所得再分配を支える世論(2) 拡大を続ける国内所得格差
東京理科大学准教授 松本朋子
経済発展が進めば、すべての人は等しくその恩恵を受けるのでしょうか? 20世紀中ごろ、著名な経済学者のサイモン・クズネッツ氏は、経済発展の初期には所得格差が広がるものの、成長が進むと格差が縮小すると主張しました。
この理論は「クズネッツ曲線」と呼ばれ、同時代の西側先進国に広く受け入れられました。経済成長に伴う格差の拡大は長続きしないと期待されたのです。さらに1990年代には、格差を拡大させずに成長...
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