デジタル通貨「基準策定の先行を」 英中銀ベイリー総裁
【ロンドン=篠崎健太】英イングランド銀行(中央銀行)のベイリー総裁は3日、デジタル通貨や決済の進化について講演し「基準策定が後を追うことがあってはならない」と述べた。新たな決済手段として効率化につながる期待がある一方、利用者や金融安定を守る規制の枠組みが欠かせないと強調した。
米ブルッキングス研究所のオンラインイベントで語った。決済インフラの基本原則は「利用者が法定通貨といつでも交換できる確信を持てることだ」と訴えた。
ドルやユーロといった法定通貨を裏付けに価値安定をめざす「ステーブルコイン」に関しては、幅広く利用される場合は「現行の他の決済や送金手段と同等の基準を設ける必要がある」とした。
ベイリー氏は「出発点は1つの通貨に基づくものにすべきだ」とも述べた。米フェイスブックのデジタル通貨構想「リブラ」が当初想定していたような、複数通貨を裏付けとするステーブルコインは不適当との認識を示した。ポンド建てで発行される場合、運営者は英国内に拠点を置くことが必要になると説明した。
イングランド銀は日銀や欧州中央銀行(ECB)などと、中央銀行が発行するデジタル通貨(CBDC)の共同研究に取り組んでいる。金融システムの形や金融政策のあり方に大きな論点を提起するもので、CBDCの導入には慎重な検討が求められると強調した。
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