有栖川有栖「折れた岬」(2)
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ミステリに限らず小説は面白ければどう書いてもかまわない。セオリーを破ることで生まれる面白さもある、という答えで納得してもらった。
最後の五分は、六回にわたった講座の締めくくりに当てる。どうまとめるかは事前に考えてきていたのだが、最後列のドアに近い端に思いがけない人物がいるのを発見し、軽く動揺してしまう。大柄な男性の陰に隠れていたせいで、彼女の存在に気がつかなかった。
ミルクティー色に染めている髪...
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