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心に残った音楽♪

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『吉川晃司 / beat goes on』

KikkawaKoji_beat goes on 吉川晃司さんも80年代にデビューしたアイドルです。チェッカーズサリーと同様、売り方はアイドルだけど実際には自分で作詞作曲をする人でした。同世代の男性アイドルは、トシちゃん、マッチ(話題沸騰中^^;)、シブガキ隊と、小中学生相手のジャニーズ全盛。そんな中、SALLY と吉川晃司は不良臭プンプンでよかった!これは、そんな吉川さんのベスト盤、アルバム1枚で18曲も入ってます(^^)。

 チェッカーズ同様、吉川さんも自分で作詞作曲をするにも関わらず、シングルは全部あてがわれた曲でした。でもナベプロの担当者さんがしっかりしていたのか、アーティストイメージとあてがわれた曲が見事に一致していて、音楽の雰囲気は吉川さんの格好良さを音にしたようなポップロック調。それも、山下達郎さんがマッチに書いた「ハイティーン・ブギ」とか、ユーミンが聖子ちゃんに書いた「Rock'n Rouge」みたいな似非ロックと違って、パワーステーションとかニューウェーブみたいな雰囲気のデジタルなロックで、それが板についていて、子どもの頃はすごくカッコいいと思ってました。
 その徹底度はたいしたもので、デビューして何年たってもずっと一貫。こういう音をカッコいいと感じるか古くさいと感じるかは世代によって違うでしょうが、80年代にアイドルがこれをやったのはイケてたんじゃないかなあ。ちなみに、作家陣は、矢沢ファミリーのNOBODYが中心。そういえば当時のNOBODYは、アン・ルイスに「六本木心中」と提供したりして、歌謡ロックと言ったらまず最初に白羽の矢が立つ存在でした。他にも大沢誉志幸さん、佐藤健さん、原田真二さんなど、作曲家のキャスティングが見事、この時点でカッコよくなることは保証されていた気がします。これで吉川さんが「ウェ~ヴァ~ライ~」みたいな変な歌い方さえしていなかったら…いや、あれがあるから吉川さんなのか(^^;)。

 僕にとっての吉川晃司さんは、80年代の沢田研二。いい意味でホストっぽく、アイドルにしてはダーティーで危険なムード。俳優の柴田恭兵さんやプロレスラーの前田日明さんみたいに男好きする感じで、好きだったなあ。


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VHS『SALLY / 1986 LAST NIGHT』

SALLY_1986 LAST NIGHT なんで男の僕がこんなに男性アイドルグループに限りなく近いサリィを知っているのかというと、学生時代の彼女がSALLYの大ファンだったから(^^;)。アイドルの追っかけをやっていた女の子というと引いてしまいそうですが、ぜんぜんオタクっぽくなくて可愛い子だったなあ。今では絶滅しかけているポニーテールでしたが、そのへんにサリィの影響を感じていました…サリィって、どこかオールディーズっぽい匂いを感じるんですよね。ロカビリー調の曲があったり、ドゥワップをやったり、デビュー時のビートルズっぽさがあったりして。でもって、このビデオはたしかファンクラブ限定販売だったはず。僕はその彼女に見せられました…ファンクラブに入っていたんだな、あいつ^^;。

 アイドルと思っていたのに、曲はいいし演奏は上手い、正直いってビックリしました!サックスとギターが掛け合いで長尺のインプロヴィゼーションやったりしてるんですが、これが素晴らしい。ギターなんて思いっきり『E.C. Was Here』のエリック・クラプトンで(ギターも黒のストラトだった^^;)、柳ジョージ級のクラプトンのコピー完成度で、変なスワンプ・ロックやってる頃のクラプトンよりカッコ良いと感じた程でした。そんな風に音大生だった僕が褒めちぎるもんだから、彼女が喜ぶこと喜ぶこと。でも褒めちぎったのはお世辞じゃなくて、本当に良いと思ったんですよね。

 もうひとつ心に残っているのは、客席が映されたとき。アイドルバンドなので、当然客席には女の子しかいないんですが、まるでデートでもするかのように着飾った彼女たちが、ステージの明かりにぼんやり照らされて、その目には涙が…。SALLYはデビューして3年で解散したバンドなので、彼らを聴き始めた時に高校生ぐらいだったファンが、大学生になったり社会に出たり成人したりぐらいの年齢、つまり少女から女になっていく頃合いだと思うんですが、その卒業のタイミングとSALLYの解散が重なっていたんじゃないかと。彼女らにとっては青春を一緒に生きたのがSallyで、この解散コンサートが青春時代の終わりだったのかも。そんな風に感じてしまったもんだから、ファンでない僕にすら胸に迫るものがありました。

 売れるというのは難しい事なんですね、80年代の日本でこれぐらい作詞作曲も演奏もできたアイドルバンドというと、チェッカーズ、Show-ya、BOOWY、レベッカ…そんなに多くなかったと思います。その中でSALLY の実力が劣っていたとは思えません。ライブでこれだけ演奏出来て、チャート番組に何度もヒットシングルを送り込んで、それでも決して売れたバンドとはいえないんですから、ショービズの世界は厳しい…。このビデオ、僕は昔の彼女に見せてもらったきりなんですが、本当にいいライブビデオだったという記憶が今も残っています。今では入手困難でしょうが、もしSALLYのファンの方で観たことがない方がいらっしゃいましたら、ぜひ!

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EP『SALLY / mコードにHeartbreak』

Sally_minor chord ni heatbreak ひとつ前の日記で、80年代に活躍したJポップのバンドのSALLYのベスト盤について書きましたが、サリィのベスト盤で唯一不満なのが、ラストシングル「mコードにHeartbreak」が収録されていないこと。山口百恵の「さよならのかわりに」やキャンディーズの「つばさ」がそうですが、人気がある状態のまま引退したアイドルのラストシングルって、活動を集大成したような名曲が多いですが、これも見事なバラードなのです。というわけで、僕はベスト盤の他にこのシングル盤を持っているのでした。

 曲はバラード、詞は…何となくですが、マジで解散理由のひとつになったメンバーの経験だったんじゃないかという気がしました。事実は分かりませんが、グッときます。

約束さえかき消す気まぐれなスケジュール
奇麗なメイクアップ いつも涙で流す君さ


 こんなの泣くだろ…。学生時代に付き合っていた恋人同士が社会人になる、みんなこれと似た体験をするんじゃないかなあ。それだけに感情移入してしまった時期が僕にもありました。

 なぜこんないい曲がベスト盤に入っていないかというと、ベスト盤の後にこの曲&ラストアルバムが発表されたから…なんでしょうね(^^;)。この曲も入れたベスト盤、ぜひリリースしてほしいなあ。そうそうこの曲、どのカラオケにも入ってるんですよね。僕はたまに歌います。

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『SALLY / ザ・ベスト』

Sally TheBest チェッカーズと同時期に活躍していた、知る人ぞ知るアイドル・バンドです!売り方がアイドルだったというだけで、実際には自分たちで作詞作曲も演奏もしていた、ビートルズストーンズと同じ立派なポップロックバンドでした。アイドルな売り方をしていたわりに不良、でもユーモアにあふれていて、チェッカーズよりだんぜん好きなバンドでした。

 ヒットした曲は鈴木キサブロー作曲のデビューシングル「バージンブルー」ぐらいで、これがよりによって本人たちの作曲じゃない所がなんとも皮肉。80年代の日本のチャート音楽はサビのインパクトと分かりやすさだけが重要視される世界だったもんで、歌謡曲的な作りの曲というのがたしかにあって、「バージンブルー」はその条件に嵌まっていたのかも。
 でも、サリィの本当の素晴らしさは本人たちが作った曲だと僕は思っています。ロカビリー調の「雨のミッドナイト・ステーション」や「Bad boys come tonight」はロック箱でバンド活動をしていた所から這い上がってきたグループだと感じましたし、「サマータイム・メモリー」「あの頃スローレイン」は見事なポップナンバー、「ガール」はなんとドゥ・ワップ。見事じゃないですか!

 そして、詞をはじめとした、バンドの醸し出している世界観が素晴らしいです。ティーンエイジならではのキラキラした世界観というか、楽しく切ない青春が見事に表現されていて、聴いていると引き込まれてしまう…。まずは不良っぽさ。「246は俺たちのフリーウェイ」(Bad boys come tonight)なんてのは悪ガキっぽくてカッコよかった!あと、当時の歌番組で、メンバーのふたりがギターのシールドをアンプにつながずにそれぞれのギターにつないでいたのを見たことがあるんですが、これなんか「当て振りですよ」という事を茶化してやってたんだと思うんですが、こういうセンスが不良っぽくも悪い方に行かずに笑い飛ばすユーモアがあって「あ、このバンドはセンスがあるな」な~んて思ってました。
 そして、10代の頃の世界観が出た言葉がグッときました。

遊び疲れたあとのハンバーガーショップ (ガール)

別れの茶店でひとり残されて (あの頃スローレイン)

派手好きなママと忙しすぎるパパは留守 (ハートはキュートなままでいて)


 …いやあ、これは高校から大学生あたりまでの世代だけが共有できる世界観、男の僕でもジワッと来ちゃうけど、女の子だったらもっと来ちゃうんじゃないかなあ。。

 好きなバンドだったんですが、レコードデビュー後の活動期間は3年と短く、たまに歌番組に出るものの、ゆっくりと消えて行ってしまったバンドでした。でもって、当時のレコード会社が今はなき日本フォノグラムだったからか、このベスト盤、CDだと今では高額で取引されています。マジか、俺が中古屋で「おお、なつかしい!」とLPを買った時は数百円だったぞ。。ちなみに、メンバーの皆さんはその後もそれぞれ音楽活動を続けているようです。そうだよな、それだけの能力のあるポップロック・ミュージシャンだと思います。

