人。20代以上の大人が楽しめる感じ、40以上の人でも「ああ、こういう時期が自分にもあったなあ」と、懐かしく聴ける気がします。50代ならリアルタイム世代だからもっと楽しめるかも。例えば、特捜最前線のエンディング曲になった「ホームタウン急行」の歌詞は、都会に出た女性が田舎に帰って結婚するみたいな筋なんですが…

都会で覚えた悲しみたちを忘れて 私、生まれ変わるの…

 すごく明るく、でもちょっとだけずれていく感じのクリシェ(和音の中のある音だけを少しずつずらしていく方法)の切ない感じの音に合わせてこんな言葉が歌われます。いやあ、子供の頃はぜんぜん分からなかったけど、むかし東京に出て苦労した経験のある僕にはグッと来てしまった。。

 単に爽やかなだけでなく、色んな経験をしていっている最中の20~30代の女性が、いい事も悪い事も経験しながら、それらを全部ひっくるめて前向きに進んでいく感じの世界観。いや~、鬱屈した日本の70年代が、きらびやかな80年代に突入していく時の雰囲気にすごく合っていたのではないでしょうか。整理して売っちゃうつもりで、最後に一回だけ聴こうと思っただけだったのに、こんなに素晴らしいとは思わなかった。。もう、4回もリピートして聴いてます。ニューミュージックの大名盤、子供が聞いたら「さわやかなだけじゃん」と理解できないかも知れませんが、大人ならこの世界が理解できるはず。20代以上の人に超おススメ!!



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『島田歌穂 / now and forever』

ShimadaKaho_nowand.jpg 島健さんの関わった島田歌穂さんのアルバム。今度は、ピーター・アースキンやらジョン・パティトゥッチやら、アメリカの錚々たるフュージョン系アーティストとの海外レコーディング作だああ!!!

…しかし、残念ながら僕には合わなかった(T_T)。。このCD、曲がみんな当時アメリカで流行った曲の日本語カバーです。ドゥービー・ブラザーズのマイケル・マクドナルドとか、ギルバート・オサリバンとか、マイケル・フランクスとかの曲です。これを、アメリカのミュージシャンが演奏するわけです。…だったら、オリジナルを聴いた方が100倍良くないかい?当時、アメリカのミュージシャンを使ってアメリカレコーディングするのがカッコいいみたいな空気、あったんですよねえ。特にフュージョン系ポップスの界隈で。僕が仕事で関わった事のあるディレクターさんも、海外でレコーディングしてきた事を誇らしげに語っていたんですが、なんだかなあ…って思ってました。海外から学ぶのは良いと思うんですよ。海外留学もオッケー。でも、創作物を作る段になって、自分の側の持っているものを何も提示できずに、相手の音楽だけ全部丸呑みって、恥ずかしくないのかなあ。「ブレッカーと仕事した」とか言っちゃうのって、その時点で自分が下だと言ってるようなもんだと思うんですけど。。これはディレクターやプロデューサーが悪いのか、レコード会社の意向なのか、それとも本人の意向なのか…。

 ああ、物真似や借り物ばかりの日本の悲しい音楽文化事情を反映した悲しい産物、こういうのを恥と思わないセンスが一番さむいです。歌穂さんと島さんのデュオアルバムが素晴らしかっただけに、ちょっと残念でした。



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『島田歌穂 / Duo K&K in Ballade』

ShimadaKaho_Shima.jpg ひとつ前の岩崎宏美さんの記事で、「島健さんのアレンジと演奏だけは別格で素晴らしすぎる!」みたいな事を書きました。で、島健さんがガッツリと歌伴に取り組んだ作品がないかというと…あるんです(^^)。それがこれ、1995年発表の島田歌穂さんのアルバムです。ピアノと歌だけ、余計な要素一切なしです。これが素晴らしすぎる!!あまり知られていない作品かと思いますが、内容は超一流!!

