コロナ遺伝情報、中国研究者が19年末に特定か 米議会委
【ニューヨーク=西邨紘子】中国国内の研究者が2019年末までに新型コロナウイルス「SARS-CoV-2」を特定し、ゲノム(全遺伝情報)の解析を終えていた可能性があることが分かった。中国政府が世界保健機関(WHO)と解析情報を共有した20年1月よりも前にウイルスの実態を把握していた疑いが浮上してきた。
米国連邦下院エネルギー・商業(E&C)委員会が17日、コロナ発生源についての調査結果として公表した。
E&C委員会の報告によると、コロナウイルスのゲノム情報は19年12月28日、中国政府系の研究機関である病原生物学研究所のウイルス研究者、リリ・レン(Lili Ren)博士が米国立衛生研究所(NIH)傘下機関の遺伝子配列データベースGenBankに提出した。
GenBankは各国の研究者から生物や微生物などの遺伝子情報を集め、一般公開している。レン氏にサイトでの公開に必要な追加情報を求めたところ、返答を得られなかった。そのため、提出されたゲノム情報は未公開のまま消去したという。
内容は中国政府がその後、公式発表したコロナのゲノムと「ほぼ同じ」(米当局)だった。
WHOが20年1月に公表した新型コロナ流行のタイムラインによると、中国は同年1月7日にコロナの原因となったウイルスを特定し、同12日にWHOに対してゲノム解析を完了したと報告していた。今回の調査結果は中国政府がゲノム情報を国際的に公開する2週間以上前に原因ウイルスを調べ終えていたことを示唆する。
新型コロナ禍では原因ウイルスのゲノム情報は各国の感染対策やコロナワクチンの開発の土台となった。中国は初期段階で重要情報を知りながら早期の共有を渋っていた可能性があり、感染被害の拡大につながった疑念も拭えない。
E&C委員会は今回の調査結果について「中国共産党が主張するウイルス認識時期に疑問を抱かせるものだ」とコメントした。
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