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『チェッカーズ / 30th アニバーサリーベスト ~7x30 Singles~』

Checkers_30th Anniversary best 80年代に一世を風靡したアイドル・バンドのチェッカーズのシングル曲を集めたCD、2枚組です。このブログに相応しくなさそうなバンドですが、妻がこのCDを聴いていたのを横で聴いてたら、最高に気持ちよかった!音楽そのものも良かったし、学生時代を思い出す所も良かったです(^^)。

 最初の感動は、ディスク1。「ギザギザハートの子守歌」「涙のリクエスト」「星屑のステージ」…松田聖子や近藤真彦と同じで、好んで聴いていた事なんて1度もないのに、知らない曲がほとんどない!いや~、昔の日本のチャートミュージックってチープだけど、引きかえにキャッチーで気持ちいい!!メロディと歌詞のシンクロ具合が最高です。リアルタイムで体験しているとグッと来る作用があるなあ。そういう説得力のある歌謡曲って、ある世代にとっては天地真理、ある世代にとっては沢田研二にショーケン、ある世代はキャンディーズ、ある世代にとっては西城秀樹にピンクレディ…みたいに、対象が世代ごとに違いそう。僕は80年代がリアルタイムだから中森明菜さんやチェッカーズでそれが起きるみたい…ですが、ジュリーやキャンディーズでもそれが起きるんですよね(^^;)。
 ロカビリーやフィフティーズっぽい曲が多かったのは、最初にヒットしたシングル「涙のリクエスト」に合わせてそうなったのかも。チェッカーズって作られたアイドルバンドではなく、九州でライブバンドとして這い上がってきたグループだったと思うんですが、初期のシングルは作家に楽曲を提供されてました。売り方がアイドルだったんですね。
 
 ふたつ目の感動は、ディスク2。こっちは売れなくなってからのシングル曲で、作詞も作曲もメンバーの誰かが書いてました。ところが音楽は売れなくなってからの方が完成度が高い!思い出補正なしで、普通に音楽として聴けるレベル、これは驚きました。継続は力なんだな。。ジャミロクワイみたいな曲まであるし、ドゥーワップ調のコーラスは見事だし、藤井フミヤさんの詞にも痺れるものがありました。

最初から来ないつもりなら言えばいいのに
教えてよ、どのぐらいこのまま待ってれば逢えるの

(Present For You)


 青くさいと言われればそうかもしれないけど、こういう切ない経験は誰もが経験してるだろうし、文学詩にこういう詩は似合わないので、こういう事を語るのって流行歌の役割だと思うのです。妻がキュンキュンしてる気持ちが分かる気がしました(^^)。

 売り方がアイドルだっただけで、アーティストっぽい売り方したら、レベッカバービーボーイズみたいな売り方も出来た人たちだったのかも…って、そういう人たちとアイドルでは売れ方がけた違いというのは、日本の戦後ポップスの歴史が証明しちゃってるので、もしそうしていたらこれほどのメジャーグループにはなっていなかったんでしょうね。いずれにしても、アイドルと馬鹿にしてはもったいないほどにいいバンドでした!


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『Papa Wemba et Viva La Musica / Ma Bijoux』

Papa Wemba Et Viva La Musica_Ma Bijoux パパ・ウェンバ&ヴィヴァ・ラ・ムジカが1985年に発表したアルバムです。僕が聴いたパパ・ウェンバのCDではこれが一番良かったです!

 1曲約10分で4曲。ドミソ和音の同じコードの上でドラムとエレキベースがずっとバッキング、その上でエレキギター何本かがチロチロとアドリブ、さらにその上で何人ものヴォーカル。音楽は基本的に気持ち良くて…というわけで、やっぱり僕にはナイジェリアのキング・サニー・アデの音楽に近いものに感じました。時代的にも被ってますしね。いや、アフリカ大陸のアメリカ大陸の音楽の吸収という意味では、アリの世界タイトル戦に合わせてロックのミュージック・フェスが行われたザイールの方が早いと思うので、リンガラの方が先という可能性もあるのかな?これが実に気持ち良かったです。レイドバックした音楽性や、アメリカン・ソングフォームにしない曲の形式など、英米ポップスと明らかに違う点があるので、西洋から影響を受けて現代化したアフリカのポップスでありながら、西洋の亜流に感じないのかも。そこがいいです。

 パパ・ウェンバはザイールで大受けして、その人気に注目した英米のレコード会社が彼を世界マーケットへと引っ張ろうとした…みたいな感じらしいですが、キング・サニー・アデにしてもパパ・ウェンバにしても、西洋マーケットを考えずに自国でやっていた時の音楽の方が面白く感じます。70年代のパパ・ウェンバも聴いてみたいですが、僕は未聴。コンピレーションでちょっとだけ耳にした事はあるんですが、このアルバムと似た印象でした。


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『Papa Wemba Ekumani & Orchestre Viva La Musica / Love Kilawu』

Papa Wemba Viva La Musica_Love Kilawu パパ・ウェンバのソロアルバムってピーター・ガブリエルのレーベルから出てたりするし、もしかするとソロデビュー後が西洋化しすぎてダメなのかも。やっぱり元のヴィヴァ・ラ・ムジカというバンドでやってた時がいいのかな…な~んて思いまして、このアルバムに手を出したのでした。1987年、パパ・ウェンバ&ヴィヴァ・ラ・ムジカのアルバムです。やっぱりブックオフで激安でゲット…昔のブックオフのCDコーナーは、ワールドミュージックのポップス系だと死ぬほど安い時があって重宝してました。最近のブックオフは、元々引きとり価格が安かったけど輪をかけて安くしか買い取ってくれなくなったし、逆に買う時は全然安くなくなっていたりで、もうほとんど使わなくなってしまいました(^^;)。

 これはけっこう良かったです!なるほど、曲想はかなりリラクゼーション・ミュージック的なんですね。エレキギターがキラキラした爽やかな音で、1曲がけっこう長く同じ曲想で延々と演奏する感じが、キング・サニー・アデジュジュに近い印象。全体的に明るいのはアフリカのポップス全体に言える事かも。でも伝統音楽は決してそんな感じじゃないので、ジュジュなりハイライフなり、今のアフリカン・ポップスがこぞって参考にした大元の音楽というものがあるのかも知れません。

 リンガラ・ミュージックって、元々はルンバを輸入する形で歌われたから、現地ではそのままルンバと呼んでるけど、日本ではそう呼ぶとオリジナルなルンバと区別できなくなっちゃうからリンガラと呼ばれるようになった…な~んて聞いた事がりますが、そこまでルンバを感じませんでした。それとも、このアルバムって現地で「ルンバ」と呼ばれてる音楽とは違うのかな?アフリカン・ポップスに深入りできてない僕は、リンガラやジュジュやそれ以外の世界発売になったアフリカン・ポップスとの差がまだあんまりわかってません(^^;)。


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『Papa Wemba / Emotion』

Papa Wemba_Emotion ザイール(今のコンゴ民主共和国)など、リンガラ語を話す地域のアフリカン・ポップスを「リンガラ・ミュージック」とか「リンガラ・ポップ」と呼ぶ事があります。でもこれは日本限定の呼び方らしくて、フランスには日本でいうシャンソンなんてない(フランスでは歌音楽はみんなシャンソンと呼ぶらしい)というのに似てるのかも。パパ・ウェンバはリンガラ・ミュージックの代表格、な~んて話を覚えていたもんで、ブックオフで安値で売ってるこんなCDを見つけた時に、飛びついて買いました。お試しだったので、1000円だったら買わなかったでしょう(^^;)。

 これは8割ぐらい英米ポップス、ちょっとダメだった。。西洋化したアフリカン・ポップスで有名な人というと、セネガルのユッスー・ンドゥール、マリのサリフ・ケイタ、それにナイジェリアのキング・サニー・アデあたりも入るのかも知れませんが、このへんの人のアルバムって見極めが難しいです。アフリカ6~7割に英米音楽3~4割ぐらいだと素晴らしく聴こえたりするのに、このバランスが逆転すると途端にダメに感じてしまう…。

 アフリカン・ポップスが苦手だったり食わず嫌いな人はそれなりにいると思うんですが、僕もそのひとりでした。良いと思う最初の1枚に出会ってからは速かったですが、そノ1枚に出会うまでが遠かったのです。最初に「西洋の物まね」みたいなものに出会ってしまったので、「これ聴くならオリジナルの英米ポップス聴いた方がいいよな」な~んて感じちゃったんですよね。パパ・ウェンバは、この後にもっと良いと思ったアルバムにあたりまして…次回に続く!