 島田歌穂さんといえば、私的にはなにはともあれ「がんばれロボコン」のロビンちゃん役なわけですが(^^)、まあ子役あがりだからアイドル歌謡なんだろうな…と思ってたらとんでもありませんでした。素晴らしいヴォーカリストです!!なんというのかな、声量は無いんですが、すごく表情のある声と歌い方をして、良い意味でのポピュラー・シンガーという感じ。考えてみたら、僕がロック最高のヴォーカリストと思っているスティーヴ・マリオットさんも子役あがりですしね。。あと、声優さんの録音に関わった事が何回かあるんですが(僕は作曲家としてじゃなくってピアニストとしての参加だったので、歌い手さんとはなかなか会えなかったT_T)、バンドやってた人とかよりもちゃんと発声の訓練を受けていたりして、むしろ声優さんの方が声そのものの使い方は分かってるんじゃないか…と思った事があるほど。これは舞台俳優さんにも感じた事があります。
 そして、このデュオ。島さんと島田さんは夫婦なだけあって、息がぴったり合う!!ジャズピアノを通過したピアニストの素晴らしいアレンジと演奏と会話するように、囁くように言葉があふれ出してきます!!音もすごくシックで(僕なんぞと比較するのもなんですが、島さんのピアノはタッチがジャズ的というか、クラシックみたいな「落とす」感じじゃなくって、「そっと押さえる」みたいな感じで、すごくデリケート。ポピュラー系のがさつな演奏なんて比較になりません。こういう音で演奏できるようになりたかったT_T)、実に大人な歌謡曲。いやあ、音楽って、お客さん相手のエンターテイメントな商品も悪いとは思わないんだけど、それより前に、やっている人たち自身の中から出てくるものであってほしいと思ってしまいます。これは、夫婦デュオであるからこその、落ち着いた、しかし微笑ましいような会話を音楽の上でやっているような、どんなにまわりがセッティングしてもここまでの絶妙な距離感は作れないんじゃないかというような得難いデュオと思いました(^^)。これは私的には、90年代の日本の歌謡曲シーンで上位に入る傑作!!外れ曲とか、ちょっと手を抜いたように見える曲もあるんですが(^^;)、しかし松下誠さん作曲の1曲目"My Lucky Day" を聴いてしまったら、そんなの吹っ飛んでしまいます(^^)。ここまでのヴォーカル/ピアノデュオのポピュラーはなかなか出会えないんじゃないかと。おススメです!!



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『岩崎宏美 / Never Again 許さない』

IwasakiHiromi_Yurusanai.jpg というわけで、岩崎宏美さんは、大ブレイク期よりも40代以降が良いんじゃないか…と思って聴いたのがこれ。というか、若い頃の岩崎さんのレコードは、歌はいいんだけど、詞や曲やアレンジやオケが古くさいザ・歌謡曲なんじゃないかという気がして、どうも気乗りしなくて(^^)。曲も筒美京平さんが多いですしね。このアルバムは、1999年発表のセルフカバー集です。

 キャスティングを見ると…作曲は全曲筒美京平さん、作詞は阿久悠さんやらドリアン助川さんやら。ああ、過去のセルフカバー集だからザ・歌謡曲なキャスティングになっちゃうのか。ミュージシャンは…マニピュレーターは松武秀樹さん、ギター松原正樹、ベース高水健司、ストリングスは金原ストリングスなどなど。日本のスタジオミュージシャン勢ぞろい、聴く前から音が想像できるぞ(^^;)。もうこれ、作曲家はメロコード譜だけ作ったらアレンジャーに丸投げ、アレンジャーはマスターリズムだけ作ったらミュージシャン丸投げ、そしてスタジオで初めてスコアを見たミュージシャンが半セッションのせーので録音…という流れ作業なんでしょうね。
 で、予想通り、そういう音でした。詞も曲も既製品、アレンジも80年代日本の歌謡曲のスタジオワーク的な古くささ(というかやっつけ仕事っぽいT_T)、演奏もリードシートだけを見てプレイしたセッションという感じ。レコーディングミキサーの音作りも、ゲートドラムとか、ヴォーカルダブルとか、昭和歌謡フュージョン的な古くささ(- -*)。う~ん、なんというか、名ヴォーカリストを生かしきれないというか、心のない産業界主導の商業音楽の典型という感じ。昔、音楽業界に関わっていた時、こういうテキトー仕事を有難がって崇めているディレクターやら業界人のあまりの多さに、「こいつら馬鹿じゃねえの」と思ったものでした。しかし…

