東京エレク、世界最大手と統合 半導体装置の開発加速
半導体製造装置の国内首位で世界3位の東京エレクトロンと世界首位の米アプライドマテリアルズは24日、2014年後半に経営統合すると発表した。スマートフォン(スマホ)の普及で進む半導体の高機能化に対応、開発にかかる大型投資で先行する。ハイテク分野で日本と米国のトップ企業が統合するのは初めて。国境を越えた企業再編が再び加速しそうだ。
両社の売上高を単純に合算すると137億ドル(約1兆3千億円)で、世界2位のオランダのASMLを引き離す。時価総額は約290億ドルとなる見込み。
米調査会社ガートナーによると12年の半導体製造装置の世界出荷額シェアで東エレクとアプライドの合計は25.5%。ASML(12.8%)の2倍で、米インテルや韓国サムスン電子など半導体大手を顧客として網羅する巨大企業が誕生する。
両社は三角合併方式で統合する。持ち株会社をオランダに設立、両社を事業会社として傘下に置く。東エレク1株に対し持ち株会社の3.25株を、アプライド1株に対し持ち株会社1株を割り当てる。2社は上場廃止、持ち株会社が東京証券取引所、米ナスダック市場に上場する。統合完了から12カ月以内に30億ドルの自社株買いを実施する。
統合会社の会長には東エレクの東哲郎会長兼社長が就き、最高経営責任者(CEO)にはアプライド社のゲイリー・ディッカーソンCEOが就任する予定。同日、都内で記者会見した東エレクの東会長兼社長は「統合で開発費負担が減る」と語り、統合後初年度で2.5億ドル、3年で5億ドルの相乗効果が出るとした。
IT(情報技術)端末ではスマホやタブレット(多機能携帯端末)が急速に普及。身につけて利用する次世代機器のウエアラブルコンピューターの商品化も進んでいる。搭載する半導体も小型化や省電力化が急務だ。対応する製造装置の技術革新が不可欠だが、開発には数百億円単位の投資が必要となっている。
両社は経営統合で開発費を分担。今後、次世代技術である450ミリウエハー向け製造装置の実用化やメモリーの大容量化に対応した技術開発を進める。これによりIT端末の小型化・高機能化が速まる可能性がある。
半導体業界では経営破綻したエルピーダメモリが7月、米マイクロン・テクノロジーの傘下に入った。米インテルは昨年、ASMLに出資。開発費負担の抑制を狙ったメーカーの再編が相次ぐ可能性がある。