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『Chet Baker / When Sunny Gets Blue』

Chet Baker When Sunny Gets Blue 1986年録音、チェット・ベイカーがSttepleChase に残した最後のアルバムです。何曲かでヴォーカルも取っていましたが、基本的にワンホーンカルテットでした。ここに期待したんですけどね…。

 僕は、ジャズのウッドベースはアコースティックだけの音じゃないとダメなのです。仮に聴こえ辛かったとしても、マイクだけで音を拾ってほしい、アンプ通したりラインで拾ったりしたら、アタックが強くノイズ成分が多い事で独特の複雑な響きをしているコントラバスのピチカートの良さが消えてしまうじゃないですか。アンプやラインを通すと、ベースって「ブー」と、まるでデジタルシンセのPCM音源みたいに味気ない音になって台無しと思うのです。

 そしてこのアルバム、ベースの音がアンプを通した音で、その時点でアウトでした。ついでにピアノも、ステージピアノかよというほどに高い方しか音が入ってなくてカリッカリ、ピアノの躯体が鳴らす低音はゼロ。楽器もろくに弾けないシンガーソングライターの弾き語りアルバムじゃないんだから、こんなピアノの音で良しとしないでくれ…。
 というわけで、せっかくのアコースティック・カルテットなのに、フュージョン時代のイージーリスニングなシンセサウンドみたいになってしまって、音楽以前に音がもうダメでした_| ̄|○。。

 そうなってしまうと、音楽も普通にスタンダードをやってるだけのジャズ・アルバムに感じてしまって…スティープルチェイスに限らず、ヨーロッパって、ジャズをイージーリスニング程度にしか思っていないレーベルがけっこうあって、そういう価値観を僕は受け入れられないみたいです。スティープルチェイスがリリースしたチェットベイカーのアルバムは、大当たりか大外れかのどちらか。極端なんですよね。。スティープルチェイスって、ジャケットもスナップ写真みたいに味気ないものがけっこうあって、どこまで真面目なのか分からなくなるレーベルです。でも名盤もあるんだよなあ。。
 

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『Chet Baker / Sings』(mono)

ChetBaker Sings_mono 同じレコードのステレオ版のボワボワなリヴァーブがどうしても我慢出来ず、同じレコードのモノ版を買い直した馬鹿なジャズマニアだった若かりし頃の自分(^^)>。オリジナル10インチ盤はラス・フリーマンも写っているモノトーンのジャケットですが、僕はやっぱり12インチ化されたときのイタリア三色旗のような配色のジャケットが好き。レコードってジャケット込みで買うもんだから、ジャケットデザインも大事ですよね。。なお、54年発表のオリジナルの10インチ盤は8曲入り、56年発表の12インチ盤は14曲入りで、CDだと後者になっているものがほとんどです。

 おおー、変なリヴァーブがかかってない!ステレオ版の悪評って、モノかステレオかではなく、やっぱりあの悪趣味でセンスのかけらもないリヴァーブだよな…。
 な~んて感じで、最初の数秒は満足したんですが、すぐに問題が発生したのでした。ジョー・パスがいなくなってるぞ、どういうことだこれは…。良い演奏だったし、ブース録音だったともクビになったとも思えないので、あれはオーバーダブだったのか、みたいな。ほとんどの曲でアーリータイム・ジャズのギターみたいな「ズン・チャッ・ズン・チャッ~」みたいな演奏をしていただけなのに、あれがここまで音楽に効果的だったとは、ジョー・パスおそるべし。。思うに、ジョー・パスの参加は、ステレオ化にあたって、左からピアノを聞こえるようにしたもんで、「右からギターが聴こえたらステレオ感あっていいんじゃね?」というディレクターの思い付きだけでダビングに至ったんではないかと(^^;)。ステレオ音源が出た当初って、音のステレオじゃなくて、音場のステレオがかなり意識されてましたもんね。

 そしてもうひとつ。ステレオ版のボワンボワンなりヴァーヴがいなくなったのはいいんだけど、モノ版は何にもフックがなくてけっこうつまらない…。なんか、ただスタンダードを次々に演奏して歌っているだけ、みたいに聴こえてしまいました。不満はないけど面白みもない、みたいな。
 というわけで、あんなに「これは聴いてられない」と思ったステレオ版なのに、けっきょく僕はステレオ版を手放すことが出来ないどころか、ステレオ版を聴く事の方が多い状態になっているのでした(^^;)。
 そうそう、12インチモノ版に入っていてステレオ版に入っていない曲が3曲あります。「My Ideal」「Time After Time」「I’ve never been in Love Before」です。一方、ステレオ版に入っていてモノ版に入っていないのが「Someone to Watch Over Me」。完全にレコード会社の思うつぼですが、かくしてどっちも手放せない状態が20年以上続いています。こまったもんだ。


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『Chet Baker / Sings』(stereo)

Chet Baker _Sings_stereo ウエストコースト・ジャズのスターのひとり、チェット・ベイカーの初ヴォーカル・アルバムで、ジャズ名盤ガイドにはまず間違いなく出ている1枚。このアルバム、イタリアの三色旗のような配色のジャケットデザインが有名ですが、元々の10インチ盤はラス・フリーマンも写り込んだ2色刷ジャケットで、3色デザインじゃなかったんですよね。。録音は、1954~56年。これは、元々モノだったアルバムを後にステレオしたステレオ盤です。このステレオ化が問題でして…

 チェット・ベイカーが世に出るきっかけはふたつ。ひとつは、トランぺッターとしてチャーリー・パーカーに抜擢されたこと。もうひとつは、伝説のジェリー・マリガンのピアノレス・カルテットにトランぺッターとして起用された事です。つまり、トランぺッターとして実力を認められたんですよね。ところが幸か不幸か、チェット・ベイカーはハリウッド・スター顔負けのイケメン。これで商売っ気丸出しのレコードレーベルが「歌を歌わせてひと儲けしてやれ!」と托卵で制作されたのがこのアルバム…というのは僕の想像ですが、多分当たらずとも遠からずではないかと(^^)。

 そんなわけで、教育を受けたプロのヴォーカリストではないので、音痴です。音痴なんだけど美声ですし、ヴィブラートも横隔膜じゃなくて喉元で掛けるからちりめんヴィブラートになっちゃっていて汚いけど、それはそれで味があって良かったです。歌ってこういう事があるから、アマチュアでもタレントでも侮れない(^^)。
 音痴なのに歌として感じる最大の理由が、オケじゃないかと。特に素晴らしいのがラス・フリーマンさんのピアノと、ジョー・パスのギター…だと僕は思ったんです。ラス・フリーマンはチェット・ベイカーがジェリー・マリガン・カルテットを脱退した後に長くパートナーを組んだピアニストで、、チェット・ベイカー・カルテットにも参加したいわばチェットの片腕です。伴奏させれば見事にフロントを立てるおぶりを挟んでくるし、ソロになれば美しいタッチでジャジーで洒落たフレーズを紡ぐし、じつはラス・フリーマンが素晴らしいんじゃないかと。
 さらに、ボーナストラックが素晴らしかったです。僕が持っているCDはボーナストラック8曲入りなんですが、このボーナス・トラックはドラムレスでギターとベースだけで歌伴をやってるんですが、デヴィッド・ホイートという人のギターが素朴で良かったです。ジャズ・ギターではなくアコースティック・ギターのような音で演奏してるんですが、ジャズ調の演奏をすると、こういう音でもジャズに響くんですね。ジョー・パスもこういう音で演奏する時があるけど、昔はむしろジャズもこういうギターのトーンが普通だったのかも。

 そして問題のステレオ版。若い頃、僕はステレオ版ボーナス8曲入りというCDを買ったんです。どうせならモノよりステレオの方がいいし、曲はいっぱい入ってる方が嬉しいじゃないですか。ところがこのステレオというのがくせ者。ステレオ化自体はいいんですが、ミックスがひどい。風呂場みたいなボワボワしたエコーがヴォーカルにかかっていて、センスない事この上なかった(^^;)。こんなひどいステレオ化をするならモノのままで良かったんじゃないか…なんて思ったわけです(^^;)。
 そして、先ほど「いい演奏だ」といったギターのジョー・パスですが、なんとジョー・パスはステレオ版を作る時にオーバーダビングしたんだそうで、モノ版にはジョー・パスは入ってません。「My Funny Valentine」なんて、ジョー・パス入りのバージョンじゃないと許せないぐらいに好きになってしまったんですが、元々は入ってなかったのか。。

 というわけで、ヴォーカルにつけられたボワンボワンのエコーが許せないレベル、でもダビングされたジョー・パスの演奏と、ボーナストラックのギターとベースだけで伴奏した8曲が素晴らしくて、一長一短なアルバムなのでした(^^;)。ではオリジナルのモノ版がどうだったかというと…また次回!


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『Chet Baker Quartet‎ / Quartet: Russ Freeman, Chet Baker』

Chet Baker Quartet‎ _Quartet Russ Freeman Chet Baker 1956年録音、これもピアノのラス・フリーマンが参加したチェット・ベイカー・カルテットの演奏です。ジェリー・マリガン・カルテットを抜けた(というか、ジェリー・マリガンが麻薬でヘロヘロになってグループが空中分解した^^;)あとのチェット・ベイカーは、完全にラス・フリーマンとコンビで動いてます。トランペットを引き立たせるきれいなポンピングやカウンターを入れてくれるから、やりやすかったんだろうなあ。。

 僕がピアノでのジャズ演奏に苦労した経験があるからかも知れませんが、チェット・ベイカー以上にラス・フリーマンに耳が行ってしまいました。ピアノもそうですが、8曲中6曲をラス・フリーマンが作曲していますし、これは実際にはラス・フリーマンのアルバムじゃないかと。ラス・フリーマンのオリジナル曲「Summer Sketch」は、夏といっても避暑地でゆったりした自然を眺めているようで、本当にすばらしい…。

 でも、『The Trumpet Artistry of Chet Baker』あたりのアルバムに感じる「これはほとんど室内楽じゃないか?!」みたいな音楽的な新鮮さは感じることが出来ず、普通のジャズ・コンボの演奏という感じでした。こういう風にテーマ演奏してアドリブやってテーマに戻る感じだと、イーストコーストもウエストコーストもあんまり関係ないですね。非の打ちどころがないアルバムですが、面白みに欠けたかな?