 最後の「日暮れのマティーニ」、これだけ別格!!オケはピアノトリオwithストリングス。ピアノとアレンジは島健さんです。ジャズです。ストリングスアレンジも、他の曲のやっつけシンセのパッドなんかと大違い。演奏も、歌を受けるオブリの作り方ひとつとってもレベルが違う。この曲のためだけに、僕はこのCDを手放せずにいます。結局、岩崎宏美さんという人は、美空ひばりの頃から続いている、日本のレコード産業界が作った「歌い手さん」として生きてきた人で、だから、用意されたものの上で唄うばかりで、生バンドと一緒に音楽を作り上げた事がない人なのかも。あれだけの歌唱力やプロフェッショナルな意識を持ってる人ですから、もし島さんのクラスのプレイヤーさんと本気で1年とか2年とか音楽を作りに行ったら、素晴らしい物を作れるのだろうに…と思ってしまいました。日本のザ・芸能音楽業界のダメさ加減と、真剣に音楽を追求してきたミュージシャンの実力の高さ。この差をまざまざと見せつけられたようなCDでした(なんか、岩崎宏美さんのレビューになってないぞ)。。



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『岩崎宏美 / LIVE BEST SELECTION 2006-2010』

IwasakiHiromi_LiveBest.jpg 演歌をはじめとした日本的な俗楽が消えていく過程が、70年代以降の日本の歌謡曲であった気がします。以降は西洋ポピュラーと同じフォーマットで歌謡音楽が作られていった訳ですが、中にはどこかに日本的なものを残して歌う凄い人も。…まあそれは置いておいてですね、少なくとも楽曲的には西洋ポピュラー音楽の亜流と化した70年代後半以降の日本歌謡曲の女性アイドルの中で、すごく好きな人がふたりいます。ひとりは中森明菜さん、もうひとりは岩崎宏美さんです。

 すごく不思議に思うのは、どちらの人も、いわゆる「うまい」というヴォーカルジャンルの中にいる人じゃないと思うんです。例えば、ジャズ的なヴィブラートのコントロールとか、演歌的なコブシの妙技とか、オペラ的な凄いヴェルカントとか、そういう舞台にはいなくって、普通に西洋亜流のポピュラー。それなのに、なんかメッチャクチャ歌心を感じるんですよね。歌を背負って歌えるだけの一人間としての歌手という生き方を全うして見える所が凄いと思うのです。例えばすごく純情な心を歌っている人が、私生活では煙草スパスパなんだろうな…な~んて思えちゃうと、どうしたって歌に入っていけないじゃないですか。そうじゃなくって、歌の歌詞に説得力が出てくるというのは、歌手という生き方を出来てるんじゃないかという気がします。これって本当にすごいと思うのです。だって、日本の歌謡曲の女性の歌い手で、パッと思いつく人がふたりしかいないんですから。

 そしてこの2枚組CD、岩崎宏美さんが50を超えてからのライブ集ですが、岩崎さんの凄いと思うのは、大人の歌を歌える歌手だという所。西洋音楽ベタコピーの日本歌謡曲って、時代が進むたびに大人の歌を歌える人が絶滅していく過程でもあったんじゃないかと。そりゃ、大人が歌を聴かなくなるのも無理ないんじゃないかと。「聖母たちのララバイ」はそんなに好きな曲じゃないんですが、しかしこの歌詞を歌える女性歌手って、ほとんどいないんじゃないかという気がするのです。岩崎さんは20歳そこそこの頃から、もっと大人が歌わないと本当はおかしいような歌を歌いこなしてきたので、ある意味でこのライブの頃が、実は岩崎さんがついに歌に追いついた頃なのかも知れません。張る、ファルセットを強めながらヴィブラートをかけていく…岩崎さんはこういうヴォーカル上の自分の武器みたいなものを若い頃から使ってましたが、この頃になると、それだけじゃなくって、声の表情をコントロールするようになってます。なんというか…スゴイというんじゃなくって、表現が増しているものだから心にグッとくるのです。聴いていてゾクッとくる瞬間が何度もありました。歌をモノにしているというか、やっぱりすごい人なんじゃないかと思います。



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『Bill Monroe and his blue glass boys / The Essential』

BillMonroe_essential.jpg 古き良きアメリカの音楽を爆走中ですが、白人のカントリー系の音楽は、語れるほどには知らないんですよね(^^;)。チャレンジしようと思った事は何度もあって、このCDみたいに持っていたりはするのですが…。。

