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歌舞伎「天衣紛上野初花」、痛快な悪漢と情話 上村以和於
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河竹黙阿弥は明治維新を境に前後ほぼ四半世紀ずつという長い作者生活を送った。「白浪作者」と綽名(あだな)されるほど泥棒・盗賊を主人公にした芝居を数多く書いた。
だが維新後の新時代に入ると、歌舞伎の内部からも外部の識者からも、政官界がらみで(伊藤博文まで乗り出していた)演劇改良が叫ばれ高尚新奇な作を求められたから、第一人者であるために却(かえ)って、気に染まぬ仕事もしなければならなかったらしい。...
長年にわたって歌舞伎の舞台を見続けている演劇評論家の上村以和於氏が、名作・名場面に隠されたエピソードや登場人物の横顔を詳しく紹介します。