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『Chet Baker / The Trumpet Artistry of Chet Baker』

Chet Baker_Trumpet Artistry of Chet Baker トランぺッターとしてのチェット・ベイカーの初期録音盤です。発表は1955年ですが、録音は1953~54年にLAで行われた3つのセッションを集めたもので、編成はカルテット、セクステット、セプテットの3つ。共通項は、すべてのセットでラス・フリーマンがピアノを演奏している事。ジェリー・マリガン・カルテットから離れた後のチェットは、しばらくピアノのラス・フリーマンと絡んで演奏してたんですよね。ラス・フリーマンはウエストコースト・ジャズのブームが去るとスタジオ・ミュージシャンやったり音楽の先生をやったりして、ジャズシーンから一時離れましたが、間違いなく50年代チェット・ベイカーを大メジャーに押し上げた立役者だったと思います。この人のピアノを聴くに、ジャズクラブのたたき上げじゃなく、クラシックをかなり学んでからジャズに転身した人と思うんですよね。すごくいいプレイしてるのに押しが弱い所もクラシック上がりっぽいし(^^;)。

 僕がチェット・ベイカーに熱狂したのは、死の直前に記録されたドキュメンタリー映画『レッツ・ゲット・ロスト』を見てから。あの退廃的なリリシズムにやられたんです。そしてやっぱり晩年のスティープルチェイス盤のドラムレス・トリオ『The Touch of Your Lips』やポール・ブレイとのデュオ『Diane』に魅了され、50年代のアート・ペッパーとの共演盤『Playboys』あたりのコマーシャリズムに幻滅して、「チェット・ベイカーは晩年のリリシズムに限るな」な~んて思ったのでした。つまり、味の人だと思ったわけです。ところがこのアルバムを聴いてびっくり。このアルバム、チェットさんはトランペットだけで勝負してるんですが、めっちゃうまい!出音も晩年のスカスカした音じゃなくてすごくきれい。『Dig』やブルーノート盤の頃の初期マイルス・デイヴィスと比べても、単純に楽器の扱いとしてはチェット・ベイカーの方がうまいんじゃないかというほどの素晴らしさ。なるほど、これはチャーリー・パーカーが認めたというのも分かるわ。。

 音楽的には、ウエストコースト・ジャズの良さ全開といった感じ。セクステットやセプテットでは室内楽のようなアンサンブルが見事。これ、ブラス・アレンジは誰が書いてるんだろう、メッチャセンスいいんですけど。。カルテットではウエストコースト・ジャズ的なクールさと知的さが見事。
 それだけで終わらず、「Bea's Flat」というラス・フリーマンが書いたテクニカルな曲もあって、これがまたカッコいいです。テクニカルな曲でもオープンで勢いよく爆発してしまわずクールに、でもかなり早いフレーズを飄々と拭いてしまう所がまたカッコいい。。

 ウエストコースト・ジャズの隠れ名盤と思います。パシフィック・ジャズはこれと同じようなジャケットのアルバムを他のミュージシャンのアルバムでも出しているので、ベスト盤か編集盤みたいに思えてしまって見落としがちなんですが、実は良いアルバムでした。トランぺッターとしてのチェット・ベイカーを知るなら、僕的にはこれがイチ押しです!!


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『ブリテン:戦争レクイエム 小澤征爾指揮、サイトウ・キネン・オーケストラ』

Britten_WarRequiem_Ozawa_SaitouKinenOrch.jpg これもブリテンの代表的な曲です。ナチの空爆で吹っ飛ばされたイギリスの聖マイケル教会の委嘱で書かれた、イギリスにとってはかなり重い作品。日本のお寺や神社も、原発事故みたいな事があった時に、こうやって音楽を委嘱して作ればいいのにね。僕は、音楽以外の背景部分で音楽そのものの評価を変えたくないので、背景と音楽は切り離して考えたい方なんですが、宗教的な内容を含む声楽で詞がついているので、なかなかそうもいかないです。

 難しい事は置いといて、まずは全体の重々しい雰囲気が良かった…。言葉は、ラテン語による典礼文と、詩人ウィルフレッド・オーウェンの詩で、これが交互に来ます。つまり、キリスト教の典礼が、現代の戦争に重ねられていきます。この構成、ああなるほど…と感心しました。
 この言葉の筋に従って、音楽が進行しました。詩はレチタティーヴォのように使われるので、CDで聴くと声楽や合唱曲というよりもオペラみたい。雰囲気としては、現代音楽作品というより、19世紀末から20世紀初頭あたりのオペラに近かったです。でもやっぱりこういう作品って、音楽が言葉を待つので、音楽だけ聴いちゃうとちょっと間が持たないです、やっぱり詞もちゃんと聴かないと。ただ、その詞が問題でして…「死神はぼくたちに小銃弾をつばのように吐きかけ」みたいな詩なんです。これって戦争の悲劇を表現できてはいるんだろうけど、詩として優れたものとは思えなかったです。現代詩って、ツェランとかアポリネールとか、見事なものが多いじゃないですか。同じ文句でも、優れた詩人なら「死神の眼差しの先、鉄塊打ち抜く人の…」みたいに、ある程度抽象化して普遍的な言葉にしてくものなんじゃないかなあ。優れた現代詩に比べると作文ぽかった(^^;)。

 でも、音楽部分と後世のアイデアが素晴らしくて、保守的な書法を使った時のブリテンの作品としては、僕はこの作品が一番好きかも。ただ、残念なのは…このCD、録音がすごく遠かったです。小澤さん&サイトウ・キネン・オーケストラの録音では、バルトーク『青ひげ公の城』の録音を聴いた事がありますが、それはビックリするほどいい音だったのになあ(・_・、)。


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『ブリテン:《パーセルの主題による変奏曲とフーガ》《シンプル・シンフォニー》《フランク・ブリッジの主題による変奏曲》 ブリテン指揮、イギリス室内管弦楽団』

Britten_Puacell no Shudai_LondonSynphony ブリテンが書いた曲の中では知名度の高い曲がいっぱい入ってる1枚です。そして、指揮をしてるのはブリテン本人というわけで、ブリテン自作自演のCDでもあります。

 「パーセルの主題による変奏曲とフーガ」は、教育映画の音楽としてイギリス政府から委嘱を受けた作品。やっぱりブリテンって劇伴作曲家という側面が強いんですかね。パーセルの主題というのは、「ムーア人の復讐」から貰ってきています。

 「シンプル・シンフォニー」はけっこう有名な曲で、ブリテンが子どものころに書いた色んな曲から素材取りをして4楽章の交響曲にまとめたもの。というわけで、この2曲はPTA推奨みたいな保守な音楽で、刺激的なところが全然なくってつまんなかった(´・ω・`)。

 「フランク・ブリッジの主題による変奏曲」は、ボイド・ニールというイギリスの指揮者からの委嘱作、ようやくブリテンが自分をぶつけてくる音楽を書けるんじゃないか?!…と思ったら、これもすっごい保守_| ̄|○

 なんというんですかね…どの曲もオーケストレーションは実にきれいで教科書通りの優等生的、でも音楽がぜんぜん面白くない。悪い所なんて全然ないんだけど一緒に遊んでもぜんぜん面白くない優等生なクラスメートみたいな感じかな(・ε・`)。マニュアル人間的というか、自分の音楽言語を持ってない作曲家に思えてしまいました。僕にとってのブリテン初体験は、それはそれは素晴らしいものだったんです。でも初体験がこの辺の曲だったら、「やっぱりイギリスはクラシック不毛の地だわ」で終わってたかも。


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『ブリテン:《ペネロペの救出》《パイドラ》 ケント・ナガノ指揮、ハレ管弦楽団』

Britten_Phaedra_KentNagano.jpg ブリテンは、グレート・ブリテンの作曲家なので出身国が覚えやすくてありがたいです(^^)。1916年生まれなので、思いっきり前衛の洗礼を受けている…かと思いきや、そこはクラシック不毛の地であるイギリス、機能和声法を使ったかなり保守的な調音楽を書く人です。イギリスの作曲家ではティペット(キース・ティペットじゃないですよ)の作品があまりに保守的で失敗した経験があったもんで不安だったのですが、ブリテンは思いっきり保守というのではない素晴らしい曲を聴いた事があったし、「本当はベルクに師事したかった」なんて事も言ってるので、ちょっと期待してこのCDを聴いたのでした。結果は…すっげえ保守派でした(^^;)。

 劇音楽「ペネロペの救出」は、このCDが世界初録音。ラジオドラマ用の音楽だそうです。いや~ラジオドラマなんて今では制作されないでしょうし、これより前の時代になるとラジオではなくてオペラか劇伴でしょうから、すごくめずらしい気が。ナレーションを挟みながら歌つきの管弦楽が進行していく感じ。音楽は…分かりやすくいうと、今の映画音楽と一緒です。もしこの音楽が今のハリウッド映画に使われていたとしても、誰も違和感を覚えないんじゃないかと。不安なシーンになると弦がトレモロしたりね(^^;)。もう1曲入ってる「パイドラ」は管弦伴奏の歌曲で、これも作風は同様です。でも、今の劇伴作曲家より完成度が高く感じるのは、なぜなんでしょうか。

 ブリテンは若いころに映画会社に就職して、ドキュメンタリー映画の音楽の作曲をたくさんしたんだそうです。この「ペネロペの救出」も、BBCに制作を依頼されての作曲。自分の演奏会用の作曲はあまりなくて、オペラやテレビ局からの委嘱作が多いこういう仕事の仕方を見ると…スターウォーズのジョン・ウイリアムスとか、日本でいえば羽田健太郎さんや久石譲さんみたいな劇伴作家という感じなのかな?保守派というよりも、職業作曲家という側面が強い人だったのかも知れません。ギター曲の「ノクターン」が現代的で素晴らしい作品だったけど、あれの方が例外なのかな?


