連載小説、荻原浩「ワンダーランド急行」1月4日スタート
連載小説、朝井まかて氏の「秘密の花壇」は12月28日で完結、1月4日から荻原浩氏の「ワンダーランド急行」を連載します。
荻原氏は1956年埼玉県大宮市(現さいたま市)生まれ。広告代理店、コピーライターを経て、97年「オロロ畑でつかまえて」で作家デビュー。2005年「明日の記憶」で山本周五郎賞、16年「海の見える理髪店」で直木賞を受賞しました。ユーモアと哀愁あふれる物語で幅広い読者の支持を得ています。
「ワンダーランド急行」の主人公は中年のサラリーマン。ある朝、気まぐれでいつもの通勤電車とは反対のホームの電車に乗り、違う世界に迷い込んでしまいます。あの時こうしていたらその先の世界は――。次々現れる多世界の不思議や人間の苦悩を描きます。
挿絵は豊かな発想と明快な絵柄のイラストレーター、タケウマ氏が担当します。
〈作者の言葉〉
誰もがマスクをしている街を歩いていると、目の前の世界は本当に現実だろうか。そんな気分に襲われることがあります。どこかで世界がすり替わってしまったのではないか? 線路が分岐器で切り替わるように。
世界は本当にひとつだけなのか。人生の折々の別れ道で自分が選ばなかった道の先に別の世界があったとしたら? そこでは自分は、あの人は、どうなっているだろう。
朝、いつもの通勤電車ではなく、反対側のホームから列車に乗って知らない場所へ行ってしまいたい。「ワンダーランド急行」は、そんな気まぐれを起こしたばかりに、違う現実に――多世界の迷路に彷徨いこんでしまう男の物語です。彼は元の世界へ戻れるのでしょうか。そもそも戻ろうと思うのでしょうか。作者にもまだ謎です。