 えっと、ビル・モンローというブルーグラス界の巨匠の、出世作となった録音を片っ端から収録した日本の好編集盤です。ライナーとか、めっちゃ詳しいです。「ビル・モンローとブルーグラス・ボーイズ」というバンド名からこのジャンルの名前がついたぐらいなので、ブルーグラスの代表的アーティストといっていいんじゃないかと。で、ここが無知な所で申し訳ないんですが、私、アメリカのフォークやカントリーやブルーグラスというものの区別がよく分かってないんです(T_T)。イメージで言うと、ブルーグラスというと、アコースティックギターだけじゃなくって、バンジョーとかフラットマンドリンとかフィドルとかが入っていて、けっこう陽気にチャカチャカやっているようなイメージです。で、私、今までに日本のブルーグラスバンドをいくつか観てきたんですが、なんというのかな、皆さん、歌でもマンドリンでもギターでも、どういうわけかあまりお上手でない方が多いんです。ただ、バンジョーだけはなぜかテクニシャン揃い。これ、不思議に思っていたんですが…この元祖ブルーグラスのビル・モンローのバンド自体がまさにそうなのです。もしかすると、日本のブルーグラスの人たちは、そんなところまで完コピ(^^)??

 …えっと、僕がいいなーと思ったところは、何よりもコーラスのハーモニーの美しさ。ビル・モンローさんがほとんど一人で唄っちゃう曲もあるんですが、最初から最後までずっとコーラスしている曲もあって、後者が素晴らしい!!コーラスがメッチャメチャいいです。いや~、古いアメリカに住んでいたわけでもないのに、西部劇に出てくるような丸太小屋の中で、暖炉に当たっているような郷愁を覚えてしまいます。他には、牛を飼っている荒野とか、蒸気機関車が走っている森とか、ミシシッピ川とか…なんか、アメリカの風景が浮かんでしまう。きっと、映画とかディズニーランドとか、そういう「古き良きアメリカ」を舞台にしたもので、よくブルーグラスが使われるからなのかな?
 次にいいと思ったのは、味のあるフィドル。うまいんだか下手なんだか分からない感じなんですが、なんか妙に味わい深いです。逆にいうと、クラシックのヴァイオリニストが揃いも揃ってうますぎるというだけで、個人の楽しみとしてヴァイオリンを演奏しているなら、これぐらい出来たら相当に上手いのかも。
 あと、好きというわけではないんですが、すごいと思うのはやっぱりバンジョー。これ、とんでもないテクニックだと思うんですが、テクニックを見せるというよりも、なんかすごく楽しそうにテケテケ演奏するんですよね。聴いているだけで、楽しくなっちゃいます。

 さっきも言ったように、歌とかマンドリンとかフィドルとか、上手いかと言われると、ちょいと微妙。僕は詳しくないんですが、今ならこの10倍ぐらいうまいブルーグラスバンドとか、アメリカにはゴロゴロいるんでしょうね。あくまで、ブルーグラスが生まれた当時ののムードを楽しむCDなんだと、私は思っております(^^)。ひとつ前の記事のカーターファミリーもそうなんですが、聴き始めてしばらくは、自分の趣味でもないし、上手くもないしというわけで、「聴くの止めようかな」とか思っちゃう。しかし15分ぐらい何となく流しておくと…なんか部屋中が田舎のアメリカみたいなムードになってきて、まったり心地よくなってくる(^^)。歴史的価値も100点満点なので、ぜひコレクションしておきたい1枚と思います(^^)。



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『THE CARTER FAMILY / 1927-1934』

CarterFamily.jpg 「古き良きアメリカ」の音楽の連投になってきました(^^)。同じアメリカでも戦前ブルースとかモダンジャズとか70年前後のロックとかになるとものすごく好きなんですが、白人系のカントリーとかブルーグラスとかフォークとかは詳しくなくって、この3つの音楽の差もよく分かってなかったりします。というわけで、詳しい事は書けないんですが…

 先に、備忘録的に書いておくと、カーター・ファミリーはトリオ編成で、メイベル・アディントン・カーターという女性がギターを演奏しているんですが、この人がベースラインを親指で演奏しながらプレイをするという事をやっていて、これは「カーター・スタイル・フラットピッキング」なんて呼ばれるそうです。wikipedia を見ると、「これが出来るシンガーはほとんどいない」なんて書いてあるんですが、結構やっている人がいる気が(^^;)。。まあそれはさておき、当時のカントリーの歴史の中では革新的なプレイだったんでしょうね。

