4月の消費者物価3.4%上昇、伸び率拡大 食品値上げで
総務省が19日発表した4月の消費者物価指数(CPI、2020年=100)は変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が104.8となり、前年同月比で3.4%上昇した。伸び率は3カ月ぶりに拡大した。食品など生活必需品やサービスの価格が中心に上がった。
上昇率はQUICKが事前にまとめた市場予測の中央値(3.4%)と同じだった。プラスは20カ月連続。日銀の物価目標である2%を上回る状況が続く。生鮮食品を含む総合指数は前年同月比3.5%上昇で、プラス幅が3月から0.3ポイント拡大した。
生鮮とエネルギーを除く総合指数は4.1%高まった。伸び率は11カ月連続で広がった。消費税導入時や増税時の伸び率を上回り、第2次石油危機の影響で物価が上昇した1981年9月以来、41年7カ月ぶりの上昇率となった。
品目別では生鮮食品を除く食料が9.0%上昇した。1976年5月(9.1%)以来46年11カ月ぶりの高い伸びだった。チョコレートやアイスクリームといった菓子類は11.0%、調理用食品は9.3%、飲料は7.3%と値上がりが目立った。
日用品も値上げが続き洗濯用洗剤が19.8%、トイレットペーパーは16.3%伸びた。交通・運賃は1.8%プラスだった。一部の私鉄の運賃上げを受けて交通が2.4%上昇した。
宿泊料は8.1%高まった。3月の0.6%低下から一転した。新型コロナウイルス禍からの経済回復が進んで観光客が増えた。政府の観光促進策「全国旅行支援」による押し下げ効果は、一部の自治体が受け付けを停止したため弱まった。
全品目をモノとサービスに分けたうちのサービスは1.7%上昇し、消費増税の時期を除くと1995年3月(1.8%)以来、28年1カ月ぶりの伸びとなった。
電気代などのエネルギーは前年同月から4.4%下がった。政府による電気・ガス代の抑制策で、電気代は9.3%マイナスと下落幅が拡大した。
総務省の試算では、電気・ガス代の抑制策と全国旅行支援を合わせた政策効果は生鮮食品を除く総合の前年同月比の伸び率を1.1ポイント押し下げた。単純計算すると、政策効果がなければ4.5%の上昇だったことになる。
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