クリントン氏は「新人類」 宮沢首相、会談前に警戒
外交文書公開

1993年3月、宮沢喜一首相が翌月に控えたクリントン米大統領との会談前ブリーフィングで、クリントン氏を「新人類」と表現していたことが26日公開の外交文書で明らかになった。
クリントン氏は国内経済の立て直しが急務で、対日貿易赤字解消に向け日本に強硬姿勢で臨むとみられていた。宮沢氏は「(クリントン氏は)戦後の人であるから頭が違っていると、こう思わなくては仕方ないな」と警戒した。

当時、宮沢氏は第2次世界大戦前生まれの73歳、クリントン氏は戦後生まれの46歳で親子ほどの年齢差があった。
外務省の小和田恒事務次官はブリーフィングで前任のブッシュ政権を「非常にウエット(情にもろい)」、クリントン政権を「ドライ(合理的)」と説明。同政権は「反日ではないが言わせてもらうとの形でやってくる」と予想した。
宮沢氏は「(戦前生まれの)ブッシュ(父)などと話をしていた時代と違って、新人類と付き合うことになるらしいな」と吐露。米国でのクリントン氏との会談に関し「皆がワシントンに行けというので、もともと乗り気ではないが行くことにした。要するに米国より文句を言われにいくのだろう」と語った。
会談後、栗山尚一駐米大使は所感を残し、日米関係は「協力」「競争」の両面があると指摘。日本を「甘やかす」気持ちがないことは「クリントン氏に限らず、戦後生まれの米国人に共通する対日感だ」とした。〔共同〕
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