山本一太知事「財政措置しっかりと」 「年収の壁」巡り
群馬県の山本一太知事は14日、オンラインで開いた定例記者会見で、年収が103万円を超えると所得税が発生する「年収の壁」の見直しについて「(県の税収が減り)行政サービスに大きな影響が出る。しっかりとした財政措置とセットで進められるべきだ」と見解を述べた。群馬県と県内市町村で合わせて約830億円の減収見込みも公表した。
県の試算によると、所得税の課税最低限が178万円に引き上がった場合、県では個人県民税が約260億円、地方交付税が約100億円減少し、計360億円の減収になる見込み。県内市町村では市町村民税が約390億円、地方交付税が約80億円減少し、計470億円の減収になるとみる。山本知事は「財政措置抜きにやることになれば、地方の財政は破綻すると思う」との危機感を示した。
「年収の壁」見直しを巡っては、総務省が見直しに伴う個人住民税の減収が4兆円程度に上ると試算しており、地方財政への影響が懸念されている。
年収の壁とは、パート労働者らの年収が一定額を超えると税や年金、社会保険料の負担が発生し、手取りが減る問題です。103万円、106万円、130万円などが境目で、年収が範囲内に収まるよう働く時間を調整する人も多く、収入が頭打ちになるだけでなく人手不足の要因にもなっています。
【年収「103万円の壁」ポイント解説】
①103万円だけじゃない「年収の壁」 働き控えの要因に
②「年収の壁」手取り急減は106万円と130万円 遠い解消
③国民民主「103万円の年収の壁、基準上げれば消費活性化」
④「年収の壁」巡る各党の主張は 非課税枠拡大や給付金
⑤「年収の壁」是正の協議、政策決定プロセスを変えるか