津波、静岡で海抜36メートル超到達か 室町時代の地震
室町時代の1498年に発生した大地震「明応東海地震」で、古文書の記録や伝承から、静岡県沼津市で津波が斜面を駆け上り海抜36メートルを超える地点まで達していた可能性があることが16日までに、東京大学地震研究所などの調査で分かった。東日本大震災では、岩手県宮古市の斜面を39.7メートルまで津波がさかのぼったとする調査報告がある。
静岡県は東海地震の津波被害の想定として1854年の安政東海地震を目安としているが、東大地震研の都司嘉宣准教授は「明応東海地震の津波の高さは安政東海地震の3~4倍あり、防災指針を見直すべきだ」としている。
国の地震調査研究推進本部によると、明応東海地震は東海沖から四国沖の海底にある溝状の地形「南海トラフ」沿いに起きた大地震。マグニチュード(M)は8.3程度で、津波が紀伊半島から房総半島まで達したとされている。
都司准教授によると、寺院が記録した古文書などにより浸水場所を調査し、現地で測量。明応東海地震では、沼津市戸田の集落の「平目平」と呼ばれる地点まで津波が到達したとの伝承があり、海抜を測定すると36.4メートルだった。平目平という地名も、当時の津波でそこまでヒラメが打ち上げられたという言い伝えに由来するという。
また中部電力浜岡原子力発電所(御前崎市)から30~40キロの磐田市掛塚でも海抜10メートルの場所まで浸水した可能性があった。
都司准教授は「今後、津波によって運ばれてきた海の砂の層がないか調べたい」としている。〔共同〕
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