WHO、パンデミックの終息「ほど遠い」
【パリ=白石透冴】世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は18日、新型コロナウイルスの「パンデミック(世界的流行)の終息はほど遠い」と語った。変異型「オミクロン型」の毒性が低く危機の水準が下がったとの見方にも反対した。
テドロス氏は記者会見で「オミクロン型は信じられないほどの広がりをみせており、新しい変異型も現れるだろう。追跡と分析が今後も重要になる」と語った。スペインや英国ではコロナをより日常的で危機水準が下がった「エンデミック」とみなす検討が始まっている。感染者の全数把握や隔離などをやめる選択肢も出てくるが、テドロス氏は時期尚早だと指摘した。
WHOの科学者、スワミナサン氏は「健康な子どもにワクチンの追加接種(ブースター接種)が必要との証拠は全くない」と話した。イスラエル、米国、ドイツなどは子どもへのブースター接種を進めているが「(ワクチンの)目的は最も危険が大きい人たちを守ることだ」と批判した。アフリカなど途上国では高齢者や医療関係者への1回目接種が終わっていない現状に危機感を示した。
一方、WHOで緊急事態対応を統括するライアン氏は18日、世界経済フォーラムのオンライン会合「ダボス・アジェンダ」に出席し「パンデミックかエンデミックかという議論があるが、エイズウイルス(HIV)はエンデミックだが死者を出す。エンデミックだからいいというわけではない」と警鐘を鳴らした。
オミクロン型は世界中で急拡大を続けている。英オックスフォード大学の研究者らでつくる「アワー・ワールド・イン・データ」によると、世界で1日当たり(7日移動平均)250万人以上がコロナに感染している。フランス当局は18日、過去24時間のコロナ感染者数が約46万人だったと明らかにした。