ブラックベリー、47億ドルでカナダ金融連合に身売り
【シリコンバレー=奥平和行】カナダ通信機器大手のブラックベリーは23日、同国の金融会社などで構成する企業連合に身売りすることで基本合意したと発表した。企業連合が約47億ドル(約4650億円)で、発行済み全株式を取得する。株式を非公開にして再建を加速する狙い。ただ、スマートフォン(スマホ)の販売不振は深刻で、依然として経営再建の先行きは不透明だ。
ブラックベリーを買収するのはカナダの金融会社、フェアファクス・ファイナンシャル・ホールディングスを中心とする企業連合。企業連合は1株当たり9ドルで株式を取得する。買い取り価格は前営業日の終値より3.1%高い水準。企業連合は11月4日まで資産査定を実施、この期間にブラックベリーは他の買い手からも買収提案を受けることができる。
フェアファクスはブラックベリー株の約10%を保有する大株主。同社のプレム・ワトサ最高経営責任者(CEO)は8月までブラックベリーの取締役を務めていた。同CEOは23日の声明で「株式を非公開にすれば、便利で安全な企業向けサービスを世界中で提供するための長期的な戦略を遂行できる」と述べた。
ブラックベリーの製品は、スマホの草分けとして企業や官公庁を中心に人気を集めた。オバマ米大統領が愛用していたことでも知られる。同社はカナダを代表するIT(情報技術)企業だったが、近年は韓国サムスン電子や米アップルとの競争が激化し、業績は落ち込んでいた。
米調査会社IDCによると、2009年当時のブラックベリーの世界シェアは20%近くを占め、フィンランドのノキアに次ぐスマホの2位につけていた。だが、12年のシェアは5%を下回る水準まで落ち込んだ。年初に新しい基本ソフト(OS)を搭載した製品を発売したが振るわず、全従業員の4割に当たる4500人を削減し、企業向け製品やサービスに特化する方針を示していた。