JR北海道、レール幅基準超え放置 脱線事故現場
北海道・JR函館線の貨物列車脱線事故で、JR北海道は21日、昨年10月の定期検査で現場のレール幅が社内規定の基準値より広い異常があったのに補修せず、1年近く放置していたと明らかにした。直近の点検記録を調べ、他に8カ所でも同様に放置、異常は計9カ所に上った。JR北海道は「直ちに脱線につながる数値ではないが(脱線の)原因となった可能性は否定できない」と説明している。
トラブルが相次ぐJR北海道の安全運行への意識の低さを改めて露呈した。
国土交通省は、重大な法令違反の疑いがあるとして、JR北海道本社と函館支社の特別保安監査を開始。同社にレールの緊急点検などを指示し結果の報告を求めた。
札幌市の本社で会見した笠島雅之工務部長は「重大なミスだ」と認める一方で、「なぜ放置したかは分からない」とした。
JR北海道によると、昨年10月の検査で脱線現場のレール幅が20ミリ広がっていた。今年6月の検査で25ミリに拡大。社内規定では19ミリ未満なら許容され、超えると検査から15日以内に補修することになっている。
レールは車輪を通じて車体の重みや振動が加わって変形し幅が広がる。脱線現場で使われていた枕木はコンクリート製より広がりやすいとされる木製だった。
直近の点検記録から幅が広がっていたのは函館線、石北線、室蘭線など計8カ所。JR北海道は全て補修したとしている。
鉄道工学が専門の北海学園大の上浦正樹教授は「緊急修繕が必要なレベルだ。規定を順守するのは当然で、これを守らなかったとはにわかに信じられない」と話した。〔共同〕