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Pro Tools セッションの開始小節を変更する方法

ProTools Jikansousa 僕は、楽譜作成ソフトのフィナーレで楽譜を清書し、それをMidi ファイルで保存して録音ソフトのプロツールスに取り込むことで、デモ音源などを作っています。
 で、譜面作成ソフトで楽譜を清書するときに、昔はある習慣が身についていました。クラシックやジャズなどの現場で演奏する楽譜は普通に作るんですけど、レコーディング用の曲を書くときは、楽譜の頭2小節にクリック用の空小節を作るようにしてたんです。でも最近はレコーディング前提の作曲や編曲なんて全然してませんで、いつしか空小節なしで楽譜を作る通常モードに戻ってました。そもそも、空小節を作るなんてこと自体忘れてたし(^^;)。。
 ところが、空小節なしで作った楽譜で録音が実施される事に!やばいよやばいよ、どうやってクリックの頭打ち入れて良いか分からない…。レコーディングの時って、プロツールスのクリック機能じゃなくて、独立したトラックで鳴らさないといけなかったんですよね。今からレコーディング用にプロツールスにだけ楽譜を2小節足した場合、プロツールス上の小節と弦カルさんに渡した楽譜の小節番号が合わなくなって、それは多分レコーディング時に面倒なことになる…。
 いざとなったらレコーディング・スタジオのアシスタント・エンジニアさんにどうにかしてもらえばいいけど、この機会にプロツールス上でのセッションの開始小節を変更する方法をおぼえておこう、そうしよう。

■セッションの開始小節を変更する方法

1. セッションファイルを開いている状態で上部メニューから「イベント時間操作スタート位置移動」を選択

2. 移動する単位を小節やタイム等から選択。

3. 「スタートを以下に移動:」項目に、スタート位置を入力

4. 既に入力済みのマーカー、拍子、テンポなどを追従して動かす場合は、「再アライン:」で該当項目にチェックをいれる


 以上でした!知ってしまえば簡単なんですが、知らないと自分で発見するのは難しいっす、こういうの(^^;)。。


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『Joni Mitchell / Hejira』

Joni Mitchell Hejira ジョニ・ミッチェルが1976年に発表した8枚目のアルバムです。僕が聴いた事のあるこれ以前のジョニさんのアルバムとの違いは、小編成のアコースティックな編成ではなくなって、セッションミュージシャンを導入したセッションっぽい演奏になった所。ミュージシャンの中には、ジャコ・パストリアスヴィクター・フェルドマン、ラリー・カールトンなんていうジャズ系のミュージシャンの名前も。

 ヘッドアレンジのセッションの雑さが思いっきり前に出てしまった…。雰囲気はいいんですが、カウンターラインもバスラインもアドリブ頼りの雑なものになっちゃって、コードとメロディだけの馬鹿に単純なモノフォニーになっちゃった、みたいな。緻密に作る事に疲れたのか制作ペースが間に合わないのか、あれほど繊細にひとつひとつの音を選んで積み重ねてきた人なのに、メロコード譜だけ作ってあとはプレイヤーに丸投げ、良さが全部消えたように感じました。アドリブが悪いというつもりはないけど、作るべきところは作っておかないと、こういうムードだけの音楽になっちゃうんだなあ。雰囲気だって、機械的なリヴァーブやコーラスのエフェクターをいっぱいかけて作ってあって、そういうのって安易というか、音を実はわかってないというか、ガキくさいと思っちゃうんですよね。。

 というわけで、評価の高いアルバムではありますが、僕的には最悪。人任せのセッションにして手を抜いて、ジョニ・ミッチェルさんの音楽の繊細な美しさががなくなってしまったアルバムに聴こえてしまいました。マリーナ・ショウのアルバムでのデヴィッド・T・ウォーカーとか、マイケル・フランクスのアルバムでのジョー・サンプルぐらいに演奏やアレンジで貢献してるなら素晴らしいと思うんです。でもこのアルバムのアレンジやプレイは…「ジャコパスが」とか「カールトンが」なんて有り難がるほどのものでもないと思うなあ…。


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『Joni Mitchell / Blue』

Joni Mitchell Blue ジョニ・ミッチェルが1971年に発表した4枚目のアルバムです。これも素晴らしかった!英米音楽系のフォークやポップスって、当たりを掴むと本当にすばらしいです。。

 曲や詞より先に、ヴォーカルにしてもギターにしても出音が綺麗です…ピアノは全然ダメだけど(^^;)。ポップスやフォークって、ピアノでもギターでも無神経に音をグチャッて出す人がけっこう多いじゃないですか。アマチュアに顕著ですがプロにもこの傾向があって、要はいらない音やきたない音が混じってるんですが、自分がどの音を出しているのか把握してないんでしょうね。ギターで6本の弦をぜんぶ弾くなんて、音楽的には愚の骨頂。ところがジョニ・ミッチェルさんのアルバムのギターは音が綺麗。このアルバムでギターやダルシマーを弾いてるのはジョニさん、ジェームス・テイラーにスティーヴン・スティルスと3人いますが、みんな素晴らしい。。これはたまたまそうなんじゃなくて、使う音をちゃんと選んで弾いているんだと思うんです。この繊細な感覚がすべてで、それが作曲にも広がってる感じ。「こんなもんだろう」なんて安易な構造をした曲なんてひとつもなくて、もうとにかく色んな所に神経が行き届いてる。ある曲は大事な所だけファルセットになるようなキーにしてあるとか、ある曲は独特な大サビが入ってくるとか、とにかく細かいところまで考えまくっていて、美しいのです。いやあ、これは素晴らしい。。

 プレイにしても作曲にしても、うまいとか優れているとは感じませんが、ものすごく繊細で丁寧。これを積み重ねて素晴らしいものを作りあげていました。僕がジョニ・ミッチェルをアルバム単位で聴くようになったのは40代に入ってからでしたが、もっと若いうちから聴いてればよかった。…いや、こういう丁寧に作りあげた素晴らしさって、若い頃では理解できなかったかも。だいたい、フォークなんて、って思ってましたからね。。大人の観賞に耐えるフォークって、現代になればなるほど増えているように感じて、探せば色々あるんでしょうね。それにしても、これも素晴らしいアルバムでした。


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『Joni Mitchell / Clouds』

Joni Mitchell Clouds ずっとノーマークだったミュージシャンのノーマークのアルバム、聴いたのは40歳を過ぎてからでしたが、はじめて聴いた時の感動がすごかった!カナダのフォークギター弾き語りシンガーソングライター、ジョニ・ミッチェルが1969年に発表したセカンド・アルバムです!邦題は「青春の光と影」、この曲だけはけっこう有名で知ってたんですが、他はまったく知りませんでした。ところが、他の曲もこぞって素晴らしかった。。

 ほぼアコースティック・ギターだけで演奏される曲が見事。曲が変わっていて、ある意味でいびつ。変なところでメジャー転調したりするし。でもそれが個性的で素晴らしい!オーソドックスな和声理論じゃなくて、自分が面白いと思う音を色々と混ぜてみて作ったんじゃないかなあ、こういう作り方をするとひたすら時間がかかるだろうし、また応用も利かなそうですが、でも弾き語りでリード楽器をつけるわけでも伴奏をつけるわけでもないなら、音楽の文法を共有しなくていいので、立派な方法だと思います。どれも似たような曲で、オープンコードをかき鳴らすばかりの西洋のワンパターン・フォークから、こういう個性あふれる音楽が出てきたのは本当に素晴らしい。

 ジョン・フェイヒーとかもそうですが、北米のルーツミュージックって、探すとものすごく面白いのがあるんですよね。この音楽はいかにもアマチュアですが、アマチュアでないと作れないような個性あふれる音楽だと思いました。数年ぶりに聴きましたが、やっぱり感動してしまった…大推薦です!


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『清元 古典芸能ベスト・セレクション』

Kiyomoto Kotengeinou Best Selection 清元節のベスト盤、CD2枚組です!ディスク2はひとつ前の日記でとりあげたCDの主人公・清元志寿太夫のパフォーマンス。演目も「三社祭」に「三千歳」と完全にダブってましたが、三味線が違って、こちらの録音は清元栄治・清元栄三郎のペアか、清元幸寿郎・清元幸三郎のペアが務めていました。ディスク1は、5世清元延寿太夫(えんじゅだゆう)の浄瑠璃でした。演目は、「北洲(ほくしゅう)」「文屋(ぶんや)」「保名(やすな)」。清元志津太夫さんのCDの感想で「常磐津と清元は歌舞伎浄瑠璃として有名」なんて書きましたが、それは嘘じゃないんですが、どちらも日本舞踊などのお座敷浄瑠璃としてもよく使われるんだそうです。

 5世清元延寿太夫。浄瑠璃が古風でカッコいい!三味線の「イヨッ!」「アイヤッ」という合いの手がカッコいい!これはいいなあ、5世清元延寿太夫っていつの人なんだろうか…って、1862年生まれってことは、江戸時代に生まれてるじゃねえか!いや~よく録音が残ってたな、これは凄いわ。。延寿太夫は清元の語り口を上品にし、三世梅吉(清元梅吉は清元節の三味線の名手)の協力で一時代を築いたそうです。僕が古風と感じた部分が「上品」という事なのかも。ゆったりして、丁寧で、急がない感じでした。
 1曲目の「北洲」は、清元を代表する名曲だそうです。タイトルになっている北洲とは、江戸の町の北側という事で、吉原のこと。つまりこれはお座敷浄瑠璃。でも、パフォーマンスも詩句もエッチには感じませんでした。むしろ、「浅草市の戻りには、吉原女郎衆が手毬つく」みたいな叙景が多くて風流に感じるほどでした。
 2曲目の「文屋」とは、六歌仙のひとり文屋康秀のことみたいです。「逃げんとするを恋知らず、引き止めるを振り払い」みたいな感じで、康秀は小町が好きで通おうとするんですが、康秀のことを好きなのは官女、みたいな(^^;)。平安時代の話を江戸の吉原に絡めてリメイクしてるのかな?
 3曲目「保名」は、歌舞伎で有名な演目ですが、なるほどこれも清元なのか。死んだ妻を思って狂い、形見の小袖を抱いて踊る、みたいな。これは歌舞伎抜きでも詞に泣けました。「昔恋しき面影や、移り香や、その面影に」ですよ…。

