人口減少率、秋田・青森・山形がワースト3に
総務省が25日発表した住民基本台帳に基づく人口動態調査(1月1日時点)で、秋田、青森、山形の3県は人口減少率が全国ワースト3だった。福島、岩手も全国平均を上回る減少率で、東北の人口減少は深刻さを増している。一方、宮城県は東日本大震災からの復興に伴う人口流入などで0.1%増で、他の5県との格差も鮮明となっている。
最も深刻なのは秋田県だ。県人口は1年間で約1万3000人減った。年齢別の都道府県人口をみると、0~14歳の年少人口の割合は10.79%で全国最低。逆に65歳以上の老年人口の割合は31.15%と全国最高。老年人口の割合が高まった結果、15~64歳の生産年齢人口の割合が低くなる傾向にあり、少子高齢化の深刻化が全国でも際立つ。
秋田県はこのほど、人口問題対策連絡会議(議長・佐竹敬久知事)を設置し、人口減の原因分析に着手した。2040年には人口が現在の約107万人から70万人に減るとの推計もあり、年度内には人口70万人を前提とした地域や行政の将来像を示す方針だ。このまま人口減が続くと、自治体が担っている業務の一部が成り立たなくなる恐れもあり、対策が必要となる。
東北6県では2番目の人口を持つ福島も約1万4000人減った。09年の日本人の人口を100として各年の人口を指数化した統計をみると、14年は95.29。秋田(95.33)も下回って、3年連続で全国最低となった。福島第1原子力発電所事故による人口流出は収まりつつあるが、どうやって若者を県内に定着させるかという震災前の課題は未解決のままだ。現時点では震災前水準への回復も道のりは険しいと言わざるを得ない。
人口減少数が約1万4000人と6県で最大だった青森県は、転入よりも転出が多い社会減が加速した。原子力施設の集積などを生かした企業誘致や農業の改革などで雇用を創出していく考えだ。
約9000人減少した岩手県は、17日に人口問題対策本部を設置した。本部長を務める達増拓也知事は「復興とはふるさとを消滅させない取り組みだ。定住促進や子育て支援などを強化する」と話している。
山形県も約1万1000人減ったが、世帯当たりの構成人員数が多いという特徴は維持した。山形は2.83人で首位の福井(2.84人)に次ぐ全国2位。3世帯同居が多く残り、良好な子育て環境を維持しているとみられるが、人口を増やすまでには至っていない。