コスモ石油、航空燃料SAF工場「廃食油調達にメド」
コスモ石油は22日、堺市の同社製油所内につくる日本初の本格的な再生航空燃料(SAF)プラントについて、原料となる廃食油の調達にメドをつけたことを明らかにした。2025年春の稼働時点は外食などの事業者からが9割以上にのぼる見通しで、堺市など自治体との連携をテコに家庭からの回収拡大を急ぐ。
同社と日揮ホールディングス(HD)、レボインターナショナルは共同出資で設立したサファイア・スカイ・エナジー(横浜市)を通じて、年3万トン程度の廃食油から年3万キロリットルのSAFを生産する。堺市は原料供給のため、12月下旬から家庭の廃食油を回収する計画で、4者の連携協定を22日に締結した。
コスモ石油の春井啓克・取締役常務執行役員(堺製油所長)は同日の記者会見で「すでに半分強(の調達先)は確保しており、稼働時には全量をまかなえる」と述べた。ただ事業者の廃食油は以前から家畜の飼料などで再利用されており、そこにSAFの原料需要が加わることで価格が急上昇している。
市場のゆがみを是正するうえで、カギとなるのが家庭の廃食油。日本国内では年10万トンにのぼるが、そのうち4%程度しか回収できていないとみられる。日揮HDの西村勇毅プログラムマネージャーは「行政の仕組みが整えば、半分程度まで引き上げられるはず」と述べ、自治体との連携を広げる考えを示した。
堺市の永藤英機市長は「(連携協定を結んだ)3社からの情報も参考にしながら、回収拡大の方策を探る。回収場所はイオンモールの2カ所でスタートするが、どんどん広げていけるように、市として積極的に協力していきたい」と語った。