 清元志津太夫のディスク2は、違う録音とはいえ演目がコロムビアの人間国宝シリーズとダブっていたので割愛(^^)。

 常磐津と清元の浄瑠璃の違いがライナーに書いてありました。常磐津は曲の聴かせどころでしっかりオトス(こういう発声技法がある)けど、清元はオトシきらずに2段階にオトシ、最後を半音上げるんだそうです。なるほど、これが江戸情緒と繋がってるのか…僕には分かりませんでしたが(^^;)>。5世清元延寿太夫さんのディスク1が特に好きです(^^)。。


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『清元志津太夫 / 人間国宝 清元 清元志寿太夫』

Kiyomotosidudayuu Ningenkokuhou Kiyomoto 歌舞伎浄瑠璃と言えば、僕の中では常磐津よりも清元の印象を持ってるんですが、実際のところはどうなんでしょうね。浄瑠璃の流派は豊後節から分かれていったものがいくつかありますが、順序としては豊後節→常磐津節→富本節→清元節という順で分かれていったそうで、成立は江戸時代ですが比較的新しい流派。なお、富本は次第に新興の清元に吸収されていったそうです。
 純邦楽によくある事ですが、清元って高輪派(宗家)と梅派の2派に分裂していたと思うんですが、Wikipedia で調べてみたら、21世紀に入って和解したみたい、よかったねえ(^^)。でもって、このCDの太夫を務めている清元志寿太夫(きよもとしづだゆう)は高輪派の家元代行を務めた人で、「戦後の清元はこの人で成立している」と言われた人。人間国宝です。
 このCDに入っていた演目は「神田祭」「三千歳(みちとせ)」「三社祭」の3つ。あ~なるほど、江戸文化なんですね。編成は浄瑠璃と三味線のデュオ、浄瑠璃・三味線・三味線上調子のトリオ、さらにお囃子の入ったカルテットものの3つでした。三味線は、清元菊輔と清元正寿郎。

 「三千歳」は、江戸時代ではなく明治時代に作られた清元の代表作で、男と遊女の物語。遊女が病で、男は悪事がばれて高跳びしなくてはならなくて…みたいな。「僅か別れていてさえも、一日逢わねば千日の、想いに私は…」みたいな。江戸の心中物じゃないですけど、江戸時代の浄瑠璃や歌舞伎に出てくる遊女って、けっこう情が深いんですよね。男を金づるとしか思ってなさそうな現代のクラブのお姉ちゃんとなんと違う事か。

 「三社祭」は、祭りの様子ではなく、ふたりの漁師が観音様を釣り上げ、善玉と悪玉に操られるというもの。浅草の三社祭の山車に二人の漁師が飾られてるらしいですが、浅草寺ってふたりの漁師が釣り上げた観音様を祭ったのが始まりらしいです。へ~。

 清元の特徴は派手で粋なことだそうですが、僕の場合、新内節や小唄端唄は粋と感じたんですが、清元は正直言ってあんまり粋とは感じませんでした。しいていえば、高い声で歌うように語る所が都会的なのかな?たしかに、義太夫節みたいな太くカッコよくというものと比較すると、粋なのかも知れません。
 太夫は語り物ではあるけど長唄のような謡い物のような節回しが目立って、甲高い声で振り絞るように歌う所が「あ、なるほど歌舞伎でこういうの耳にするときあるな」という感じでした。三味線は常磐津と同じ中棹。聴いていて、薩摩琵琶と同じ手が色々と出てきたんですが、日本の琵琶楽と浄瑠璃ってどういう関係なんでしょうね。

 正直に言うと、義太夫節の豊竹山城少掾や、鶯芸者の市丸さんの小唄の三味線伴奏を聞いた時のような感動はありませんでした。でも、僕にとっての浄瑠璃のステレオタイプはまさしくこれかも。あまりに王道すぎて逆に分からなくなってるのかも知れません。なんといっても、歌舞伎浄瑠璃のメインストリームという事は、今もリアルタイムで愛好されている純邦楽の大本命でしょうからね(^^)。


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『常磐津一巴太夫 / 人間国宝 常磐津 常磐津一巴太夫』

Tokiwazuippadayuu_NingenKokuhou.jpg 太夫と三味線で演じる音楽を浄瑠璃と言いますが、常磐津(ときわづ)は浄瑠璃の有名な一派。多くの派が浄瑠璃だけで演じる素浄瑠璃も演じていたようですが、色々なものと結びついたり特色が出たりして発展したそうです。例えば義太夫節は人形劇と結びついて人形浄瑠璃として発展。一方、歌舞伎と結びついて発展したのが常磐津節、富本節、清元節の3つ。他には、お座敷でやる座敷浄瑠璃として河東節、新内節、豊後節なんてのもあります。
 これは常磐津節の太夫である常磐津一巴太夫(ときわづいちはだゆう)さんのパフォーマンスを収録したCDです。演目は、「廓八景」(くるわはっけい)と「お夏狂乱」のふたつ。

 太夫と三味線だけでなく、囃子方や鳴物方も入っていました。なるほど、大所帯にするところは歌舞伎的というか劇場音楽的でした。三味線は2本で、常磐津小欣治と常磐津八百二という人だったんですが、三味線がカッコよかったです。全体の演奏は新内や小唄・端唄のようにいなせな感じでも、義太夫節の豊竹山城少掾みたいにグイグイ来る感じでもなくって、能を感じさせるような古風さというか、ある意味で退屈にも感じてしまうゆったり感がありました。

 曲について。「廓八景」は、もとは一中節の「吉原八景」だそう。江戸吉原の繁栄を近江八景になぞらえて描写しているんだそうです。で、これがなかなか風流な詩でした。例えば、こんな感じ。

 更けて青田に焦がれる蛍、櫺子まで来て蚊屋の外、帰帆も知らで朝迎い、早き矢走のきぬぎぬも、いまさら何と白襲ね、美しや

 これって、娼妓と客の朝の別れの様子を、メタファーを含めて叙景的に表現しているんですよね、きっと。いやあ、江戸文化は聖俗一致というか、独特の素晴らしさを感じるばかりです。カッコよすぎる。

 「お夏狂乱」は、明治時代に作られたもので、坪内逍遥が作詞。おお、あたらしい。旅館「但馬屋」の娘・お夏が手代の清十郎と恋仲になり、清十郎は暇を出されます。お夏はあとを追って家出しますが、それが知れて、清十郎は主人の娘をかどわかした罪で処刑。お夏は清十郎を恋しく思って狂乱状態になり、子供達にもはやし立てられる状態となります。元ネタは井原西鶴「好色五人女」だそうです。「廓八景」は謡な感じでしたが、こっちは語りが多かったです。あと、これは囃子方が盛り上げるところ、寺の鐘を模した音と笛の独奏が満月の夜を思わせる音による叙景描写(これがエンディング)、ここ一番で三味線が琵琶のように「ベン、ベン、ベンベンベンベン…」とアッチェルしていくあたりがカッコよかった…小学生のような感想ですみません(^^;)>。

 僕の感覚では、音だけ聴いていたらかなり退屈だと思います。詩歌を聴くのも、古い言葉なのでかなり大変。でもがんばってついていけば何となく意味が分かって、そうなるとかなり面白かったです。常磐津に限らず、浄瑠璃は詩歌が命だと思う僕なのでした(^^)。


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『モーツァルト:歌劇《ドン・ジョヴァンニ》 カラヤン指揮、ベルリンフィル』

Mozart_DonJovanni_Karajan_BerlinPhil.jpg 自分でも意外だったんですが、僕がカラヤンが指揮した音楽でモーレツに感動したものって、ベートーヴェンやブラームスの交響曲じゃなくて、ブルッフのヴァイオリン協奏曲とか、意外と協奏曲率が高いのです。ついでに、このCDとかプッチーニの『蝶々夫人』みたいに、オペラがそれなりに多いのです。これって何なんだろうかと考えてみたんですが、要するにストーリーでもソリストでもいいので、何らかの主役を軸に沿って爆走するカラヤンが好きなのかも知れません。交響曲だと、もっとアンサンブルを楽しみたいのにガシガシと突貫されて「もっと聴衆に優しく、たっぷり聞かせてくれ~」って思っちゃうのかな…いや、分かりませんが。

 そんな具合で、このCDです。まずこのCD、音がメチャクチャ良いです!80年代にデジタル録音がバンバン進出したクラシックの録音で、いちばん恩恵にあずかったのって、オペラなんじゃないかと。マリア・カラス全盛期の録音なんて、声はいっぱい聴こえるけどオケは遠いしこもってるし、まともに音が聴こえないなんてざらでした。でもこのCD、声だけじゃなくてオケもバッチリ、それどころか現代オケの中に入ると弱音で埋まって聴こえない事も多いチェンバロすらきれいに聴こえます!オペラ音楽どうこうの前に、音の良さに「おお~」って思いました!

