金が1番売れる街「京都」、時代を超える投資眼
単独自営店舗としては日本一金を売る店が京都にある。日本の金市場全体が買い取りブームに沸いているときでも、京都では金が顧客により買われている。なぜ、京都でそれほど金が売れるのか。
まず、長い歴史の中で金だけが時代を超える価値を維持してきたことを実際に体験している。筆者がさる名刹の住職と話したときのこと。
住職「金は先の大戦でも毀損せずに残りましたな」
筆者「そうですね。第二次世界大戦では空襲を免れました」
住職「何をおっしゃる。応仁の乱のことですよ」
次に、宗教法人の資産運用。
そもそも京都のお寺は檀家が少ないので、収入を拝観入場料などに依存する。その多寡は天候に左右されがち。神社の場合は、大みそかから元旦にかけて雨となれば初詣客のさい銭収入は激減する。そこで天候デリバティブを利用し始めた。おそらくは証券会社からの提案であろう。
(例えば、甲子園の弁当販売量は雨の場合に激減する。その補償をするスキームが天候デリバティブだ。)
いきなり、デリバティブから入ったが、その後、外為、商品などの運用にも拡大の様子。宗教法人は隠れたメジャー・プレーヤーとマーケットでは噂される。
なかには金融工学に精通している僧もおり、筆者もシンシンと底冷えする堂内の畳に正座して、ふすまにパワーポイント映像を投射しつつプレゼンテーションを行ったことがある。ブラックショールズのオプション・モデルを熟知しており、大手町での機関投資家セミナーと同等の水準であった。
記憶に残るミスマッチ風景ではあった。
豊島逸夫事務所(2011年10月3日設立)代表。9月末までワールド ゴールド カウンシル(WGC)日本代表を務めた。
1948年東京生まれ。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱東京UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラーとなる。チューリッヒ、NYでの豊富な相場体験をもとに金の第一人者として素人にも分かりやすく、独立系の立場からポジショントーク無しで、金市場に限らず国際金融、マクロ経済動向についても説く。
ブログは「豊島逸夫の手帖」http://www.mmc.co.jp/gold/market/toshima_t/index.html
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ではリアルタイムのマーケット情報に加えスキー、食べ物など趣味の呟きも。日経マネーでは「現場発国際経済の見方」を連載中。日本経済新聞出版社や日経BP社から著書出版。
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