 さて、本題。カーター・ファミリーは、このアメリカのカントリー系の音楽で、ものすごく有名なグループのひとつ。このジャンルに無知な僕でも、"keep on the sunny side"(陽気に行こう)とかは知ってます。アメリカは移住の国で、中南米と違ってイギリスからの植民が多い。それがお隣さんともすごく遠いところで大農場をやっていたりするので、楽しみと言えば家族で何かをする事だったらしいです。歌もそういう娯楽のひとつで、イギリスから持ってきたブロードサイド・バラッドとかを家族でギターなんかを伴奏にして合唱したりしたらしいです。これが、アメリカのカントリーとかそっち方面の音楽に「△△ファミリー」とか「〇〇ブラザーズ」というのが多い理由なんだそうで。で、カーター・ファミリーは、カーター夫婦に弟嫁を加えたトリオ編成。これがイギリスのブロードサイドバラッドの無伴奏独唱とは違い、ギターにオートハープの伴奏に加えて、ゴスペルのような2~3コースのコーラスで歌います。で、基本的に全部似たような「ズンチャッ、ズンチャッ」みたいな陽気なリズムで、全部長調でこれまた陽気なムードの曲が多いです。若い頃の僕は、この陽気さと単純さが大嫌いだったんですが…いや~、過酷な農場での労働をしている日々に、夜に家に帰ってきてご飯を食べて、夜に家族みんなで「つらいのは分かってるさ、でも陽気に行こう」なんて詞を、明るい曲想でみんなで歌っていたんだと思うと、なんかホッコリした気分になってきてしまうのです。きっと、アメリカ本国でのカントリー愛好家の方たちも、なんかそういう所にアイデンティティを覚えるんじゃないかと勝手に想像したりして(^^)。
 カーターファミリーは短い間ですがプロとして活躍しましたが、専門の音楽教育を受けたというわけではなくって、家族で楽しんでいた音楽がベースになっているという意味で、良い意味でフォークロアなんだと思います。そういうものに音楽的なあれこれを言うのって、なんか無粋な気がしちゃう。そんな所より、このムードがいいんです!個人的には、やたらと陽気な曲よりも、明るいけどちょっと郷愁を感じるような曲が好きなので、そういう曲が多く収められているディスク2以降がおススメ!大人になってから、じわじわと良さが分かってきた音楽でした。それにしても、1927年から34年の録音かあ。まさに「古き良きアメリカ」の時代ですね(^^)。



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『Marilyn Monroe / Songs from the Movies』

MarilynMonroe_SongsMovies ホーギー・カーマイケルほど古いものではないですが、古き良きジャズ・エイジの幸福な感じが残っているレコードを。ハリウッド女優ナンバーワンといえば、やっぱりこの人なんじゃないかと思います。マリリン・モンロー!このアルバムは、そのマリリン・モンローが、自分が主演した映画とか舞台とかの主題歌を自分で歌っちゃったという素晴らしい1枚。とはいえ、オケが往年のハリウッドのストリングスじゃなくって、ジャズバンド。しかしこれは大ハマリ!!ビバップとかモダンジャズじゃなくって、ベニー・グッドマンみたいなゆったりした気持ちいいビッグバンドで、モンローさんにぴったり。いいな~。

 収録は「紳士は金髪がお好き」と「帰らざる河」(あの映画は素晴らしかったなあ)からのチョイスのほか、選曲とアレンジがスバラシイ。。「帰らざる河」のあの弾き語りは、録り直しじゃなくって、もしかしたらサントラから抜いてきたのかな?で、マリリン・モンローの歌なんですが…いやあ、ケネディ大統領の誕生日に歌ったハッピーバースデーが音痴すぎてびっくりだったので、もっと下手な人かと思ってたんですが、うまいじゃないんかい?息の混ぜ方とヴィブラートのかけ方は明らかにジャズ。"kiss"なんて、これを下手とは絶対に言えないだろう…。男をたぶらかす時だけあの「アハ~ン」みたいな歌い方をするんですが(^^;)、大人な歌ではしっかり歌っていてびっくりしました。でもやっぱりあの「アハ~ン」な感じは魅力あって、"My heart belongs to daddy" とかはヤバいです。あの声で「私の心はパパのものよ~ン」なんて歌われたら、アメリカ人の親父たちはみんなメロメロになるわな。。あのため息が混ざったような声がエロさの秘訣なんだな( ̄ー ̄)。モンローさんの良さは、40歳を過ぎないと分からないという事か。子供の頃は、「何でこれがいいんだ?ブスじゃん」とか思ってましたからね、私(^^;)。

