ドルコスト平均法とは 投資信託をコツコツ買う効果
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・まとまった資金がなくても始められ、取引のタイミングで悩む必要がない
・長期的に上昇が期待される投資対象でより効果を発揮
少額投資非課税制度(NISA)口座を開設したものの、どの金融商品をどの程度買ったらいいのかが分からないという人もいるのではないでしょうか。NISAの活用目的で多い長期の資産形成では、毎月一定額の金融商品を購入する積み立て投資が有効と言われます。毎回、決まった金額で金融商品などを購入する手法は「ドルコスト平均法」と呼ばれますが、どのような手法なのでしょうか。
安ければ多くの量、高ければ少ない
ドルコスト平均法とは、金融商品など値動きのある対象を、毎月決まった金額購入する方法です。価格が安ければ多くの量を、高ければ少ない量を購入します。企業型や個人型の確定拠出年金、NISAのつみたて投資枠、純金積み立てなども、広い意味でこの手法を使うといえます。
投資は相場が最も下がったところで買い、最も上がったところで売るのがベストです。ただ、どの時点で売買するのがよいかを見極めるのは困難です。ドルコスト平均法は購入するタイミングを分散し、平均の購入価格を抑えます。結果的に「高値づかみ」となるのを避けられます。
平均購入価格が下がる仕組みを事例で見てみましょう。5カ月の間に5万円分の投資信託を購入するケースで、1カ月目の価格は1万口(口数は投資信託の購入単位)あたり1万円。2カ月目以降は1万2000円、1万円、8000円、6000円だったとします。最初に5万円分を一括投資した場合、単純計算で5万口を取得できます。1万口あたりの平均取得価格は1万円です。

一方、分散した場合、購入した口数は1カ月目が1万口、2カ月目以降は約8300口、1万口、1万2500口、約1万6600口となり、合計で約5万7500口になります。1万口を平均8700円ほどで購入したことになります。価格が下がったときにも買ったため、平均価格が下がりました。
この例で利益を出すには、一括購入では1万口あたり1万円を超えた時点で売らなければなりません。分散の場合は1万円で売れば1万口あたり1300円の利益です。
タイミングで悩む必要なし
とはいえ、相場が一貫して上昇した場合は、最初にまとめて投資したほうが有利と考える人もいるでしょう。しかし、投資する時点で将来の価格は誰にも分かりません。会社員など本業が忙しい現役世代などは、取引するタイミングを思い悩む必要がないのもドルコスト平均法のメリットと言えます。まとまった資金がなくても投資を始められるのも利点です。
ただ、ドルコスト平均法は万能ではありません。実際の運用では資産を売却する価格も成績に大きく影響します。東海東京調査センターの仙石誠氏は「主要な株価指数など長期的に上昇が期待される投資対象で、より効果を発揮できる」と指摘しています。
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