独、ユーロ圏諸国の国債空売り禁止 11年3月末まで
【ベルリン=赤川省吾】ドイツ連邦金融監督庁は18日、ユーロ圏16カ国の政府が発行する国債の空売りを禁止すると発表した。「大量の空売りが債券価格の乱高下につながっている」(同庁)として19日から空売り規制を導入し、2011年3月末まで継続する。ユーロ圏が資金繰り難に陥った国への支援策や、財政再建策を打ち出したにもかかわらず市場の混乱が続くため、投機抑制に強硬姿勢を見せる。
債券などがデフォルト(債務不履行)になるリスクの目安とされる金融商品の「クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)」や、ドイツ銀行など一部の金融機関株も規制対象となる。債券を保有していない市場参加者が債券価格の下落を狙って売買を繰り返すのを防ぐ狙いがある。
フランクフルトなどドイツの金融市場の国際競争力の低下を懸念する独政府は金融規制について、「国際的な協調体制が整ってから導入しないと意味がない」との立場だった。ドイツだけが規制を実施しても効果が小さいとの見方もある。だがユーロ圏の国債市場の混乱が収まる気配を見せないため、単独での規制に踏み切る。
国債買い取りを始めた欧州中央銀行(ECB)の側面支援という色彩もありそうだ。国債市場の取引正常化を図るという点でECBに独政府が足並みを合わせた。
欧州連合(EU)は18日の財務相理事会でヘッジファンド規制を決定。オーストリア政府は周辺国に対し、すべての金融取引に課税することを働き掛けており、欧州は金融市場への規制強化に急速に傾いている。