ブラックベリー身売りも スマホ苦戦、特別委設置
【シリコンバレー=岡田信行】カナダの通信機器大手、ブラックベリー(旧リサーチ・イン・モーション)の取締役会は12日、特別委員会を設置して、他社との提携や自社の売却などを具体的に検討すると発表した。同社はスマートフォン(スマホ)の老舗メーカーだが、アップルやグーグルなどとの競争が激しく、新型の基本ソフト(OS)を搭載した新機種の販売も振るわず、業績が悪化していた。
特別委はトーステン・ハインズ最高経営責任者(CEO)ら5人の取締役で構成。米大手投資ファンド、TPGキャピタルのシニアパートナーでもあるティモシー・ダテルズ氏が委員長を務める。ダテルズ氏は声明で「この1年、新OS『ブラックベリー10』の展開に注力してきたが、戦略的な選択肢を探る時がきた」と述べ、他社との提携や自社の売却を含め、あらゆる可能性を検討するとした。
12日の米株式市場でブラックベリー株は買われ、前週末終値に比べて一時9%以上値上がりした。ブラックベリーを巡っては中国のレノボ・グループが関心を示したと報じられているほか、マイクロソフトやアマゾン・ドット・コムも以前提携交渉を進めていたもよう。台湾のHTC(宏達国際電子)や韓国のサムスン電子も買い手候補として名前が挙がっている。
米調査会社IDCによると、ブラックベリーは2009年にはスマホの世界出荷台数シェア(OS別)で20%近くを占めたが、今年4~6月は前年同期比2ポイント減の2.9%。3~5月期の決算も、売上高は前年同期比9%増の30億7100万ドルだったが、最終損益は8400万ドルの赤字だった。