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首相、反論また反論 歴代政権に責任転嫁も

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菅直人首相は29日、東日本大震災の発生から19日目にして初めて国会で答弁に立った。同日の参院予算委員会で、野党は首相が震災翌日に福島第1原子力発電所を視察したために事故対応の初動に遅れが生じたと厳しく批判。首相は色をなして反論する一方、自民党政権時代の原子力政策や東京電力の安全対策の不備への責任転嫁に躍起となった。

「視察で(初動が)遅延したという指摘はまったく当たらない。東京電力もそういう認識でいる」。首相は、自身が視察を敢行したことから原子炉の圧力を下げる「ベント」の作業が遅れたとする自民党の礒崎陽輔氏の質問に、ひときわ声を高めてこう反論した。

福島第1原発では、ベントの遅れが事故拡大につながったとの指摘がある。首相は「(官邸は)12日午前1時30分にはベントをすべきだとの方針を明確に東電に伝えていた」と説明し、視察との関連性を否定した。「政治的パフォーマンス」とする批判には「まったく違う」と声を荒らげた。

東電と首相官邸の連携不足を問われると「東電は情報が十分に迅速にとれない場面もあった。ある段階では動揺もみられた」と東電側の問題を指摘。政府と東電の統合本部を立ち上げ、自ら本部長として指揮に乗り出したとして、逆にリーダーシップを誇示してみせた。

首相は大震災後、一方的な「メッセージ」の発信に努める一方、記者会見や質疑応答にはほとんど応じず、国会の場での発言も絶無だった。その間、後手に回る官邸の対応や顔の見えない首相に批判は高まった。地震発生から19日目にしてようやく釈明に乗り出すとともに、過去の政権の責任にも言及し、野党の追及をけん制した。

「(原発設置)当時の津波への認識が大きく間違っていたのは否定しようがない」。首相は政府と東電が安全対策を怠ったと指摘する共産党の大門実紀史氏にはこう答弁した。「(1960年の)チリ地震(の津波)の水準も満たしていないとすれば相当問題だ」とも強調した。原因は自民党など過去の政権の無策にあるとの認識を示した発言だ。

首相は、大震災の復旧・復興に向けては前向きな決意も表明した。「(震災被災者の)生活再建に国として責任を持つ」と強調。今後の日本のエネルギー政策については「今回のことを教訓に、太陽、バイオなどクリーンエネルギーを世界の先頭に立って開発し、新たな大きな柱としていく」との構想を披露した。

一方、福島第1原発の半径20~30キロメートル圏内の住民に屋内退避の指示を出していることに関しては「私の理解では、放射能被害の危険性は(半径)20キロメートルを超えたところではない。ただ、念のため屋外(外出)は控えたほうがいい」とあいまいな答弁に終始した。

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