1968年発表、
ヤードバーズを脱退した
ジェフ・ベックの発表したファースト・アルバムです。僕はジェフ・ベックに熱狂した青春を送りましたが、僕にとってのジェフ・ベックと言えば、まずは1975年発表『
Blow By Blow』以降のカッコよすぎるインスト・フュージョン路線。ところがソロになりたての頃のジェフ・ベックの音楽は、あのインスト路線とはまるで違っていて、強化版ヤードバーズとでもいうようなヴォーカル入りの音楽をやっていました。そんなわけで、若い頃の僕にとってはインストの「Beck’s Bolero」だけがちょっとだけ面白いアルバムと感じたんですが、いま聴くとまるで違う聴こえ方をしたのはちょっとした驚きでした。カッコよかったんですよ!
メンバーは、ジェフ・ベック(g)、ロッド・スチュワート(vo)、ロン・ウッド(eb)、ミッキー・ウォーカー(dr)。このメンバーだと生粋のバンド・ロックをイメージしてしまいそうなものですが、ピアノやバグパイプが入ったり、方向性の違う曲を色々とカバーしたりするもんで、幅広く色々な音楽を集めたように聴こえました。だって、ヤードバーズの「Shapes of Things」をやったかと思えば、「グリーンスリーヴス」をやったりするんですよ。これを方向が定まっていないと言わずして何というのか…というのが若い時に聴いた印象。
ところがいま聴くと、曲単体で聴くとめっちゃくちゃカッコよく感じるものが多くて驚きました。特に、
余計なダビングをせずにエレキギター・エレキベース・ドラム・ヴォーカルの4人でやった音楽は相当にカッコいいと感じました。なにせロッド・スチュワートのヴォーカルはハスキーでソウルフルでカッコいいし、その
歌に絡みまくるジェフ・ベックのギターはアイデアを含め、同時代のロック・ギタリストとしては明らかに抜きん出ていると感じました。
サウンドもアプローチも、えらく尖ってるんですよね。特にアプローチの斬新さはフュージョン時代をすでに予見させるもので、ブルース曲ですらブルース・ロックに聴こえないオリジナリティの強さ。なるほどヴォーカル入りのバンドだけど確かにジェフ・ベックのグループだわ、みたいな。
このアルバム、変なスタジオ・オーケストラやダビングしただろう効果音的なバグパイプやティンパニを入れず、バンドで押し通した方が良かったんじゃないかと思ってしまいました。まあまあバンドに馴染んでいたピアノですら、これがいなければ強烈に個性的なギターがもっと引き立ったのではないかと思えたほど。のちの素晴らしいジェフ・ベックを知っていればギターの素晴らしい部分に注目出来るけど、そうでなければいろんな音に埋もれて、この音楽の核心に気づけないまま終わってしまう事もありえたかも。というわけで、バンド演奏での素晴らしい一体感、特に素晴らしいヴォーカルとそれに強烈な個性で絡むギターに注目すれば、かなりのアルバムじゃないかと。そうそう、このアルバムって、スタジオ・オーケストラが演奏した曲や、ジェフ・ベック自身がヴォーカルを取った曲がボーナスで入っている盤もありますが、それを聴いちゃうと余計に統一感がなく感じられてしまうかと思うので気をつけましょう…若い時の僕なんですけどね(^^;)>。
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後の古さ(時代感)がダメでした(^^)
今回もう一度聴いてみましたが、やっぱりこの時代のは今さら好きには慣れないという結論でした(笑)