歌壇・俳壇
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毎日歌壇・俳壇5月12日の特選より
2026/5/12 04:00 318文字<短歌>水原紫苑選 ◇双翼が体躯を越えるまぶしさにヘレン・ケラーのはじめての声(加古川市 石村まい)<俳句>片山由美子選 ◇ふたたびの単身赴任鳥雲に(津山市 森下弘) 石村さんは、三重苦のヘレン・ケラーが最初に発した言葉「It is warm today(今日は暖かです)」から想像を膨らませました。
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毎日俳壇
片山由美子・選
2026/5/12 02:00 348文字ふたたびの単身赴任鳥雲に 津山市 森下弘<評>単身赴任で苦労したことがあるのだろう。北へ帰る鳥の群れを仰ぎつつ、ため息をついているような「ふたたびの」のひと言。真つ白な薔薇(ばら)教会に幼稚園 平塚市 日下光代<評>キリスト教の象徴のような純白のバラの花。教会の庭の幼稚園のたたずまいが目に浮かぶ。階
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毎日俳壇
小川軽舟・選
2026/5/12 02:00 344文字揚(あげ)雲雀(ひばり)流されながらなほ揚がり 東京 木幡忠文<評>うららかに晴れた青空だが、上空は風が強いらしい。頭上のヒバリにじっと目をこらした作者の視線を感じる写生だ。花屑(はなくず)を割つて出てくる河馬(かば)の顔 福岡市 松尾ねこ<評>カバの沈む水面に散った桜のはなくず。「割つて出てくる」
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毎日俳壇
井上康明・選
2026/5/12 02:00 358文字アイスクリームまなかひにある青き山 鴨川市 西宮鉄雄<評>「まなかひ」は目の前の意。夏の山が、親し気に目の前にあるのだろう。アイスクリームが溶けかかる遠近の情景が鮮やかだ。水輪(みなわ)水輪水輪ばかりの走り梅雨 富士市 後藤秋邑<評>水輪があちこちに一斉に生まれた。梅雨のさきがけの雨が、音もなく降り
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毎日俳壇
西村和子・選
2026/5/12 02:00 382文字ひいふうと突いて軽(かろ)がろ紙風船 下野市 石井光<評>数え方にもいろいろあるが、1、2、3、では球技のよう。悠長に優しく突いている、のどかな情景も見えてくるようだ。花の枝見えねど池の五六片 大阪 芹澤由美<評>水に散り浮く落花によって、この辺りに桜の木があるのかしらと見上げることがある。暮れるほ
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毎日歌壇
水原紫苑・選
2026/5/12 02:00 452文字双翼が体軀(たいく)を越えるまぶしさにヘレン・ケラーのはじめての声 加古川市 石村まい<評>ヘレン・ケラーの有名な初めての発語を、自分が地上のものではないと気づいた、鳥の輝きとおののきに重ねる。雨音に意識を向けている夜のとおくから来る横顔は誰 大阪 中村杏<評>こうやって本当の他者はやって来るのか。
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毎日歌壇
伊藤一彦・選
2026/5/12 02:00 459文字長生きは幸せなるか人生が五十年のころ不幸なりしや 前橋市 西村晃<評>人生の幸福とは何かを考える。生きた時間の長さなのか、そうでない人生の見方があるのではないか。深い問いかけ。葉桜の桜を吾子(あこ)と見上げつつ離したくない手は遠くなる 高岡市 増澤千佳<評>子との別れが近いのだ。下の句に気持ちが出て
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毎日歌壇
米川千嘉子・選
2026/5/12 02:00 449文字駐車中の配送車にてスマホ繰る白い顔ならぶ宵の裏みち 東京 浅倉修<評>ウーバーイーツなどの配達員が依頼を待っている。スマホの光に照らされた無言の顔を浮かべて車が並ぶ宵。オンライン会議の乾きを手話に知る「会う」とは互いに近づくことと 宮崎 門田祥子<評>両手の人差し指を立てて中央で近づけくっつけるのが
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毎日歌壇
加藤治郎・選
2026/5/12 02:00 490文字トロイメライゆっくり還ってゆくだけだあの日の問いが答えだったね 岸和田市 ツキミサキ<評>夢という名の楽曲で過去にさかのぼる。幻想的だ。かつての問いが答えだったとは美しい想念である。至福感がある。開店が少し遅れたけど列は崩れなかった僕は二人目 大津市 佐々木敦史<評>日常の出来事が歌になる。スケッチ
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毎日歌壇・俳壇5月4日の特選より
2026/5/4 04:00 300文字<短歌>加藤治郎選 ◇戦争をしないと決めた文がいま輝き放ちわたしをまもる(守口市 寺前晴)<俳句>井上康明選 ◇白雲の一朶に揺れて桜咲く(唐津市 梶山守) 5月3日は憲法記念日。安全保障環境が厳しさを増すなか、寺前さんは憲法9条の大切さを歌にしました。梶山さんの句の「一朶(いちだ)」は「ひとかたまり
