iPS臨床研究を了承 厚生科学審、来夏にも移植
厚生科学審議会(厚労相の諮問機関)の科学技術部会は12日、理化学研究所などが申請していたiPS細胞を使う臨床研究計画を了承した。7月中にも厚労相が正式承認した上で、目の難病の加齢黄斑変性の患者を対象に、来年夏にも移植手術が実施される見通しだ。
同省の審査委員会が6月26日に臨床研究計画を承認した。今回は上部組織である科学技術部会で、臨床研究計画が妥当かどうかを審議した。
iPS細胞から作った組織は移植すると患者の体内でがんになりやすい問題がある。委員からは対処法などについて質問が出たが、反対意見はなく、了承された。永井良三部会長は「未知の細胞を使うため、とにかく慎重に研究を進めてほしい」と注文をつけた。
厚生科学審議会への報告を経て厚労相に答申する。2~3週間後に厚労相が了承の意見を出す見通し。これを受けて理研などが移植手術を実施する患者の選定を始める。
臨床研究は理研の高橋政代プロジェクトリーダーらが計画している。加齢黄斑変性の患者の皮膚から作ったiPS細胞を目の網膜の細胞に育て、シート状に加工したうえで、患部に移植する。手術や細胞の安全性を確かめるのが主な目的だ。