国交省、JR北海道の監査強化 車両や運転部門も
国土交通省は24日、多数のレール異常を放置していたJR北海道に対して、監査員を4人から9人に増強して特別保安監査に踏み切った。当初23日までとしていた監査期間を27日まで延長し、対象も保線に当たる工務部門だけでなく、車両や運転など他に運行に関わる部門にまで拡大した。
国交省は事業改善命令も視野に、トラブルや事故を抑制できないJR北海道の安全管理体制の実態解明に本腰を入れる。同社は石勝線で2011年5月に発生した脱線火災事故で事業改善命令を受けている。
今後、保線担当部門以外でも法令違反の疑いが浮上する可能性があり、国交省関係者は「監査を再延長する可能性もある」としている。
24日の監査対象は本社(札幌市)。運転部門に入るほか、信号機や電線といった設備を管轄する電気部門にも専門知識を持つ監査員が立ち入って調査するとみられる。
国交省は21~23日に本社や札幌保線管理室で保線業務の実態を調べるため特別保安監査を実施。
19日に函館線大沼駅構内で起きた貨物列車脱線事故現場の保線を担当していた大沼保線管理室(北海道七飯町)など数カ所でも、JR北海道の担当者への聞き取りや、レールを点検した際のデータ確認をしたが、レール異常が北海道全域に拡大したことなどから態勢を強化した。
JR北海道は21日、大沼駅構内など9カ所でレールの異常を把握しながら補修を怠り、放置していたと発表。翌22日には野島誠社長が記者会見し、これら9カ所を含め道内97カ所で異常を放置していたと公表した。
異常放置は保線業務に当たっている44部署のうち15部署に集中していたことも判明している。〔共同〕