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毎日俳壇
井上康明・選
2026/5/4 02:00 365文字白雲(はくうん)の一朶(いちだ)に揺れて桜咲く 唐津市 梶山守<評>春の雲がぽっかり浮かび、風に揺れながら桜が咲いている。「白雲の一朶」という、古風で文学的な表現に味わいがある。牡丹(ぼうたん)や頰を寄せあふやうに揺れ 甲府市 清水輝子<評>頰を寄せ合うという例えは、ボタンの柔らかい花びらがふくよか
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片山由美子・選
2026/5/4 02:00 341文字病室のヒヤシンス咲き外は雨 相模原市 はやし央<評>水栽培のポットに咲いたヒヤシンスだろうか。入院中の身もまた病室にとらわれの気分であり、「外は雨」が心にひびく。新人の気象予報士花の雨 川越市 大野宥之介<評>毎日みているテレビの気象情報に新人予報士が登場。こんなところにも桜の季節らしさが。春愁やど
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西村和子・選
2026/5/4 02:00 345文字野球帽脱いで子猫を入れにけり 姫路市 板谷繁<評>捨て猫を連れ帰ったか。ひ弱な子猫を入れるものが何もないので、野球帽を脱いだ機転。草野球帰りの少年を想像した。上着手に歩く漢(おとこ)ら夏近し 前橋市 松本潤<評>「漢」と「男」。意味は同じだが、印象は異なる。「悪漢」か「好漢」か、季語が語る。子燕(こ
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毎日俳壇
小川軽舟・選
2026/5/4 02:00 330文字写真館に若き日の母花の昼 西尾市 金子恵美<評>壁に掲げたサンプル写真に若き日の母が写っている。町にずっと昔からある写真館に桜の咲く季節がよく似合う。遠足のどの子も翳(かざ)すスマホかな 名古屋市 山内基成<評>子供らしい遠足のイメージを裏切る遠足の光景。これが今の時代の現実なのだろう。抜き足で近づ
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加藤治郎・選
2026/5/4 02:00 481文字戦争をしないと決めた文がいま輝き放ちわたしをまもる 守口市 寺前晴<評>武力ではない。言葉が私を守る。憲法9条だ。3月の日米首脳会談で高市首相が国内法上の制約を説明したことを思う。飲み込めず舌でとかした錠剤のざらつき「ですが」「けれども」「しかし」 フランス 小仲翠太<評>舌の触感を巧みに表現してい
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水原紫苑・選
2026/5/4 02:00 465文字アポリアのまま煮えている根菜よ答えを出さない夕食がすき 安城市 唐澤うに<評>根菜は問いがたくおざなりには愛しがたく、それでいてなつかしく私たちのいのちを養うものたち。死者の声そぼふる朝の乱暴な言葉づかいはやめてと母は さいたま市 雨谷詩穂<評>死者へのおそれとうやまいの朝。たましいにつながる母のす
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毎日歌壇
米川千嘉子・選
2026/5/4 02:00 487文字子らと暮らした十七年は眩(まぶ)しくて彼らの愛した正義の味方 三重 中山由賀子<評>作者の子育ての時期は昭和の終わりから平成にかけての頃か。子どもたちが素直に正義を信じられた時代だったか。真夜中に通過せし駅明るかり盆梅展の長浜の駅 八千代市 若松トモエ<評>寝台特急などからの風景か。盆梅展で有名な長
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毎日歌壇
伊藤一彦・選
2026/5/4 02:00 472文字子どもらの橇(そり)あそび跡の丈長き枯草(かれくさ)ようやく立ち上がる春 福島市 澤正宏<評>春の訪れを歌い作者の捉えた場面はユニークで表現に説得力がある。「ようやく」以下、気持ちがしっかり籠もっている。お話に花咲かせる私一年生桜の花もこちらを見ています 川西市 丑ケ谷<評>作者は16歳というから高
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岡野弘彦さん死去 101歳 戦後短歌界をリード、文化勲章受章
2026/4/30 22:18 458文字戦後短歌界を長年リードした歌人で、文化勲章受章者の岡野弘彦(おかの・ひろひこ)さんが4月24日、心不全のため東京都世田谷区で死去した。101歳。津市出身。家族葬を行った。 1924年、神主の家に生まれた。国学院大予科に入学後、愛知県の豊川海軍工廠に動員され、45年に徴兵。軍用列車で移動中に東京で空
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毎日歌壇・俳壇4月27日の特選より
2026/4/27 04:00 293文字<俳句>西村和子選 ◇水筒の中は空っぽチューリップ(松戸市 森美奈子)<短歌>米川千嘉子選 ◇かさばって身体を塞いでいるこころ小さくたたんで奥へしまえたら(名古屋市 昼河) 森さんの句からは、春になりチューリップが咲き誇る広場を駆け回る子どもの姿が想像できます。昼河さんの作品は、こころが身体を塞いで
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