 というわけで、アメリカがハッピー極まりなかった20年代から50年代あたりの雰囲気をこれでもかと楽しめるアルバムと思います。ムードある曲も絶品、ハッピーな曲も絶品。いやあ、これはいいです。



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『HOAGY CARMICHAEL / In Person 1925-1955』

HOAGY CARMICHAEL In Person 日本って、ジャズ大好きな国だと思います。かれこれ20年ぐらい前にロサンゼルスに行った時に、来日経験のあるジャズミュージシャンがこんな事を言ってました。「ジャズって、アメリカには都市部にちょっとあるだけで、あとはそんなにないんだよ。ロスのジャズのハウスだって、東京の半分もないんじゃないかな。」ええ~、そうなの?!ってな具合で、音楽新聞を見ると(町にエンターテインメント情報のドッサリ載った無料新聞が置いてある)…本当だ、日本のジャズライフとかの後ろに書いてあるライブハウスの数の方が多い気がする。まあそれぐらいにジャズ大好きな日本ですが、しかしそれって凄くある一時期のジャズとか、ある傾向のジャズに偏っている気がします。マイルス・デイヴィスのレコードを何十枚も持っているジャズマニアさんに、「ホーギー・カーマイケルっていいですよね」という話をしたら、「え?誰それ?」みたいな事を言われたことがあります。アメリカでのジャズの考え方って、日本みたいなモダンジャズ以降だけじゃなくって、もう半分はカントリーと同じような感じのムードジャズ的な認識というのがあるんじゃないかと。ビバップ・ジャズが来る前の、いわゆるジャズ・エイジなんて言われている頃の優美でショー的な「古き良きジャズ」の匂いなんかもそれで、このディスクも戦前20~30年代のジャズ・エイジど真ん中。これが素晴らしすぎ!!

 ホーギー・カーマイケルというジャズ・ミュージシャンは、今では作曲家として知られていると思います。「スターダスト」なんていう大名曲の作者もこの人。しかしこの人、歌も歌うし、ピアノも弾きます。また、戦前のジャズ・エイジのジャズって、今ほど芸術してなくって、もっとエンターテイメントというか、プロミュージシャンが難しい事を分かりやすく優美にやってる感じ。で、クラシックとか劇音楽との境界が今ほどない。ジャズでも、普通にストリングス入ってるし、曲のヘッドの前にオペラのようなヴァース・パートもついてる。うたも劇音楽みたいにセリフっぽかったりするものが少なくないです。これが死ぬほど気持ちいい!!もう、今では失われてしまった音楽という感じなんですよね。ほら、チャップリンの映画とか見ると、クラシックなのかジャズなのか舞台音楽なのかよく分からない、しかし魅惑的な音楽がいっぱい入ってるじゃないですか。あの感じ。あれを、もう少しだけジャズに寄せた感じ。これは、一度聴いたが最後、ず~~~っと聴いていたくなっちゃう心地よさです(^^)。

 僕の最大のお気に入りは、ディスク2(このBOX、なんと10枚組です!)に入っている“LAZY BONE”という曲。僕はこの曲にやられました。今までに何百回聞いたか分からないぐらいに好き(^^)。マッタリとして、都市部でダラダラ過ごしている心地よさみたいなものを感じます。1次大戦と2次大戦の黄金時代のアメリカのムードそのままのジャズで、クラシックのほかに、カントリーとか黒人音楽とかが色々混じって、しかしそれをムズカシイ音楽にせずに最高に気持ち良いものに仕上げています。僕としてはムチャクチャおススメです!!



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プロフィール

Bach Bach

Author:Bach Bach
狭いながらも居心地のいい宿で、奥さんとペット数匹と仲良く暮らしている音楽好きです。若いころに音楽を学びましたが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたレコード/CDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。趣味で書いている程度のものですが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば嬉しく思います(ノ^-^)ノ

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ロシアとウクライナがほぼ戦争状態に入りましたが、僕はソ連解体後のウクライナについて本当に無知…。これは2016年にオリバー・ストーン監督が作ったウクライナのドキュメンタリー映画。日本語字幕版が出たらぜひ観たい このブログをYoutube にアップしようか迷い中。するなら作業効率としては早いほど良いんですよね。。その時にはVOICEROIDに話してもらおうかと思ってるけど、誰の声がいいのか考え中
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