FOMC、量的緩和策強化を決定 失業率目標を導入
米長期債買い入れ、ゼロ金利継続も
【ワシントン=矢沢俊樹】米連邦公開市場委員会(FOMC)は12日の会合で量的金融緩和策の強化を決めた。ツイスト(ねじれ)・オペが今月末で終わった後も米長期債を毎月450億ドルずつ買い入れて米景気への刺激を強める。同時にインフレ率の見通しが2.5%を超えない範囲において、米失業率が6.5%程度で安定するまで事実上のゼロ金利を継続する方針を表明した。
米連邦準備理事会(FRB)のバランスシートをさらに膨らませる策と失業率目標との異例の合わせ技により、雇用市場のテコ入れに踏み込んだ格好だ。
FOMCが金融政策のモノサシとして将来の失業率目標を明示したのは初めて。失業率は現在、7%台後半まで低下しているが、「6.5%を上回る水準にとどまっている間は」、現状のゼロ金利政策を続けることを公約した。
ただ、ゼロ金利継続の条件として向こう1、2年間の物価上昇率予想が2.5%を上回らないことを明記し、インフレの抑制にも配慮を示した。
今月末で期限を迎えるツイスト・オペは期間の短い国債を売る一方で長期債を同じ額だけ増やす仕組み。基本的にFRBの国債残高は増えない。今回の策では短期国債の売却を止めて長期国債の買い取りを続けるため、その分だけバランスシートが膨らむ。こうした措置によって長期金利を押し下げて、住宅などへの投資を刺激する狙いがある。
FOMCは今年9月にも住宅ローン担保証券(MBS)を毎月400億ドル(約3兆2000億円)ずつ購入する量的緩和の第3弾(QE3)を始めた。今回決めた国債買い入れ策と合わせると、850億ドルという資産購入規模を今後も維持することになる。