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日米韓、トランプ政権前に枠組み固定 協力にもろさ残る

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【リマ=三木理恵子、八十島綾平】石破茂首相とバイデン米大統領、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は15日、ペルーで3カ国の首脳会談に臨んだ。日米韓の協力枠組みの固定に重点を置いた。トランプ政権の発足をにらみ連絡事務局の設置を決めたものの、体制にはもろさが残る。

バイデン氏は会談の冒頭に「日米韓はとても素晴らしいグループだ」と訴えた。自身の任期の4年間を振り返りつつ「米国の同盟国間の結束に向けた大きな努力の一部で誇りに思う」と発言した。

中国や北朝鮮のアジアでの軍事活動を踏まえ、日米韓首脳会談の定例化を主導したのはバイデン氏だ。

2023年8月に関係改善に動いていた日韓の首脳をワシントン近郊の大統領山荘「キャンプデービッド」に招いた。それ以降3カ国は北朝鮮のミサイル発射情報の即時共有といった安全保障協力、経済連携を次々と進めていった。

バイデン氏は任期中、アジア太平洋地域で米国の同盟国間のネットワークを積み上げ、強固にすることに力を注いだ。日米に韓国やオーストラリア、フィリピンも巻き込み、大きなグループとして機能する仕組みをつくっていった。

米国は従来、米国を中心に1対1で同盟国との関係を維持するアジア戦略をとっていた。それを改めて同盟国同士も深く結び付く、多国間の格子状の協力体制に改めた。

米国は中国を「唯一の競争相手」と位置づけ、アジアの安保に関心と関与を強めてきた。ところがいまはロシアによるウクライナ侵略や中東紛争を受け、多方面に分散して対応せざるを得ない。

北朝鮮によるロシアへの兵派遣で「欧州とアジアの安全保障がこれまで以上にリンクする」(米ホワイトハウス高官)状況になった。日韓が共同歩調を取り、米国と連携を強めることはより不可欠な要素になっている。

15日の日米韓首脳会談で設置を決めた連絡事務局は3カ国協力の案件の調整や進捗管理を担う。各国に協力を担当する事務局の機能を置くことで枠組みを継続的に維持する狙いがある。

念頭にあるのは25年1月のトランプ政権のスタートだ。トランプ前大統領は17〜21年の1期目で、多国間協力よりも2国間の取引を重視した。

バイデン氏には自ら関係改善を後押しした日韓との枠組みが壊され、敵対国を利するのを避けたいとの考えがあったとみられる。

ホワイトハウス高官は「敵対国が(政権移行の)この時期に優位に立とうとすることはとても愚かな試みだ。大きな誤算になるだろう」と主張した。会談の意義を「一言でいうなら『収束(Convergence)』だ」と表現した。

日本は難しい対応を迫られる。日米韓の協力の重要性を認識しながら、トランプ次期政権との新たな関係も構築しなければいけないからだ。米国のアジア関与の継続をどうトランプ氏に求めていくか戦略を練る。

外務省幹部は連絡事務局の設置について「米国が政権交代の前にレガシー(遺産)を残そうとして主導した」と述べた。同時に「リーダーによる政治スタイルの違いもあるので日本にとって何が必要かは見極めていく必要がある」と語る。

改善した日韓関係も良好さを維持するためには努力がいる。米国の後押しが弱まれば3カ国協力は推進力を失う可能性がある。

石破首相は15日、ペルーでバイデン氏とも個別に会談した。両首脳は「日米同盟はかつてなく強固になった」と指摘し、取り組みを維持・強化するために連携すると一致した。日米韓の枠組みの発展に向けて協力していくと確かめた。

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