 そして、モーツァルトの「ドン・ジョバンニ」です。前作「フィガロの結婚」がプラハで大ヒット、これに気をよくしたモーツァルトが気分良く書き上げた作品だそうです。台本は前作に続いてロレンツォ・ダ・ポンテ、題材は有名なドン・ファンの物語です。ドン・ファンはスペインの伝説の人物で、女たらしの代名詞。1000人以上の女と寝た剣の腕が立つ貴族で、ある貴族の娘をたぶらかした上にその父親を切り殺したもんだから、その父親の幽霊に地獄にひきずりこまれた (^^;)。ざまあみろ、天罰じゃ。このオペラも、まったくこの通りの筋で進みます。
 意外だったのは、このオペラだと、ドン・ファン(役名はドン・ジョヴァンニ)は女性からそれなりに忌み嫌われている人物として描かれている事。勝手に夜這いに行って怖がられたりしてます。それじゃ女殺しじゃなくて単なる強姦魔だよ(^^;)。ドン・ファンって、もっとカサノヴァみたいに女の方からも愛されるモテ男なのかと思ってました。このへんは、脚本家の解釈なのか、西洋でのドン・ファンの認識ってそんな感じなのか、ちょっと僕には分かりません。

 このオペラ、娯楽性が強くて、途中で「フィガロの結婚」で有名なアリアが演奏されると、セリフで「これは有名な曲だ」と言ったりして(^^;)、けっこうふざけてます。最後は女たらしが地獄にひきずりこまれてめでたしめでたしですから、やっぱり娯楽作ですよね。
 音楽的には、なんといっても序曲が完成度高し。オペラでは序曲が音楽をいちばんたっぷり聴かせられる所なので、ここが名曲になるのはよくある事ですが、以降のコミカルな娯楽作の序曲とは思えないほどに厳かで見事です。
 あと、曲中で有名な曲と言えば、ドン・ジョヴァンニが見境なく村の小娘だろうが貴族だろうが年増だろうが手当たり次第に関係してきた女性遍歴を歌った歌とか(^^;)トンデモネエナコイツ、結婚式の花嫁をその場で口説く歌とか(花嫁もまんざらじゃなかったりする)、そんなのが多いです。高尚な舞台や音楽をこのオペラに期待しちゃダメだと思うんですが、ところがこのCDのサミュエル・レイミーというバリトンが、こういうとんでもない歌を恐ろしくうまく歌うんですよ。しかも音楽自体は普通に見事。このアンバランスが、僕にはただのコメディにしか思えなかったりして。

 モーツァルトは、こういう自分のオペラを「オペラ・ブッファ」なんて呼んで、今までの貴族向けのオペラとは違う大衆オペラと言っていますが、それぐらい気楽に楽しめる作品でした。そして、それを恐ろしく見事な演奏に録音、そしてサミュエル・レイミーキャサリーン・バトルという名歌手の見事な歌唱が聴けるという、なんともくそまじめな娯楽大作でした(^^)。


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『モーツァルト:歌劇《フィガロの結婚》全曲 アバド指揮、ウィーン・フィル』

Mozart_Figaro no Kekkon_Abbado_WienPhil モーツァルトの明るく優雅でハイテンションなイメージにピッタリなオペラです!モーツァルトのオペラというと、ひとつ前に書いた「魔笛」のほか、この「フィガロの結婚」に「ドン・ジョヴァンニ」あたりが有名。これに「コジ・フォン・トゥッテ」を加えてモーツァルト4大オペラなんて言うそうですが、最後のひとつはオペラを見るどころか曲すら聴いた事ないです(^^;)。「フィガロの結婚」はオペラ・ブッファと名付けられてますが、オペラ・ブッファとは、それまでの貴族のためのオペラと違って大衆的なオペラの事で、滑稽な人が出てくる喜劇が多いです。

 原作はボーマルシェという人で、「フィガロの結婚」は「セビリアの理髪師」の続編「セビリアの理髪師」は後にロッシーニがオペラ化して大ヒットさせます。ボーマルシェという人は数奇な人で、時計商の家に生まれて、時計商として皇后づきになるほど評価されつつ、音楽は作るし劇作家にもなるし、果ては探偵までやってます。大金持ちになったり、財産没収されて放浪したり、とにかく波乱万丈な人。こういう人好きだなあ、付きあったら絶対面白い人だわ(^^)。そしてこのオペラの主人公フィガロ自体がボーマルシェに生き写しなんだそうです。
 話は喜劇なんですがちょっと凝っていて、すぐに女を口説く伯爵が、フィガロの婚約者まで口説こうとするので、フィガロが色々と奸計を企てるというもの。そのうちにフィガロが実はすごい血筋の人だと分かったり、誰かが誰かに化けたりと、喜劇とはいえちゃんと話を追ってないとわけがわからなくなります。最後もあっけらかんと笑ってフィナーレ。いや~ワーグナーの指輪やバッハのマタイ受難曲あたりの後に聴くと最高にくだらないですが(^^;)、でもそれがいいです!思うんですが、昔の方が喜劇でもなんでもよく出来ていて高度だなあと思います。台本でも音楽でも、ひとつひとつの作品が丁寧に作られているというか。いま、これぐらい丁寧に作られた新作の舞台喜劇ってなかなかないんじゃないかなあ。

 音楽は、とにかく序曲が有名。いかにも軽妙でモーツァルトらしい曲ですが、オペラ中の曲は暗くなる事なく、ずっとこの軽くハイテンションな感じで続きます。レチタティーヴォ部分はバッハ以来の書法が残ってますが、全体的に古典派の管弦楽という匂いが強かったです。アバド&ウィーンフィルの演奏は、やっぱり現代オケなので迫力があって、一方で古典派音楽の軽妙さはちょっと薄いかも。管弦が強すぎて、チェンバロとかが聴こえづらかった(^^;)。
 聴いていて気分が良くなるオペラ。生きてる間は笑って過ごしたい人にうってつけ、人生の春がそのまま作品になったような陽気さの、軽く気持ちいいオペラでした(^^)。


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『モーツァルト:《魔笛》 カラヤン指揮、ウィーンフィル』

Mozart_Mateki_Karajan_Viena.jpg 小学校の教科書にも載っていたモーツァルトの有名なオペラです!正確にいうとオペラとはちょっと違って「ジングシュピール」と呼ばれるものらしいです。ジングシュピールというのはドイツにあった音楽芝居の一種で、オペラに比べると大衆娯楽に近く、劇場つきの劇団ではなく旅の一座が演じる事が多かったみたい。音楽的な特徴を言うと、オペラだと地のセリフというのはなくて、台詞っぽいところもレチタティーヴォというセリフと歌の中間みたいな感じで歌いますが、ジングシュピールはこれが地のセリフなんですね。だからセリフが歌と音楽をつなぐ格好になります。ちなみにこのCDは「魔笛」全曲が入ってますが、台詞は全部カットされてます。僕が子どものころは、セリフはカットのオペラのレコードって多かったです。

 内容は、王子様が悪魔にさらわれた王女を救うという、えらく子どもっぽく単純なもの。なるほど、大衆娯楽です。そして…王女を救うまでにどんでん返しのドラマがあり、試練があり、これが分かっていてもけっこう面白い(^^)。「クラシックの偉人が残した傑作」なんて堅苦しいものではなく、音楽つきの楽しい冒険ファンタジーぐらいな感じだと思います。
 音楽部分に関しては、モーツァルトらしい明るく楽しげな曲が多く、深刻な雰囲気なものは少ないです。そんな中、第2幕Nr.17のアリア「ああ、私にも感じる、愛の幸せが」と、Nr.18の合唱「おおイシスとオシリスよ」が、ファンタジーな物語とは裏腹にものすごく高尚で美しくて、僕は好き。

 「魔笛」は、フリーメーソンの象徴が隠されてるとか色んなことが言われてますが、別にそんな大それたものじゃないんじゃないかなあ。フリーメーソンは暗殺教団か魔術を扱う秘密結社のように言われる事すらありますが、元は石屋の商業組合ですからね。こんなに明るく楽しい娯楽的なジングシュピールなのに、モーツァルトがその教義で使われた「3」をこの曲の中に入れたという程度で、小説家や研究科のみなさんは深読みし過ぎなんじゃないかと。かくいう私も、子どものころに嘘くさいオカルト本で魔笛とメーソンの関係の話を読んで、魔笛に興味を持ったんですけどね(゚∀゚*)エヘヘ。


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『モーツァルト:レクイエム ニ短調 ベーム指揮、ウィーンフィル』

Mozart_Requiem_Bohm_WienPhil.jpg 僕が子どもの頃にオカルトブームが起きました。映画でも『オーメン』や『エクソシスト』といったオカルト映画が大流行。テレビでも心霊番組が大人気。本屋に行けば心霊写真集がいっぱい置いてありました。フォトショップなんてものがこの世にあるなんて知らなかった小学生の僕は、超常現象的な意味でのオカルトを本気で信じてました(^^;)。。そんなオカルトブームの中で「恐怖新聞」というオカルト漫画が流行、これがマジで怖かった。。その漫画の中に、「モーツァルトは正体不明の依頼主からレクイエムの作曲を依頼され、書き上げて死んだ。モーツァルトは自分のためのレクイエムを書かされたのだ」なんて一節があったのを覚えています。他にも、モーツァルトはフリーメーソンという秘密結社のメンバーだったとか、オカルト本でいろんな話を読んじゃったもんだから、僕にとってモーツァルトのレクイエムは、聴いたら呪われるんじゃないかというほどビビッてしまい、ずっと聴く事が出来ない音楽だったのでした(^^;)。さて、そんな僕が最初に聴いたモーツァルトのレクイエムがこれ。ベーム指揮ウィーンフィル演奏、1971年録音です。

