FRB、超低金利政策「2013年半ばまで続ける可能性」
FOMCで見解
【ワシントン=御調昌邦】米連邦準備理事会(FRB)は9日開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)後の声明で、異例の超低金利政策を「少なくとも2013年半ばまで継続する可能性が高い」と表明した。声明は米景気について「経済成長は予想よりかなり遅くなっている」と景気判断を下方修正。最近の金融市場の混乱なども踏まえ、金融緩和の強化に踏み切ったとみられる。
声明によると、FOMCは金融政策の誘導目標となるフェデラルファンド(FF)金利を現行の年0~0.25%で据え置いた。そのうえで政策金利を「異例の低水準とすることが正当化される可能性が高い」期間について「長期間」との表現から「少なくとも13年半ばまで」に変更した。ゼロ金利政策が2年以上続くと示唆することで、中長期の金利低下を促す狙い。
今回のFRBの政策は、01年に日銀が消費者物価指数が安定的に0%以上となるまで量的緩和政策を継続すると表明した事例に類似。FOMC声明は一段の金融緩和について、経済情勢に応じ「実施する準備はできている」と言及した。市場では量的緩和第3弾(QE3)に向け「扉が開かれている」(ジョセフ・ギャノンFRB元副局長)との見方がある。
ただ、今回の決定にはバーナンキFRB議長を含む7人が賛成した一方で、3人の地区連銀総裁は事実上の金融緩和強化は好ましくないとの考えから反対。FRBの一部には一段の金融緩和に慎重な見方が根強いこともわかった。
バーナンキFRB議長はこれまで、今年上期の米成長率低下は東日本大震災など一時的な要因の影響と説明してきた。だが今回の声明では「(一時的要因は景気減速の)原因の一部にすぎないようだ」と指摘。労働市場の悪化や家計支出の停滞も踏まえ「経済見通しに対する下振れリスクも増えた」とし、景気の先行きに懸念を表明した。
その一方、物価見通しについてはFRBが望ましいと考える水準か、それを下回る水準に「落ち着くだろう」との見方を示した。足元の原油価格下落がガソリン価格低下などを通じインフレ懸念の沈静化につながるとの判断も踏まえ、金融緩和の強化に踏み切ったとみられる。
FRBは米景気の失速懸念が強まった昨年11月に量的緩和第2弾(QE2)を導入し、予定通り今年6月末で同緩和策を終了。その後は「緩和」スタンスを維持してきた。今回のFOMC声明は、FRBがQE2終了から1カ月余りで政策運営を一段と緩和する姿勢に修正した形になる。
ただ今回の措置は文言の変更で、資産購入といった「実弾」が伴うわけではない。現在のような市場の不安心理にどこまで効果があるか読み切れない部分がある。