最低賃金1054円、賃上げ余力に格差 中小・零細追いつけず
2024年度の最低賃金が全国加重平均で時給1054円を目安とすると決まったことで、企業はさらなる賃上げを迫られることになる。各業種で人手が不足し、企業間で独自の賃上げは進む。ただ、経営体力に乏しい中小・零細企業が一方であり、賃上げ余力の格差は広がりかねない。生産性の向上が課題となる。
厚生労働省の毎月勤労統計調査によると、5月のパート時給(速報値)は1328円と前年同月から4%上がっ
賃上げは賃金水準を一律に引き上げるベースアップと、勤続年数が上がるごとに増える定期昇給からなる。2014年春季労使交渉(春闘)から政府が産業界に対し賃上げを求める「官製春闘」が始まった。産業界では正社員間でも賃金要求に差をつける「脱一律」の動きが広がる。年功序列モデルが崩れ、生産性向上のために成果や役割に応じて賃金に差をつける流れが強まり、一律での賃上げ要求の意義は薄れている。