ソニー・ホンダのEV、1400万円から テスラに挑む

【ラスベガス=山田航平、東京=佐藤諒、沖永翔也】ソニーグループとホンダが折半出資するソニー・ホンダモビリティは6日(米国時間)、電気自動車(EV)「AFEELA(アフィーラ)1」を8万9900ドル(約1420万円)から発売すると発表した。ソニーGのデジタル技術とホンダの生産技術を融合し、EVで先行する米テスラなどに挑む。
テクノロジー見本市「CES」のソニーGの報道向けイベントで明らかにした。登壇したソニー・ホンダの水野泰秀会長兼最高経営責任者(CEO)は「プロトタイプのお披露目から2年もたたないうちにほぼ最終版を見せられる」と胸を張った。
8万9900ドルの基本モデル「オリジン」、10万2900ドル(約1625万円)の旗艦モデル「シグネチャー」の2タイプを展開する。価格には先進運転支援システム(ADAS)、エンターテインメントサービス、対話型AI(人工知能)などの3年間の利用料金も含む。

基本モデルの価格はテスラの高級セダン「モデルS」(約1266万円)、旗艦モデルは「モデルSプラッド」(約1566万円)をそれぞれ上回る。ソニー・ホンダの川西泉社長は「必ずしも数を多く出していくという方向性はとっていない。自分たちに共感していただける方に乗ってもらえたら」との考えをかねて示していた。
米カリフォルニア州の住民向けに6日から予約を受け付け、他の州にも順次拡大する。予約には200ドルかかる。北米では2026年中ごろから旗艦モデルの納車を始め、基本モデルはそれ以降になる。日本では26年中に旗艦モデルの納車を始める。自社のオンラインサイトで直販する。
北米向けのオリジンの航続距離は500キロメートル弱と想定する。テスラのモデルS(約600キロメートル)より短い。
競合との差異化でカギになるのが搭載するAIシステムだ。40個の車載センサーで集めた周囲のデータを分析し、状況の認識、予測、運転計画の立案を支援する。「顧客に有益な情報を提供し、移動時間を最大限活用できるようにサポートする」(水野氏)という。

会話やコンテンツの再生履歴を通じて運転手らの好みのアニメや映画、ラジオ、音楽なども提案する。最適なタイミングで修理や新しいアフィーラへの買い替えを促す。
EVを巡っては、ソニーGとホンダが協業を発表した22年は市場が急拡大していたが、足元では欧米を中心に需要が落ち込んでいる。スウェーデンの高級車メーカー、ボルボ・カーは30年までに全新車をEVとする目標を撤回し、米フォード・モーターもEV生産計画を見直した。
調査会社マークラインズによると、24年7〜9月のEVの世界販売台数は中国勢が上位10社のうち半数を占めている。価格競争力のある中国勢に対し、ソニー・ホンダが自動運転やエンタメ性でどこまで違いを出せるかが焦点になる。
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