 今ではこの曲の本当の依頼主が分かっています。ついでに、この曲を書きあげる前にモーツァルトは他界してしまったので、「自分の葬儀に間に合った」というのも嘘です。モーツァルトが自分で書き上げたのは、11の部分からなるこの曲の最初のふたつだけで、あとはスケッチ程度。未完部分は弟子が書き上げています。なんだよ、それをモーツァルトの作品なんて言っていいのか…と思いきや、これがメッチャ素晴らしいのです。モーツァルトというと交響曲を書いてもほとんど長調で書き上げるし、軽やかで貴族趣味な音楽が多いので、レクイエムの作曲なんていかにも似合わなそうで聴けたもんじゃないんじゃないと思っていたのに、とんでもありませんでした。いや~これは素晴らしい。僕がモーツァルトの曲で一番好きなものって、これかも知れません。
 音楽的にも素晴らしい所が目立ちます。混声合唱でカノンを形成する部分、途中で調が錯綜してマイナーへとコンバージョンする曲、二重フーガの曲…厳かな曲調だけでも圧倒されそうですが、よく聴くとめっちゃよく出来ています。ウィーン古典派って、やっぱりすごい。

 でも、僕が最初に感動したのってそういう部分ではなく、この演奏の説得力だったかも。理屈はよく分からないまま、圧倒されたんです。このCD、録音も演奏もめっちゃ素晴らしくて、響きはリッチだし、かといってボワンボワンになる事なくファーストヴァイオリンとかすごくハイ抜けがいいし、それでいて音が太い!素晴らしいです。演奏も非の打ちどころなし、オケだけでなく合唱パートの見事さと言ったらもう…。というわけで、様式の見事さより先に、音楽の質感や演奏の迫力にやられたのでした。あんまり感動しちゃったもんで、他の指揮者やオケの演奏や録音を聴こうという気にまったくならず。さらに、僕がめっちゃ信用していたアマデウスマニアの同級生が、「モーツァルトの管弦を聴くならベーム指揮のものを買っておけば間違いない」な~んて言っていたので、なおさら他を聴く気にならず(^^)。というわけで、僕にとってのモーツァルトのレクイエムは完全にこれになりました。他と比較していいとか悪いとかは、聴いてないのでまったく言えないんですが、僕にとっては必殺の1枚です!


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『Anita O'Day / Sings the Winners』

Anita ODay Sings the Winners アニタ・オデイ、ヴァーブ移籍後6枚目のアルバム、1958年発表です。僕が持っているのはボーナストラック9曲入りのCDです。しかもこのボーナス、別テイクじゃなくてすべて別曲。これは嬉しい(^^)。

 アニタ・オデイってアルバムごとに顔が変わるし、場合によっては髪の色まで変わってしまうもんで、ものによっては「え?これもアニタ・オデイなの?」というものもあったりして。そんな僕にとってのアニタ・オデイの本当の姿は映画『真夏の夜のジャズ』で観たあれだと思ってるんですが、そんなアニタ・オデイの姿にいちばん近いジャケットがこれ。ついでに、イブニング・グローブの美しさもあって、アニタ・オデイのアルバムジャケット私的第1位はこれです!
 な~んて音楽以外の事をいっぱい書いてしまいましたが、このアルバム、伴奏はビッグバンドで、オケはすべて同じメンバー、アレンジ&指揮が半分マーティ・ペイチ、もう半分がラッセル・ガルシアでした。

 50年代中後半のアニタ・デイのアルバムは傑作ぞろいですが、このアルバムも良かったです!アニタ・オデイはヴォーカルもいいしスキャットも見事!とくにスキャットの炸裂具合は50年代後半のアニタ・オデイ黄金時代のアルバムの中でもずば抜けて素晴らしくて、実際にスキャットパートを入れた曲もいっぱい収録されていました。マイルス作曲の「Four」は完全にスキャットのアドリブを聞かせる曲に仕上がっていて、他にも「Sing, Sing, Sing」もスキャットが実に見事!
 表現も見事で、「マイ・ファニー・バレンタイン」の歌唱なんて、女性ジャズ・ヴォーカルの教科書にしていいんじゃないかというほどに色んな技巧が入っていて、しかもそれがテクニックのためのテクニックじゃなくて、きちんと歌になっているのが素晴らしかったです。ちょっとアフター気味で歌うのもいいなあ。ただ、持っていってもいいところで持っていけないのはこのタメにある気もしましたが、でもこのタメがエレガントさも出しているとも感じます。歌って、なかなか難しいですね(^^;)。

 そして、オケ。ビッグバンドのアレンジは良いし、バンドはうまいし、そして58年とは思えないほど録音がいい!50年代は合衆国の軽音楽にとって最良の時期だったと思えてなりません。軽音楽が幼稚なものばかりじゃなくて、大人向けのいいものが普通にあったんですよね。うらやましい時代です。

 50年代後半、ヴァーヴに移籍してからしばらくのアニタ・オデイのレコードは外れが無いです。バランスがいいものとなれば『Pick Yourself Up』『The Lady is a Tramp』、ピアノ伴奏なら『Anita Sings the Most』、そしてビッグバンド伴奏や見事なスキャットを聴きたいならこのアルバム。少しずつ違うのも良かったです…アニタさんにはずいぶん散財させられたけど、お金なんて使わないといけないものだし、こんなに気持ちを明るくしてくれるものに使ったなら何の不満も無いですね、考えてみたら。


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『Anita O'Day / At Mister Kelly's』

Anita ODay_At Mister Kellys 待ってましたアニタ・オデイのライブ盤です!1958年録音、ピアノトリオをバックに歌っています。小さい編成でのアニタ・オデイのパフォーマンスって、スタジオ録音ではなかなかないもんで、そこも嬉しかったです。バンドのメンバーは、Joe Masters (p)、L.B. Wood (b)、John Poole (dr)。

 マジか、ライブでここまで歌がうまいのか…って、それは『真夏の夜のジャズ』で知ってたんですけどね(^^)。どの曲も素晴らしい歌唱ですが、「Tea for Two」のスキャットでのアドリブあたりは名人芸としか言いようがないです。58年録音のうえにライブ盤なので大きな編集はないと思うんですが、それでこれだけ歌えるって、やっぱり素晴らしいシンガーだったんだなあ。ただ、ヴァーブ時代の他のスタジオ録音盤に比べるとやさぐれて感じるのはなぜでしょうか…ハイが伸びきってないというか、ちょっとだけ声が暗いのかな?酒もドラッグもやる人だったらしいから、声の劣化は仕方ないのかも(^^;)。。

 バンドも素晴らしかった!このピアニストさん、僕は全然知らないんですが、すごく良くていてビックリ。ジャズ演奏のアドリブ演奏の見事さはもとより、タッチの美しさやグリッサンドの奇麗さからして相当な腕前。それはベースもドラムも同じです。売れなかったけどいい腕をしていたミュージシャンって、いっぱいいるんだろうなあ。

 僕が持っているのはステレオ版のCDなんですが、それはピアノが左、楽器が右寄りでした。でも音楽が分離しているとは感じず、むしろ立体感があってよかったです。マジで50年代中ごろから後半のアニタ・オデイのレコードには外れがないです、素晴らしい!


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『Anita O'Day / Anita Sings the Most』

Anita ODay_Anita Sings the Most 白人ジャズ・ヴォーカリストのアニタ・オデイがヴァーブ移籍後に発表した4枚目のアルバム、1957年発表です。ヴァーブ移籍後初のスモール・コンボのみの歌伴で、オスカー・ピーターソンのピアノ・トリオの伴奏が基本。これにハーブ・エリスのギターが入るものもありました。

 これはいい!メッチャクチャしびれる!アニタ・オデイの歌が絶好調、聴いているだけでハートを全部持ってかれちゃいました(^^)。特に、ミドルからアップテンポの曲での歌の表現力がすばらしくて、聞き惚れてしまいました。「Old Devil Moon」や「Them There Eyes」なんて、超名唱じゃないでしょうか?!アニタ・オデイって丁寧に歌うし、若干アフター気味なので音楽に乗り切れていないと感じる時もあるんですが、このアルバムは絶好調、表現力もあるし丁寧でもあるけど乗り切っていて最高でした!
 そして、オスカー・ピーターソンのピアノがヤバい。。特に、バラードでの寄り添うような演奏が本当に素晴らしい。「Tenderly」なんて、ため息しか出ないよ…。オスカー・ピーターソンはピアノ・トリオだと大道芸的なエンターテイメントになってしまうときがあるけど、歌伴となると歌いに行くピアノになって本当に素晴らしいです。サラ・ヴォーンの歌伴を務めた時も素晴らしかったしなあ。。

 アニタ・オデイはヴァーヴ移籍後、57年だけで3枚のアルバムを発表、そしてその3枚がすべて傑作というのが素晴らしいです。間違いなくここがアニタ・オデイの絶頂期、ジャズ・ヴォーカルが好きなら、ぜったいに聞き逃しちゃいけないアルバムと思います!


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Bach Bach

Author:Bach Bach
狭いながらも居心地のいい宿で、奥さんとペット数匹と仲良く暮らしている音楽好きです。若いころに音楽を学びましたが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたレコード/CDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。趣味で書いている程度のものですが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば嬉しく思います(ノ^-^)ノ

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ロシアとウクライナがほぼ戦争状態に入りましたが、僕はソ連解体後のウクライナについて本当に無知…。これは2016年にオリバー・ストーン監督が作ったウクライナのドキュメンタリー映画。日本語字幕版が出たらぜひ観たい このブログをYoutube にアップしようか迷い中。するなら作業効率としては早いほど良いんですよね。。その時にはVOICEROIDに話してもらおうかと思ってるけど、誰の声がいいのか考え中
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